スローライフ入門:心のゆとりと豊かさのある生活を手に入れるヒント
「忙しい」という漢字は「心を亡くす」と書くように、あわただしい生活に心の豊かさはありません。でも、心のゆとりと豊かさは、実は日々の生活の中の小さな心がけで手に入るものなのです。何かと気ぜわしくなりがちなこの季節こそ、スローライフを実践してみてはいかがでしょうか?
Laura Gaskill
2015年12月4日
都会の片隅の市民菜園、自家製の保存食ブーム、アナログレコードの復活、昔ながらのハンドクラフト人気の再燃――こうした現象に共通しているのは、現代のあわただしい生活に対する反動なのかもしれません。畑で摘んだばかりのベリーをコンロの鍋でコトコトと煮てジャムにするプロセスには、できたものを店で買うのとは違う、自分で作る喜びがあります。仕事場への行き帰りの電車の中でマフラーを編めば、苦痛な日課だった通勤時間がちょっとした楽しみに変わります。とはいえ、スローライフへの道は手づくりのクラフトや料理だけに限りません。空を見上げて雲をながめるといった、今すぐ始められるシンプルなこともたくさんあります。
なぜスローライフを目指すの?
あるいは逆に「なぜ私たちはそんなに急いでいるのか」と言い換えてもいいかもしれません。かたつむり並みのゆっくりペースでなくてもよいですが、ペースを落とし、目的をもって1日を過ごせるよう意識してみます。すると、すり減った神経は癒され、人とのつながりが豊かになり、そして一見すると逆のようですが、ペースを落とすとあわただしく過ごしていたときよりもずいぶん時間があるように感じられるものです。
あるいは逆に「なぜ私たちはそんなに急いでいるのか」と言い換えてもいいかもしれません。かたつむり並みのゆっくりペースでなくてもよいですが、ペースを落とし、目的をもって1日を過ごせるよう意識してみます。すると、すり減った神経は癒され、人とのつながりが豊かになり、そして一見すると逆のようですが、ペースを落とすとあわただしく過ごしていたときよりもずいぶん時間があるように感じられるものです。
どこから始める?
出発点として、まず、生活のペースを落とすのは誰でもできるということをあらためて確認しましょう。忙しい時期には、立ち止まってのんびりしている時間なんてない、と思いがちです。でも、やらなければならないことに追われているときでも、少しペースを落としてみる余地はあるはず。最初はごく小さなことから始めてみて。この記事を読み進めながら、まずは今日から始めたいことを1つか2つ選んでみてください。
出発点として、まず、生活のペースを落とすのは誰でもできるということをあらためて確認しましょう。忙しい時期には、立ち止まってのんびりしている時間なんてない、と思いがちです。でも、やらなければならないことに追われているときでも、少しペースを落としてみる余地はあるはず。最初はごく小さなことから始めてみて。この記事を読み進めながら、まずは今日から始めたいことを1つか2つ選んでみてください。
スローライフのルーツ
スローライフの源流は1980年代にイタリアのカルロ・ペトリーニが提唱したスローフード運動。味わう間もなく食べものを大急ぎでかきこみ、すぐに仕事に戻るのがあたりまえになっていた時代に、食生活を見直し、意識して食事と会話を楽しみ味わう「スローフード運動」は、ファストフードに対抗する考え方でもありました。スローライフは、生活の根本を見つめ直すスローフードのシンプルな考え方を生活全体にあてはめ、ペースを落として毎日の生活をゆっくり楽しもう、食生活や通勤スタイル、仕事以外の時間を見直してみようと呼びかけます。
スローライフの源流は1980年代にイタリアのカルロ・ペトリーニが提唱したスローフード運動。味わう間もなく食べものを大急ぎでかきこみ、すぐに仕事に戻るのがあたりまえになっていた時代に、食生活を見直し、意識して食事と会話を楽しみ味わう「スローフード運動」は、ファストフードに対抗する考え方でもありました。スローライフは、生活の根本を見つめ直すスローフードのシンプルな考え方を生活全体にあてはめ、ペースを落として毎日の生活をゆっくり楽しもう、食生活や通勤スタイル、仕事以外の時間を見直してみようと呼びかけます。
スローライフ式食事の楽しみ方
- テーブルにつき、きちんとしたお皿に盛り付けて食べる(テイクアウトの場合も)
- 食べはじめる前に、1度意識を集中して深呼吸をする
- 携帯電話やパソコン、本などは脇において、目の前の食事に意識を向ける
- 職場のランチは、自分のデスクで黙々と食べるのではなく、仲間を誘って一緒に
- 夕食はできるだけ家族と一緒にとるように心がける
その他のスローライフの実践方法
通勤スタイルを見直す
朝晩の通勤はかなりのストレスになるもの。スローライフ実践の選択肢の1つとして、従来の通勤スタイルをがらっと変えるか、いっそのこと通勤しなくてすむ方法はないか考えてみます。車通勤をやめて、自転車やスクーター、徒歩で通えないでしょうか? あるいは週に何日かは在宅勤務できるよう上司に相談してみるのはどうでしょう?
