コメント
梁を見せる天井にしたいなら知っておきたいこと
天井を高く取ることができる、梁を見せる天井仕上げは人気です。取り入れる際に知っておきたい、メリットとデメリットを併せてご紹介します。

安井俊夫
2023年2月28日
天工舎一級建築士事務所主宰。神奈川県小田原市に事務所を構え、住宅や店舗などの設計監理業務を行っています。書評やコラムなども執筆中。
柱とは家を垂直方向に支える大切な構造体で、梁とは水平方向に支える構造体です。これらはいずれも家の骨組みなので、最近の家では壁や天井の中に隠れていることが多く、あまり目にすることはありません。ですが、そんな構造体の梁を見せる部屋の仕上げが話題になっているようなので、今回は梁を見せる天井デザインについて書いてみます。
見せる梁には二つの種類
梁は2階の床や屋根を支えるための大切な構造体です。この構造体である梁を見せてしまうデザインと、構造体では無い装飾物としての飾りの梁を設ける二つの方法があります。これら二つは部屋のデザインや目的によっても使い分けられています。
梁は2階の床や屋根を支えるための大切な構造体です。この構造体である梁を見せてしまうデザインと、構造体では無い装飾物としての飾りの梁を設ける二つの方法があります。これら二つは部屋のデザインや目的によっても使い分けられています。
梁を見せる天井のメリットとは
① 開放的な気分になれる
たいていの家では梁が天井の中に隠れていて、見えないように造られています。その梁を見せてしまうということは、そのぶん天井の高さが高くなるということ。同じ部屋の広さでも上下方向に空間が広がると、それだけで部屋が広くなったような開放感を得られます。
狭小住宅などで天井の高い部屋を設けることや、スキップフロアなどが採用されるのも、同じような効果を期待した考え方だといえます。
① 開放的な気分になれる
たいていの家では梁が天井の中に隠れていて、見えないように造られています。その梁を見せてしまうということは、そのぶん天井の高さが高くなるということ。同じ部屋の広さでも上下方向に空間が広がると、それだけで部屋が広くなったような開放感を得られます。
狭小住宅などで天井の高い部屋を設けることや、スキップフロアなどが採用されるのも、同じような効果を期待した考え方だといえます。
② 部屋を明るくすることができる
梁を見せるデザインにするということは、天井の高さが高くなるということです。したがって窓を高い位置に設けることが可能となり、部屋の奥まで陽が射す明るい部屋を造ることが可能になります。
建築家を探す
梁を見せるデザインにするということは、天井の高さが高くなるということです。したがって窓を高い位置に設けることが可能となり、部屋の奥まで陽が射す明るい部屋を造ることが可能になります。
建築家を探す
③ インテリアデザインに多様性が生まれる
梁を見せることによって、平らな天井面に比べて装飾性が生まれます。梁を塗装して室内にアクセントを持たせ、こだわりの照明器具を吊り下げることも可能です。あるいはお気に入りの小物を飾ることも出来ます。
梁を見せる部屋が2階の場合には、屋根の形まで見せることが可能となります。まるで吹き抜けのような開放感さえ、生み出すことができます。高い天井にシーリング・ファンを設置すれば、洒落たインテリア空間を造り出すだけでなく、空気を撹拌することで室内環境を整えることにも一役買えそうです。他にも小さなお子さんのために、梁からブランコやハンモックを吊り下げても楽しそうですね。
梁を見せることによって、平らな天井面に比べて装飾性が生まれます。梁を塗装して室内にアクセントを持たせ、こだわりの照明器具を吊り下げることも可能です。あるいはお気に入りの小物を飾ることも出来ます。
梁を見せる部屋が2階の場合には、屋根の形まで見せることが可能となります。まるで吹き抜けのような開放感さえ、生み出すことができます。高い天井にシーリング・ファンを設置すれば、洒落たインテリア空間を造り出すだけでなく、空気を撹拌することで室内環境を整えることにも一役買えそうです。他にも小さなお子さんのために、梁からブランコやハンモックを吊り下げても楽しそうですね。
梁を見せる天井のデメリット
