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DIYブームの最前線【Part2】:DIYで家をつくる、家を飾る
DIYの市場が少しずつ成熟していくなかで、人々が求めるものはモノからコトへ変化してきました。パート2では「家」を舞台にDIYを楽しむことから生まれるプラスの効果をレポートします。
渡辺安紀 |Aki Watanabe
2016年10月13日
DIYというと身の回りの小物や、家具をアレンジすることをイメージしがちですが、パート2ではDIYをすることで家に対する家族の意識を変え、今までになかったコミュニケーションや絆を生む、そんな事例を紹介します。読んだ後はあなたもDIYでオンリーワンの家づくりがしたくなるかもしれません。モノが溢れている時代に人々が求めているものを叶えてくれる、そんなDIYをご紹介します。
Part 1の記事はこちら
DIYブームの最前線【Part1】:ワークショップで気軽に楽しむ、参加型DIY
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DIYブームの最前線【Part1】:ワークショップで気軽に楽しむ、参加型DIY
写真:ハンディハウスプロジェクトのメンバー (左から)〈cacco design studio〉坂田裕貴さん、〈中田製作所〉中田裕一さん、〈DAY’S〉山崎大輔さん、〈studio PEACE sign〉加藤渓一さん、〈サウノル製作所〉荒木伸哉さん
家づくりだってDIYで
DIYと聞くと、壁の色を塗ったり、ちょっとがんばって自分でテーブルや棚を作ったりというイメージを持っている人が多いのではないだろうか。知識や技術がなくても、情熱があれば家だって自分の手で間取りを変えることができるのだ。さまざまなメディアで注目を集めている若手建築家集団、〈ハンディハウスプロジェクト〉は自分が思い描く理想の家を一緒に作ってくれる、そんな心強いチームだ。
「家は多くの人にとって人生で1番高い買い物ですよね。でも既存のフローでは施主はどうしても意見が言いづらい立場になってしまう。建てる側も立場によっては施主の顔も見る機会がない。人生のなかで何十年も住む家を作っているのに、どうして? という疑問が消えませんでした。そんな状況を変えるために、施主の方もどんどん参加できるやり方を作ったんです。」と話すのは〈ハンディハウスプロジェクト〉のメンバーで〈中田製作所〉の中田裕一さん。一緒にアイデアを出し合って、壁を壊し、柱を立て、内装を仕上げる。共に汗を流し「家を完成させる」という1つのゴールに向かって作業していく過程で、立場の “壁” はどこかへ消え、甲子園を目指す堅い絆で結ばれたチームのようになっていくという。
施主は自ら体を動かすことで、自分の意見や疑問を伝えてくれるようになり、家にたいしての愛着や関心度がどんどん高まっていく。竣工してから「あれから自分でテーブル作ってみたけど、どうかな?」という連絡が来たり、数年経って、「子どもが大きくなったからロフトを勉強部屋にしたいんだよね」という長いつき合いが続いていく。
家づくりだってDIYで
DIYと聞くと、壁の色を塗ったり、ちょっとがんばって自分でテーブルや棚を作ったりというイメージを持っている人が多いのではないだろうか。知識や技術がなくても、情熱があれば家だって自分の手で間取りを変えることができるのだ。さまざまなメディアで注目を集めている若手建築家集団、〈ハンディハウスプロジェクト〉は自分が思い描く理想の家を一緒に作ってくれる、そんな心強いチームだ。
「家は多くの人にとって人生で1番高い買い物ですよね。でも既存のフローでは施主はどうしても意見が言いづらい立場になってしまう。建てる側も立場によっては施主の顔も見る機会がない。人生のなかで何十年も住む家を作っているのに、どうして? という疑問が消えませんでした。そんな状況を変えるために、施主の方もどんどん参加できるやり方を作ったんです。」と話すのは〈ハンディハウスプロジェクト〉のメンバーで〈中田製作所〉の中田裕一さん。一緒にアイデアを出し合って、壁を壊し、柱を立て、内装を仕上げる。共に汗を流し「家を完成させる」という1つのゴールに向かって作業していく過程で、立場の “壁” はどこかへ消え、甲子園を目指す堅い絆で結ばれたチームのようになっていくという。
