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壁装をハイセンスに活かすウィンドウトリートメント:塗装壁・板壁・モールディング編
窓まわりのプロがお伝えする、ウィンドウトリートメントのベーシックな知識と楽しみ方。壁の仕上げ材別に、おすすめのウィンドウトリートメントをご紹介します。
さまざまな壁装材のタイプと、それぞれに相性のよいウィンドウトリートメントとの組み合わせをご紹介する記事の後編です。前編では、壁紙を施工した壁、タイル・レンガタイル壁のある空間の窓まわりについて解説しました。今回は、塗装・吹き付け壁、木質の板壁やモールディングを施した壁、それぞれの特性をを活かすウィンドウトリートメントについて取り上げたいと思います。
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- 塗り壁・吹き付け壁
コンクリート打ちっ放し
こちらも湿式工法に含まれます。一般にハードな印象の仕上がりですが、コンクリートの型枠の材質や形によって、表面の風合いをソフトなイメージにすることもでき、多彩な演出が可能です。
ニュートラルでアーティスティックな視覚効果と質感を楽しむ壁装なので、シンプルで上質な生地で仕立てたカーテンやエリアラグを取り入れ、ハイクラスな高級感のある空間するのもいいでしょう。あるいは思い切りカラフルなファブリックをに取り入れてモダンアート的にポップに楽しんだり、意外なほどさまざまなインテリアスタイルに合い、いずれのスタイルもクールなイメージに仕上げてくれます。
こちらも湿式工法に含まれます。一般にハードな印象の仕上がりですが、コンクリートの型枠の材質や形によって、表面の風合いをソフトなイメージにすることもでき、多彩な演出が可能です。
ニュートラルでアーティスティックな視覚効果と質感を楽しむ壁装なので、シンプルで上質な生地で仕立てたカーテンやエリアラグを取り入れ、ハイクラスな高級感のある空間するのもいいでしょう。あるいは思い切りカラフルなファブリックをに取り入れてモダンアート的にポップに楽しんだり、意外なほどさまざまなインテリアスタイルに合い、いずれのスタイルもクールなイメージに仕上げてくれます。
漆喰
消石灰と水と砂、すさ(壁の補強や亀裂防止などのために、壁土に混ぜ込む藁くず、糸くずなどのつなぎ材。漆喰の場合は麻が用いられることが多い)を混ぜて塗ります。一般的には乳白色ですが、黄土、べんがらなどで着色した色漆喰もあります。平らな塗りの他に、くし目、刷毛目、たたきなどによる仕上げ方もあります。
漆喰壁の和室のウィンドウトリートメントとしては、やはり障子が美しくおさまります。世界に誇る日本の伝統スタイルです。
消石灰と水と砂、すさ(壁の補強や亀裂防止などのために、壁土に混ぜ込む藁くず、糸くずなどのつなぎ材。漆喰の場合は麻が用いられることが多い)を混ぜて塗ります。一般的には乳白色ですが、黄土、べんがらなどで着色した色漆喰もあります。平らな塗りの他に、くし目、刷毛目、たたきなどによる仕上げ方もあります。
漆喰壁の和室のウィンドウトリートメントとしては、やはり障子が美しくおさまります。世界に誇る日本の伝統スタイルです。
近年の和室では、障子の代わりに和紙の質感を再現したプリーツスクリーンが採用されることも多くなりました。
プリーツスクリーンは和室に合うカラー展開も豊富で、日本の伝統的な和のモチーフをモダンにアレンジしたプリントシリーズもあります。さらにシアー生地と組み合わせたツインスタイルも可能なので、視線を遮りながら調光もできる、美しさを兼ね備えた実用品でもあります。
プリーツスクリーンは和室に合うカラー展開も豊富で、日本の伝統的な和のモチーフをモダンにアレンジしたプリントシリーズもあります。さらにシアー生地と組み合わせたツインスタイルも可能なので、視線を遮りながら調光もできる、美しさを兼ね備えた実用品でもあります。
珪藻土
藻類の一種である珪藻の化石が、長い間堆積してできた土を原料とした壁材です。昔から火に強い土として、七輪や耐火断熱レンガの材料として使われてきました。シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドを吸着分解する脱臭機能と、室内の湿度が高くなると湿気を吸収し、乾燥すると水分を室内に放出する自然の調湿機能もあるため、優れた建材として一般住宅に広く採用されています。
藻類の一種である珪藻の化石が、長い間堆積してできた土を原料とした壁材です。昔から火に強い土として、七輪や耐火断熱レンガの材料として使われてきました。シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドを吸着分解する脱臭機能と、室内の湿度が高くなると湿気を吸収し、乾燥すると水分を室内に放出する自然の調湿機能もあるため、優れた建材として一般住宅に広く採用されています。
