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形はクラシック、色はコンテンポラリー。アンティーク家具の色を変えて生まれ変わらせる
在イギリス20年のアンティークのプロが、モダンな空間にアンティークをとり入れて楽しむ際の選び方、合わせ方などのコツをご紹介する連載、第7回です。
西谷典子|Noriko Nishiya
2015年6月12日
あまりコンディションはよくないけれど、気に入ったデザインのアンティーク家具を安い価格で見つけたり、今まで使っていたアンティークに飽きてしまったとき、思い切って色を変えてみてはどうでしょう? 「アンティーク家具にペンキを塗るなんて…」とお思いになるかもしれませんが、素材を選べば心配することはありません。マホガニー材やウォールナット材などの高級素材や凝った仕上げの物に関してはさすがにおすすめしませんが、比較的リーズナブルなオーク材やパイン材の家具なら、気軽に色を変えることができますし、元通りに直したい場合でも、ペイントを剥離剤で落としてステインやポリッシュをかけ直せば、やや古臭いと感じたトラディショナルなデザインの家具も、驚くほどモダンな雰囲気に生まれ変わらせることができるのです。
前回までの記事はこちら!
第1回 アンティークを現代の暮らしにミックスさせるポイント10
第2回 アンティークの基本的な知識、選び方や扱い方のポイント
第3回 アンティーク家具のタイムレスな魅力は、シンプルデザインまたはシンプルな空間で
第4回 省スペース&マルチファンクショナル。賢い機能のアンティーク家具を選ぶ
第5回 コンパクトな空間に、アンティーク家具をバランスよく配置するコツ
第6回 今の暮らしに合わせたアンティークの使い方「見立て使い」のアイデア集
前回までの記事はこちら!
第1回 アンティークを現代の暮らしにミックスさせるポイント10
第2回 アンティークの基本的な知識、選び方や扱い方のポイント
第3回 アンティーク家具のタイムレスな魅力は、シンプルデザインまたはシンプルな空間で
第4回 省スペース&マルチファンクショナル。賢い機能のアンティーク家具を選ぶ
第5回 コンパクトな空間に、アンティーク家具をバランスよく配置するコツ
第6回 今の暮らしに合わせたアンティークの使い方「見立て使い」のアイデア集
ペイントのコツ1
家具にペイントする前に、まずサンドペーパーで全体をこすります。この下作業により、ペイントが家具によく染み込み、後で剥げてくることを防ぐので、丁寧にサンディングしてください。水性ペイントなら失敗しても塗った直後なら水で拭き取れるので、油性より扱いやすく、おすすめです。ツートーンに塗り分ける際などは特に、仕上がりをきれいにするためにもマスキングテープは必需品です。そして最低2回以上重ね塗りするようにしてください。じっくりと気長に作業することで、仕上がりに差がつきます。
家具にペイントする前に、まずサンドペーパーで全体をこすります。この下作業により、ペイントが家具によく染み込み、後で剥げてくることを防ぐので、丁寧にサンディングしてください。水性ペイントなら失敗しても塗った直後なら水で拭き取れるので、油性より扱いやすく、おすすめです。ツートーンに塗り分ける際などは特に、仕上がりをきれいにするためにもマスキングテープは必需品です。そして最低2回以上重ね塗りするようにしてください。じっくりと気長に作業することで、仕上がりに差がつきます。
ペイントのコツ2
家具を塗る際に使いやすい刷毛のサイズは、幅2~3センチくらいでしょう。塗料に刷毛をつけたら、ペイント缶の縁に少しだけ置いて、塗料がたれなくなるまで待ってから塗ると、表面がムラにならずきれいに塗れます。案外こんな小さなことで仕上がりが違ったりするのです。ペイントが完全に乾いた後、サンドペーパーで少しだけ角などをサンディングすれば古びた感じが出せますが、コンテンポラリーな空間に合わせる家具ならそのままの仕上げで十分です。
家具を塗る際に使いやすい刷毛のサイズは、幅2~3センチくらいでしょう。塗料に刷毛をつけたら、ペイント缶の縁に少しだけ置いて、塗料がたれなくなるまで待ってから塗ると、表面がムラにならずきれいに塗れます。案外こんな小さなことで仕上がりが違ったりするのです。ペイントが完全に乾いた後、サンドペーパーで少しだけ角などをサンディングすれば古びた感じが出せますが、コンテンポラリーな空間に合わせる家具ならそのままの仕上げで十分です。