施主は自ら体を動かすことで、自分の意見や疑問を伝えてくれるようになり、家にたいしての愛着や関心度がどんどん高まっていく。竣工してから「あれから自分でテーブル作ってみたけど、どうかな?」という連絡が来たり、数年経って、「子どもが大きくなったからロフトを勉強部屋にしたいんだよね」という長いつき合いが続いていく。
写真:港南台の家(新築)にて。塗装前のボード下地パテ処理作業(ボードのつなぎ目を平らにする作業)をホームオーナーとそのお父さんが一緒に作業
〈ハンディハウスプロジェクト〉にコンタクトを取るのは主に20代〜30代の小さなお子さんがいる家族が多いという。DIY経験豊富な方が多いのかと思いきや、実際は「やったことないけど、興味はあるんだよね」という人が多いというのも驚きだ。また、3年かけて自分でいろいろ調べてきたけど実際に実現できるのかがわからないから相談したい、というツワモノのお客さんも。メンバーは施主ひとりひとりに耳を傾け、プロとしてアドバイスし、さらに周りを巻き込んで施主の夢を叶えていく。
「昔と違ってネットでなんでも調べられ、物流も発展し、携帯1つでバスタブまで買えてしまう時代です。インスタグラムなどSNSで、自分もできるかもと思えるアイデアを目にする機会が増えたこともDIYが身近になった要因でしょう」と中田さん。「社会が豊かに便利になって、“モノ” でステータスが決まるような時代は終わったと思います。ちょうど家を建てる世代の僕らにとっては “モノ” はすでに世の中に溢れていて、僕らはそのなかから自分の好きなスタイルを選ぶだけでなく、そこから生まれるできごとやプロセス、ストーリー、思い出といった “コト” を求めている。矢印の方向が変わったんだと思います」。
〈ハンディハウスプロジェクト〉にコンタクトを取るのは主に20代〜30代の小さなお子さんがいる家族が多いという。DIY経験豊富な方が多いのかと思いきや、実際は「やったことないけど、興味はあるんだよね」という人が多いというのも驚きだ。また、3年かけて自分でいろいろ調べてきたけど実際に実現できるのかがわからないから相談したい、というツワモノのお客さんも。メンバーは施主ひとりひとりに耳を傾け、プロとしてアドバイスし、さらに周りを巻き込んで施主の夢を叶えていく。
「昔と違ってネットでなんでも調べられ、物流も発展し、携帯1つでバスタブまで買えてしまう時代です。インスタグラムなどSNSで、自分もできるかもと思えるアイデアを目にする機会が増えたこともDIYが身近になった要因でしょう」と中田さん。「社会が豊かに便利になって、“モノ” でステータスが決まるような時代は終わったと思います。ちょうど家を建てる世代の僕らにとっては “モノ” はすでに世の中に溢れていて、僕らはそのなかから自分の好きなスタイルを選ぶだけでなく、そこから生まれるできごとやプロセス、ストーリー、思い出といった “コト” を求めている。矢印の方向が変わったんだと思います」。
写真:DIYサポートを利用した向台の物件での一コマ。(DIYサポートは〈R不動産 toolbox〉からも利用できる。)自分の部屋になる場所の壁一面をお母さんとお母さんの妹とブルーに塗装
活動をスタートさせてから5年がたち、メンバーが30代になったことから次世代を育てることにも意識を向けているという。「今僕らが施主の方々と同じ目線で話ができているのは同世代だから施主の方も僕らと話がしやすいというのも大きいと思うんです。」と話す中田さんのもとには4月から佐伯さんという若い戦力が加わった。「今はまだいろいろなことをとまどいながら体で覚えている段階ですけど」と控えめに話しながらも、今のスタイルをずっと続けていきたい?と話を振ると「はい、もうそれは絶対。」と力強い答えにワクワクする。