今の仕事では長時間の通勤は避けられず、それで消耗してしまっているのなら、思い切ってもっと家から近い職場を探してみるのも選択肢です。また、今のところ通勤スタイルは変えられないという場合も、ちょっとした工夫で少しでも通勤時間を快適にする余地がないか考えてみましょう。例えば少しだけ早く家を出て最も混雑する時間帯を避ける、ヒーリングサウンドやオーディオブックを聞く時間にする、などです。
通勤スタイルを見直す
朝晩の通勤はかなりのストレスになるもの。スローライフ実践の選択肢の1つとして、従来の通勤スタイルをがらっと変えるか、いっそのこと通勤しなくてすむ方法はないか考えてみます。車通勤をやめて、自転車やスクーター、徒歩で通えないでしょうか? あるいは週に何日かは在宅勤務できるよう上司に相談してみるのはどうでしょう?
今の仕事では長時間の通勤は避けられず、それで消耗してしまっているのなら、思い切ってもっと家から近い職場を探してみるのも選択肢です。また、今のところ通勤スタイルは変えられないという場合も、ちょっとした工夫で少しでも通勤時間を快適にする余地がないか考えてみましょう。例えば少しだけ早く家を出て最も混雑する時間帯を避ける、ヒーリングサウンドやオーディオブックを聞く時間にする、などです。
毎日のルーティンをゆとりある時間に
お茶やコーヒーを入れる、食事のしたくをする、お皿を洗う、朝起きたあとベッドを整えるなど、誰にでも毎日こなしているルーティンがあります。シンプルなルーティンのなかから1つを選び、その作業をするときはゆっくりと気持ちを落ち着けて、目の前の作業に集中する時間にしましょう。茶葉をきちんと量り、ゆっくりとカップに注ぎ、飲むときには風味と香りをじっくり味わえば、お茶の時間がリラックスできるひとときになるのです。ルーティンを1つ、意識的に行うだけで、他の時間にもそのときに感じる落ち着きが波及し、日々の生活が少しずつ穏やかになっていきます。
お茶やコーヒーを入れる、食事のしたくをする、お皿を洗う、朝起きたあとベッドを整えるなど、誰にでも毎日こなしているルーティンがあります。シンプルなルーティンのなかから1つを選び、その作業をするときはゆっくりと気持ちを落ち着けて、目の前の作業に集中する時間にしましょう。茶葉をきちんと量り、ゆっくりとカップに注ぎ、飲むときには風味と香りをじっくり味わえば、お茶の時間がリラックスできるひとときになるのです。ルーティンを1つ、意識的に行うだけで、他の時間にもそのときに感じる落ち着きが波及し、日々の生活が少しずつ穏やかになっていきます。
空いた時間はテレビ以外の趣味を楽しむ
テレビだけでなく、メールを読んだり書いたりする、SNSをチェックする、オンラインで買いものをするといったことに、私たちはかなりの時間を費やしています。「やりたいことがあってもなかなかする時間がない」と思っていても、実は、自分の選択の結果として、それ以外のことに結構な時間を割いているのです。週に1日、テレビやパソコン、タブレット、スマートフォンの画面から離れる日を決め、その日の夜はやりたかったことに時間を使ってみましょう。編み物、楽器を習う、小説を書くなど、ずっとやってみたいと思っていたことがあるのなら、週に1度はそのための時間を決めて、一歩を踏み出してみては?