ウィンドウトリートメントも自然素材がよく合います。天然木の質感が美しい木製ブラインドには、最近スラットにユーズド感をもたせたヴィンテージカラーシリーズや、ベーシックカラーをマットペイントで表現したものなど、豊富なバリエーションがあるので、ご希望のインテリアイメージに合わせて選びやすくなっています。
また50ミリ幅スラットのアルミブラインドにも、ナチュラルやノスタルジック、ウッドフェイスといったさまざまな表面仕上げとカラーが揃うので、珪藻土のナチュラル感を活かしながら洗練された印象に仕上げることもできます。スラットに厚みのある木製ブラインドのたまり(たたんだときの厚み)が気になる方には特におすすめです。いずれも、ラダーテープをアクセントカラーとして合わせる楽しみがあります。
また50ミリ幅スラットのアルミブラインドにも、ナチュラルやノスタルジック、ウッドフェイスといったさまざまな表面仕上げとカラーが揃うので、珪藻土のナチュラル感を活かしながら洗練された印象に仕上げることもできます。スラットに厚みのある木製ブラインドのたまり(たたんだときの厚み)が気になる方には特におすすめです。いずれも、ラダーテープをアクセントカラーとして合わせる楽しみがあります。
和風モダンな空間に、珪藻土とコンクリート打ちっ放しの壁がやさしく共存しています。
窓にはダーク色のロールスクリーンを取り入れて全体を引き締め、よりスタイリッシュに。
窓にはダーク色のロールスクリーンを取り入れて全体を引き締め、よりスタイリッシュに。
珪藻土の壁、木の床と自然素材でまとめた空間のウィンドウトリートメントは、プレーンなタイプでまとめる傾向がありますが、少しデザインで遊ぶのも楽しいものです。たとえば、天井に行き交う梁や薪ストーブの潔いラインを、このようにカーテンやローマンシェードのデザインに取り入れてみるのはいかがでしょう。
- 木質系素材
板張り壁は、細い板の場合は羽目張り(縦方向)、もしくは下見張り(横方向)にします。
板張り壁は一般的にカジュアルなイメージになりますが、合板を使う場合は、化粧の種類によって幅広い演出が可能です。たとえば、表面に天然銘木の突板を張った突板合板を塗装仕上げすれば伝統的で重厚な雰囲気になりますし、メラミン化粧合板やポリエステル化粧合板など、合成樹脂を表面に熱圧着した合成樹脂化粧合板を使用すれば、コンテンポラリーな雰囲気を出せます。
写真は下見張りの板張り壁に、メンテナンスもしやすいハトメスタイルのシアーカーテンをさらりと掛け、ビーチスタイルの雰囲気を演出したキッチンです。色をシックに抑えた、気取らないあしらいが魅力的です。
モールディングを施した壁
フォーマルな洋風造作では、壁と天井の出会い部分に「廻り縁」、壁と床の出会い部分には「巾木」など、それぞれ伝統様式に応じた特有なデザインの「モールディング」を飾ったものが古くから使われてきました。こういったフォーマルな内装の例もいくつかご紹介します。
壁面に施すモールディングである「チェアレール」や「パネルモールド」にも、時代や様式別に異なったデザインがあるのと同様に、ウィンドウトリートメントにも様式があります。
19世紀後半~20世紀初頭にかけて、ロココ、エリザベス、ゴシック、ネオクラシック、ルネサンスなどさまざまな様式がリバイバルした時代の「ヴィクトリアンスタイル」の家具や室内装飾でまとめられたこの部屋。ウィンドウトリートメントもやはりその様式にのっとって、重厚なフリンジ使いを特徴としたドレーパリーとスワッグで、デコラティブにしつらえています。
フォーマルな洋風造作では、壁と天井の出会い部分に「廻り縁」、壁と床の出会い部分には「巾木」など、それぞれ伝統様式に応じた特有なデザインの「モールディング」を飾ったものが古くから使われてきました。こういったフォーマルな内装の例もいくつかご紹介します。
壁面に施すモールディングである「チェアレール」や「パネルモールド」にも、時代や様式別に異なったデザインがあるのと同様に、ウィンドウトリートメントにも様式があります。
19世紀後半~20世紀初頭にかけて、ロココ、エリザベス、ゴシック、ネオクラシック、ルネサンスなどさまざまな様式がリバイバルした時代の「ヴィクトリアンスタイル」の家具や室内装飾でまとめられたこの部屋。ウィンドウトリートメントもやはりその様式にのっとって、重厚なフリンジ使いを特徴としたドレーパリーとスワッグで、デコラティブにしつらえています。
パネルモールドのある壁面は、明るめの単色使いでプレーンにまとめると、ぐっと現代的になります。ベッド両サイドのパネルモールド上部の形状とベッドヘッドの形状を揃えてインテリアの完成度を高めています。
ウィンドウトリートメントは素材感のよい生地を選び、ボトムに単色でバンディングを施したプレーンシェードと、おそろいのファブリックで横に切り替えたカーテンを。シンプルモダンなあしらいながら、切り替え位置は腰高窓の窓枠下のラインに合わせることで、落ち着いた空間を演出しています。