施工のプロセスには子どもが参加することにも積極的だ。「子ども時代の経験ってすごく大切だと思うんです。危ないから入るな。じゃなくて、自分の部屋の壁の色を一緒に決めて、一緒に塗る。思い出が増えることで、子どもも、自分の手でモノを作る楽しみを覚えて、未来に繋がってくれたら」と中田さん。
活動をスタートさせてから5年がたち、メンバーが30代になったことから次世代を育てることにも意識を向けているという。「今僕らが施主の方々と同じ目線で話ができているのは同世代だから施主の方も僕らと話がしやすいというのも大きいと思うんです。」と話す中田さんのもとには4月から佐伯さんという若い戦力が加わった。「今はまだいろいろなことをとまどいながら体で覚えている段階ですけど」と控えめに話しながらも、今のスタイルをずっと続けていきたい?と話を振ると「はい、もうそれは絶対。」と力強い答えにワクワクする。
施工のプロセスには子どもが参加することにも積極的だ。「子ども時代の経験ってすごく大切だと思うんです。危ないから入るな。じゃなくて、自分の部屋の壁の色を一緒に決めて、一緒に塗る。思い出が増えることで、子どもも、自分の手でモノを作る楽しみを覚えて、未来に繋がってくれたら」と中田さん。
写真:下校途中の小学生が参加したいがために宿題をがんばる
ときには下校途中の近所の小学生が参加したこともあるという。「宿題が終わってからだ!」と言ったら、現場の安全な場所で宿題をすぐに始めたという。完成すると子どもたちが自分の “傑作” を見せるため、親を連れてきて、またそこで施主とご近所さんのコミュニケーションが広がっていく。
そのほかにも「ものづくり」の良さをどんどん広げていこうと、〈リノベリング〉が運営するリノベーションスクール(3泊4日のイベント)で講師を務めたり、〈岩崎興業地所〉と組んで賃貸物件にリノベーションの施工レクチャーから手伝いまで5日間のフリーレッスンつき「DIY賃貸」を始めたところ。
「Do It Yourself(自分の手で)」の良さの種をどんどん撒いていく〈ハンディハウスプロジェクト〉から益々目が離せなくなる。
今回取材したDIYはただモノを作るだけでない。作り手と受け手、作り手とプロ、作り手と次世代の子どもたちのコミュニケーションツールになり、人々はそこから繋がる新しい繋がりや発見を求めているのかもしれない。
ときには下校途中の近所の小学生が参加したこともあるという。「宿題が終わってからだ!」と言ったら、現場の安全な場所で宿題をすぐに始めたという。完成すると子どもたちが自分の “傑作” を見せるため、親を連れてきて、またそこで施主とご近所さんのコミュニケーションが広がっていく。
そのほかにも「ものづくり」の良さをどんどん広げていこうと、〈リノベリング〉が運営するリノベーションスクール(3泊4日のイベント)で講師を務めたり、〈岩崎興業地所〉と組んで賃貸物件にリノベーションの施工レクチャーから手伝いまで5日間のフリーレッスンつき「DIY賃貸」を始めたところ。
「Do It Yourself(自分の手で)」の良さの種をどんどん撒いていく〈ハンディハウスプロジェクト〉から益々目が離せなくなる。
今回取材したDIYはただモノを作るだけでない。作り手と受け手、作り手とプロ、作り手と次世代の子どもたちのコミュニケーションツールになり、人々はそこから繋がる新しい繋がりや発見を求めているのかもしれない。
家をキャンバスに
数年前からクラフト好きや写真好きの間で人気がある和紙テープ。各メーカーからいろんなタイプのテープが発売になっているが、小物でなくインテリアデザインのレベルまで進化させたのが《HARU stuck-on design;》 だ。購入者は主に30代〜50代の女性だが、ほかにはクリエイターやデザイナー、建築家といったプロが作品を展示するときに壁面のアクセントに使っているという。「作業の過程でシワになったり、貼り間違えや貼り替えたいというときにも簡単にはがせてやり直しがきく、という点がトライする意欲を後押ししているのではないかと思います。」と話してくれたのは販売元であるNittoグループ、〈ニトムズ〉の香川正美さん。