テレビだけでなく、メールを読んだり書いたりする、SNSをチェックする、オンラインで買いものをするといったことに、私たちはかなりの時間を費やしています。「やりたいことがあってもなかなかする時間がない」と思っていても、実は、自分の選択の結果として、それ以外のことに結構な時間を割いているのです。週に1日、テレビやパソコン、タブレット、スマートフォンの画面から離れる日を決め、その日の夜はやりたかったことに時間を使ってみましょう。編み物、楽器を習う、小説を書くなど、ずっとやってみたいと思っていたことがあるのなら、週に1度はそのための時間を決めて、一歩を踏み出してみては?
何もしないことを受け入れる
マインドフルネスをはじめとする瞑想を広めた禅の指導者であり平和活動家でもあるティク・ナット・ハンは、何もしないでいることの難しさについてふれています。著作『ブッダが教える「生きる力」の育て方 子どもとできるマインドフルネス瞑想』の中に、次のような一節があります。「何もせず、ただありのままの自分で、置かれた状況を受け入れて楽しむのは実に深い行いです。なぜなら私たちの内面には、あれもこれもやらなくてはと常に動き続けようとするエネルギーがあるからです。ただじっと座ったり寝転がったりしてありのままの自分でいることを楽しんだり、青空をながめていたりすることは難しいのです。私たちは何もせずにいることに耐えられないのです」
目の前にすることがなくなって手持ちぶさたな気分を感じたら、上の言葉を思い出し、あわてて次の何かをしようとする前に立ち止まってみます。そして自分の気持ちや空の色、光の移り変わり、まわりの人をじっくり見つめてみましょう。
マインドフルネスをはじめとする瞑想を広めた禅の指導者であり平和活動家でもあるティク・ナット・ハンは、何もしないでいることの難しさについてふれています。著作『ブッダが教える「生きる力」の育て方 子どもとできるマインドフルネス瞑想』の中に、次のような一節があります。「何もせず、ただありのままの自分で、置かれた状況を受け入れて楽しむのは実に深い行いです。なぜなら私たちの内面には、あれもこれもやらなくてはと常に動き続けようとするエネルギーがあるからです。ただじっと座ったり寝転がったりしてありのままの自分でいることを楽しんだり、青空をながめていたりすることは難しいのです。私たちは何もせずにいることに耐えられないのです」
目の前にすることがなくなって手持ちぶさたな気分を感じたら、上の言葉を思い出し、あわてて次の何かをしようとする前に立ち止まってみます。そして自分の気持ちや空の色、光の移り変わり、まわりの人をじっくり見つめてみましょう。
ホリデーの喧騒から距離をおく
スローライフを実践すべき時期があるとすれば、それはホリデーシーズンです。買いものと消費をを煽る世間の流れに逆らって、立ち止まってシンプルな生活に立ち返ってみるのです。テーブル飾る立派な花束を買うのをやめ、窓辺で育てたハーブを摘んで飾ってみては? プレゼントを買いに出かける代わりに、心のこもった小さな贈りものを手づくりしてみるのはどうでしょう? もちろん、買いものをするならオンラインで済ませるのがいちばん手軽ですし、混雑したショッピングセンターへ出かけていくよりずっとストレスも少ないですから、ときにはそれもよいでしょう。そうしてできた時間は、ともした明かりのそばで温かいココアを飲んで過ごします。
スローライフを実践すべき時期があるとすれば、それはホリデーシーズンです。買いものと消費をを煽る世間の流れに逆らって、立ち止まってシンプルな生活に立ち返ってみるのです。テーブル飾る立派な花束を買うのをやめ、窓辺で育てたハーブを摘んで飾ってみては? プレゼントを買いに出かける代わりに、心のこもった小さな贈りものを手づくりしてみるのはどうでしょう? もちろん、買いものをするならオンラインで済ませるのがいちばん手軽ですし、混雑したショッピングセンターへ出かけていくよりずっとストレスも少ないですから、ときにはそれもよいでしょう。そうしてできた時間は、ともした明かりのそばで温かいココアを飲んで過ごします。
子育てもスローに
