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名作家具:ポール・ケアホルムの《PK-22》
直線としなやかなシルエット、自然素材と工業素材のコントラストが美しい、デンマークの名作家具。
Becky Harris
2016年2月21日
1952年にコペンハーゲン工芸学校を卒業したときには、すでにその才能を注目されていたポール・ケアホルム。学生時代には建築家ヨーン・ウッツォンやデザイナーのハンス・ウェグナーのもとで工業デザインを学んだ。建築的要素と彫刻的要素、自然の要素と工業的な要素のコントラストを特徴とする作品をたくさん残している。
このコントラストは、PKシリーズの家具、とりわけ《PK-22》によく現れている。直線としなやかなシルエットを組み合わせた、クリーンで美しいデザイン。ミニマルでシンプルなデザインが構造の美を引き立てる。脚部はスチールであるのに対し、シートは自然素材(レザーまたは籐)となっている。
このコントラストは、PKシリーズの家具、とりわけ《PK-22》によく現れている。直線としなやかなシルエットを組み合わせた、クリーンで美しいデザイン。ミニマルでシンプルなデザインが構造の美を引き立てる。脚部はスチールであるのに対し、シートは自然素材(レザーまたは籐)となっている。
ケアホルムは10代のころに家具製作を学び、木工職人として優れた腕を身につけた。椅子のシリーズで有名になる前から、熟練した家具職人として活躍していた。数々のデザイン賞を受賞し、デザイン教育の分野でもキャリアを着実に築いていった。
初期の代表作の1つ《PKO》は、古代ギリシャの「クリスモス」と呼ばれる椅子から発想した、軽快な印象の作品だ。この軽快さは、PKシリーズの特徴となっていった。
1951年から1967年にかけて制作された〈ケアホルム・コレクション〉については、1982年以降、〈フリッツ・ハンセン〉が製造販売を手がけることになった。同シリーズは現在も〈フリッツ・ハンセン〉が独占ライセンスのもとで製造販売しており、モダンファニチャーを扱う店で販売されている。
1951年から1967年にかけて制作された〈ケアホルム・コレクション〉については、1982年以降、〈フリッツ・ハンセン〉が製造販売を手がけることになった。同シリーズは現在も〈フリッツ・ハンセン〉が独占ライセンスのもとで製造販売しており、モダンファニチャーを扱う店で販売されている。
《PK-22》は座り心地のよいラウンジチェアで、視覚的に存在感を主張し過ぎない点もすばらしい。写真の部屋の例でも、窓の外に広がる景色を邪魔していない。布張りのどっしりとした椅子だったら、部屋の雰囲気はもっと重くなってしまったはず。
上の写真のスペースも、あまり広くないので、座面が低くて軽い印象の椅子が求められた。〈PK-22〉はサイズも形もぴったりだし、レザーの色と質感もこの空間に実によく馴染んでいる。
明るい色で軽快さのある家具だからこそ、こちらのプールハウスの開放的な空間にも似合っている。手前に置かれているのは、《PK-24》、別名「ハンモック・シェーズ」。
籐の《PK-22》はモダンなビーチハウスにも似合う。
こちらの部屋は、革張りの《バルセロナ・チェア》との組み合わせが絶妙。
こちらはコンクリートのベンチ、アフリカのチェアにヴィンテージの《PK-22》をあわせたエクレクティックな雰囲気。ダイニングで使われているヴィンテージのデンマーク製チェアやキッチンで使われているベルトコンベアを再利用したスツールとともに、《PK-22》が空間のトーンを決めている。
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