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砂漠の中に建てられたジョン・ロートナーの有機的建築
米パームスプリングス近郊にある、建築家・ジョン・ロートナーのリノベーションされた建築はインスピレーションに溢れています。
Colin Flavin
2019年5月27日
南カリフォルニアの砂漠の、控えめなランチ・スタイルの家々が建ち並ぶ通りに、不釣り合いに佇むロートナー・コンパウンド(Lautner Compound) は、部分的に地中に埋もれた、起伏ある鉄骨とコンクリートの屋根を持つ4つの棟からなる集合住宅です。住宅の構成は独創的で、驚くほど小さな建築面積でありながら、プライバシーと砂漠との一体感を実現しています。
長い間、この建物はミッド・センチュリー建築家ジョン・ロートナーが設計した集合住宅プロジェクトのうち唯一残存しているものとして、ファンの間では知られていました。それでも、隣接するパームスプリングスがその近代的な住宅で有名になっていなければ、忘れ去られてしまっていたでしょう。
現在の家主の並々ならぬ努力のおかげで、このコンパウンドは復元・改装され、今年ついにパームスプリングス・モダニズムウィークで紹介されました。この象徴的な建物群のデザインとリノベーションについてさらに詳しく見ていきましょう。
長い間、この建物はミッド・センチュリー建築家ジョン・ロートナーが設計した集合住宅プロジェクトのうち唯一残存しているものとして、ファンの間では知られていました。それでも、隣接するパームスプリングスがその近代的な住宅で有名になっていなければ、忘れ去られてしまっていたでしょう。
現在の家主の並々ならぬ努力のおかげで、このコンパウンドは復元・改装され、今年ついにパームスプリングス・モダニズムウィークで紹介されました。この象徴的な建物群のデザインとリノベーションについてさらに詳しく見ていきましょう。
元の外観を復元したリノベーション後のロートナー・コンパウンド写真:ダン・チャフキン
戦後の中流階級のためのリゾートコミュニティ
ロートナー・コンパウンドは、パームスプリングスから車で20分のコーチェラバレーの北側にある小都市デザートホットスプリングスに位置しています。
4戸が連なる集合住宅は、600エーカー(約2.4平方キロメートル)に建つ住宅、小売店、レクリエーション施設からなる100棟以上のコミュニティのプロトタイプ(そして唯一完成した部分)として作られました。アカデミー賞作品賞の初代受賞者であるハリウッドのプロデューサー・脚本家、ルシアン・ハバードから依頼されたプロジェクトです。
なぜ最初の4戸だけが建設されたのかは不明です。1940年代後半の完成後、建物はハバードの仕事仲間であった俳優や友人たちによって、ロサンゼルスの詮索好きな目から逃れるための冬の隠れ家として使われました。
戦後の中流階級のためのリゾートコミュニティ
ロートナー・コンパウンドは、パームスプリングスから車で20分のコーチェラバレーの北側にある小都市デザートホットスプリングスに位置しています。
4戸が連なる集合住宅は、600エーカー(約2.4平方キロメートル)に建つ住宅、小売店、レクリエーション施設からなる100棟以上のコミュニティのプロトタイプ(そして唯一完成した部分)として作られました。アカデミー賞作品賞の初代受賞者であるハリウッドのプロデューサー・脚本家、ルシアン・ハバードから依頼されたプロジェクトです。
なぜ最初の4戸だけが建設されたのかは不明です。1940年代後半の完成後、建物はハバードの仕事仲間であった俳優や友人たちによって、ロサンゼルスの詮索好きな目から逃れるための冬の隠れ家として使われました。
住宅の傾斜した屋根は遠くの山の形を反映しています。片側は勾配が緩やかで、反対側は急勾配になっている非対称な屋根によって、外観をより自然に見せています。写真: ジュリアス・シュルマン、ゲティ財団
