コメント
「竹」を使って、風情ある庭に。竹垣の作り方、手入れ法、寿命は?
日本文化にさまざまな形で関わっている竹。庭でも大活躍する竹の魅力と、建仁寺垣、四ツ目垣と呼ばれる竹垣のタイプについて解説します。
舩村佳織
2022年10月5日
造園会社にて個人邸外構・庭の設計施工を行うプランナーとして勤務後、ニュージーランドにて現地の植物ナーセリー勤務及び園芸関係のボランティアを1年間経験。現在は静岡県富士市を中心に自然素材を使った庭づくりを行っています。
二児の子育て中でもあり、家族みんなが楽しめる庭造りが得意です。設計者として、主婦としての目線から、暮らしやすさに寄り添います。
造園会社にて個人邸外構・庭の設計施工を行うプランナーとして勤務後、ニュージーランドにて現地の植物ナーセリー勤務及び園芸関係のボランティアを1年間経験。現在は静岡県富士市を中心に自然素材を使った庭づくりを行っています... もっと見る
日本に自生する竹はさまざまな道具となって日本の文化に関わっています。竹ぼうきのような身近な生活用品から、手の込んだ工芸品まで色々な形に加工された竹が思い浮かぶはずです。庭も例外ではなく、和風庭園に行けば何かしらの形で竹を見つけることができるでしょう。現代住宅ではあまり使われない素材になってしまった竹ですが、竹が生み出す風情は格別なもの。この記事では庭での竹の活用の仕方や、管理の仕方をご紹介します。竹の魅力を再発見してください!
竹にも花が咲く!? 竹の基礎知識
竹はアジアの熱帯や温帯を中心として広い範囲に分布するイネ科の植物です。樹木の仲間なのか草の仲間なのか、という分類は現在もはっきりとしていません。花は何十年と咲かず、一世代がとても長いことでも知られています。花が咲くまでの間は地下茎で分布域を広げ竹林を形成します。普通の植物とはちょっと違う、特殊な生態を持った植物です。
素材的な特徴として、削ったり曲げたり加工しやすいこと、比較的腐りにくいことが挙げられます。繁殖力があり、成長が早いことから入手が容易で、素材として重宝されていたと考えられます。
竹はアジアの熱帯や温帯を中心として広い範囲に分布するイネ科の植物です。樹木の仲間なのか草の仲間なのか、という分類は現在もはっきりとしていません。花は何十年と咲かず、一世代がとても長いことでも知られています。花が咲くまでの間は地下茎で分布域を広げ竹林を形成します。普通の植物とはちょっと違う、特殊な生態を持った植物です。
素材的な特徴として、削ったり曲げたり加工しやすいこと、比較的腐りにくいことが挙げられます。繁殖力があり、成長が早いことから入手が容易で、素材として重宝されていたと考えられます。
庭における竹
竹は日本の庭にどんな形で使用されているのでしょうか。大きな用途が2つあります。
1つが垣の材料としての竹。竹が豊富に手に入る日本において、竹垣の発生は当然と考えられます。
もう1つが植栽植物としての竹。京都御所のような歴史ある庭園でも見つけることができます。今回はこの2つについて、ご説明していきます。
竹は日本の庭にどんな形で使用されているのでしょうか。大きな用途が2つあります。
1つが垣の材料としての竹。竹が豊富に手に入る日本において、竹垣の発生は当然と考えられます。
もう1つが植栽植物としての竹。京都御所のような歴史ある庭園でも見つけることができます。今回はこの2つについて、ご説明していきます。
建仁寺垣
垣としての竹からご説明します。竹垣は大きく2つのタイプに分けられます。
1つが建仁寺垣と呼ばれる遮蔽垣タイプ。竹を4~5cmほどに割り隙間なく並べ、半分に割った竹で横に一定間隔で押さえたもの。目隠しとして使われることが多く、しっかりとしたつくりです。
近くの造園会社、ガーデンデザイナーを探す
垣としての竹からご説明します。竹垣は大きく2つのタイプに分けられます。
1つが建仁寺垣と呼ばれる遮蔽垣タイプ。竹を4~5cmほどに割り隙間なく並べ、半分に割った竹で横に一定間隔で押さえたもの。目隠しとして使われることが多く、しっかりとしたつくりです。
近くの造園会社、ガーデンデザイナーを探す
四ツ目垣
もう1つが四ツ目垣と言われる透かし垣タイプ。縦横の竹が直角に交わり、向こう側が見えているものです。建仁寺垣に比べて背が低いものが多く、目隠しのためではなく空間を仕切るために使われています。