大きい家具は白く塗ってみる
このワードローブがもしオリジナルのままの重厚な茶色だったら、日本の家にはあまり向かない威圧感のある家具に見えたでしょう。白に塗ることで軽快な雰囲気になり、また白い壁に溶け込んで背景の一部のようになるので、重々しい圧迫感が軽減されます。このように大きいサイズの家具でも、色を変えればイメージが変わり、コンパクトな空間にも似合うようになります。
このワードローブがもしオリジナルのままの重厚な茶色だったら、日本の家にはあまり向かない威圧感のある家具に見えたでしょう。白に塗ることで軽快な雰囲気になり、また白い壁に溶け込んで背景の一部のようになるので、重々しい圧迫感が軽減されます。このように大きいサイズの家具でも、色を変えればイメージが変わり、コンパクトな空間にも似合うようになります。
蛍光色でアーティスティックに
1930~1950年代の古い家具の脚を、まるでポップなピンクの靴下を履かせたようにペイントし、アーティスティックにリメイクした成功例です。かなり大胆な蛍光色もこんなふうにほんの少しだけ使えば、トラディショナルなアームチェアをエッジの効いたコンテンポラリーなデザインに変身させることが可能。奇抜な色を少量使い、個性を生かす楽しいアイデア。ぜひとり入れてみてください。
1930~1950年代の古い家具の脚を、まるでポップなピンクの靴下を履かせたようにペイントし、アーティスティックにリメイクした成功例です。かなり大胆な蛍光色もこんなふうにほんの少しだけ使えば、トラディショナルなアームチェアをエッジの効いたコンテンポラリーなデザインに変身させることが可能。奇抜な色を少量使い、個性を生かす楽しいアイデア。ぜひとり入れてみてください。
トレンドのグラデーションにも挑戦
最近よく見かけるのが、このように半分ずつグラデーション状に塗られた家具。エクレクティックスタイルのインテリアにときどき登場する色の使い方です。ペイントでグラデーションをつける場合は、通常のペイントではなくスプレーペイントを使うときれいに仕上がります。スプレーを近くからかけ始め、だんだん離してグラデーションをつくっていくわけですが、ちょっとコツがいるので、本番の前に何度か練習が必要かもしれませんね。
最近よく見かけるのが、このように半分ずつグラデーション状に塗られた家具。エクレクティックスタイルのインテリアにときどき登場する色の使い方です。ペイントでグラデーションをつける場合は、通常のペイントではなくスプレーペイントを使うときれいに仕上がります。スプレーを近くからかけ始め、だんだん離してグラデーションをつくっていくわけですが、ちょっとコツがいるので、本番の前に何度か練習が必要かもしれませんね。
白+きれいな色でアクセントをつける
シンプルでコンテンポラリーな空間によく似合っている、白とライムグリーンでペイントし直したアンティークのホールテーブル。天板のポップな色を、壁のオープン棚にもペイントし、空間自体をツートーンに。アクセントとして色を2種類使う場合は、他につまみやハンドルだけといったごく小さな部分だけきれいな色にするというのもおすすめです。
シンプルでコンテンポラリーな空間によく似合っている、白とライムグリーンでペイントし直したアンティークのホールテーブル。天板のポップな色を、壁のオープン棚にもペイントし、空間自体をツートーンに。アクセントとして色を2種類使う場合は、他につまみやハンドルだけといったごく小さな部分だけきれいな色にするというのもおすすめです。
椅子のペイントなら気軽に
ダイニングチェアなどの複数あるセットアイテムは、ペイントしては乾かし…を繰り返しながら順番に塗っていけば、あっという間にすべての作業が完了します。椅子は他の家具と比べて塗るところが少なく、比較的簡単に仕上げることができます。が、アームチェアだけは手すりに長年染み込んだ手垢などがついているため、ペンキが定着しづらい傾向が。この部分を念入りにサンディングすれば大丈夫です。
ダイニングチェアなどの複数あるセットアイテムは、ペイントしては乾かし…を繰り返しながら順番に塗っていけば、あっという間にすべての作業が完了します。椅子は他の家具と比べて塗るところが少なく、比較的簡単に仕上げることができます。が、アームチェアだけは手すりに長年染み込んだ手垢などがついているため、ペンキが定着しづらい傾向が。この部分を念入りにサンディングすれば大丈夫です。
シャビーシックは仕上げが決め手