1920年代後半、ハバードは敷地内にビー・バー・エイチ・ランチ(B Bar H Ranch)を作りました。そこでは、完全にプライバシーが守られた環境で、ハリウッドスターが日光浴や、乗馬、牛を使った投げ縄を愉しむことができました。
第二次世界大戦の終結と中流階級の急増で、ハバードは彼の土地の新しい方向性を見出します。1947年に彼は当時まで牧場を楽しんでいたハリウッドのエリートよりも、さらに幅広い人々を対象とした近代的なリゾートコミュニティのデザインをロートナーに依頼しました。
当時ロートナーはまだ36歳でしたが、1930年代後半からロサンゼルスで彼がデザインしていた近代的な住宅はすでに幅広い称賛を受けていました。
1920年代後半、ハバードは敷地内にビー・バー・エイチ・ランチ(B Bar H Ranch)を作りました。そこでは、完全にプライバシーが守られた環境で、ハリウッドスターが日光浴や、乗馬、牛を使った投げ縄を愉しむことができました。
第二次世界大戦の終結と中流階級の急増で、ハバードは彼の土地の新しい方向性を見出します。1947年に彼は当時まで牧場を楽しんでいたハリウッドのエリートよりも、さらに幅広い人々を対象とした近代的なリゾートコミュニティのデザインをロートナーに依頼しました。
当時ロートナーはまだ36歳でしたが、1930年代後半からロサンゼルスで彼がデザインしていた近代的な住宅はすでに幅広い称賛を受けていました。
アリゾナ州ソノラ砂漠のマクドウェル山脈のふもとにある、フランク・ロイド・ライト設計のタリアセン・ウエスト(冬の家および建築学校)写真:アンドリュー・ピーレイジ(Andrew Pielage)
フランク・ロイド・ライトの有機的建築からインスパイアされて
ロートナーは芸術と建築に熱心だった両親のもと、1911年にミシガン州マーケットで生を受けました。彼の幼少期には、家族が自ら設計し、スペリオル湖を見下ろす岩の上にミッドガルド(Midgaard)というキャビンを建てました。大学では、哲学、文学、芸術、建築を学び、1933年、フランク・ロイド・ライトの自伝を読むとすぐにタリアセンでライトの見習いプログラムに参加し、そこで1939年まで修業します。
ライトは、落水荘とタリアセン・ウエスト(砂漠の住宅兼建築学校)で見られるデザインアプローチを説明するために「有機的建築」という用語を最初に作りました。どちらのプロジェクトでも、石とコンクリートの壁が建物と地面をつないでいます。この用語は、自然からインスパイアされ、大地から生えてきたかのような建築を特徴とするデザイン運動を表すようになります。ロートナーも彼のデザインの中でこの哲学を採用しました。
フランク・ロイド・ライトの有機的建築からインスパイアされて
ロートナーは芸術と建築に熱心だった両親のもと、1911年にミシガン州マーケットで生を受けました。彼の幼少期には、家族が自ら設計し、スペリオル湖を見下ろす岩の上にミッドガルド(Midgaard)というキャビンを建てました。大学では、哲学、文学、芸術、建築を学び、1933年、フランク・ロイド・ライトの自伝を読むとすぐにタリアセンでライトの見習いプログラムに参加し、そこで1939年まで修業します。
ライトは、落水荘とタリアセン・ウエスト(砂漠の住宅兼建築学校)で見られるデザインアプローチを説明するために「有機的建築」という用語を最初に作りました。どちらのプロジェクトでも、石とコンクリートの壁が建物と地面をつないでいます。この用語は、自然からインスパイアされ、大地から生えてきたかのような建築を特徴とするデザイン運動を表すようになります。ロートナーも彼のデザインの中でこの哲学を採用しました。
タリアセン・ウエスト製図室
写真:ニータ・パテル
ロートナーはライトに弟子入りしていた間、タリアセン・ウエスト製図室の建設を手伝いました。部屋の上部からレッドウッドで仕上げた梁で支えられた傾斜屋根が、砂漠のロートナー作品のデザインに影響を与えたことは明らかです。
アメリカに行ったら訪ねてみたい。フランク・ロイド・ライトの名作住宅
写真:ニータ・パテル