竹垣はたくさんの種類がありますが、あらゆる竹垣はこの基本の二つを応用したものになります。
もう1つが四ツ目垣と言われる透かし垣タイプ。縦横の竹が直角に交わり、向こう側が見えているものです。建仁寺垣に比べて背が低いものが多く、目隠しのためではなく空間を仕切るために使われています。
竹垣はたくさんの種類がありますが、あらゆる竹垣はこの基本の二つを応用したものになります。
スクリーンとしての竹垣
遮蔽タイプの竹垣を庭の背景に使えば、それだけで立派な和の庭の雰囲気が出来上がります。庭づくりにおいて背景は空間全体の印象を左右する大事なものです。竹垣が作る雰囲気を壊さないよう、植栽はたくさん入れすぎず引き算を意識しましょう。灯篭や蹲(つくばい)のようなアイテムも相性抜群です。
遮蔽タイプの竹垣を庭の背景に使えば、それだけで立派な和の庭の雰囲気が出来上がります。庭づくりにおいて背景は空間全体の印象を左右する大事なものです。竹垣が作る雰囲気を壊さないよう、植栽はたくさん入れすぎず引き算を意識しましょう。灯篭や蹲(つくばい)のようなアイテムも相性抜群です。
空間を仕切る四ツ目垣
茶室における二重露地のような、意味の違う2つの空間をつくるとき、四ツ目垣は便利です。家に二重露地がある方はあまりいないと思いますが、ひと続きの空間でも意味が違う場所というのはよくあります。
例えば駐車場と隣接した玄関アプローチ。物干し場と菜園。オープン外構だけれど、境界が欲しい場所。高い壁をつくるほどではないけれど仕切りたい場所に取り入れたいのが四ツ目垣です。
茶室における二重露地のような、意味の違う2つの空間をつくるとき、四ツ目垣は便利です。家に二重露地がある方はあまりいないと思いますが、ひと続きの空間でも意味が違う場所というのはよくあります。
例えば駐車場と隣接した玄関アプローチ。物干し場と菜園。オープン外構だけれど、境界が欲しい場所。高い壁をつくるほどではないけれど仕切りたい場所に取り入れたいのが四ツ目垣です。
竹垣のメンテナンス
天然素材である竹垣は、10年程度で交換する必要があります。竹が劣化する大きな原因は紫外線と水分です。なので、日があまり当たらず風通しの良い場所では寿命も長くなります。
竹専用の塗料もあるので、塗料の塗布によって耐用年数を長くすることができます。また、汚れなどで黒ずみが発生するため、それらをタワシやブラシで洗うときれいな状態を長く楽しめます。
施工してすぐの青々とした竹の美しさは格別のものです。またそこから色褪せていく様も天然素材ならではの味わいです。
天然素材である竹垣は、10年程度で交換する必要があります。竹が劣化する大きな原因は紫外線と水分です。なので、日があまり当たらず風通しの良い場所では寿命も長くなります。
竹専用の塗料もあるので、塗料の塗布によって耐用年数を長くすることができます。また、汚れなどで黒ずみが発生するため、それらをタワシやブラシで洗うときれいな状態を長く楽しめます。
施工してすぐの青々とした竹の美しさは格別のものです。またそこから色褪せていく様も天然素材ならではの味わいです。
とはいえ、メンテナンスや交換は面倒くさいという方には、樹脂等で作られた人工竹も豊富な種類があります。質感も非常によく出来ていて、ぱっと見では本物と遜色ないものも。竹垣を計画する際、ご自身のライフスタイルを考えて、人工竹垣も候補の1つに入れてみてもよいでしょう。
竹の植栽
他の植物と生態が違う竹は、育て方もちょっぴり違います。地下茎で広い範囲に広がってしまうので、隣地にタケノコが顔を出してしまうことも。竹の拡大を防ぐには、深さ50cm程度を壁で囲う必要があります。コンクリートの平板など、しっかりしたものを用意しましょう。大きな鉢を植え込み、そこに竹を植える方法も。
それでも必要ない場所にタケノコが伸びてきていたら、すぐに取ってしまえば大丈夫。生えてきてすぐのタケノコは柔らかく、道具を使わなくても折ることができます。
地下茎で広がらない種類の竹もあります。ホウオウチクやスホウチクなどは、新しい竹がすぐ根本から伸びて株立ち状に茂ります。
他の植物と生態が違う竹は、育て方もちょっぴり違います。地下茎で広い範囲に広がってしまうので、隣地にタケノコが顔を出してしまうことも。竹の拡大を防ぐには、深さ50cm程度を壁で囲う必要があります。コンクリートの平板など、しっかりしたものを用意しましょう。大きな鉢を植え込み、そこに竹を植える方法も。