梁を見せるメリットを書きましたが、デメリットと呼べることもあります。どんな点があるのかを考えてみましょう。
① 照明器具の設置が難しい
梁が天井の中に隠れている時、天井裏に隠れているのは梁だけではありません。電気の配線や上階の給排水管、あるいは換気扇のダクトパイプなども隠れています。梁を見せる天井を作る場合には、それらを上手に隠すか、あるいは見えない位置に配置するなどの工夫が必要となります。
なかでも厄介なのは照明器具の配置と電気配線です。電気配線を梁の上や横に這わせ、場合に拠っては梁に穴を開ける必要があるかもしれません。
梁を見せるメリットを書きましたが、デメリットと呼べることもあります。どんな点があるのかを考えてみましょう。
① 照明器具の設置が難しい
梁が天井の中に隠れている時、天井裏に隠れているのは梁だけではありません。電気の配線や上階の給排水管、あるいは換気扇のダクトパイプなども隠れています。梁を見せる天井を作る場合には、それらを上手に隠すか、あるいは見えない位置に配置するなどの工夫が必要となります。
なかでも厄介なのは照明器具の配置と電気配線です。電気配線を梁の上や横に這わせ、場合に拠っては梁に穴を開ける必要があるかもしれません。
② 梁の老朽化と掃除の心配
梁が構造体だった場合、無垢の梁を使っていると樹種によっては脂(やに)と呼ばれる樹液が流れ出て、部屋を汚す可能性があります。アルコールで拭けば取れますが、知らないと驚いてしまうことでしょう。また無垢の梁の場合には、長い年月を経ると経年劣化が生じる可能性もあります。
梁の掃除や汚れ以外に、梁の上に埃が積もってしまうというデメリットもあり、キレイ好きな方には梁の上を掃除する時のための、脚立が必要になることでしょう。
梁が構造体だった場合、無垢の梁を使っていると樹種によっては脂(やに)と呼ばれる樹液が流れ出て、部屋を汚す可能性があります。アルコールで拭けば取れますが、知らないと驚いてしまうことでしょう。また無垢の梁の場合には、長い年月を経ると経年劣化が生じる可能性もあります。
梁の掃除や汚れ以外に、梁の上に埃が積もってしまうというデメリットもあり、キレイ好きな方には梁の上を掃除する時のための、脚立が必要になることでしょう。
③ 冷暖房費用が増えるかも
梁を見せることで天井が高くなった場合、それは部屋の容積が増えたことを意味します。夏の冷房時に必要なエアコンの能力に、「6畳用」とか「8畳用」といった表記がありますが、これは建物の構造や断熱材の種類によっても変わってくる一つの目安にしかすぎません。部屋の容積が増えれば冷暖房の効きにも影響しますし、光熱費にも影響が生じます。
梁を見せることで天井が高くなった場合、それは部屋の容積が増えたことを意味します。夏の冷房時に必要なエアコンの能力に、「6畳用」とか「8畳用」といった表記がありますが、これは建物の構造や断熱材の種類によっても変わってくる一つの目安にしかすぎません。部屋の容積が増えれば冷暖房の効きにも影響しますし、光熱費にも影響が生じます。
④ 音が響く可能性がある
例えば1階の部屋で梁を見せる設えを施した場合、2階の音が響きやすくなります。単純に考えても、1階の天井が無くなるわけですから、2階の音が伝わりやすくなると考えることが自然です。また2階で梁を見せる場合には、すぐ上は屋根になるわけですから、雨音や屋根の上を歩く鳥の足音が聞こえるかもしれません。
当然ながらこのような心配に対して、多く設計者は配慮してくれるはずです。2階の足音を抑えるためには下地に防音性能を持つ材料を敷き、屋根の下地に防音材の敷設を忘れません。それを建設コストの上昇と呼ぶのならば、それもデメリットの一つと言えるでしょう。
例えば1階の部屋で梁を見せる設えを施した場合、2階の音が響きやすくなります。単純に考えても、1階の天井が無くなるわけですから、2階の音が伝わりやすくなると考えることが自然です。また2階で梁を見せる場合には、すぐ上は屋根になるわけですから、雨音や屋根の上を歩く鳥の足音が聞こえるかもしれません。
