建築やインテリアデザインにおける「シンメトリー」と「アシンメトリー」とは?
建築やインテリアにおける「シンメトリー」と「アシンメトリー」の違いを意識することで、より思い通りのデザインへ近づけます。
杉田真理子
2018年11月27日
左右対称を意味する「シンメトリー」と、それとは反対に左右非対称を意味する「アシンメトリー」。このふたつの概念は、エクステリアやインテリアのデザインを決めていく上で、非常に参考になる考え方の1つです。「なんとなく」といった感覚論から脱却して、左右対称性に関するデザインの概念をしっかりと理解することで、思い通りのデザインを実現しましょう。
そもそも、「シンメトリー」とは
左右対称を意味する「シンメトリー」を、普段から意識している人は少ないのではないでしょうか。図形上のある軸線に対して、形や配置、色などが互いに等距離に配置された状態を指す「シンメトリー」は、グラフィックデザインだけでなく、建築デザインやインテリアの世界でも重要な概念です。
レイアウトの決定や、家具や装飾アイテムの配置に規則性のある「シンメトリー」を意識することで、バランスのよい安定した調和感を生み出すことができます。「左右対称」というはっきりとした規則性があるので、初心者でもすぐ実践できるのもポイントです。
左右対称を意味する「シンメトリー」を、普段から意識している人は少ないのではないでしょうか。図形上のある軸線に対して、形や配置、色などが互いに等距離に配置された状態を指す「シンメトリー」は、グラフィックデザインだけでなく、建築デザインやインテリアの世界でも重要な概念です。
レイアウトの決定や、家具や装飾アイテムの配置に規則性のある「シンメトリー」を意識することで、バランスのよい安定した調和感を生み出すことができます。「左右対称」というはっきりとした規則性があるので、初心者でもすぐ実践できるのもポイントです。
「合理性」に乗っ取った洋風デザイン
そもそもの「シンメトリー」の語源はギリシャ語のシュンメトリア。古代ギリシャでは、左右対称で合理的な幾何学性のあるものに、古くから価値が見出されてきました。美しさの基本としての調和、安定、合理性が、現代の西洋美術にそのまま受け継がれています。
建築デザインやインテリアの分野でも、西洋における「シンメトリー」の影響は絶大です。有名な事例ではフランスのベルサイユ宮殿がありますが、注意をはらって見てみると、一般の住宅建築でも、左右対称性が取り入れられているデザインは多く見つかります。
そもそもの「シンメトリー」の語源はギリシャ語のシュンメトリア。古代ギリシャでは、左右対称で合理的な幾何学性のあるものに、古くから価値が見出されてきました。美しさの基本としての調和、安定、合理性が、現代の西洋美術にそのまま受け継がれています。
建築デザインやインテリアの分野でも、西洋における「シンメトリー」の影響は絶大です。有名な事例ではフランスのベルサイユ宮殿がありますが、注意をはらって見てみると、一般の住宅建築でも、左右対称性が取り入れられているデザインは多く見つかります。
バランスの取れた調和感と安定性
こちらのリビングルームの事例では、家具や装飾アイテムの配置に、はっきりと「シンメトリー」の法則が導入されています。部屋の真ん中を中心軸とし、左右に等間隔で、ソファ、チェスト、チェア、クッションに到るまでがペアで配置されています。これにより、すっきりと全体が調和した、安定感のあるリビングとなっています。
こちらのリビングルームの事例では、家具や装飾アイテムの配置に、はっきりと「シンメトリー」の法則が導入されています。部屋の真ん中を中心軸とし、左右に等間隔で、ソファ、チェスト、チェア、クッションに到るまでがペアで配置されています。これにより、すっきりと全体が調和した、安定感のあるリビングとなっています。
「シンメトリー」とは一味違う、「アシンメトリー」のすすめ
「シンメトリー」に関して説明してきましたが、対して、「アシンメトリー」は対称性が欠如した状態です。中心点や中心軸のまわりに、等間隔ではない不均衡に要素が配置されて状態で、古代ギリシャの説く合理的な幾何学性とは正反対のものです。
これだけ聞くとネガティブに聞こえるかもしれませんが、空間のある箇所に注目を集めたいときや、流動性や躍動感を伝えたいときなどに、「アシンメトリー」は非常に有効です。
「シンメトリー」に関して説明してきましたが、対して、「アシンメトリー」は対称性が欠如した状態です。中心点や中心軸のまわりに、等間隔ではない不均衡に要素が配置されて状態で、古代ギリシャの説く合理的な幾何学性とは正反対のものです。
これだけ聞くとネガティブに聞こえるかもしれませんが、空間のある箇所に注目を集めたいときや、流動性や躍動感を伝えたいときなどに、「アシンメトリー」は非常に有効です。
自然な造形の美しさを生かした、アシンメトリー 建築