簡単にはがせるから「失敗したらどうしよう」と躊躇する気持ちを払拭してくれる。上の写真のように遊びごころあるデザインも取り入れられるし、テープをつかって家族にサプライズメッセージなんていうのも素敵だ。
数年前からクラフト好きや写真好きの間で人気がある和紙テープ。各メーカーからいろんなタイプのテープが発売になっているが、小物でなくインテリアデザインのレベルまで進化させたのが《HARU stuck-on design;》 だ。購入者は主に30代〜50代の女性だが、ほかにはクリエイターやデザイナー、建築家といったプロが作品を展示するときに壁面のアクセントに使っているという。「作業の過程でシワになったり、貼り間違えや貼り替えたいというときにも簡単にはがせてやり直しがきく、という点がトライする意欲を後押ししているのではないかと思います。」と話してくれたのは販売元であるNittoグループ、〈ニトムズ〉の香川正美さん。
簡単にはがせるから「失敗したらどうしよう」と躊躇する気持ちを払拭してくれる。上の写真のように遊びごころあるデザインも取り入れられるし、テープをつかって家族にサプライズメッセージなんていうのも素敵だ。
写真は壁用の和紙テープと壁用のパターン(柄)をプリントしたOPPテープを使用した。コンクリート壁もOPPテープを貼ることで、温かみが生まれる。OPPテープは紙の素材感を持つマット素材で、透明部分が美しいパターンを浮かび上がらせる。幾何学模様と日本の伝統的な紋様があり、他素材のテープと重ね貼りすることでより豊かな表現を楽しむことができる。
デザイン:Takumi Ota
《HARU stuck-on design;》 のシリーズには壁面装飾だけでなく、床用のテープもある。テープを貼れる壁がなくても、1日だけの誕生日会、クリスマス、ホームパーティーといったイベントにあわせて工夫すればイベントの当日だけでなく、制作過程もみんなで楽しむことができるだろう。コロコロ®や建材用マスキングテープをはじめとする粘着テープの技術を誇る〈ニトムズ〉だけに、それぞれ使用場所に応じた専用の粘着設計が施されている(使用期間は環境にもよるが1~2年を想定した設計になっている。)ので、使用後は綺麗にはがせる。これから理想の家を建てる前にいろいろ試したい人にも、ひとつの枠に収まらずに自分のセンスで表現し続けたい人にも、『貼る』ことで私たちのクリエイティブ精神を刺激し、私たちの暮らしもよりカラフルにしてくれそうだ。
誰でも簡単に家のなかをデコレーションできるブランド、《decolfa®》も担当する香川さんは現在のDIY市場について「マーケットはさまざまな分野で “多様化” し、“自分らしさ” を表現できるツールが増えてきています。」と話す。気軽にチャレンジできるDIYで自分らしさを表現し、日々の暮らしにアクセントを加える。でき上がりを楽しむだけでなく、そこから生まれたコミュニケーションによって、家族やゲストとの絆を深めてくれるだろう。
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簡単DIY:和紙テープでインテリアをもっと素敵にする12の方法
教えてHouzz
DIYで家をつくってみたいと思いますか?
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誰でも簡単に家のなかをデコレーションできるブランド、《decolfa®》も担当する香川さんは現在のDIY市場について「マーケットはさまざまな分野で “多様化” し、“自分らしさ” を表現できるツールが増えてきています。」と話す。気軽にチャレンジできるDIYで自分らしさを表現し、日々の暮らしにアクセントを加える。でき上がりを楽しむだけでなく、そこから生まれたコミュニケーションによって、家族やゲストとの絆を深めてくれるだろう。
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