早わかり、Houzzのインテリアスタイル17選〈後編〉
Houzzのスタイルカテゴリーから選んだインテリアスタイルのダイジェスト解説を、前後編に分けてお届けします。後編は、トラディショナル、コンテンポラリー、ミッドセンチュリーモダン、レトロなど、時代を超えて愛される7スタイルをご紹介。
田村敦子|Atsuko Tamura
2018年6月20日
Freelance Editor
Houzzが採用しているスタイルカテゴリーと、人気企画「あなたのインテリアスタイルは?(So Your Style Is)」を参考に、今、おさらいしておきたいインテリアスタイルを17点選んでみました。スタイル解説のダイジェスト版として、お楽しみいただければ幸いです。後編では、トラディショナルからエクレクティックまで、時代の流行を受けて進化を遂げ、確立してきたスタイルをご紹介します。
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早わかり、Houzzのインテリアスタイル17選〈前編〉
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早わかり、Houzzのインテリアスタイル17選〈前編〉
トラディショナルスタイル
古い時代にインスピレーションを受けたデザインですが、何より重要なのは心地よさ。安心感と安定感があるクラシックなスタイルです。温かいもてなしの雰囲気、洗練された家具に上品な布素材、落ち着いた色彩と秩序ある雰囲気。その息の長い人気にはきちんとした理由があるのです。デコレーションの特徴のひとつとして挙げられるのは、左右対称のレイアウト。建築から家具の置き方まで、バランスが重要です。多くの場合、調度品は会話を生みやすくする定型の配置にまとめられ、部屋の軸に沿ってシンメトリーにアレンジされます。壁や廻り縁、マントルピースにモールディングなどの装飾を施すのもトラディショナルスタイルの特色です。
古い時代にインスピレーションを受けたデザインですが、何より重要なのは心地よさ。安心感と安定感があるクラシックなスタイルです。温かいもてなしの雰囲気、洗練された家具に上品な布素材、落ち着いた色彩と秩序ある雰囲気。その息の長い人気にはきちんとした理由があるのです。デコレーションの特徴のひとつとして挙げられるのは、左右対称のレイアウト。建築から家具の置き方まで、バランスが重要です。多くの場合、調度品は会話を生みやすくする定型の配置にまとめられ、部屋の軸に沿ってシンメトリーにアレンジされます。壁や廻り縁、マントルピースにモールディングなどの装飾を施すのもトラディショナルスタイルの特色です。
トラディショナルな空間に選ばれるのは落ち着いたコンサバティブな色。クリーム、ベージュ、トープ(グレージュ)、淡褐色といったニュートラルな色が主に使われますが、深いトーンの茶・赤・緑・青といった色もトラディショナルインテリアによく合います。ウォールナット、マホガニー、オークといった深い色の木材も欠かせません。木材の深い色は、温かさと居心地のよさを与えてくれます。チェック、ストライプ、花柄などの柄を同じ色調で揃えるのも、トラディショナルスタイルの定番の手法です。
アールデコスタイル
デザインの潮流でいえば、ヴィクトリアン、アーツ&クラフツ、アールヌーヴォーの後、2つの世界大戦間の時代、1920年代末から30年代初めに流行したのがアールデコ。機能と同じくらいスタイルを重視し、華やかで贅沢な雰囲気を大切にしました。洗練されたエレガンスと先進的な考え方をそなえ、エネルギッシュでシックな「狂騒の20年代」を代表するスタイルです。アールデコを定義する要素といえるのが、インパクトのある幾何学模様。角ばったパターンや、階段状になったデザイン、大胆な曲線などが特徴です。
デザインの潮流でいえば、ヴィクトリアン、アーツ&クラフツ、アールヌーヴォーの後、2つの世界大戦間の時代、1920年代末から30年代初めに流行したのがアールデコ。機能と同じくらいスタイルを重視し、華やかで贅沢な雰囲気を大切にしました。洗練されたエレガンスと先進的な考え方をそなえ、エネルギッシュでシックな「狂騒の20年代」を代表するスタイルです。アールデコを定義する要素といえるのが、インパクトのある幾何学模様。角ばったパターンや、階段状になったデザイン、大胆な曲線などが特徴です。
