コメント
省スペース&マルチファンクショナル。賢い機能のアンティーク家具を選ぶ
在イギリス20年のアンティークのプロが、モダンな空間にアンティークをとり入れて楽しむ際の選び方、合わせ方などのコツをご紹介します。
西谷典子|Noriko Nishiya
2015年5月2日
現実の部屋のスペースは限られているので、場所をとるアンティーク家具を置くのは無理だと思う人もいらっしゃるでしょう。でもアンティーク家具の中には収納力に優れた、または多機能な賢いデザインがたくさんあるので、むしろ普通の家具よりも使い勝手がよく、おすすめです。特にヴィクトリア女王時代は、新しい機能を開発して一攫千金を狙う産業デザイン上の発明ブームのピークだったので、驚きのデザインが結構あるのです。中には首をかしげるようなものも発明されて、今ではレア・アイテムとして登場することもありますが……。
今回は使い勝手に優れた、機能的なアンティーク家具の種類と、その特徴をご紹介します。
ファイリングキャビネット
生産された当時には大切な書類がさぞかしいっぱい入っていただろうと思われるキャビネットです。仕事が終われば机を中にしまって、上部に巻き上げられているカバーを下げて鍵をかけるしくみです。こんこのようなファイリングキャビネットがあれば、たくさんの書類もすっきり収まり、仕事にも集中できそうです。
生産された当時には大切な書類がさぞかしいっぱい入っていただろうと思われるキャビネットです。仕事が終われば机を中にしまって、上部に巻き上げられているカバーを下げて鍵をかけるしくみです。こんこのようなファイリングキャビネットがあれば、たくさんの書類もすっきり収まり、仕事にも集中できそうです。
ライティングビューロー
限られたスペースに置くのに最適なのがライティングビューローです。場所を取らずチェストとしても使えるので、リビングルームだけでなくベッドルームでも大活躍。18世紀にマホガニーをイギリスにもたらした〈ギロー社〉のビューローやデスクの多くは、中に隠し箱や扉があり、しかも簡単には開けられないからくりが施してあって、その当時の技術力の高さがわかります。〈ギロー社〉のビューローに出会ったらぜひ、そのからくりをじっくり見てみてください。
限られたスペースに置くのに最適なのがライティングビューローです。場所を取らずチェストとしても使えるので、リビングルームだけでなくベッドルームでも大活躍。18世紀にマホガニーをイギリスにもたらした〈ギロー社〉のビューローやデスクの多くは、中に隠し箱や扉があり、しかも簡単には開けられないからくりが施してあって、その当時の技術力の高さがわかります。〈ギロー社〉のビューローに出会ったらぜひ、そのからくりをじっくり見てみてください。
ドロップリーフテーブル
必要なときだけ、両側または片側の袖を広げて使い、使わないときは袖を下ろせば(ドロップすれば)ディスプレイ用のサイドテーブルになる、「ドロップリーフテーブル」。袖を下ろせば場所を取らないサイズになるので、一台あるととても便利です。小さなサイズであればベットサイドに置き、必要なときだけ広げてデスクとしても。ジョージ時代を代表する、よく考えられたマルチファンクショナルな発明品です。
必要なときだけ、両側または片側の袖を広げて使い、使わないときは袖を下ろせば(ドロップすれば)ディスプレイ用のサイドテーブルになる、「ドロップリーフテーブル」。袖を下ろせば場所を取らないサイズになるので、一台あるととても便利です。小さなサイズであればベットサイドに置き、必要なときだけ広げてデスクとしても。ジョージ時代を代表する、よく考えられたマルチファンクショナルな発明品です。
ドローリーフテーブル
こちらは、必要な時だけ両サイドのリーフを中から引き出して(ドローして)伸ばすことができる、「ドローリーフテーブル」。そのバリエーションとして、両側を引っ張ると中からエクステンションのリーフが飛び出す「サプライジングテーブル」や「ポップアップテーブル」などもあり、名前の通り驚かせられる賢い構造のアンティークのテーブルは数々あります。
これらのテーブルはややクラシックな見た目なので、椅子の合わせ方に気をつけましょう。コンテンポラリーなデザインを選ぶか、アンティークならセットではなく全部違うデザイン、しかも華奢な椅子を選ぶと、おもしろいエクレクティックスタイルのスタイリングになります。
こちらは、必要な時だけ両サイドのリーフを中から引き出して(ドローして)伸ばすことができる、「ドローリーフテーブル」。そのバリエーションとして、両側を引っ張ると中からエクステンションのリーフが飛び出す「サプライジングテーブル」や「ポップアップテーブル」などもあり、名前の通り驚かせられる賢い構造のアンティークのテーブルは数々あります。
これらのテーブルはややクラシックな見た目なので、椅子の合わせ方に気をつけましょう。コンテンポラリーなデザインを選ぶか、アンティークならセットではなく全部違うデザイン、しかも華奢な椅子を選ぶと、おもしろいエクレクティックスタイルのスタイリングになります。
