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インテリアの一部として考える、窓のデザインの選び方
サイズや形のみならず、開閉方法や素材、機能の違いでさまざまな選択肢が考えられる窓のデザイン。日本の住空間に映える、素敵な窓の使い方を見てみましょう。
Taeko Ishii
2016年6月6日
フリーランスのエディター・ライター。大学で住まいについて学んだのち、コピーライター、住宅雑誌編集者を経てフリーランスに。暮らしまわりに関すること、地方での暮らしについてが主なテーマです。
フリーランスのエディター・ライター。大学で住まいについて学んだのち、コピーライター、住宅雑誌編集者を経てフリーランスに。暮らしまわりに関すること、地方での暮らしについてが主なテーマです... もっと見る
風景に奥行きが生まれる格子窓、一枚の絵のような眺望と光を取り入れる大開口、淡く美しい光で外の様子をうかがい知る障子戸……。魅力的な住まいではいつも、「窓」が大切な役割を果たしています。窓は採光や通風といった機能的な役割はもちろん、デザインの印象を決めるうえでも非常に重要な存在です。たとえば日本の家とヨーロッパの家の印象が違うのも、窓のサイズやプロポーションが理由のひとつ。簡単に言うと、柱と梁で構成する木造建築がルーツの日本では、柱間に横長の引き違い窓をつくることが多いのに対して、石やレンガを重ねる組積造が主流だったヨーロッパでは、強度の問題で窓の幅を広くとりにくかったため縦長の窓が増え、開閉方法も開き戸や上げ下げ戸が多いというわけです。
日本ではアルミサッシの引き違い戸が主流ですが、開閉方法や素材にはさまざまな選択肢があり、何を選ぶかによって、外観はもちろん、カーテンやブラインドといったウィンドウトリートメントも含めてインテリアも大きく変わります。家具や壁紙と違って、建築と一体につくられる窓は、後から変更することが難しいもの。新築なら家を建てる前にインテリアとしてどう仕上げるかじっくり検討し、リノベーションなら「窓の変更はどこまで可能か?」をきちんと念頭に置いて選びましょう。
日本ではアルミサッシの引き違い戸が主流ですが、開閉方法や素材にはさまざまな選択肢があり、何を選ぶかによって、外観はもちろん、カーテンやブラインドといったウィンドウトリートメントも含めてインテリアも大きく変わります。家具や壁紙と違って、建築と一体につくられる窓は、後から変更することが難しいもの。新築なら家を建てる前にインテリアとしてどう仕上げるかじっくり検討し、リノベーションなら「窓の変更はどこまで可能か?」をきちんと念頭に置いて選びましょう。
引き込み窓で内と外をオープンにつなぐ
日本で最も多い横引き窓は、開閉スペースを節約でき、ガラス面を広くとれるので、窓を大きくしたい場合にも有効です。
一般的に多いのが2枚のサッシのどちらも開けられる「引き違い窓」ですが、写真のように壁内にサッシを隠せる「引き込み窓」は、全開にすると室内外がオープンにつながって開放的な印象に。室内も、広く伸びやかに感じられます。
日本ではアルミサッシが主流ですが、写真の住まいはインテリアに合わせて木製サッシを使用。木製サッシは断熱性が高く、住まいの使用エネルギーを下げてくれるので、ヨーロッパでは広く普及しています。
日本で最も多い横引き窓は、開閉スペースを節約でき、ガラス面を広くとれるので、窓を大きくしたい場合にも有効です。
一般的に多いのが2枚のサッシのどちらも開けられる「引き違い窓」ですが、写真のように壁内にサッシを隠せる「引き込み窓」は、全開にすると室内外がオープンにつながって開放的な印象に。室内も、広く伸びやかに感じられます。
日本ではアルミサッシが主流ですが、写真の住まいはインテリアに合わせて木製サッシを使用。木製サッシは断熱性が高く、住まいの使用エネルギーを下げてくれるので、ヨーロッパでは広く普及しています。
柱のないL字型の開口で、テラスとリビングを一体に
同じ木製サッシでも、サイズや枠の太さによって印象が変わります。写真は、リビングとテラスの間に全開放できる木製サッシをL字型に配し、床もフラットにして室内外を一体に。網戸も同じ木製の框でしつらえて真鍮製の鍵を合わせ、美しくおさめています。
同じ木製サッシでも、サイズや枠の太さによって印象が変わります。写真は、リビングとテラスの間に全開放できる木製サッシをL字型に配し、床もフラットにして室内外を一体に。網戸も同じ木製の框でしつらえて真鍮製の鍵を合わせ、美しくおさめています。
フレームを細く仕上げて、ミニマルなインテリアに調和させる
こちらは、テラスに面した開口の大部分をFIX窓(開閉できないはめ殺しの窓)にして、サイドに出入りのための引き戸を設けた例。細く仕上げたアルミサッシの枠と框を、天井や床の内部におさめて存在感を抑え、シンプルでミニマルなインテリアに調和させています。サッシの素材と枠のおさめ方によって、空間の印象が大きく変わることがわかります。
こちらは、テラスに面した開口の大部分をFIX窓(開閉できないはめ殺しの窓)にして、サイドに出入りのための引き戸を設けた例。細く仕上げたアルミサッシの枠と框を、天井や床の内部におさめて存在感を抑え、シンプルでミニマルなインテリアに調和させています。サッシの素材と枠のおさめ方によって、空間の印象が大きく変わることがわかります。