パイン材家具をペイントでシャビーシックな雰囲気に仕上げたい場合は、ぜひ色を2種類重ね塗りしてみてください。たとえば白とグレー、水色と淡いグリーンなど、少し近い色の方が自然になると思います。まるで長い時代の間に塗り替えて使われてきたような風合いが出ます。ポイントは、ペイントが完全に乾いた後に、先に塗った色とのバランスを考えながら、部分的に少しずつサンディングすることです。最後にワックスを塗って乾いた布で拭き取りますが、ワックスの色によって家具の仕上がりの色が変わるので、そのことにも一応注意してください。
パイン材家具をペイントでシャビーシックな雰囲気に仕上げたい場合は、ぜひ色を2種類重ね塗りしてみてください。たとえば白とグレー、水色と淡いグリーンなど、少し近い色の方が自然になると思います。まるで長い時代の間に塗り替えて使われてきたような風合いが出ます。ポイントは、ペイントが完全に乾いた後に、先に塗った色とのバランスを考えながら、部分的に少しずつサンディングすることです。最後にワックスを塗って乾いた布で拭き取りますが、ワックスの色によって家具の仕上がりの色が変わるので、そのことにも一応注意してください。
派手な色を試すなら
クラシックデザインのアンティーク家具も思い切ってポップな色で塗ってみると、モダンで目新しい家具に生まれ変わります。少々派手な色でペイントする場合は、トゥーマッチにならないようにやや小さめの家具を選んでください。また、他の家具やインテリアアクセサリーは比較的落ち着いた色を合わせた方が、家具のフォルムのクラシックテイストとのバランスがとりやすく、きれいにまとまります。
クラシックデザインのアンティーク家具も思い切ってポップな色で塗ってみると、モダンで目新しい家具に生まれ変わります。少々派手な色でペイントする場合は、トゥーマッチにならないようにやや小さめの家具を選んでください。また、他の家具やインテリアアクセサリーは比較的落ち着いた色を合わせた方が、家具のフォルムのクラシックテイストとのバランスがとりやすく、きれいにまとまります。
反対に、色を落としてみる
ペイントするのではなく、逆にアンティーク家具のもとの塗料を市販の剥離剤などで落とし、色を落としてみるのも一考です。この写真は、そんな場合のよい例。オーク材の家具は、ステインやワックスをかける前は白っぽい木肌のままだったわけですから、剥離剤でペイントを落として透明なワックスをかけると、このようなもとの木の色になります。剥離剤は液体状で、ペイントリムーバーなどとも呼ばれ、家具全体に塗ってしばらくおくと表面が浮いてくるので、それをヘラなどで落とすという作業になります。クラシックでシンプルなデザインのアンティーク家具の色を剥離すると、意外にもこのようにコンテンポラリーな表情に変わってしまうのです。
ペイントするのではなく、逆にアンティーク家具のもとの塗料を市販の剥離剤などで落とし、色を落としてみるのも一考です。この写真は、そんな場合のよい例。オーク材の家具は、ステインやワックスをかける前は白っぽい木肌のままだったわけですから、剥離剤でペイントを落として透明なワックスをかけると、このようなもとの木の色になります。剥離剤は液体状で、ペイントリムーバーなどとも呼ばれ、家具全体に塗ってしばらくおくと表面が浮いてくるので、それをヘラなどで落とすという作業になります。クラシックでシンプルなデザインのアンティーク家具の色を剥離すると、意外にもこのようにコンテンポラリーな表情に変わってしまうのです。
アンティーク家具の中でも、マホガニー材やウォールナット材のような高級なものは、熟練工によるフレンチポリッシュが施されているので、さすがに上からのペイントはおすすめしません。が、オーク材などであれば先にご紹介したように剥離剤でペイントをはがして元の色に戻すことは可能です。次世代にはまた違う色で塗り替えて、飽きずに長く使ってもらえれば、家具もきっと幸せなはずです。
今回は少し異色のアンティーク家具との付き合い方をご紹介しましたが、重要なのは自分のところにやってきたアンティークをいかに愛着をもって長く大切に使い、受け継いでいくということではないかと思っています。
今回は少し異色のアンティーク家具との付き合い方をご紹介しましたが、重要なのは自分のところにやってきたアンティークをいかに愛着をもって長く大切に使い、受け継いでいくということではないかと思っています。
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