当然ながらこのような心配に対して、多く設計者は配慮してくれるはずです。2階の足音を抑えるためには下地に防音性能を持つ材料を敷き、屋根の下地に防音材の敷設を忘れません。それを建設コストの上昇と呼ぶのならば、それもデメリットの一つと言えるでしょう。
リノベーションで梁見せが可能な場合と不可能な場合
リノベーションの際に梁を見せる造りに変更することが、注目を集めています。洒落たカフェのイメージや、落ち着いた古民家の設えが好まれているのでしょうか。
この時に大切なことは、梁を見せるために天井を撤去した時には、設備配管や断熱材の理方法だと思います。配管類はデザイン的に見せる、あるいは切り回すことが出来ますが、天井裏に断熱材が敷設されていた場合には、それに代わる新たな断熱方法を考えなければなりません。場合に拠っては壁の断熱方法にも影響することもあるので、十分な検討が必要となります。
またリノベーションの際には、梁や柱に対する補強が必要な場合も生じるので、意図した場所に想い描いたような梁見せが出来ない場合もあるでしょう。そんな時には残念だと悲観するのではなく、それが我が家の個性だと受け入れ、視点を切り替え楽しんでリノベーションされることをお薦めします。
あなたと共に考えてくれる設計者が、きっと良い解決方法を提案してくれると思います。よその家より少しだけ洒落た梁見せ天井のある家。ご検討されてみてはいかがでしょうか。
家づくりのヒントをもっと読む
リノベーションの際に梁を見せる造りに変更することが、注目を集めています。洒落たカフェのイメージや、落ち着いた古民家の設えが好まれているのでしょうか。
この時に大切なことは、梁を見せるために天井を撤去した時には、設備配管や断熱材の理方法だと思います。配管類はデザイン的に見せる、あるいは切り回すことが出来ますが、天井裏に断熱材が敷設されていた場合には、それに代わる新たな断熱方法を考えなければなりません。場合に拠っては壁の断熱方法にも影響することもあるので、十分な検討が必要となります。
またリノベーションの際には、梁や柱に対する補強が必要な場合も生じるので、意図した場所に想い描いたような梁見せが出来ない場合もあるでしょう。そんな時には残念だと悲観するのではなく、それが我が家の個性だと受け入れ、視点を切り替え楽しんでリノベーションされることをお薦めします。
あなたと共に考えてくれる設計者が、きっと良い解決方法を提案してくれると思います。よその家より少しだけ洒落た梁見せ天井のある家。ご検討されてみてはいかがでしょうか。
家づくりのヒントをもっと読む
おすすめの記事
専門家とのやりとり
家を建てたい!まずはどうすれば良い?〜専門家の探し方〜
文/荒木康史
「専門家はどう探せば良いの?」「ハウスメーカー、工務店、建築家ってどう違うの?」など、家づくりで最初にぶつかる疑問にお答えします。
続きを読む
写真特集
内と外の境界を曖昧にする、インナーテラスの事例集
文/藤間紗花
天候に関係なく利用でき、かつ陽の光や風の流れを感じられるインナーテラス。事例写真とともに、メリットや設計のポイントについて、それぞれの事例を手がけた専門家に聞きました。
続きを読む
専門家とのやりとり
注文住宅を工務店に設計から依頼するメリットとは?
注文住宅を工務店に設計から依頼すると、どんなメリットがあるのでしょうか。Houzzで高評価のレビューを獲得している4つの工務店にインタビューしました。
続きを読む
エコ・サステナブル
草屋根とは?専門家に聞く取り入れ方
文/藤間紗花
草屋根とは、その名の通り緑化された屋根のこと。住まいの屋根を草屋根にすることにより、どんなメリット・デメリットがあるのでしょう? 施工費用やメンテナンス方法まで、5人の専門家が詳しく解説します。
続きを読む
和室の記事
8つの茶室から学ぶ。「茶の湯空間」づくりのヒント
自宅に茶室をつくるとしたら、どんなことから始めればよいのでしょうか?Houzzでみられる事例を手がけた専門家の方々に、アドバイスをもらいましょう。
続きを読む
ユーザー向けガイド
家づくりで相見積もりをとる時のマナーとは?
文/荒木康史
相見積もりは、家づくりの過程で必要なプロセスです。専門家に相見積もりを依頼するときに伝えておきたいこと、また、お断りしなくてはならない時のマナーを知っておきましょう。
続きを読む