学校から帰ってくるとスポーツチームや課外活動に直行、それが済んだら残りの「自由時間」に宿題をやり、スマートフォンやタブレットを使う――そんな毎日が続けば、子どもたちは(もちろん親も)ストレスで疲弊してしまいます。子どもの一日に分刻みで予定を入れるのはやめ、画面から離れる時間、予定を入れない自由な時間を確保しましょう。場合によっては学外の活動を1つ減らしたり、友だちからの誘いを断ったりすることになるかもしれません。子どもたちも初めは不満に思うかもしれませんが、そのうち何かしらやることを見つけるはず。自由な発想を育むクリエイティブなツール(絵具や色鉛筆、木製の積み木やブロックなど)を与えたり、地域の自然が楽しめる場所や公園へ定期的に一緒に出かけたりして、子供たちがスローライフに慣れるように支えましょう。
学校から帰ってくるとスポーツチームや課外活動に直行、それが済んだら残りの「自由時間」に宿題をやり、スマートフォンやタブレットを使う――そんな毎日が続けば、子どもたちは(もちろん親も)ストレスで疲弊してしまいます。子どもの一日に分刻みで予定を入れるのはやめ、画面から離れる時間、予定を入れない自由な時間を確保しましょう。場合によっては学外の活動を1つ減らしたり、友だちからの誘いを断ったりすることになるかもしれません。子どもたちも初めは不満に思うかもしれませんが、そのうち何かしらやることを見つけるはず。自由な発想を育むクリエイティブなツール(絵具や色鉛筆、木製の積み木やブロックなど)を与えたり、地域の自然が楽しめる場所や公園へ定期的に一緒に出かけたりして、子供たちがスローライフに慣れるように支えましょう。
一から何かを作る
普段は店で買っているものを自分で手づくりしてみると、何物にも替えがたい満足感が得られるもの。たいていはあまり費用もかかりませんし、映画や外食といった定番の余暇の過ごし方に代わる選択肢になります。友人を誘って一緒にやれば、さらに楽しみも倍増。一緒にパンを焼く、ジャムを煮る、ニット帽を編む、自家製ビールを作る、ハンドメイドの石鹸やスクラブを作る、食卓で使うナプキンを縫うなどなど、共同プロジェクトのアイデアは無限に広がります。
普段は店で買っているものを自分で手づくりしてみると、何物にも替えがたい満足感が得られるもの。たいていはあまり費用もかかりませんし、映画や外食といった定番の余暇の過ごし方に代わる選択肢になります。友人を誘って一緒にやれば、さらに楽しみも倍増。一緒にパンを焼く、ジャムを煮る、ニット帽を編む、自家製ビールを作る、ハンドメイドの石鹸やスクラブを作る、食卓で使うナプキンを縫うなどなど、共同プロジェクトのアイデアは無限に広がります。
空、雲、太陽の光を愛でる
明かりを消してカーテンを開けてみましょう。時間の経過にしたがって、家に差し込む光と影が移り変わっていくのに気づきます。パソコンの画面をにらんでいた目を上げ、近くの窓の外に目を移し、雲の流れをながめてみます。朝、家の外に出たらまず空を見上げ、すがすがしい空気を胸いっぱいに吸いこんでみれば、きっといい気分になれるはずです。
コメント募集中
スローライフ、実践していますか? 実践したいと思いますか?
明かりを消してカーテンを開けてみましょう。時間の経過にしたがって、家に差し込む光と影が移り変わっていくのに気づきます。パソコンの画面をにらんでいた目を上げ、近くの窓の外に目を移し、雲の流れをながめてみます。朝、家の外に出たらまず空を見上げ、すがすがしい空気を胸いっぱいに吸いこんでみれば、きっといい気分になれるはずです。
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スローライフとは基本的に個人の意識下で行う事が最も大事な生き方ではないでしょうか・・・
俗に言う「スローライフ」の提唱では無く、マスコミが提唱するお題目でも無く 個としてのあり方を見つめる所から始まる自分スタイルの生き方を模索する精神が最も大事な気がします。
SNSやマスコミ全般を通じて提唱する時代でを受け売りする事無く! 画一されたスタイル提案でも無く心が素直に反応する生き方で良いかと思います。
この考え方が好きです。自分を見失わないこと、忙しい時ほど、実はゆっくり丁寧に。そして、空を眺めたり、発想をスイッチさせることが大切だと最近良く気づかされます。