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人気の「平屋」を建てるなら知っておきたいこと
最近では若い世代にも人気の高い「平屋の家」。もし平屋を建てたいなら、踏まえておきたいことをお伝えします。
安井俊夫
2019年11月10日
天工舎一級建築士事務所主宰。神奈川県小田原市に事務所を構え、住宅や店舗などの設計監理業務を行っています。書評やコラムなども執筆中。
家を建てようと思い立ったとき、最初に思い浮かべる家のイメージは、2階建ての家ではないでしょうか。ところが最近は、平屋の家が意外と人気があるようです。新築の家だけではなく、リフォームの際にも減築して、平屋暮らしを楽しみたいと考える方も増えています。そこで平屋を建てようと考えた時に知っておきたいメリット・デメリットを、分かりやすくご紹介したいと思います。
そもそも平屋とは?
平屋とは階が一層で構成されている建物のことを指しますが、建築基準法上の解釈で考えれば、床に段差が設けられたスキップ・フロアやロフトを設けた平屋もあります。また天井を高くし、外から見 ると、まるでと2階建てのようにも見える、天井の高い平屋だってあります。
平屋の写真をみる
平屋とは階が一層で構成されている建物のことを指しますが、建築基準法上の解釈で考えれば、床に段差が設けられたスキップ・フロアやロフトを設けた平屋もあります。また天井を高くし、外から見 ると、まるでと2階建てのようにも見える、天井の高い平屋だってあります。
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バリアフリーが造りやすい
2階建ての家と違い階段が無いため、バリアフリーの家が造りやすくなります。小さなお子さんやお年寄りが居る場合には、安全な家を造りやすいでしょう。またスキップ・フロアやロフトを設けた平屋もありますが、それは縦方向の空間を有効に活用したいと考えた、工夫を施した平屋の考え方だと言えます。
2階建ての家と違い階段が無いため、バリアフリーの家が造りやすくなります。小さなお子さんやお年寄りが居る場合には、安全な家を造りやすいでしょう。またスキップ・フロアやロフトを設けた平屋もありますが、それは縦方向の空間を有効に活用したいと考えた、工夫を施した平屋の考え方だと言えます。
維持管理が容易
例えば日常の掃除一つを考えても、2階建ての家よりも掃除は楽です。何せ、階段の上り下りをすること無く、家の中を掃除できますからね。それから建物のメンテナンスも、2階建てに比べて容易と言えます。
例えば新築後10年も経つと外壁の塗り替えや屋根の葺き替え、窓廻りのコーキングの打ち直しと言った補修作業が必要となります。その際に、意外と費用が掛かるのが足場の設置です。建物の形や高さで値段も違ってきますが、2階建て30坪程の家の場合、足場の設置費用は約20万円から40万円となります。平屋の場合には、この費用が節約できることになります。
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例えば日常の掃除一つを考えても、2階建ての家よりも掃除は楽です。何せ、階段の上り下りをすること無く、家の中を掃除できますからね。それから建物のメンテナンスも、2階建てに比べて容易と言えます。
例えば新築後10年も経つと外壁の塗り替えや屋根の葺き替え、窓廻りのコーキングの打ち直しと言った補修作業が必要となります。その際に、意外と費用が掛かるのが足場の設置です。建物の形や高さで値段も違ってきますが、2階建て30坪程の家の場合、足場の設置費用は約20万円から40万円となります。平屋の場合には、この費用が節約できることになります。
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家族のコミュニケーションが取りやすい
2階建てと違い空間を上下階で家を分断することがないため、家族の気配を感じやすい間取りを作ることが可能です。玄関や廊下を工夫すれば、シンプルで簡潔なゾーニングを作ることも可能なため、生活し易い家となるでしょう。
2階建てと違い空間を上下階で家を分断することがないため、家族の気配を感じやすい間取りを作ることが可能です。玄関や廊下を工夫すれば、シンプルで簡潔なゾーニングを作ることも可能なため、生活し易い家となるでしょう。
全ての部屋を高い天井にできる
屋根の形を工夫することによって、すべての部屋を勾配天井とすることも可能です。壁の上部を開けることが出来れば、家全体を一つの空間として繋げることも可能でしょう。それはきっと開放的で伸びやかな平屋となるでしょう。
屋根の形を工夫することによって、すべての部屋を勾配天井とすることも可能です。壁の上部を開けることが出来れば、家全体を一つの空間として繋げることも可能でしょう。それはきっと開放的で伸びやかな平屋となるでしょう。
構造的に丈夫