また、黒と白こそ、アールデコを象徴するトーン。時代を超えて美しく、洗練された組み合わせです。色彩を加えるなら、ゴールドがかったイエロー、明るい黄緑色、ピーコックブルー、紫なども、アールデコ最盛時のエネルギッシュなムードを思い起こさせる色です。もうひとつの特徴は光沢感と魅惑的な輝き。ラッカーなど光沢のある塗料、磨き上げられた木材や金属、、ガラスや鏡張りのアイテム、ビニール、シルク、サテンなどのつややかな質感を重ねて、アールデコの感触を楽しみましょう。
ミッドセンチュリーモダンスタイル
「ミッドセンチュリー」の名前が示すとおり、このスタイルは20世紀中盤の約25年間、1945年から1970年あたりまでに流行したデザインスタイルです。無駄を削ぎ落としたフォルムや同時代的なパターン、ニュートラルな素材を重視しました。オーガニックなものと人工的なもの、自然界と未来の架け橋を目指したデザインは、今でも見る人をはっとさせる力があります。
「ミッドセンチュリー」の名前が示すとおり、このスタイルは20世紀中盤の約25年間、1945年から1970年あたりまでに流行したデザインスタイルです。無駄を削ぎ落としたフォルムや同時代的なパターン、ニュートラルな素材を重視しました。オーガニックなものと人工的なもの、自然界と未来の架け橋を目指したデザインは、今でも見る人をはっとさせる力があります。
ミッドセンチュリーモダンのインテリアは、オーガニックなスタイルとくつろいだ生活を体現したもの。シンプルなラインや純粋なフォルムをもつ家具や小物にもそれが反映されています。家具も間取りも、細部に装飾をせず、無駄を排したデザインが特徴です。
ミッドセンチュリーの照明は部屋にドラマをもたらします。彫刻のようなそのフォルムは、アート性を兼ね備えており、機能も非常に優れています。デザインそのものが魅力的であるため、それ自体がモチーフとして使用されることもあります。たとえばこのダイニングの壁紙は、ポール・へニングセンデザインの照明器具「PHアーティチョーク」を描いたものです。
レトロスタイル
抑制されたエレガンスが身上のミッドセンチュリースタイルの後に登場したのが、開放的で楽しいレトロスタイル。ミッドセンチュリーのナチュラルな色彩は、大胆なオレンジやダークブラウン、カスタードイエローに取って代わられました。そして柄も、うねるようなラインやちょっと野暮ったくも見えるようなパターンが流行。「少ないことは豊かなこと」という言葉の対極ともいえ、楽しくて「ちょっとやりすぎ」な感じもあるのが、レトロスタイルらしさです。
抑制されたエレガンスが身上のミッドセンチュリースタイルの後に登場したのが、開放的で楽しいレトロスタイル。ミッドセンチュリーのナチュラルな色彩は、大胆なオレンジやダークブラウン、カスタードイエローに取って代わられました。そして柄も、うねるようなラインやちょっと野暮ったくも見えるようなパターンが流行。「少ないことは豊かなこと」という言葉の対極ともいえ、楽しくて「ちょっとやりすぎ」な感じもあるのが、レトロスタイルらしさです。
オレンジとオリーブといえば、食べ物ではなくインテリアの色。壁一面を同じ色に塗るのではなく、流行の色で流行のデザインをペイントするのもレトロスタイルらしいアイデア。このリビングでは、廊下まで続くアースカラーの帯をペイントし、動きのある雰囲気に。快適なソファと大きな照明器具で完成した空間です。
1970年代のファッショナブルな素材といえば、キッチンで大活躍のカラフルなメラミン化粧版「フォーマイカ」に、ダークウッド、そしてスモークガラス。レトロルックを現代的なディテールや仕上げと組み合わせて取り入れれば、今の時代にアップデートされたスタイルになります。このキッチンは、レトロスタイルの空気感がありながらも、よりクリーンですっきりした空間を実現しています。
ミニマリストスタイル
ミニマリズムとは、「最小限の」スタイル。色、装飾、視覚的に余分な要素を少なくし、とにかくモノを減らす。かといって、無感覚状態を目指すわけでも、徹底的に掃除すればいいわけでもありません。むやみにたくさん物を置くのではなく、本当に必要で気に入っているアイテムだけに絞って生かすインテリア、という選択です。落ち着ける静謐な雰囲気と、メンテナンスが楽なことが最大の魅力でしょう。
ミニマリズムとは、「最小限の」スタイル。色、装飾、視覚的に余分な要素を少なくし、とにかくモノを減らす。かといって、無感覚状態を目指すわけでも、徹底的に掃除すればいいわけでもありません。むやみにたくさん物を置くのではなく、本当に必要で気に入っているアイテムだけに絞って生かすインテリア、という選択です。落ち着ける静謐な雰囲気と、メンテナンスが楽なことが最大の魅力でしょう。
