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東京23区にある中くらいなモダンスタイルのおしゃれな家の外観 (メタルサイディング、混合材屋根、長方形) の写真
株式会社吉田裕一建築設計事務所
株式会社吉田裕一建築設計事務所
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新保本・HOUSE・K

地方都市の郊外に建つ住宅の建て替えです。構成としては各層ごとに性格の異なった明確な3層構成としています。周囲に気を遣うように各層で建ぺい率よりやや小さくしたボリュームを前後左右にずらしながら積み上げていきました。1階は背面がブロック塀、両隣は壁であるので閉じています。唯一開けている道路側は冬の雪かきの負担を軽減するためビルトインガレージです。2階は隣家の窓やサンルーム(雨の多い金沢では洗濯物干場として多くの家に備え付けられている)の洗濯物など、景色が期待できない面には開かず、こちらのサンルームのある東側のみ開いています。そして視界が遠くまで開ける3階になってはじめて積極的に周囲に開けています。下層階は垂直面の開口が少ない代わりにボリュームのずれを利用してトップライトを設け、空方向に開くことで法規上の採光率を確保し、上階に行くにしたがって窓はだんだん垂直面に増えていくことで眺望へのバリエーションを作り出しました。外壁は溶融亜鉛メッキ鋼板という、空調設備、電気機器など建築、土木インフラ、電化製品、自動車などの諸部品あるいは容器や什器まで、あらゆる分野に用いられていて、耐久性、加工性に優れた素材を用いています。初期は周囲を映し込むような光沢を持っていますが、徐々に亜鉛が溶け出していき、鈍いグレーとなります。厳しい気候条件に耐えつつ、汎用性があり、また時間的連続性の中で変化していく素材で被覆することで、地方都市郊外の住宅地というこれからも逐一更新され続けていくであろう周りの環境に対し、寄り添うことができるのではないかと考えました。インテリアとしては収納が多い1、2階は家具的なマテリアルとディテールを建築的に纏めることで、それぞれの境界の有り様を書き換えようと試みています。3階には大きなワンルームの空間があり、そこから屋上へと続く階段は外部と捉え、外壁と同じマテリアルを用いています。ちょっとボタンを掛け違えたような違和感のある外部と内部、内部と内部の境界面をちりばめることで、明快な構成であるはずの家のどこにいても今いる場所が絶対的ではないような、浮遊感のある感覚におそわれます。