赤・黒・白をインテリアに効果的に使うには?
100年前に起きた芸術運動、ロシア・アヴァンギャルド時代のアート作品を思い起こす、赤・黒・白。コントラストの強いモノトーンと原色の組み合わせは、分量と使う場所次第で多彩な表情をつくります。
近年、1900年代初頭に生まれたモダンデザインが、さまざまな分野で再評価されています。2018年に100周年を迎えるドイツのバウハウスや、ロシア革命100周年を契機にファッション界でも人気が再燃しているロシア・アヴァンギャルドなどがその代表でしょう。こうした運動に参加したデザイナーたちは当時、作品に赤、黒、白の3色をよく使いました。現在では、当時の作品に暗に含まれていた政治的な意味合いは薄れ、純粋にデザイン性の高さで注目されています。そこで、インテリアでは印象的でインパクトの強い空間づくりにも使われる、この3色を取り入れた例を集めてみました。
1. 配色のコントラストをコーナーづくりに活かす
シンプルでナチュラルな部屋に赤、黒、白を使うと、どの色もよく映えます。ブランケットやクッション、サイドテーブルなどそれぞれは小さい面積ですが、白いソファを中心に床の花柄ラグや壁のアートなどで色を集め、リビングのコーナーとしてゾーニングしています。ペンダントランプのコードや左手の花瓶など、離れた場所にもさりげなく赤が使われているのも心憎い演出です。
シンプルでナチュラルな部屋に赤、黒、白を使うと、どの色もよく映えます。ブランケットやクッション、サイドテーブルなどそれぞれは小さい面積ですが、白いソファを中心に床の花柄ラグや壁のアートなどで色を集め、リビングのコーナーとしてゾーニングしています。ペンダントランプのコードや左手の花瓶など、離れた場所にもさりげなく赤が使われているのも心憎い演出です。
面積の大きいカーテンやファブリックに黒系が入ると少し落ち着いた印象に。とはいえ、カーテンのボーダー柄やクッションのボタニカル柄は白ベースなので抜け感があり、軽やかさも感じられるのがポイントです。ブランケットやテーブルランプの少しの赤が、いいスパイスになっています。
こちらは大人っぽい雰囲気のベッドルーム。空間の比率で言えば赤の分量はやはり少なめですが、艶のあるファブリックのクッションや花瓶、しっとりとしたベロアソファなど特徴的な質感のアイテムが多く目を惹きます。さらにカーテンや家具、床に黒を選ぶことでグラマラスなイメージが強調されます。
2. 色のあるソファを主役に
リビングの主役であるソファは、空間の印象を大きく変えるアイテムです。ここでご紹介するソファは、どちらも2人がけですが、並べるとそれぞれの色の個性が見えるかのようです。
まずは赤が印象的なシェーズ・ロングチェア(寝椅子)。白いカーテンとスタンドランプ、黒檀にも似た艶が美しいポール・フランクルの1940年代ヴィンテージのドレッサー、アールヌーヴォー調の植物柄ラグとともにモダンにまとめています。
リビングの主役であるソファは、空間の印象を大きく変えるアイテムです。ここでご紹介するソファは、どちらも2人がけですが、並べるとそれぞれの色の個性が見えるかのようです。
まずは赤が印象的なシェーズ・ロングチェア(寝椅子)。白いカーテンとスタンドランプ、黒檀にも似た艶が美しいポール・フランクルの1940年代ヴィンテージのドレッサー、アールヌーヴォー調の植物柄ラグとともにモダンにまとめています。
広いリビングダイニングに置かれた黒いソファ。曲線が美しい〈フォスカリーニ〉の《ツィギー・フロアランプ》のリズミカルな印象が、ソファのボリューム感を中和しています。エレガントなイメージの照明も、赤を選ぶとソファにも負けないインパクトとパワーが加わります。コーデュロイのクッションカバーや編み込み柄の花瓶を選び、黒の質感で遊んだり、白い花で抜け感をつくったりと細部のこだわりも見逃せません。
3. 壁に色を加えてインパクトを
モールディングの白と、黒い壁が印象的なホームオフィス。艶のある黒いデスクとモロッコ柄のテキスタイルが目を惹くチェアのセット、ラグや千鳥格子柄のベンチシートなど家具類はもちろん、文房具や写真のフレームまで白と黒でまとめています。また、そのなかで唯一の赤いアイテムを中央に置き、空間のアクセントにするセンスも絶妙です。黒メインの空間を重く見せないアイデアの一例です。
モールディングの白と、黒い壁が印象的なホームオフィス。艶のある黒いデスクとモロッコ柄のテキスタイルが目を惹くチェアのセット、ラグや千鳥格子柄のベンチシートなど家具類はもちろん、文房具や写真のフレームまで白と黒でまとめています。また、そのなかで唯一の赤いアイテムを中央に置き、空間のアクセントにするセンスも絶妙です。黒メインの空間を重く見せないアイデアの一例です。
ムラのある色と凹凸のある赤い壁紙や抽象アートが印象的なダイニング。黒いテーブルとモダンな白いレザーのチェアをセットにしてまとまりをつくる一方、〈フォスカリーニ〉の《カボシェ・ペンダント》やデスクの脚などで透明な素材も取り入れ、軽やかな雰囲気にまとめています。