縦長の両開き窓を等間隔に配置してクラシカルに
内側か外側に、角度を調整して開けられる開き窓。枠に厚みを持たせたり格子を使ったりと、クラシカルなデザインも似合います。縦長のプロポーションできれいにおさまるのも、開き窓の特徴。外開きの場合は特に、ハンドルに手が届きやすくする意味で、幅を抑えたフォルムが適切です。
写真のように縦長の窓が等間隔で並ぶデザインは、クラシカルなイメージに仕上がります。カーテンを合わせる場合は、腰窓でも床まで垂れ下がる長さで仕立てると美しく映えます。カーテンを開けた時の布だまりを考慮して、窓の両側に壁を確保しておくと、すっきり美しいインテリアに。特に写真のように内開きにする場合は、全開にしてもカーテンが邪魔にならないようにしておきましょう。
内側か外側に、角度を調整して開けられる開き窓。枠に厚みを持たせたり格子を使ったりと、クラシカルなデザインも似合います。縦長のプロポーションできれいにおさまるのも、開き窓の特徴。外開きの場合は特に、ハンドルに手が届きやすくする意味で、幅を抑えたフォルムが適切です。
写真のように縦長の窓が等間隔で並ぶデザインは、クラシカルなイメージに仕上がります。カーテンを合わせる場合は、腰窓でも床まで垂れ下がる長さで仕立てると美しく映えます。カーテンを開けた時の布だまりを考慮して、窓の両側に壁を確保しておくと、すっきり美しいインテリアに。特に写真のように内開きにする場合は、全開にしてもカーテンが邪魔にならないようにしておきましょう。
雨の日も開けられる突き出し窓をインテリアのアクセントに
窓枠の上を軸に、外側に扉を押し出して開けるのが突き出し窓。サッシが庇状になるので雨の日に開放したままでも吹き込みにくく、自然換気に有効です。コンパクトにおさめられるので、インテリアのアクセントにしてもいいですね。
窓枠の上を軸に、外側に扉を押し出して開けるのが突き出し窓。サッシが庇状になるので雨の日に開放したままでも吹き込みにくく、自然換気に有効です。コンパクトにおさめられるので、インテリアのアクセントにしてもいいですね。
開放的なアウトドア空間に合う折りたたみ窓
サッシを折りたたんで開ける折りたたみ窓は、開く角度によって光や風を調整できるのはもちろん、全開にしてサッシをたためば、開口部分がすべてオープンに。庭やテラスにつながる掃き出し窓に使うと、室内外がひと続きになり、気持ちよく過ごせます。写真のように木製サッシをしつらえれば、大開口もやわらかい雰囲気になり、庭の緑に美しく映えます。
サッシを折りたたんで開ける折りたたみ窓は、開く角度によって光や風を調整できるのはもちろん、全開にしてサッシをたためば、開口部分がすべてオープンに。庭やテラスにつながる掃き出し窓に使うと、室内外がひと続きになり、気持ちよく過ごせます。写真のように木製サッシをしつらえれば、大開口もやわらかい雰囲気になり、庭の緑に美しく映えます。
FIX窓で景色をすっきり切り取る
眺望や最高が目的なら、開閉できないFIX窓がおすすめ。ハンドルや鍵がなく、サッシのフレームが目立たないすっきりしたデザインも可能なので、景色を遮ることなく切り取ってくれます。長方形や正方形はもちろん、円形や細長いスリット窓など形も多彩で、高所や床に近い場所、コンパクトなスペースに計画しても。写真の窓はモダンなインテリアに合わせて框をスリムに仕上げ、存在感を抑えています。
眺望や最高が目的なら、開閉できないFIX窓がおすすめ。ハンドルや鍵がなく、サッシのフレームが目立たないすっきりしたデザインも可能なので、景色を遮ることなく切り取ってくれます。長方形や正方形はもちろん、円形や細長いスリット窓など形も多彩で、高所や床に近い場所、コンパクトなスペースに計画しても。写真の窓はモダンなインテリアに合わせて框をスリムに仕上げ、存在感を抑えています。
「眺めるための中庭」をFIX窓で囲んで
コンパクトな中庭を室内のさまざまな方向から眺められるように、出入り口以外はFIX窓にした住まい。一枚の絵のように風景を切り取ってくれます。
コンパクトな中庭を室内のさまざまな方向から眺められるように、出入り口以外はFIX窓にした住まい。一枚の絵のように風景を切り取ってくれます。
格子のスチールサッシのインダストリアルな表情を楽しむ
独特の風合いが味わい深いスチールサッシは、インテリアに存在感を放つエレメント。FIX窓のため、細いラインの框がすっきりおさまり、格子のデザインによって庭の風景に奥行きが感じられます。左右に1カ所ずつ片開き窓をつくって、通風に配慮しています。
窓やウィンドウトリートメントの選択肢は、インテリアの数だけあると言っても過言ではありません。機能だけでなく、空間に映える美しいデザインを吟味しましょう。
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「段差」をつけて、動線がよく奥行きのある、立体的な空間づくり
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文/小川のぞみ
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