「合理性」に基づいた西洋のデザインに対して、日本の伝統的なデザインは、「アシンメトリー」の要素が強いと言われています。日本では、「自然な造形の美しさ」が美の基本とされてきました。石にしても樹木にしても、自然の造形にはひとつとして同じ形のものはありません。この不完全さこそが「アシンメトリー」であり、それは合理的で人工的な「シンメトリー」とはまた異なる美意識をデザインにプラスしてくれます。
こちらのプールサイドの事例では、大きな樹木が建物のデザインと調和し、一つの世界観を表現しています。「シンメトリー」な建物に対し、樹木の自然な造形が、「アシンメトリー」の要素を付け加えています。
「合理性」に基づいた西洋のデザインに対して、日本の伝統的なデザインは、「アシンメトリー」の要素が強いと言われています。日本では、「自然な造形の美しさ」が美の基本とされてきました。石にしても樹木にしても、自然の造形にはひとつとして同じ形のものはありません。この不完全さこそが「アシンメトリー」であり、それは合理的で人工的な「シンメトリー」とはまた異なる美意識をデザインにプラスしてくれます。
こちらのプールサイドの事例では、大きな樹木が建物のデザインと調和し、一つの世界観を表現しています。「シンメトリー」な建物に対し、樹木の自然な造形が、「アシンメトリー」の要素を付け加えています。
「時間と共に」変わっていくデザイン
「時間と共に」変わっていくデザインも「アシンメトリー」 の醍醐味です。自然に限らず、この世に存在する全てのものは時間とともに変化するものです。あえてコントロールをせずに、’予測不能な要素を楽しむのも、面白いかもしれません。例えば季節によって違った表情を見せる自然を、窓を大きく切り取ることでインテリアの一部に組み込めば、時間とともに変化するデザインを楽しめます。
「時間と共に」変わっていくデザインも「アシンメトリー」 の醍醐味です。自然に限らず、この世に存在する全てのものは時間とともに変化するものです。あえてコントロールをせずに、’予測不能な要素を楽しむのも、面白いかもしれません。例えば季節によって違った表情を見せる自然を、窓を大きく切り取ることでインテリアの一部に組み込めば、時間とともに変化するデザインを楽しめます。
「ズレ」を楽しむアシンメトリー デザイン
このキッチンの事例では、異なる素材や色合いなどの要素が不均等にレイアウトされています。「シンメトリー」ではペアで均等に配置される装飾アイテムも、あえて一点のみ置かれることで、その箇所に注目が集まりやすく、流動性や躍動感が生まれています。また、さまざまな素材が部屋の別々の箇所で個性を発揮することで、同一の部屋でもいくつもの表情が楽しめるようになっています。
こうしたある意味での「ズレ」を効果的に用いて楽しむのが、「アシンメトリー」の良さといえるでしょう。
このキッチンの事例では、異なる素材や色合いなどの要素が不均等にレイアウトされています。「シンメトリー」ではペアで均等に配置される装飾アイテムも、あえて一点のみ置かれることで、その箇所に注目が集まりやすく、流動性や躍動感が生まれています。また、さまざまな素材が部屋の別々の箇所で個性を発揮することで、同一の部屋でもいくつもの表情が楽しめるようになっています。
こうしたある意味での「ズレ」を効果的に用いて楽しむのが、「アシンメトリー」の良さといえるでしょう。
「シンメトリー」と「アシンメトリー」をバランスよく
いきなり「シンメトリー」か「アシンメトリー」かどちらかに決めるのは難しいかもしれません。そんな時は、まずは初心者でも取り組みやすい「シンメトリー」からレイアウトと家具の配置を決定し、その後で、不均等に思いがけない「アシンメトリー」の要素を継ぎ足してみるのがおすすめ。
このダイニングルームの事例では、中心軸となる照明にそって壁面フレームやチェアが対で配置されています。一方で、全て種類の異なる椅子を置き、赤というアクセントカラーを一点投入するなど、左右不対称な「ズレ」が含まれており、空間に動きがもたらされています。
「シンメトリー」と「アシンメトリー」の違いと特徴を理解できたでしょうか?両者をバランスよく組み合わせつつ、ぜひ「アシンメトリー」の「ズレ」の効果を試してみてください。
空間やデザインが私たちを魅了する理由とは?
建築・デザインの記事を読む
いきなり「シンメトリー」か「アシンメトリー」かどちらかに決めるのは難しいかもしれません。そんな時は、まずは初心者でも取り組みやすい「シンメトリー」からレイアウトと家具の配置を決定し、その後で、不均等に思いがけない「アシンメトリー」の要素を継ぎ足してみるのがおすすめ。
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「シンメトリー」と「アシンメトリー」の違いと特徴を理解できたでしょうか?両者をバランスよく組み合わせつつ、ぜひ「アシンメトリー」の「ズレ」の効果を試してみてください。
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「シュンメトリア」
古代ギリシア語
調和。
部分と全体が同じ秩序に従う事。
狭い意味では左右対称。