ロートナーはライトに弟子入りしていた間、タリアセン・ウエスト製図室の建設を手伝いました。部屋の上部からレッドウッドで仕上げた梁で支えられた傾斜屋根が、砂漠のロートナー作品のデザインに影響を与えたことは明らかです。
アメリカに行ったら訪ねてみたい。フランク・ロイド・ライトの名作住宅
ロートナー・コンパウンドの住宅のひとつ。地中へ沈み込んだ内部からは、連なるガラス窓越しにサボテン・ガーデンとテラスが見渡せ、周囲の高いコンクリート壁の上からはちらりと空が覗きます。写真: マイク・シュウォーツ
ロートナーによる近代的プエブロ
4つの700平方フィート(約65平米)の棟からなるロートナー・コンパウンドは一様なレイアウトで、住戸を分離する高い壁が外部への直接の視界を遮っていることが特徴ですが、周囲の広大で素晴らしい景色を考えると、これは驚くべきアプローチと言えるでしょう。
しかしロートナーが家のすべての側面をガラスにし、その連なったガラスと「パーティー・ウォール(隣家との共有壁)」の間に設けられた狭い屋外空間と砂漠の庭に面するようにしているので、それほど閉塞感はありません。これらの壁は長屋の共有壁の現代版で、長屋間を分離し、防火の役目を果たしているのです。
ロートナーによる近代的プエブロ
4つの700平方フィート(約65平米)の棟からなるロートナー・コンパウンドは一様なレイアウトで、住戸を分離する高い壁が外部への直接の視界を遮っていることが特徴ですが、周囲の広大で素晴らしい景色を考えると、これは驚くべきアプローチと言えるでしょう。
しかしロートナーが家のすべての側面をガラスにし、その連なったガラスと「パーティー・ウォール(隣家との共有壁)」の間に設けられた狭い屋外空間と砂漠の庭に面するようにしているので、それほど閉塞感はありません。これらの壁は長屋の共有壁の現代版で、長屋間を分離し、防火の役目を果たしているのです。
ソファの背もたれと同じ高さにある砂漠の庭は室内の床面より上に位置し、自然に包まれているかのような印象を与えます。 写真:ダン・チャフキン
ロートナーは室内の床を地面から2フィート(約61センチメートル)下げることで地中に閉じ込められている感覚を生みだしました。それは、集合した家々が地中に押し込まれた南西部の初期のプエブロ集落を彷彿とさせます。
壁に包まれたロートナー・コンパウンドの室内は、まるで子宮のように、過酷な砂漠(および近隣)から守られているかのようです。リビングルームに座っているときの目線の高さが低い砂漠の植栽と同じ高さにあり、自然との美しいつながりを作りだしています。
ロートナーは室内の床を地面から2フィート(約61センチメートル)下げることで地中に閉じ込められている感覚を生みだしました。それは、集合した家々が地中に押し込まれた南西部の初期のプエブロ集落を彷彿とさせます。
壁に包まれたロートナー・コンパウンドの室内は、まるで子宮のように、過酷な砂漠(および近隣)から守られているかのようです。リビングルームに座っているときの目線の高さが低い砂漠の植栽と同じ高さにあり、自然との美しいつながりを作りだしています。
復元されたレッドウッドの羽目板の中にある窓からはサボテン・ガーデンが見渡せ、コンパクトなキッチンの中心になっています。 写真:マイク・シュウォーツ
最新の状態にリノベートされたキッチンでも、窓枠は屋外のサボテン・ガーデンの高さにぴったりと合っています。
最新の状態にリノベートされたキッチンでも、窓枠は屋外のサボテン・ガーデンの高さにぴったりと合っています。
住居部分はすべて隣接し合っています。駐車場とテラスガーデンを含む4つの土地占有面積の合計はわずか4,750平方フィート(約441平米)です。
型破りのレイアウト
住居のレイアウトも伝統的なものからは程遠く、平面図でみるとほとんど直角がないため、各住戸の700平方フィート(約65平米)という小さな面積の割には、はるかに大きく見えます。
日光浴ができる中庭は、隣接する駐車場からは高い壁で隔離されており、プライバシーが守られています。それに加えて、壁で囲まれた建物は砂漠の環境に非常に適しており、特に建物の南側と西側は窓からの熱を遮っています。
