石井秀樹建築設計事務所|Ishii Hideki Architect Atelier
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雪ノ下の家

設計者の自邸の計画である。敷地は鎌倉の中心、鶴岡八幡宮を取り囲む緑に覆われた丘陵の中腹に位置する。丘陵の雑木林の中を蛇行する一本の階段だけが敷地へのアプローチであり、中腹から丘頂へかけて20軒弱の集落が形成されている。アプローチの階段が袋小路となっているため住民以外の立ち入りは無く、長い年月をかけて醸成された鎌倉の風情と緑溢れる静かな住環境が保たれ、街の喧騒から離れてタイムスリップしたかのような独特の空気感に包まれている。この落ち着いた独特の空気感が気に入ってこの地を選んだ。
風致地区の外壁後退により隣地境界線から1.0m、道路境界線から1.5mの離隔距離を確保してギリギリ納まる6.9m☓6.9mの正方形平面の2階建ての住宅を敷地中央に配置した。1階は外部に対して閉じた箱として、プライバシーの高い空間や水廻り、設備機器を含めてこの建物の機能部分を集約した。正方形平面の中心にウォークスルーの収納部屋や水廻り、空調機器など機能部を集約した箱を配置して、その周囲を取り巻くように玄関、沐浴場、寝室を連続させた回遊型のプランとした。正方形平面での設計はプロトタイププランを意図している。2階は正方形平面の外側に各辺2本ずつ合計8本の鉄骨柱を建て、1階の閉じた箱の上に方形屋根を浮かせただけで領域を創り、この地の空気を屋根で覆ってそのまま包み込んだようなガランドウの空間を目指した。室内には壁や柱は一切無く、空調機器、冷蔵庫、キッチン換気扇など通常は空間に立ち現れるモノを床下やカウンター下に処理して、立ち上がりを徹底的に排除している。四周が開放されて外部へと発散して一体化する空間であると同時に、軒先高さを1.6mと低く抑えて方形屋根に覆い包みこまれた抱擁感を感じられる空間である事を意図した。また、丘陵地ゆえに周囲の敷地とは全て高低差があるため、軒先を下げることで隣家の視線をかわして四周ガラス張りの日常生活空間を可能としている。
常々、空間を発明するのでは無く発見したいと考えている。自邸ではこの地の空気感を自身の身体感覚で感じ、丘陵地であるこの地の要請を読み取り、ここにあるべき空間を発見できたのではないかと思っている。

施工店からのコメントはこちらです。
https://www.houzz.jp/viewReview/1089602/
プロジェクトの竣工年/制作年: 2016
国: 日本