現代の名作デザイン:〈トム・ディクソン〉の《コッパーペンダント》
2000年に大英勲章を受勲、2014年メゾン・エ・オブジェのデザイナー・オブ・ザ・イヤーに選ばれるなど、ヨーロッパをはじめとして世界で注目されるデザイナーの魅力を、ベストセラーアイテムでご紹介します。
《コッパーペンダント》は、イギリスのインテリアブランド〈トム・ディクソン〉から発売されている、ブランドの顔ともいうべきシリーズ商品。専用モールドでつくられた美しい球体と、サングラスなどに利用される真空蒸着技術で塗装した鏡面仕上げ、またコッパーとブロンズそれぞれのカラーリングが魅力。斬新さと1960年代のスペースエイジデザインを思わせる懐かしさ、存在感と軽快さのように多彩な表情を見せてくれます。まさに、素材を工業的なアプローチで形にする、トム・ディクソンのトラディショナルな趣向とユニークな造型が融合したデザイン。そこで今回は、シリーズで最もポピュラーな《コッパーペンダント》を中心としたインテリアのコーディネート例をご紹介します。
1. デザインをシンプルに楽しむ
部屋の広さや好みに応じて吊す数を変えられるのが《コッパーペンダント》の面白さ。形や質感などのデザインをシンプルに楽しみたいなら、写真のように単体がおすすめです。オーナーがデザインしたダイニングテーブルに、〈カール・ハンセン&サン〉の《Yチェア》や〈HAY〉の《J77》といったシンプルモダンな椅子、フリーマーケットやヴィンテージブティックで見つけたアイテムをミックスしたダイニングエリアですが、モダンなデザインとやさしいローズゴールドのシェードがフォーカルポイントとなり、印象をひとつにまとめています。
部屋の広さや好みに応じて吊す数を変えられるのが《コッパーペンダント》の面白さ。形や質感などのデザインをシンプルに楽しみたいなら、写真のように単体がおすすめです。オーナーがデザインしたダイニングテーブルに、〈カール・ハンセン&サン〉の《Yチェア》や〈HAY〉の《J77》といったシンプルモダンな椅子、フリーマーケットやヴィンテージブティックで見つけたアイテムをミックスしたダイニングエリアですが、モダンなデザインとやさしいローズゴールドのシェードがフォーカルポイントとなり、印象をひとつにまとめています。
ネイビーとホワイトのコントラストが美しいホームオフィス。濃い色の壁は面積が大きいので、扱い方によって圧迫感が出てしまうこともあります。しかし写真のように書棚や椅子、モールディングに白を使って抜け感を、また《コッパーペンダント》のローズゴールドで華やかさを加えれば、軽やかな印象に。さらに鏡面が屋内を映し出すので空間の色合いが繰り返され、面白いリズムも生まれます。
2. 複数個をランダムに吊して軽快に
2個以上使うと、奥行きや高さ、位置の違いによって表現力や空間への影響力がグッと強まります。こちらの例では、グレーや淡いピンクを基調としたダイニングルームのアクセントとして《コッパーペンダント》を配置。シンプルで落ち着いた空間ですが、高さや位置の変化で動きが生まれ、さらにシェードの質感と色合いが上質さを加えています。
2個以上使うと、奥行きや高さ、位置の違いによって表現力や空間への影響力がグッと強まります。こちらの例では、グレーや淡いピンクを基調としたダイニングルームのアクセントとして《コッパーペンダント》を配置。シンプルで落ち着いた空間ですが、高さや位置の変化で動きが生まれ、さらにシェードの質感と色合いが上質さを加えています。
〈オズボーン & リトル〉のボタニカル柄の壁紙が強いインパクトを与えるダイニングルーム。小さな空間にアンティークの重厚なテーブルと《チューリップチェア》、さらにボリューム感のある《コッパーペンダント》3個をシャンデリアのように吊るしています。空間と要素の比率からすると圧迫感を感じそうですが、ローズゴールドの輝きと丸いデザインが、家具の迫力を和らげています。
独特の木目が印象的な壁と床、チャコールグレーの家具がクールさを感じさせるダイニングルーム。それだけだと無骨な雰囲気に偏りがちですが、そこにガラスのフラワーベースやモダンな色合いの植物、ローズゴールドの《コッパーペンダント》が加わると、ほんの少し柔らかさが生まれます。凛としていながら肩肘は張らない。そんな女性のやさしさを想像させるコーディネートです。
天井の高さを活かしてディスプレイした例。ダイニングスペース用として吊り下げられていますが、写真のように間仕切りがないオープンな間取りの場合は、部屋全体のアクセントとしても存在感を発揮します。吹き抜けになっているリビングダイニングスペースで《コッパーペンダント》を吊るすと、まるで水中に浮かぶ泡のようです。
《コッパーペンダント》の下に置くテーブルの素材を工夫すると、新たな面白い効果をつくることができます。写真の例では、大理石のダイニングテーブルを置くことでライトのオレンジ色の光がテーブルトップに映り込み、しっとりとした雰囲気をつくり出しています。併せて使っているダウンライトだけでなく、太陽光の有無、また時間によってシェードに異なる光が反射し、表情が変わる点にも注目してほしいところです。
3. 複数個を直列で並べて上品に
リビングエリアのファーのランプシェードやダイニングチェアカバー、毛足の長いラグと、さまざまな質感が楽しいリビング・ダイニング。またアートのショッキングピンクやキャンドルのネオンピンク、クッションのペールピンクと幅広いトーンのピンクが並んでおり、《コッパーペンダント》もそのひとつ。金属ならではの光沢や質感が、ボールルームのような華やかさを加え、わくわくする楽しい空間になっています。
リビングエリアのファーのランプシェードやダイニングチェアカバー、毛足の長いラグと、さまざまな質感が楽しいリビング・ダイニング。またアートのショッキングピンクやキャンドルのネオンピンク、クッションのペールピンクと幅広いトーンのピンクが並んでおり、《コッパーペンダント》もそのひとつ。金属ならではの光沢や質感が、ボールルームのような華やかさを加え、わくわくする楽しい空間になっています。
直列で3個並べるとどこか上品な印象に見える《コッパーペンダント》ですが、いろいろなインテリアのテイストに違和感なくなじむのがすごいところです。古材を使ったテーブルに、壁面のグレー、そしてアームチェアやダイニングチェアのベロアのマスタードイエローが印象的な空間です。こうしたヴィンテージ風の重厚さがある家具との組み合わせでは、少しの抜け感を与えるアイテムとして活躍します。
白を基調にしたナチュラルな木製家具やインテリアにもよく合います。こちらは軽やかさというよりも、鏡面の質感が高級レストランのような雰囲気をつくり出しています。少し低めの位置に直列で吊り下げているのもポイントです。重心が下がるので落ち着きが出ますし、視界に入りやすくなるのでオブジェにも似た存在感が際立ちます。
4. ボリューム感を楽しむ
最後は《コッパーペンダント》を9個も使った例です。ランダムに配置することで浮遊感が出るのはもちろん、それぞれのシェードに映り込む周囲の様子が、合わせ鏡をしたときのような不思議な世界をつくり出します。写真では天井からいくつも吊り下げ、ゴージャスさを演出。また器具を使えばモビールのようにも吊るせるので、インパクトと存在感を与えたい場合にぴったりです。
教えてHouzz
注目している現代のデザイナーを教えてください。
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北欧デンマークのセシル・マンツ女史です。
http://ceciliemanz.com/
https://www.houzz.jp/product/43917648