壁で色を楽しむといっても、何も塗るだけが方法ではありません。白地に赤い柄の壁紙を使えば、軽快で爽やかな空間が生まれます。この例では〈ヴィヴィアン・ウェストウッド〉のスクイグル柄の壁紙を使い、ベッドサイドのランプや〈カルテル〉のキャビネット《コンポニビリ》、ベッドカバーなどを赤にしてリンクさせています。また、白い家具を基調に、〈アンソロポロジー〉の壁掛けオブジェとクッションを黒にして引き締めています。
4. 赤と黒をたっぷり使ってグラマラスに
思いっきり色を使う冒険も一度はしてみたいもの。自室であれば、個性的な空間も気兼ねなく楽しむことができます。黒い壁にたっぷりとした赤いカーテンとベロアのベッドカバーが迫力満点。さらに赤いエーロ・アールニオの《ボールチェア》と不思議な形のソファ、黒のモダンなデスクセットと個々の家具も存在感たっぷり。それなのに暑苦しく見えないのは、床に敷かれたホワイトベージュのカーペットの力です。
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5. 小さな空間で色のハーモニーを楽しむ
バスルームは機能性や清潔感が重視されやすい場所ですが、色使いを工夫すればよりドラマティックで個性的に仕上げられます。
この写真の面白さは、空間自体は白黒ですが、タオルで赤を足している点です。タイルワークだけでも美しいのですが、少しさっぱりしすぎてしまいます。そこで赤いフェイスタオルを掛けてアクセントに。この方法は、バスタオルやバスマットなどにも応用できます。
バスルームは機能性や清潔感が重視されやすい場所ですが、色使いを工夫すればよりドラマティックで個性的に仕上げられます。
この写真の面白さは、空間自体は白黒ですが、タオルで赤を足している点です。タイルワークだけでも美しいのですが、少しさっぱりしすぎてしまいます。そこで赤いフェイスタオルを掛けてアクセントに。この方法は、バスタオルやバスマットなどにも応用できます。
こちらも洗面ボウルやトイレは白、タイルは黒と2色の空間に赤いスチールチェストを加えてモダンにまとめたバスルーム。黒いタイルは目地を白にすると方眼模様ができるため、重くならずすっきりとした印象になります。空間をシンプルに仕上げて家具や雑貨で味付けする方法は、色のトーンや質感を幅広く試したいときにぴったりです。
赤い天井と〈アルテミデ〉の照明《ピルチュ・ソスペンシオーネ》の照明、赤白コンビネーションの猫足バスタブが目を惹くバスルーム。川の小石を使ったペブル(玉石)タイルの床も含め、面白いアイテムが並びますが、部屋のつくりはごくシンプルです。モビール型の照明をつけると、空間全体に不思議な印影をつくり出す仕組みです。赤、白、黒のハーモニーが天井に生まれる様子は、バスタイムを楽しくしてくれるに違いありません。
6. キッチンに最適なスパイシーな配色
白はもちろん、赤は食欲を増す色として、また黒は食材を引き立て高級に見せる色として、キッチンやその周辺と親和性の高い色です。鍋や食器にもよく使われるので、無意識に取り入れている人も多いでしょう。
この例では、アイボリーの家具の色に合わせてレンガ壁に〈ベンジャミン・ムーア〉の《マスカルポーネ(AF-20)》をペイントして柔らかい印象に。黒とチョコレートの中間色の鎖柄タイルの床に〈トリックス〉のバースツールを2脚。艶のあるスチールの赤が、まさにピリッとしたスパイスとして利いています。
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こちらはリノベーションしたキッチンの例です。造り付けの黒いオーブンレンジや戸棚、赤い冷蔵庫と白い壁のコントラストが斬新なデザイン。壁の色によって赤と黒のランプを使い分けたり、黒い引き戸を隔てた鏡にキッチンの色を映してリンクさせたりと、随所に工夫が見られるのもポイントです。シャープな直線と色面で仕上げたインテリアは、日常にデザインを持ち込んだと言われるロシア・アヴァンギャルドのエッセンスを感じさせます。
同じ3色でも最新型のキッチンだと、こんなにモダンでコンテンポラリーな雰囲気になります。空間のメインは、赤い取っ手が利いている黒いキャビネットのシステムキッチン。赤い〈ビッグチル〉の《レトロ・ストーブ》とリンクした絶妙なデザインです。白いバックスプラッシュで抜け感を加えているほか、赤のハンドミキサーやアートが随所に動きをつけていて、料理の時間が楽しくなる空間です。
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>株式会社ハーフェレ ジャパン様
コメントありがとうございます! フックも深い赤だと目立ちすぎず、でもいいアクセントになってよいですね。仰る通り、基本をモノトーンにして赤をスパイスに取り入れる分量で……と考えてみると比較的チャレンジしやすいと思います。