すべてのモノに決まった収納場所を。ミニマルなスタイルにするときめたら、整理整頓は必須です。部屋にあるものすべてに収納場所が決まっていれば、すっきり片づけるのが楽になります。普通のキッチンでは調理器具をカウンターの上に並べていたり、棚に食器を見せて収納していることもありますが、ここでは全部キャビネットの扉の中にしまって、統一感のあるクリーンな雰囲気に。
ミニマルなインテリアの中心となり、視覚的な美しさを生み出す家具。部屋に不可欠なものは何か考えましょう。生活しやすい状態を保つために最低限必要な家具は何でしょうか? それが決まったら、椅子、テーブル、収納など、家具類はすっきりと無駄のないシルエットで装飾のないものだけに絞りましょう。
コンテンポラリースタイル
コンテンポラリーとは、いわゆる「今どき」のスタイル。壁や床などの建築要素とその仕上げ材、そして家具を通してスタイルを表現します。コンテンポラリーな家には、最新の建設工法と建築デザインの発想がさりげなく活用されています。クラシックなアイテムをセンスよくアップデートしたものもコンテンポラリースタイルといえます。ぱっと目を惹く、オリジナリティあふれる色づかいも大きな特徴です。
コンテンポラリーとは、いわゆる「今どき」のスタイル。壁や床などの建築要素とその仕上げ材、そして家具を通してスタイルを表現します。コンテンポラリーな家には、最新の建設工法と建築デザインの発想がさりげなく活用されています。クラシックなアイテムをセンスよくアップデートしたものもコンテンポラリースタイルといえます。ぱっと目を惹く、オリジナリティあふれる色づかいも大きな特徴です。
普段あまり強い色を使わない部屋に、あえてダークでドラマティックな色を使うことで、コンテンポラリーな雰囲気に。このベッドルームでは、ブラックにペイントされた壁、高級感あるファブリック、目を惹く流行のライティングがコンテンポラリースタイルを演出しています。
トラディショナルスタイルが親しみやすさと心地よさを重視したスタイルであるのに対し、コンテンポラリースタイルは目新しさを楽しみます。デザインを前面に押し出し、絶えず進化を続け、私たちの生活の質を向上させるスタイルです。見た目が新しいだけでなく、現代を生きる私たちの住みやすさを考えた造りになっています。
典型的なのは開放的なリビング。屋外とのつながりも確保されていれば、現代生活に適した理想的な配置といえます。
エクレクティックスタイル
最後にご紹介するのは、「ごちゃまぜ」という意味をもつエクレクティックスタイル。伝統的なものと新しいもの、大胆なデザインとおとなしいデザイン、欧米のものとアジアのものなど、ルールを超えてさまざまなスタイルを大胆に組み合わせる、インテリアスタイルの進化形です。トラディショナルな家具を、小物や色の使い方でゴージャスに洗練させているこの写真のインテリアも、ミックスマッチの上手な例です。
最後にご紹介するのは、「ごちゃまぜ」という意味をもつエクレクティックスタイル。伝統的なものと新しいもの、大胆なデザインとおとなしいデザイン、欧米のものとアジアのものなど、ルールを超えてさまざまなスタイルを大胆に組み合わせる、インテリアスタイルの進化形です。トラディショナルな家具を、小物や色の使い方でゴージャスに洗練させているこの写真のインテリアも、ミックスマッチの上手な例です。
ローテーブルにフロアクッションという和の暮らしを意識したリビング、ラスティックな板張りの壁。グリーンをふんだんに取り入れ、色づかいもカラフルに。単なる混沌に陥らず、好ましい対照や心地よいミスマッチを楽しむために、一定の「ミキシングセンス」は要求されますが、ルールにとらわれず、スタイルにこだわらず、好きなものを集めて「自分流」を表現できるのもエクレクティックスタイルの魅力です。
インダストリアルテイストのむき出しのコンクリート壁にエレガントなロートアイアンのベッド、グラマラスな素材と色のベッドファブリック、そしてちょっとアジアンスタイルの香りもする植物のあしらい。さまざまな要素が混在していてなお、ハイセンスなミックスマッチです。いつの時代も海外から新しいものを取り入れて進化させてきた日本人はもしかしたら、エクレクティックスタイルにとても向いているのかもしれません。
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