型破りのレイアウト
住居のレイアウトも伝統的なものからは程遠く、平面図でみるとほとんど直角がないため、各住戸の700平方フィート(約65平米)という小さな面積の割には、はるかに大きく見えます。
日光浴ができる中庭は、隣接する駐車場からは高い壁で隔離されており、プライバシーが守られています。それに加えて、壁で囲まれた建物は砂漠の環境に非常に適しており、特に建物の南側と西側は窓からの熱を遮っています。
傾斜したコンクリート壁と屋根の間の狭い隙間が朝日を捉え、ライトウェル(光井戸)のような役割を果たすため、壁に囲まれても暗さを感じさせません。写真: マイク・シュウォーツ
ワンルームタイプの各住戸には、リビングとベッドルームを組み合わせたエリアがあり、砂漠の庭とプライベートテラスに面してスライド式の窓を設けています。住戸の端にはバスルーム、もう片方にはキッチンがあります。住戸の自立性を考えれば、おそらく長期的な冬のレンタルまたは所有向きの建物であるといえます。
ワンルームタイプの各住戸には、リビングとベッドルームを組み合わせたエリアがあり、砂漠の庭とプライベートテラスに面してスライド式の窓を設けています。住戸の端にはバスルーム、もう片方にはキッチンがあります。住戸の自立性を考えれば、おそらく長期的な冬のレンタルまたは所有向きの建物であるといえます。
先に取付けられた鉄骨梁の上にコンクリートが置かれるという標準的な構造を逆転させ、鉄骨梁が外観を特徴づける設計アプローチとなっています。写真: ダン・チャフキン
象徴的な外骨格鉄骨
建物構造は主にコンクリートで、まずスラブ・オン・グレード基礎および住戸を区切るパーティー・ウォールとなる現場打ちコンクリートの壁が作られました。ロートナーは直角の使用を避け、ひだ状で先細りのコンクリート壁が地面から伸びているかのように設計しました。
各住戸の屋根を支える4本の鉄骨梁がコンクリート壁の内側に設置されています。ロートナーはコンクリートの屋根を鉄骨梁の下に吊り下げ、梁を上に露出させたままにしました。
これら斜めの鉄骨梁はこの建築の特徴的なデザイン要素として、遠くから見ると、周囲の山々に呼応し、恐竜の骨格のように際立っています。
象徴的な外骨格鉄骨
建物構造は主にコンクリートで、まずスラブ・オン・グレード基礎および住戸を区切るパーティー・ウォールとなる現場打ちコンクリートの壁が作られました。ロートナーは直角の使用を避け、ひだ状で先細りのコンクリート壁が地面から伸びているかのように設計しました。
各住戸の屋根を支える4本の鉄骨梁がコンクリート壁の内側に設置されています。ロートナーはコンクリートの屋根を鉄骨梁の下に吊り下げ、梁を上に露出させたままにしました。
これら斜めの鉄骨梁はこの建築の特徴的なデザイン要素として、遠くから見ると、周囲の山々に呼応し、恐竜の骨格のように際立っています。
一番端の住戸のテラスに立つ、家主のトレーシー・ベックマンとライアン・トロ―ブリッジ
写真:ダン・チャフキン
砂漠の傑作を復元する
現在の家主、ビジネスパートナーのライアン・トロ―ブリッジとトレーシー・ベックマンは、2007年、ロサンゼルス近郊のシルバーレイク周辺にあった家のリノベーションをしてくれる建築家を探していたときに、ロートナー・コンパウンドを偶然に発見しました。彼らはオンライン不動産リストで「デザートホットスプリング・モーテル」集合住宅の物件を見つけると、翌朝には車を走らせました。
インテリアデザイナーのベックマンは1990年代後半、ロサンゼルスにあるロートナーの象徴的なシーツ/ゴールドスタイン邸(Sheats-Goldstein House)での映画撮影でセットデザイナーとして働いていた時に、ロートナーの建築に惚れこんでしまいました。彼女は、ハリウッドヒルズの上にせり出すかのようなコンクリートの格天井を気に入りました。あたかも地面からくりぬかれた跡がプールになったかのようでした。「これが私の人生を変えたのです」と彼女は言います。「いつか彼の作品を所有したいと思いました」