ウィンドウトリートメントは素材感のよい生地を選び、ボトムに単色でバンディングを施したプレーンシェードと、おそろいのファブリックで横に切り替えたカーテンを。シンプルモダンなあしらいながら、切り替え位置は腰高窓の窓枠下のラインに合わせることで、落ち着いた空間を演出しています。
ロココ様式の「オーマルー」(金色飾り)の飾りだんすのある、ドラマチックでグラマラスなダイニングルーム。
アクセントカラーに選んだオーマルーのゴールドを、壁紙パネルの小紋柄とパネルモールド、天井に大胆にあしらい、モダンなシャンデリアをより美しく引き立てています。
ゴールドが映える青緑を、壁面パネルの背景や椅子張り、カーテンにも使っています。全体のパワフルさを受け止めるように、カーテンのひだをたっぷり取り、裏地もつけてボリューム感を出します。再生床材使用のテーブルや、ヴィンテージチェアを合わせて、個性的でトランジショナルなスタイルに。
アクセントカラーに選んだオーマルーのゴールドを、壁紙パネルの小紋柄とパネルモールド、天井に大胆にあしらい、モダンなシャンデリアをより美しく引き立てています。
ゴールドが映える青緑を、壁面パネルの背景や椅子張り、カーテンにも使っています。全体のパワフルさを受け止めるように、カーテンのひだをたっぷり取り、裏地もつけてボリューム感を出します。再生床材使用のテーブルや、ヴィンテージチェアを合わせて、個性的でトランジショナルなスタイルに。
壁装材とウィンドウトリートメントのハーモニー
最後に、省スペースでも見事に内装材とインテリアファブリックを使いこなしている事例をご覧いただきましょう。
キッチンキャビネット上にはレリーフを施したモールディング、カウンター下には羽目板張り、暖炉には塗った後に目地を削ってレンガ風に仕上げた漆喰壁、床にはナチュラルなフローリングとキッチン側の大理石……と、コンパクトな空間にさまざまな内装材が取り入れられています。
さて、ウィンドウトリートメントはどんなふうに合わせているでしょう。部屋中のすべての色を取り込んだ、大きな花柄のカーテンを選び、そのトップに、ストライプ生地を使用したタブスタイル。合わせるシアーのシャープシェードのボトムにも同じストライプ生地でアクセントをつけています。
多くのエレメントを組み合わせているようですが、ホワイトをベースに、一貫して「自然素材」をグレイッシュなトーンで使用することで、さわやかに美しくまとめています。空間の狭さが逆に心地よく感じられるような、お手本にしたいコーディネートです。
壁の素材別解説と、相性のいいウィンドウトリートメントの例をご紹介してきました。前後編あわせて、壁と窓まわりの関係について考えてみるきっかけになれば、幸いです。
参考:『窓装飾プランナーBOOK』(日本インテリアファブリックス協会)、『インテリアスタイリング事典』(塩谷博子著、川島インターナショナル)
ウィンドウトリートメントの基礎がわかる「素敵な窓辺と暮らそう!」シリーズの記事をもっと読む:
1:「バランス」の活用法
2:空間の「カラースキーム」
3:ウィンドウトリートメントの種類を知る
4:組み合わせでもっと充実! ウィンドウトリートメント
5:インテリアファブリックの特性を活かす
6:美しいウェーブをつくり出す、カーテントップの種類
7:カーテンサイドのスタイリング
8:カーテンボトムのスタイリング
9:窓辺を豊かに彩るカーテンアクセサリーとトリムの種類
最後に、省スペースでも見事に内装材とインテリアファブリックを使いこなしている事例をご覧いただきましょう。
キッチンキャビネット上にはレリーフを施したモールディング、カウンター下には羽目板張り、暖炉には塗った後に目地を削ってレンガ風に仕上げた漆喰壁、床にはナチュラルなフローリングとキッチン側の大理石……と、コンパクトな空間にさまざまな内装材が取り入れられています。
さて、ウィンドウトリートメントはどんなふうに合わせているでしょう。部屋中のすべての色を取り込んだ、大きな花柄のカーテンを選び、そのトップに、ストライプ生地を使用したタブスタイル。合わせるシアーのシャープシェードのボトムにも同じストライプ生地でアクセントをつけています。
多くのエレメントを組み合わせているようですが、ホワイトをベースに、一貫して「自然素材」をグレイッシュなトーンで使用することで、さわやかに美しくまとめています。空間の狭さが逆に心地よく感じられるような、お手本にしたいコーディネートです。
壁の素材別解説と、相性のいいウィンドウトリートメントの例をご紹介してきました。前後編あわせて、壁と窓まわりの関係について考えてみるきっかけになれば、幸いです。
参考:『窓装飾プランナーBOOK』(日本インテリアファブリックス協会)、『インテリアスタイリング事典』(塩谷博子著、川島インターナショナル)
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