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窓の配置で表情をつくりだした、スウェーデンの美しい家
窓を各ファサードにまとめて配置・デザインして個性をつくりだした家。スウェーデンの著名な建築家が手がけた作品です。
Martina Strand
2017年6月29日
ヨナス・リックステットさんと妻のマリアさんは、2010年、スウェーデンのストックホルム北西に位置するブレードサンドに家を建てた。「この場所にしてはかなり珍しい家で、夢のプロジェクトでした」とリックステットさんは言う。近所にも現代的な家は多いが、この家には、独特のラフな質感の個性がある。家を訪れる人たちの反応は、2種類に分かれるそうだ。「この家をすごく美しいと感じて大好きになるか、それとも、ほとんど大嫌いになるかですね。はっきりとした個性があって、見る人から強い感情や多様な意見を引き出すような家が、もっとあっていいと思うんです」。
夫妻がこのスタイルの住宅に魅了されたのは、同じタイプの家に住んでいる友人宅を訪れたときだった。どちらもスウェーデンでもっとも有名な建築家のひとり、ゲルト・ヴィンゴードによる設計だ。空間も、規模も、フロアプランも、よく考えられた窓の配置も気に入ったとリックステットさんは言う。「ゲルト・ヴィンゴードは、家全体を通して見せるような設計がうまく、常に次の空間には何があるだろうかと楽しませてくれます。このような家に住むと、建築家が窓の配置をしっかり考えてつくっている建物の美しさがよくわかりますよ」。
夫妻がこのスタイルの住宅に魅了されたのは、同じタイプの家に住んでいる友人宅を訪れたときだった。どちらもスウェーデンでもっとも有名な建築家のひとり、ゲルト・ヴィンゴードによる設計だ。空間も、規模も、フロアプランも、よく考えられた窓の配置も気に入ったとリックステットさんは言う。「ゲルト・ヴィンゴードは、家全体を通して見せるような設計がうまく、常に次の空間には何があるだろうかと楽しませてくれます。このような家に住むと、建築家が窓の配置をしっかり考えてつくっている建物の美しさがよくわかりますよ」。
Photos by Fredric Boukari
どんなHouzz?
住まい手:ヨナス&マリア・リックステットさん夫婦、子どもたちのアルマちゃんとモアちゃん
所在地:スウェーデン、ストックホルムの北西に位置する町ブレードサンド
建築家:ゲルト・ヴィンゴード
規模:居住スペースは延床面積およそ210平方メートル、庭にある納屋の収納スペースは30平方メートル、敷地は1948平方メートル。
竣工年:2010年
間取りはゲルト・ヴィンゴードがデザインしたシリーズのなかのひとつを選択。「このスタイルの家には、斜面に建てられる設計のものや、ひと回り小さいサイズと大きいサイズもあるんです」とリックステットさん。
家の右側に突き出ているのは、朝日の当たるパーゴラ付きの小さなパティオ。昼間から夕方にかけては裏のテラスに日が当たる。
日が暮れると、〈デルタ・ライト〉のデザインによる照明の登場だ。「家の中も外も、同じ照明を使って統一感を出しています。〈デルタ・ライト〉の製品ラインには、目をひくデザインのものと、光源が隠れるタイプのどちらも揃っているんです。私たちがとくに気に入っているのは、深く埋め込まれたスポットライトですね。」
どんなHouzz?