平屋の場合、上には屋根しか載っていないため、柱や梁に掛かる負担が少なくなります。一般的に言って背の高い建物は大きく揺れますが、平屋の場合にはその揺れが小さいため、家に対する負担が少なくなります。
メリットの多い平屋ですが、そんな平屋にもデメリットと呼べそうな点はあります。次に、それを御説明します。
平屋の場合、上には屋根しか載っていないため、柱や梁に掛かる負担が少なくなります。一般的に言って背の高い建物は大きく揺れますが、平屋の場合にはその揺れが小さいため、家に対する負担が少なくなります。
メリットの多い平屋ですが、そんな平屋にもデメリットと呼べそうな点はあります。次に、それを御説明します。
2階建てよりは予算が高くなる
平屋を建てる時に、2階建てと同じ広さの家を建てようと考えると、広い敷地が必要となります。地域にも拠りますが、広い土地を求めようと考えた場合には、相当な予算が必要となることでしょう。
また建物に掛かる建設費用に関しても、2階建てに比べて平屋の方が坪単価辺りの予算が高くなることが多いと言われています。例えば同じ面積の平屋と総2階の家を比較した場合、平屋の屋根・基礎の面積は2階建ての倍となります。外壁の面積こそ1/4減りますが、全体的に見て、平屋の方が建設費は増える傾向にあると言えます。
平屋を建てる時に、2階建てと同じ広さの家を建てようと考えると、広い敷地が必要となります。地域にも拠りますが、広い土地を求めようと考えた場合には、相当な予算が必要となることでしょう。
また建物に掛かる建設費用に関しても、2階建てに比べて平屋の方が坪単価辺りの予算が高くなることが多いと言われています。例えば同じ面積の平屋と総2階の家を比較した場合、平屋の屋根・基礎の面積は2階建ての倍となります。外壁の面積こそ1/4減りますが、全体的に見て、平屋の方が建設費は増える傾向にあると言えます。
広めの敷地が必要
広い敷地が必要と御説明しましたが、その段階で狭小住宅の構想は無くなるのではないでしょうか。一般的に考えて、広い敷地があれば広い家を建てたくなるのが人情です。もし小さな敷地に小さな平屋を建てたいと考えたとしたら、それは本当に特別なケースで、一般的な例からは外れそうな気がします。
広い敷地が必要と御説明しましたが、その段階で狭小住宅の構想は無くなるのではないでしょうか。一般的に考えて、広い敷地があれば広い家を建てたくなるのが人情です。もし小さな敷地に小さな平屋を建てたいと考えたとしたら、それは本当に特別なケースで、一般的な例からは外れそうな気がします。
プライバシー確保に工夫がいる
メリットの項目で、家族のコミュニケーションを取りやすいと書きましたが、裏返せばプライバシーの確保が難しいことに繋がります。それは2所帯住宅などにも、適していないということに繋がるかもしれませんね。
メリットの項目で、家族のコミュニケーションを取りやすいと書きましたが、裏返せばプライバシーの確保が難しいことに繋がります。それは2所帯住宅などにも、適していないということに繋がるかもしれませんね。
日当たりは部屋による
全ての居室を南側の日当たりの良い位置に面して設けたいと考えても、よほど恵まれた土地でない限り、その希望を叶えることは難しいでしょう。そもそも一番日当たりの良い場所には、居間のような家族全員が集える部屋が配されるはず。その時にはきっと、何処かの部屋にその皺寄せが生じるかもしれません。
全ての居室を南側の日当たりの良い位置に面して設けたいと考えても、よほど恵まれた土地でない限り、その希望を叶えることは難しいでしょう。そもそも一番日当たりの良い場所には、居間のような家族全員が集える部屋が配されるはず。その時にはきっと、何処かの部屋にその皺寄せが生じるかもしれません。
高い位置では暮らせない
台風や地震による水害は、とても心配です。2階に避難することが叶わない平屋は、その不安が絶えず付きまとうかもしれません。敷地を盛り土し、高基礎を設け、少しでも床面を高い位置にしようと考えたとしても、それは同時に、前半であげた、平屋の他の利点を失うことにも繋がりかねません。
丈夫で、バリアフリーにしやすく維持管理も容易な平屋の家ですが、建設費の問題や広い土地の確保が必要です。ご自身のライフスタイルや、将来設計などをしっかりと見据えながら、建築家とよくご相談下さい。
家づくりのヒントの記事を読む
台風や地震による水害は、とても心配です。2階に避難することが叶わない平屋は、その不安が絶えず付きまとうかもしれません。敷地を盛り土し、高基礎を設け、少しでも床面を高い位置にしようと考えたとしても、それは同時に、前半であげた、平屋の他の利点を失うことにも繋がりかねません。
丈夫で、バリアフリーにしやすく維持管理も容易な平屋の家ですが、建設費の問題や広い土地の確保が必要です。ご自身のライフスタイルや、将来設計などをしっかりと見据えながら、建築家とよくご相談下さい。
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