丸菱建築計画事務所

方形の平屋

いつも依頼者の境遇や個性を基に設計に取り組んでいる。住宅という、不特定多数ではなく基本依頼者本人しか使用しないビルディングタイプにおいては、依頼者の生活スタイルやキャラクターに特化して設計するのが合理的である。最大公約数的な一般解のハウスメーカーに依頼せず個人の設計事務所に依頼しているのも、それを期待しての事だと思われる。この住宅の依頼者は、60代のひとり暮らしの女性である。数年前にご主人を亡くし、残りの人生をひとり暮らしとしてスタートする出発点としての家づくりであった。どのような住宅がこの依頼者にとってふさわしいのだろうか。さまざま思考を巡らす中で、心の支えとなる力強さと大きく包み込む包容力、また心を癒してくれるような優しさをこの住宅で表現したいと考えるに至った。もしかすると、それはご主人の存在そのものを体現しようと考えたのかもしれない。力強い方形屋根を架け、その屋根下に大きく包まれるような一室空間が広がる。室内はうっすら色味のある漆喰壁にブラックチェリーの無垢材。優しい自然素材に包まれ、天窓からの陽光が室内を明るく照らしている。依頼者は一人ではなく、ご主人と共に暮らす住宅と感じてもらえたら幸いである。
プロジェクトの竣工年/制作年: 2018
プロジェクトの費用: 1,000万円以上3,000万円未満
国: 日本