スタッキングブックケース
スタッキングブックケースの多くは重ねてあるものなので、数を増やしたり、減らしたりが自由にできます。ガラスの扉は引き上げて中にしまいこむ構造になっているので、オープンのブックケースのように使うこともできます。通常は本の収納に使われますが、中に棚板をもう1枚つければ、写真のように靴箱としても使えます。ディスプレイしながら収納ができる機能のキャビネットとブックケースがミックスされた、これもかなり賢いデザインです。
スタッキングブックケースの多くは重ねてあるものなので、数を増やしたり、減らしたりが自由にできます。ガラスの扉は引き上げて中にしまいこむ構造になっているので、オープンのブックケースのように使うこともできます。通常は本の収納に使われますが、中に棚板をもう1枚つければ、写真のように靴箱としても使えます。ディスプレイしながら収納ができる機能のキャビネットとブックケースがミックスされた、これもかなり賢いデザインです。
コーナーキャビネット
地味な存在ですが、案外便利なアイテムがコーナーキャビネットです。デッドスペースとなったところにすっぽりはまり、幅もたいてい20cm以下なので、場所も取りません。写真はキッチン用のコーナーキャビネットですが、このように玄関のホールテーブルとして使うのはよいアイデアです。上面はディスプレイスペースにもなり、狭いスペースを有効に使うことができます。
地味な存在ですが、案外便利なアイテムがコーナーキャビネットです。デッドスペースとなったところにすっぽりはまり、幅もたいてい20cm以下なので、場所も取りません。写真はキッチン用のコーナーキャビネットですが、このように玄関のホールテーブルとして使うのはよいアイデアです。上面はディスプレイスペースにもなり、狭いスペースを有効に使うことができます。
カードテーブル
カードゲームやチェス専用につくられたテーブルですが、天板をひっくり返すと無地の天板になるデザインが多いので、普通の小さなテーブルとしても抵抗なく使えると思います。たいていはチェスの駒を入れる引き出しが各側面についているので、たとえばテーブルセッティング用のこまごまとしたアイテムの収納にも便利です。小さめのテーブルを探している方におすすめのアイテムです。
カードゲームやチェス専用につくられたテーブルですが、天板をひっくり返すと無地の天板になるデザインが多いので、普通の小さなテーブルとしても抵抗なく使えると思います。たいていはチェスの駒を入れる引き出しが各側面についているので、たとえばテーブルセッティング用のこまごまとしたアイテムの収納にも便利です。小さめのテーブルを探している方におすすめのアイテムです。
モンクスベンチ
ベンチシートの下が収納スペースになっているデザインが多く、また傘やコートをかける玄関用家具「ホールスタンド」とドッキングしたタイプのベンチもあるので、玄関先に置くアイテムとして大変便利です。たいていが存在感のある大きさなので、大きめの柄のクッションなどでアクセントをつけるなどして、木の重厚な感じを軽減するようにスタイリングしてみてください。
ベンチシートの下が収納スペースになっているデザインが多く、また傘やコートをかける玄関用家具「ホールスタンド」とドッキングしたタイプのベンチもあるので、玄関先に置くアイテムとして大変便利です。たいていが存在感のある大きさなので、大きめの柄のクッションなどでアクセントをつけるなどして、木の重厚な感じを軽減するようにスタイリングしてみてください。
ネストテーブル
最初のネストテーブルは18世紀のイギリスの3大家具デザイナーの1人、トーマス・シェラトンによってデザインされました。当時は今の主流より1つ多い、4つのカルテットテーブルで、手芸やカードゲーム用につくられたものだったそうです。現代のインテリアでも、コーヒーテーブルやサイドテーブル、ベッドサイドテーブルとして重宝なうえ、子供のお絵描き用のテーブルにも最適。シンプルなマルチファンクショナルデザインはどの時代でも活躍するものです。
最初のネストテーブルは18世紀のイギリスの3大家具デザイナーの1人、トーマス・シェラトンによってデザインされました。当時は今の主流より1つ多い、4つのカルテットテーブルで、手芸やカードゲーム用につくられたものだったそうです。現代のインテリアでも、コーヒーテーブルやサイドテーブル、ベッドサイドテーブルとして重宝なうえ、子供のお絵描き用のテーブルにも最適。シンプルなマルチファンクショナルデザインはどの時代でも活躍するものです。
ティートロリー
一見サイドテーブルに見えますが、カートがついているティートロリーです。このように天板の部分がトレイとして持ち運べるようになっているデザインや、ドロップリーフでテーブルを広げられるデザインもあり、キッチンやダイニングで大活躍するアイテムです。普段は花やオブジェを飾るオケージョナルテーブルとして使えば、モダンなインテリアにもなじむと思います。