住まい手:ヨナス&マリア・リックステットさん夫婦、子どもたちのアルマちゃんとモアちゃん
所在地:スウェーデン、ストックホルムの北西に位置する町ブレードサンド
建築家:ゲルト・ヴィンゴード
規模:居住スペースは延床面積およそ210平方メートル、庭にある納屋の収納スペースは30平方メートル、敷地は1948平方メートル。
竣工年:2010年
間取りはゲルト・ヴィンゴードがデザインしたシリーズのなかのひとつを選択。「このスタイルの家には、斜面に建てられる設計のものや、ひと回り小さいサイズと大きいサイズもあるんです」とリックステットさん。
家の右側に突き出ているのは、朝日の当たるパーゴラ付きの小さなパティオ。昼間から夕方にかけては裏のテラスに日が当たる。
日が暮れると、〈デルタ・ライト〉のデザインによる照明の登場だ。「家の中も外も、同じ照明を使って統一感を出しています。〈デルタ・ライト〉の製品ラインには、目をひくデザインのものと、光源が隠れるタイプのどちらも揃っているんです。私たちがとくに気に入っているのは、深く埋め込まれたスポットライトですね。」
木のファサードは硫酸鉄で加工し、木のディテールや性質をそのままに色味を加えている。窓は〈Velfac〉の製品で、人気のスタイルだ。リックステットさんも、フレームが細くすっきりとしたデザインが気に入ったと言う。
家が建っているのはちょうど森のはずれで、すぐ近くにマツの木がある。テラスが影になってしまうためバルコニーはつくらず、代わりに腰高のガラスのガードを窓の内側に取り入れている。
家が建っているのはちょうど森のはずれで、すぐ近くにマツの木がある。テラスが影になってしまうためバルコニーはつくらず、代わりに腰高のガラスのガードを窓の内側に取り入れている。
敷地の大半は、森林など自然のままの状態で、手を加えていない。家の裏にある庭は、〈ランダーク〉のヨハン・ミールさんがデザインしたもので、芝生や草類の植栽、砂利、コンクリート、さびの出た金属板といった素材を組み合わせている。ミールさんは、家の立地決めにも協力した。
「〈ランダーク〉とは良いコラボレーションができました。相談した結果、ファサードのラフな素材感とよくマッチする自然の景観や森はそのまま残すことにしました。庭の植物も、このあたりによくある種類のものです。入口の外は生垣をつくらず、背の高い草を植えることで仕切られている印象を強めました。」生垣では人工的になりすぎるためだ。
「〈ランダーク〉とは良いコラボレーションができました。相談した結果、ファサードのラフな素材感とよくマッチする自然の景観や森はそのまま残すことにしました。庭の植物も、このあたりによくある種類のものです。入口の外は生垣をつくらず、背の高い草を植えることで仕切られている印象を強めました。」生垣では人工的になりすぎるためだ。
表側は、大きな窓からエントランスに明るい光が入るが、道路からは家の中が見えにくいように窓の配置が工夫されている。表のファサードでは室内を隠し、裏側は周囲の緑に向かってオープンに開放する、という考えだ。
1階はみんなが集まるひとつの大きな空間で、キッチン(写真の外、奥の左側)、ソファと暖炉があるエリア、ダイニングエリア(写真の手前右)という3つのゾーンに分かれている。
「写真の奥の右側に見えるのはショップ用カウンターで、ダーラナ地方のスメージェバッケンにあるお菓子屋さんで見つけたんです」とリックステットさんは言う。
ソファのうしろのサイドボード:〈アスプルンド〉の《ラビットランプ》、ソファ:〈BoConcept〉
「写真の奥の右側に見えるのはショップ用カウンターで、ダーラナ地方のスメージェバッケンにあるお菓子屋さんで見つけたんです」とリックステットさんは言う。
ソファのうしろのサイドボード:〈アスプルンド〉の《ラビットランプ》、ソファ:〈BoConcept〉
「家のなかも、外装と同じくかなりラフな雰囲気に仕上げました。庭のプランターにはサビが出たようなコールテン鋼を使ってそのテイストを強調していますが、インテリアにもそんな雰囲気を取り入れたかったので、グレートーンを多く使い、素材のままを生かして、全体のスタイルをシンプルにしています。」
「窓は、家の各ファサードに、まとまって配置するよう設計しています。私たちは独立した窓をばらばらの場所に配置するのではなく、大きさの異なる『窓の集合体』をつくりたかったんです。そうすることで、家全体の個性が出ます」とリックステットさんは言う。
キッチンカウンターは通常よりも奥行きが深い。窓から入る光が美しく、カウンターの表面に外の木々が映る。
シンクまわりとアイランドのカウンタートップは、人工大理石のコーリアン。天然石よりも耐久性が高く、継ぎ目のない1枚の素材から特注加工している。
キッチン家電:〈ミーレ〉
キッチンカウンターは通常よりも奥行きが深い。窓から入る光が美しく、カウンターの表面に外の木々が映る。
