コメント
真っ白な家並みに溶け込んで。傾斜を利用し景観を楽しむスペインの家
異なる3つ高さの区画を最大限利用し、周囲の建築様式になじませた別荘をご紹介します。
Araceli Herrero
2018年6月16日
スペイン南部マラガ地方ガウシンにあるこの家を建てるのは容易ではなかった。「これまで私たちが設計した中で、最も複雑な家のひとつです」と〈DTRストゥディオ・アルキテクトス〉のホセ・マリア・オルメードさんは言う。理由は、高低差が約6メートルという急斜面に並ぶ3区画の土地にまたがって建てたからだ。そのうえ、工事が始まる直前にオーナーが3区画目の土地を購入したため、建築家は最終段階になってプロジェクト全体を考え直さなければならなかった。4年の歳月と約26万米ドル(約2800万円)の費用をかけて完成したこの家のユニークさは、この地方に典型的な白い家並みの中に溶け込みながらも際立っている。
写真:Cris Beltrán
どんなHouzz?
住まい手:スコットランド人のカップル
所在地:スペイン、マラガ地方ガウシン
規模:190平方メートル
プロジェクト:〈DTRストゥディオ・アルキテクトス〉
オーナーで、ここには時折滞在しているスコットランド人カップルの最初のリクエストは、既存の家を隣の区画まで拡張することだった。そこで、この町に最も多い建築様式に溶け込むデザインを提案した。
工事が始まる直前に、そのふたつの区画の土地のさらに上にある家が売りに出された。この3区画目の土地によって、素晴らしい眺望を手に入れ、さらに大掛かりなプロジェクトにするチャンスが生まれた。オルメードさんは既存の家屋を取り壊して新たに3つの区画すべてにまたがる家を建てることを提案した。オーナーは一瞬のためらいもなく賛成し、オルメードさんの裁量にすべて任せると言った。
どんなHouzz?
住まい手:スコットランド人のカップル
所在地:スペイン、マラガ地方ガウシン
規模:190平方メートル
プロジェクト:〈DTRストゥディオ・アルキテクトス〉
オーナーで、ここには時折滞在しているスコットランド人カップルの最初のリクエストは、既存の家を隣の区画まで拡張することだった。そこで、この町に最も多い建築様式に溶け込むデザインを提案した。
工事が始まる直前に、そのふたつの区画の土地のさらに上にある家が売りに出された。この3区画目の土地によって、素晴らしい眺望を手に入れ、さらに大掛かりなプロジェクトにするチャンスが生まれた。オルメードさんは既存の家屋を取り壊して新たに3つの区画すべてにまたがる家を建てることを提案した。オーナーは一瞬のためらいもなく賛成し、オルメードさんの裁量にすべて任せると言った。
オーナーはサステナビリティと環境への配慮を何より重視した。「あまり知られていないシステムを採用しました」とオルメードさん。「《SATE》という、〈ウェーバー・サン・ゴバン〉の外壁用断熱・遮音システムです。周囲の環境に合わせて、外壁には後から白い石灰塗料を塗りました」
木材の建具のように見える部分は、実はポリ塩化ビニール製。窓はLow-E複層ガラスで、16ミリメートルの隙間にアルゴンガスが充填されている。
木材の建具のように見える部分は、実はポリ塩化ビニール製。窓はLow-E複層ガラスで、16ミリメートルの隙間にアルゴンガスが充填されている。
立面図を見ると、この家が3つの階層にどのように振り分けられているかがわかる。最上階には正面玄関、リビングエリアと眺めの素晴らしいプールがある。2階にはベッドルームとバスルームが2つずつあり、1階はゲストルームが占めている。
玄関は最上階にある。キッチンエリアには、手焼きレンガのラティス(格子)から光が差し込む。プールと階段の間にも2つ目のラティスを設けた。これは建築家がこの土地特有の建築様式の素材と要素をなるべく取り入れようとしてることを示すよい例だ。
LDKエリアはひと続きのオープンプラン。大きな窓で屋外スペースにつながり、小さな町ガウシンの見事な眺めを楽しむことができる。
キッチンは〈シュミット〉で、ドアはワイルドオーク材仕上げ。吊り戸棚は白の光沢仕上げになっており、カウンタートップは〈サイルストーン〉製。
キッチンは〈シュミット〉で、ドアはワイルドオーク材仕上げ。吊り戸棚は白の光沢仕上げになっており、カウンタートップは〈サイルストーン〉製。
リビングエリアは、ニュートラルカラーと北欧スタイルのコンテンポラリーな家具を置いた。
床はマイクロコンクリート。この建築様式でよく使われる、シンプルでニュートラルな素材だ。
床はマイクロコンクリート。この建築様式でよく使われる、シンプルでニュートラルな素材だ。
LDKのすぐ横にあるプールは、一番上の区画の残ったスペースに造られた。テラスの残りの部分は、下の階の屋根でもある。
広い階段は下の階への通路であり、各階を一体化する要素になっている。踏み板はコンクリート、蹴込み板は斜めに切った白い大理石だ。
階段を天窓が引き立て、最上段からは周辺の素晴らしい景観も楽しめる。
ゲストルームのキッチンも、コンクリート製の床、白いドアと壁など、この家のほかの部分と同様のスタイルで作られた。〈イケア〉のキャビネットの素材はステンレスとオーク材だ。
「リビングエリアの平屋根はプールから約3メートルの高さにあり、もう1フロア増やせるようにできています。実は、間もなくその作業に取り掛かります」とオルメードさん。「平屋根はこのエリアでごく一般的な白い屋根をまねしたので、家は周囲の建築様式に完璧に溶け込んでいます」
最上階の平面図:リビングエリア、プール、景観を楽しむテラス
地下1階の平面図:2つのベッドルームと2つのバスルーム(トイレ含む)
おすすめの記事
Houzzがきっかけの家(国内)
ジョージア・オキーフ邸をイメージした、4人家族の暮らしにフィットする家
文/永井理恵子
Houzzで見つけた建築家に依頼して、予算内で夢の住まいを実現!通りかかった人に「素敵ですね!」とよく褒められる、シンプルながらスタイリッシュなお宅です。
続きを読む
日本の家
ゲストへの思いやりの心をしつらえた、離れのある家
文/杉田真理子
東京から訪れるゲストのため、母屋のほかにゲストルームの離れをしつらえた住まい。伝統的な日本家屋の美しさが、自然の中で引き立つ家です。
続きを読む
Houzzがきっかけの家(国内)
家族で自然を満喫。極上の浴室と広々としたデッキを備えた軽井沢の別荘
3人の子供たちの成長期に家族で軽井沢ライフを楽しむため、オーナーは時間のかかる土地探し&新築計画を見直し、中古物件を購入。Houzzで見つけた長野県の建築家に改修を依頼して、飛躍的に自然とのつながりが感じられる住まいに変身させました。
続きを読む
リノベーション
建築家がゲストハウスに再考したガレージ
多目的スペースへと作り替えられた空間とカーポートの追加によって、スタイリッシュにアップデートされた、歴史あるニューイングランド様式の住宅をご紹介します。
続きを読む
世界の家
ビルバオのグランビア通りに佇む、1950年代のクラシカルなフラットハウス
既存のモールディングが美しい85平方メートルのリビング、ダイニング、ホームオフィスをもつ、エレガントなフラットをご紹介します。
続きを読む