一見サイドテーブルに見えますが、カートがついているティートロリーです。このように天板の部分がトレイとして持ち運べるようになっているデザインや、ドロップリーフでテーブルを広げられるデザインもあり、キッチンやダイニングで大活躍するアイテムです。普段は花やオブジェを飾るオケージョナルテーブルとして使えば、モダンなインテリアにもなじむと思います。
このようにイギリスの産業革命時代に発明された賢い家具は、形は変わっても機能はそのまま、現在でも便利に使えるものばかりです。クラシックとモダンをミックスするエクレクティックスタイルは、そもそもが頭をひねりながらコーディネートを考えるウィットに富んだスタイル。家具選びの際もぜひ、たっぷりの収納やおもしろい機能のある便利な家具を、納得のいくまで探してみてください。
このシリーズの記事を読む
アンティークを現代の住まいにミックスさせるポイント10
アンティークの基本的な知識、選び方や扱い方のポイント
アンティーク家具のタイムレスな魅力は、シンプルデザインまたはシンプルな空間で
コンパクトな空間に、アンティーク家具をバランスよく配置するコツ
今の暮らしに合わせたアンティークの使い方「見立て使い」のアイデア集
形はクラシック、色はコンテンポラリー。アンティーク家具の色を変えて生まれ変わらせる
インダストリアルとシャビーシック。人気のスタイルはヴィンテージ家具で味わいを加えて
ファブリックでアンティーク家具をリフレッシュ! アンティーク&ヴィンテージの布の使い方
ヴィンテージの照明でインテリアをブラッシュアップ!
コレクションを自分でキュレーションして飾る、アートギャラリーのようなインテリア
コメント募集中
いかがでしたか? ご感想をお聞かせください。
このシリーズの記事を読む
アンティークを現代の住まいにミックスさせるポイント10
アンティークの基本的な知識、選び方や扱い方のポイント
アンティーク家具のタイムレスな魅力は、シンプルデザインまたはシンプルな空間で
コンパクトな空間に、アンティーク家具をバランスよく配置するコツ
今の暮らしに合わせたアンティークの使い方「見立て使い」のアイデア集
形はクラシック、色はコンテンポラリー。アンティーク家具の色を変えて生まれ変わらせる
インダストリアルとシャビーシック。人気のスタイルはヴィンテージ家具で味わいを加えて
ファブリックでアンティーク家具をリフレッシュ! アンティーク&ヴィンテージの布の使い方
ヴィンテージの照明でインテリアをブラッシュアップ!
コレクションを自分でキュレーションして飾る、アートギャラリーのようなインテリア
コメント募集中
いかがでしたか? ご感想をお聞かせください。
おすすめの記事
専門家とのやりとり
プロと一緒に部屋づくりをして、素敵なインテリアを手に入れよう
部屋づくりをインテリアの専門家に依頼すると、自分では思いつかない提案がもらえることも。プロに依頼するメリットや探し方などをご紹介します。
続きを読む
コーディネート・スタイリング
おしゃれな室内インテリアにする、クッションの上手な選び方
文/片岸千代子
クッションはインテリアとしても優秀。春夏のクッションから、秋冬仕様に“衣替え”してみませんか?
続きを読む
暮らしのヒント
テレビのあり方を考えよう。テレビを主役にしないインテリアのススメ
「かっこいいリビングには大きなテレビが必要」と思い込んでいませんか? ライフスタイルが変化している今、テレビのあり方やリビングでの過ごし方について考えてみましょう。
続きを読む
名作デザイン
現代に生きる、ウィリアム・モリスのテキスタイルデザイン
アーツ&クラフツ運動に影響を与えた近代デザインの父、ウィリアム・モリス。多彩なデザイン活動の中で最もよく知られるのはそのテキスタイル。美しい植物文様が現代のインテリアにも盛んに取り入れられています。
続きを読む
名作デザイン
ウィリアム・モリスのものづくり精神とテキスタイルデザイン
イギリスの文化芸術、特に室内装飾の分野で大きな功績を残したモリスのものづくりについて、テキスタイルデザインを中心にご紹介します。
続きを読む
コーディネート・スタイリング
ブランケット、クッション、ファブリックパネルで秋冬のインテリアにチェンジ!
インテリアに季節感を取り入れるのに、最も気軽に使えるのはファブリック。なかでもすぐに試せるブランケット、クッション、ファブリックパネルで小さな模様替えをしてみませんか?
続きを読む
コーディネート・スタイリング
ソファはなきゃダメ?ソファのない暮らしを選ぶ理由
リビングにはソファを置くのが当たり前、と思っていませんか?ライフスタイルによっては、ソファを置かないという選択肢もあります。
続きを読む
寝室の記事
狭い寝室のためのベッドとベッドまわりのアイデア
寝室をリラックスできる空間にし、ぐっすり眠るのは重要です。狭い寝室を快適にするための、インテリアのアイデアをチェックしてみましょう。
続きを読む