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調湿・抗菌・保温に優れる桐。ジメジメした梅雨時にこそ、インテリアに取り入れたい
大切な着物や洋服を、虫やカビから守るには? 日本で着物の収納に伝統的に使われてきた「桐」のたんすには、湿気や虫から衣類を守ってくれるたくさんの利点があります。
永井理恵子
2017年5月13日
昔から、文書や着物などの大切なものをしまう箱や箪笥(たんす)の材料に使われてきた桐。保湿性があり、調湿・抗菌効果に優れています。湿度が高くカビが生えやすい梅雨時にこそ、その効果を実感できるはず。インテリアに取り入れてみませんか?
着物といえば桐の箪笥というように、古くから大切な着物の収納に桐の箪笥が用いられてきました。その理由のひとつが、桐の発火点が高く、燃えにくいから。さらに熱伝導度が小さいため、万が一火がついても、表面こそ炭化しますが熱気を通しづらいため、中にしまわれたものを守るという性能が非常に高いのです。また、紙や着物は虫食いの被害にあうこともありますが、防虫効果のある桐ならその点も安心。着物のほか、文書や掛け軸など、大切なものをしまうのに使われて来たのはそういう理由があるからです。
家を建てたり、リノベーション・リフォームをするのなら、クローゼットには、桐の引き出しを設えるのもおすすめです。
多孔質な桐には、空気中の湿度により膨張・収縮をしながら湿度を調整する調湿効果があります。また、含まれるタンニンが防虫効果や抗菌効果を発揮。大切な衣類を守るのに最適な材なのです。
多孔質な桐には、空気中の湿度により膨張・収縮をしながら湿度を調整する調湿効果があります。また、含まれるタンニンが防虫効果や抗菌効果を発揮。大切な衣類を守るのに最適な材なのです。
畳敷きの寝室に設えたウォークインクローゼットの棚に、桐のスノコを用いています。ここは布団をしまうスペース。眠っている間に帯びた布団の湿気を飛ばすため、通気性を確保するのにピッタリです。今使っているクローゼットなどの収納に、桐製のすのこを入れるだけでも通気性が変わるはずです。
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リノベーションした家のリビング部分。この部屋では、テレビボードを兼ねた収納が桐で作られています。調湿・抗菌効果により、中に収納したものをきちんと保存できるという安心感を得られます。
桐は、鉋をかけると美しい光沢が出ます。これを「絹糸光沢」と呼びます。特に国産の桐は成長に時間がかかる分、年輪と年輪の間隔が狭く、目が詰まっており、まるで絹糸のような色艶が出やすいといいます。
桐は、鉋をかけると美しい光沢が出ます。これを「絹糸光沢」と呼びます。特に国産の桐は成長に時間がかかる分、年輪と年輪の間隔が狭く、目が詰まっており、まるで絹糸のような色艶が出やすいといいます。
こちらは総桐造りの寝室。室内に一歩入れば、桐の調湿・抗菌効果のおかげで、清々しい空気が漂っていることを五感で感じることができるでしょう。
桐が傷つきやすいと言われるのは、裏を返せば、とても柔らかい素材だということ。クッション性があるので、素足で歩いたときの感触が気持ちいいのです。素足で歩くことの多い寝室に使うのは、理に適っています。
桐が傷つきやすいと言われるのは、裏を返せば、とても柔らかい素材だということ。クッション性があるので、素足で歩いたときの感触が気持ちいいのです。素足で歩くことの多い寝室に使うのは、理に適っています。
このトイレでは、羽目板に桐を使っています。小さな空間とはいえ、トイレは水回りのひとつ。調湿・抗菌効果のある桐を使えば、気になる臭いの発生を抑制し、空気をさわやかに保つことができます。また、床には無垢のクルミ、壁は珪藻土を使用しており、自然素材に囲まれたやさしい空間も魅力です。
市販されている桐製の米びつをきっちり納められるよう、造作したキッチン収納がこちら。
多孔質な桐は内部にたくさんの空気を含み、温度の変化や水分を伝えづらく、防虫効果もあり、お米の保存に最適。こうした生活に欠かせないアイテムから桐を取り入れてもいいですね。
多孔質な桐は内部にたくさんの空気を含み、温度の変化や水分を伝えづらく、防虫効果もあり、お米の保存に最適。こうした生活に欠かせないアイテムから桐を取り入れてもいいですね。
日本には、女の子が誕生すると家の周辺に桐を植え、その桐を使って花嫁道具をあつらえる風習が全国的に残っています。桐の成長はとても早く、10〜15年で製材できるほどに成長します。
この桐の箪笥は、半世紀前、嫁入り道具として誂えた婚礼家具。この桐箪笥を箪笥として使い続けるのではなく、現代的な家具として使うこともできます。
この桐の箪笥は、半世紀前、嫁入り道具として誂えた婚礼家具。この桐箪笥を箪笥として使い続けるのではなく、現代的な家具として使うこともできます。
〈リストリーアンティーク〉の手により、現代的なテレビボードへと生まれ変わりました。引き出しの取っ手には英国老舗メーカーから取り寄せた無垢の真鍮の金具を、引き戸にはかわいらしいタッセルのついたキーハンドルを取り付けました。
塗装は、西洋の漆と言われるシェラックを薄く薄く幾重にも塗り、まるでアンティーク家具のような光沢あるテレビボードに。和と洋の異なる文化が見事に融合し、現代のインテリアにマッチする家具に生まれ変わったのです。
シェラックは空気を通すので、塗装しても、桐の長所である調湿効果を保つことができます。
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