シンクまわりとアイランドのカウンタートップは、人工大理石のコーリアン。天然石よりも耐久性が高く、継ぎ目のない1枚の素材から特注加工している。
キッチン家電:〈ミーレ〉
ダイニングエリアの壁には、ホワイトステイン加工を施した合板を張っている。この壁を背景に、トム・ディクソンのコッパーシェードランプが引き立つ。ダイニングテーブルは〈ノー・アーリー・バーズ〉、チェアは〈ムート〉の製品。左のキャビネットには〈スーパーフロント〉の扉を使っている。角の小さなテーブルと壁の照明は〈ハウスドクター〉の製品だ。
両側にフリンジのついたカーペットに注目。これはリックステットさん夫婦が、生協で買ったシンプルなラグを3枚、オレンジ色のクロスステッチで縫い合わせたものだ。
「大きくて素敵なカーペットがなかなか見つからなかったんです。それに、子どもがいますからね。見た目がおしゃれで、あまりメンテナンスを気にしなくていいカーペットを自分たちでつくれないかな?と考えて、これを思い付いたんです。大きな針と、ラグ制作に使うタイプの糸を買ってきて、糸の色はふつうのニュートラルな白やベージュではなく、鮮やかな色を選びました」と、ヨナス・リックステットさんは言う。
写真は掲載されていないが、このダイニングテーブルの右側に、書斎とスペアルームを兼ねた部屋がもうひとつある。全体にあたたかなグレーのペンキが塗られた部屋だ。
両側にフリンジのついたカーペットに注目。これはリックステットさん夫婦が、生協で買ったシンプルなラグを3枚、オレンジ色のクロスステッチで縫い合わせたものだ。
「大きくて素敵なカーペットがなかなか見つからなかったんです。それに、子どもがいますからね。見た目がおしゃれで、あまりメンテナンスを気にしなくていいカーペットを自分たちでつくれないかな?と考えて、これを思い付いたんです。大きな針と、ラグ制作に使うタイプの糸を買ってきて、糸の色はふつうのニュートラルな白やベージュではなく、鮮やかな色を選びました」と、ヨナス・リックステットさんは言う。
写真は掲載されていないが、このダイニングテーブルの右側に、書斎とスペアルームを兼ねた部屋がもうひとつある。全体にあたたかなグレーのペンキが塗られた部屋だ。
印象的な照明テクニックを使ったこちらのバスルーム。窓がなく暗いバスルームにはおすすめのアイデアだ。半透明の白いすりガラスの下のほうにストリップライトを設置し、壁に固定している。「ライト自体も含み、ぜんぶで1万スウェーデンクローナ(13万円)ほどかかりました。電気技術者の力を借りながら、ほとんど自分たちでつくったんですよ。ガラスは強化ガラスを使う必要があります。いちばん高価だったのはブラケットでしたね。これだけ重いガラスを支えるには、かなりの数が必要なんです。」
ラグジュアリーで機能的なスウェーデンの住宅には、当然ながら、美しく機能的なサウナがある。「直角に交わるかたちで、より深いベンチがあるので、ゆったり座れていいですね。サウナヒーターは〈ハルヴィア〉の製品です。高さがあってたくさんサウナストーンが入るので、水をかけて蒸発する面積も大きく、スチームがたくさん出るんです。」
バスルームの床と壁に使われているのは、ポルトガルのメーカー〈レヴィグレス〉のタイルで、製品名は《コンクリート》。廊下やキッチン、ほかのバスルームの床にも同じタイルを使っている。
バスルームの床と壁に使われているのは、ポルトガルのメーカー〈レヴィグレス〉のタイルで、製品名は《コンクリート》。廊下やキッチン、ほかのバスルームの床にも同じタイルを使っている。
マスターベッドルームの窓にかかるのはシルクのカーテン。ほかの部屋のカーテンはすべてリネンだ。
〈オージョ〉の読書灯が2つ、天井から下がっている。
子ども部屋は、リックステットさん夫婦が自分たちでペンキを塗り、楽しくユニークに仕上げた。モアちゃんの部屋では、アクセントウォールの黄色のペンキが天井へと伸びて、太陽の光をイメージしている。
ベッドサイドテーブルは、リックステットさんが〈IKEA〉のチェストの脚をカットしてちょうどいい高さにしたもの。
ベッドサイドテーブルは、リックステットさんが〈IKEA〉のチェストの脚をカットしてちょうどいい高さにしたもの。
ハンモックの見張り番をしているのは、エーロ・アールニオが〈マジス〉のためにデザインしたプラスチックの犬。
2階のファミリールームからは、庭の眺めがよく見える。「洗濯物を持って上下階を行き来しなくて済むように、2階のバスルームに洗濯機と乾燥機を置いています」とリックステットさん。
壁に掛かっている絵の効果で天井が低く感じられ、より親密な印象をつくり出している。天井に見える小さな正方形は、埋め込み式のスポットライトだ。日が落ちて外の森が暗くなると、あたたかな居心地よい室内を演出してくれる。
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