建築家を探す
写真:ダン・チャフキン
砂漠の傑作を復元する
現在の家主、ビジネスパートナーのライアン・トロ―ブリッジとトレーシー・ベックマンは、2007年、ロサンゼルス近郊のシルバーレイク周辺にあった家のリノベーションをしてくれる建築家を探していたときに、ロートナー・コンパウンドを偶然に発見しました。彼らはオンライン不動産リストで「デザートホットスプリング・モーテル」集合住宅の物件を見つけると、翌朝には車を走らせました。
インテリアデザイナーのベックマンは1990年代後半、ロサンゼルスにあるロートナーの象徴的なシーツ/ゴールドスタイン邸(Sheats-Goldstein House)での映画撮影でセットデザイナーとして働いていた時に、ロートナーの建築に惚れこんでしまいました。彼女は、ハリウッドヒルズの上にせり出すかのようなコンクリートの格天井を気に入りました。あたかも地面からくりぬかれた跡がプールになったかのようでした。「これが私の人生を変えたのです」と彼女は言います。「いつか彼の作品を所有したいと思いました」
建築家を探す
ベックマンは、2008年に購入した砂漠の家を「ひどい状態」であったと説明します。元のレッドウッドのパネルの大部分は腐っており、内装と外装は漆喰で覆われていました。
テラスガーデンを囲む、軽量のレッドウッドで作られた壁のうち2つは、ひどく劣化していて交換する必要がありました。(これは、ロートナーが砂漠での作業に慣れておらず、砂漠の太陽の下でクリア仕上げの木材が急速に劣化したことを示しています)現在外装の木材は、3か月に一度チークオイルを塗ってメンテナンスされています。
1940年代に撮影された写真に見受けられる、砂漠の初心者が犯したもう一つの間違いは、庭の芝生と水やりが必要な植栽です。現在のサボテン・ガーデンは環境により適しており、サボテンが置かれている砂は禅庭園の美学を生み出しています。
テラスガーデンを囲む、軽量のレッドウッドで作られた壁のうち2つは、ひどく劣化していて交換する必要がありました。(これは、ロートナーが砂漠での作業に慣れておらず、砂漠の太陽の下でクリア仕上げの木材が急速に劣化したことを示しています)現在外装の木材は、3か月に一度チークオイルを塗ってメンテナンスされています。
1940年代に撮影された写真に見受けられる、砂漠の初心者が犯したもう一つの間違いは、庭の芝生と水やりが必要な植栽です。現在のサボテン・ガーデンは環境により適しており、サボテンが置かれている砂は禅庭園の美学を生み出しています。
しかし、建物の「骨」であるコンクリート壁、屋根、鉄骨梁は無傷でした。
ベックマンとトロ―ブリッジは、4年間でほとんどのリノベーション作業を自分たちで行いました。仕上げに焦点を当てながら、ベックマンがインテリアデザインを、熟練の家具デザイナーであり職人でもあるトロ―ブリッジが大工仕事と建設全般を担当。電気および配管工事は専門業者に外注しました。
二人が直面した最大の課題の1つは、直角の欠如―それは、レッドウッド板を取り替える際にしばしば切断面の数が増えるということでした。
もう1つの課題は、屋根の水漏れ対策。トロ―ブリッジは既存のタール紙の屋根を現代の発泡ウレタンスプレー(SPF)の屋根に置き換えました。発泡ウレタンは鋼とコンクリートの隙間をよりよく埋めることができ、それが漏れを最小限にするのに役立ったと彼は言います。
ベックマンとトロ―ブリッジは、4年間でほとんどのリノベーション作業を自分たちで行いました。仕上げに焦点を当てながら、ベックマンがインテリアデザインを、熟練の家具デザイナーであり職人でもあるトロ―ブリッジが大工仕事と建設全般を担当。電気および配管工事は専門業者に外注しました。
二人が直面した最大の課題の1つは、直角の欠如―それは、レッドウッド板を取り替える際にしばしば切断面の数が増えるということでした。
もう1つの課題は、屋根の水漏れ対策。トロ―ブリッジは既存のタール紙の屋根を現代の発泡ウレタンスプレー(SPF)の屋根に置き換えました。発泡ウレタンは鋼とコンクリートの隙間をよりよく埋めることができ、それが漏れを最小限にするのに役立ったと彼は言います。