それでも必要ない場所にタケノコが伸びてきていたら、すぐに取ってしまえば大丈夫。生えてきてすぐのタケノコは柔らかく、道具を使わなくても折ることができます。
地下茎で広がらない種類の竹もあります。ホウオウチクやスホウチクなどは、新しい竹がすぐ根本から伸びて株立ち状に茂ります。
照明と合わせて
和のイメージが強い竹ですが、植栽に取り入れるとモダンな雰囲気を作り出してくれます。直線的なシルエットを際立たせるようなアップライトを組み合わせると、高級感のある空間に。他の植物と寄せ植えにはせず、竹のみでの植えると竹の魅力が引き立ちます。竹の植栽は基本的にはすっきりとシンプルに、を心がけましょう。
写真のような植栽スぺースであれば、地下茎の問題もクリアできます。
《竹の家》
和のイメージが強い竹ですが、植栽に取り入れるとモダンな雰囲気を作り出してくれます。直線的なシルエットを際立たせるようなアップライトを組み合わせると、高級感のある空間に。他の植物と寄せ植えにはせず、竹のみでの植えると竹の魅力が引き立ちます。竹の植栽は基本的にはすっきりとシンプルに、を心がけましょう。
写真のような植栽スぺースであれば、地下茎の問題もクリアできます。
《竹の家》
竹の美しさが映える背景
棹が黒いタイプのクロチクは、全体的に細く繊細な印象の竹です。日当たりが良い場所を好み、日が当たるほど棹の黒さは増します。葉の緑と棹の黒のコントラストが非常に美しく、魅力的な竹の1つです。
クロチクの魅力が引き出される白い壁をスクリーンとして植えこむと、それだけで見ごたえのある景色が完成です。先ほどと同様、他の植物は植え込みすぎず、竹を景色の主役にしましょう。
クロチクは地下茎を広げる力が旺盛なので、植え込みの際は対策をしっかりと行いましょう。鉢での管理もおすすめです。
棹が黒いタイプのクロチクは、全体的に細く繊細な印象の竹です。日当たりが良い場所を好み、日が当たるほど棹の黒さは増します。葉の緑と棹の黒のコントラストが非常に美しく、魅力的な竹の1つです。
クロチクの魅力が引き出される白い壁をスクリーンとして植えこむと、それだけで見ごたえのある景色が完成です。先ほどと同様、他の植物は植え込みすぎず、竹を景色の主役にしましょう。
クロチクは地下茎を広げる力が旺盛なので、植え込みの際は対策をしっかりと行いましょう。鉢での管理もおすすめです。
古くから存在する材料でありながら、意外にも新鮮な魅力を持つ竹。和風の庭でもモダンな庭でも、一味違う庭造りの役に立ってくれるはずです。いろいろなアイデアで日本の豊富な資源である竹を利用していきましょう。
庭・ガーデニングの記事をもっと読む
竹垣の画像をもっと見る
竹を使ったフェンスの画像を見る
庭・ガーデニングの記事をもっと読む
竹垣の画像をもっと見る
竹を使ったフェンスの画像を見る
おすすめの記事
専門家とのやりとり
庭づくりをプロに依頼する前に知っておきたい、コストとメリット
文/藤間紗花
庭づくりをプロに依頼するのには、どのようなメリットあるのでしょう?また、どのくらいの費用が必要になるのでしょう?4人の専門家の方々にインタビューしました。
続きを読む
庭づくり
お手入れが楽な庭をつくるには?
文/舩村佳織
忙しいと、ついつい後回しになってしまう庭のお手入れ。育てやすい植物や、水まきのアイテムなど、お手入れを少しでも楽にするためのアイデアをご紹介します。
続きを読む
庭づくり
冬にしかできない作業を忘れずに行い、来春に備えよう【12月のガーデニング】
文/舩村佳織
庭仕事の中でも大切な剪定や土づくりの時期。地味な作業をしっかり行って来春の景色をより良いものにしましょう。
続きを読む
造園・ガーデニング
「枯山水」入門。その成り立ち、鑑賞ポイントとは?
文/舩村佳織
日本の庭園を代表する枯山水。海外では「Zen Garden」と呼ばれ、庭のスタイルのひとつとして確立されています。枯山水の成り立ち、観賞ポイント、そして自宅への導入事例をコンパクトにまとめました。
続きを読む
植物
土が乾きやすく、植物もバテる夏。水切れに気をつけよう【8月のガーデニング】
文/舩村佳織
暑い日差しに植物も夏バテ気味になる厳しい季節。熱中症に気を付けながら、夏を乗り切りましょう!
続きを読む