写真:マイク・シュウォーツ
彼らはコンクリート壁と天井を覆っている荒れた漆喰を取り除き、滑らかなセメントを塗り直し、ワックスで仕上げました。ロートナーが手掛けた他の建築を色の参考に、コンクリートとレッドウッドは自然な色調のまま、そしてライトのタリアセン・ウエスト製図室のように鉄骨梁は赤く塗られました。
家主の目標は、ロートナーのオリジナルデザインを尊重しつつ、現代の快適さと基準を満たすようインテリアを改装することでした。明るい灰色のコンクリートの天井や床、木枠の窓、レッドウッド板など、内部の大きな要素はオリジナルのデザインに忠実としました。家具はトロ―ブリッジがカスタムデザインしたベッドに合うようミッドセンチュリークラシックのものを選びました。
彼らはコンクリート壁と天井を覆っている荒れた漆喰を取り除き、滑らかなセメントを塗り直し、ワックスで仕上げました。ロートナーが手掛けた他の建築を色の参考に、コンクリートとレッドウッドは自然な色調のまま、そしてライトのタリアセン・ウエスト製図室のように鉄骨梁は赤く塗られました。
家主の目標は、ロートナーのオリジナルデザインを尊重しつつ、現代の快適さと基準を満たすようインテリアを改装することでした。明るい灰色のコンクリートの天井や床、木枠の窓、レッドウッド板など、内部の大きな要素はオリジナルのデザインに忠実としました。家具はトロ―ブリッジがカスタムデザインしたベッドに合うようミッドセンチュリークラシックのものを選びました。
写真:ダン・チャフキン
キッチンとバスルームは何年にもわたって作り替えられ、当初の仕上がりは失われました。
二人はバスルームの備品や仕上げは交換しましたが、元のレイアウトはそのままにしています。1948年以来カリフォルニアでタイルのデザインと製造を行っているヒースセラミックスの新しいタイルを使用しました。照明器具はロサンゼルスにあるリズ・アンティークハードウエア(Liz’s Antique Hardware)製、シンクはデュラビット製です。
キッチンとバスルームは何年にもわたって作り替えられ、当初の仕上がりは失われました。
二人はバスルームの備品や仕上げは交換しましたが、元のレイアウトはそのままにしています。1948年以来カリフォルニアでタイルのデザインと製造を行っているヒースセラミックスの新しいタイルを使用しました。照明器具はロサンゼルスにあるリズ・アンティークハードウエア(Liz’s Antique Hardware)製、シンクはデュラビット製です。
写真:ダン・チャフキン
彼らは二号室の東側に屋外テラスを追加。ロートナーによるオリジナルのデザインテーマを反映して、テラスは左側の植栽エリアより低くなっています。
家主は車が敷地に入ることを許可していません。「中庭は、自分と向きあって落ち着くことのできる、プライバシーのための場所であって、車を置く場所ではありません」とベックマンは言います。
ロートナー・コンパウンドの旅をさらにつづけることも可能です。トロ―ブリッジとベックマンが短期間のバケーション用賃貸住宅として4戸を貸し出していることは、ファンにとっては朗報でしょう。
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彼らは二号室の東側に屋外テラスを追加。ロートナーによるオリジナルのデザインテーマを反映して、テラスは左側の植栽エリアより低くなっています。
家主は車が敷地に入ることを許可していません。「中庭は、自分と向きあって落ち着くことのできる、プライバシーのための場所であって、車を置く場所ではありません」とベックマンは言います。
ロートナー・コンパウンドの旅をさらにつづけることも可能です。トロ―ブリッジとベックマンが短期間のバケーション用賃貸住宅として4戸を貸し出していることは、ファンにとっては朗報でしょう。
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