吊り戸棚やウォールキャビネットのない、シンプルキッチンの壁
一昔前はあるのが当たり前だったキッチンの吊り戸棚ですが、オープンキッチンが人気の今はやや影をひそめ、戸棚をつける代わりに、見せる収納や壁自体を楽しむスペースになっています。
ブラッキン・ヘザー
2016年1月8日
Houzz contributor.
Home Life Style インテリア、収納空間デザイン。
「贅沢な時間を過ごせる、あなたらしい心地よい住まいづくり」をモットーに、一人ひとりの個性や「好き」を引き出しながらのインテリアのコーディネーション、
より快適な暮らしのためのライフスタイルに合わせた収納計画のご提案をいたします。
著書「ふつうの住まいでかなえる外国スタイルの部屋づくり(文藝春秋)
Interior decoration and storage space planning in Tokyo, Japan. English/Japanese bilingual, with interior design and decoration experience in Europe and Japan.
Houzz contributor.
Home Life Style インテリア、収納空間デザイン。
「贅沢な時間を過ごせる、あなたらしい心地よい住まいづくり」をモットーに、一人ひとりの個性や「好き」を引き出しながらのインテリアのコーディネーション、
より快適な暮らしのためのライフスタイルに合わせた収納計画のご提案をいたします。
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吊り戸棚やウォールキャビネットのないキッチンは、キッチンとダイニング、リビングがひとつの空間にあるのが主流となった今では人気のスタイルになりました。
そういったキッチンでは、部屋のキーポイントとなってくるのがキッチンの背面などの壁です。自然と目線が行く奥の壁で、フォーカルポイントにもなる場所だからこそ、家電のような日常的なものを置きたくないという声や、単に食器や食料品を収める収納場所としてだけではなく、何か特別なしつらえがしたい、と希望される方も増えてきました。持っている物の量をきちんと意識する時代になり、スリムな暮らしを目指す方も増えてきた今、キッチンスペースの使い方の傾向が少し変わりつつあるのでしょうか。収納の話だけに終始しない、そんな余裕のあるキッチンは理想ですね。
今回はそんな、従来の吊り戸棚やウォールキャビネットのないキッチンの壁の素敵な使い方をご紹介したいと思います。
そういったキッチンでは、部屋のキーポイントとなってくるのがキッチンの背面などの壁です。自然と目線が行く奥の壁で、フォーカルポイントにもなる場所だからこそ、家電のような日常的なものを置きたくないという声や、単に食器や食料品を収める収納場所としてだけではなく、何か特別なしつらえがしたい、と希望される方も増えてきました。持っている物の量をきちんと意識する時代になり、スリムな暮らしを目指す方も増えてきた今、キッチンスペースの使い方の傾向が少し変わりつつあるのでしょうか。収納の話だけに終始しない、そんな余裕のあるキッチンは理想ですね。
今回はそんな、従来の吊り戸棚やウォールキャビネットのないキッチンの壁の素敵な使い方をご紹介したいと思います。
オープンシェルフの見せ方
キッチンの壁を素敵に見せるならまず、オープンシェルフですね。
鮮やかなブルーの壁がアイキャッチとなるこちらのキッチン。ダークな壁には引き立つ白いシェルフや白のアイテムを置きがちですが、木の質感と自然の色を生かし、ダークカラーのアイテムをシェルフに並べると落ち着いたエレガントな雰囲気に。
ついついシェルフを増やしたり、ものをたくさん置きたくなりたくなりますが、厳選して置くのも大切です。
キッチンの壁を素敵に見せるならまず、オープンシェルフですね。
鮮やかなブルーの壁がアイキャッチとなるこちらのキッチン。ダークな壁には引き立つ白いシェルフや白のアイテムを置きがちですが、木の質感と自然の色を生かし、ダークカラーのアイテムをシェルフに並べると落ち着いたエレガントな雰囲気に。
ついついシェルフを増やしたり、ものをたくさん置きたくなりたくなりますが、厳選して置くのも大切です。
たくさん置いても目立ちすぎず、かつ洗練された雰囲気を出すためにはホワイト・オン・ホワイトが効果的。真っ白な壁に白いシェルフ、そして白い食器類。食器の大きさや形はばらばらでも、白で統一していることで全体がすっきりセンスよくまとまっています。
手作り感あふれた素敵なDIYリフォームのキッチン。上の棚にあえて扉をつけずオープンにしたことで、全体に軽さが出ています。高い位置は遠くからもよく見えるので、オープン棚はお気に入りのアイテムの見せ場として絶好のスポットです。白いタイル貼りのバックウォールの大半はシンプルに、2段のシェルフに毎日使うコーヒーやお茶セットの置き場所に。まるでカフェのようなチャーミングなシーンですね。
シェルフの底の部分にフックを取り付ければ、重ねて収納しにくいカップを吊るすにも最適な場所になります。厚みのあるシェルフは重さに耐えられるのはもちろん、見た目にも安定感と重厚感があって、たくさん置いてある小さなアイテムともバランスがとれています。
瓶の上にさりげなく飛んでいる小さな鳥にもぜひご注目を。このようなちょっとした仕上げのタッチが全体の表情を大きく変えてくれるので、遊び心の大切さも忘れずにいたいものです。
瓶の上にさりげなく飛んでいる小さな鳥にもぜひご注目を。このようなちょっとした仕上げのタッチが全体の表情を大きく変えてくれるので、遊び心の大切さも忘れずにいたいものです。
写真の向かって右がキッチン背面の壁ですが、目の高さから上の位置に、コーヒーや砂糖、小麦粉などの粉ものやスパイス、ドライハーブが入った瓶を置くための奥行きの浅いシェルフを設置。カウンターの調理スペースのちょうど後ろなので、毎日使うものをパッと手を伸ばして取れます。その下の部分はブラックボードペイントで塗られた壁。この位置は子供たちのお絵描きが簡単にできそうな高さであり、またリビングからはあまり見られたくないメモやリストも、カウンターがしっかりと目隠しになってくれるのでは?
お料理好きの「見せる収納」の背景として
フライパンや調理道具がバックウォールに吊るしてあるキッチンを見ると、この家の人はお料理好きなんだなあ、と感じてしまいます。
次に、オープンシェルフに限らず、「見せる収納」を楽しむ壁の例をいくつか見ていきましょう。
こちらは、お料理好きの人は見ているだけで楽しめそうなバックウォール。ひとつひとつの物に対するこだわりが感じられる、センス抜群の「見せる収納」ですね。
壁そのものを見せる収納として使う時のコツは、アイテムごとや大きさごと、色や素材ごとに分けること。そしてシェルフやポールのラインを揃えると、さらにきれいに見えます。まずは「揃える」ことを意識しながら配置を決めてみしょう。そして最後に何かをちょっとずらしたり、形の違うアイテムをプラスして、あえて少しだけオフバランスに崩すと、より自然に見せることができます。
フライパンや調理道具がバックウォールに吊るしてあるキッチンを見ると、この家の人はお料理好きなんだなあ、と感じてしまいます。
次に、オープンシェルフに限らず、「見せる収納」を楽しむ壁の例をいくつか見ていきましょう。
こちらは、お料理好きの人は見ているだけで楽しめそうなバックウォール。ひとつひとつの物に対するこだわりが感じられる、センス抜群の「見せる収納」ですね。
壁そのものを見せる収納として使う時のコツは、アイテムごとや大きさごと、色や素材ごとに分けること。そしてシェルフやポールのラインを揃えると、さらにきれいに見えます。まずは「揃える」ことを意識しながら配置を決めてみしょう。そして最後に何かをちょっとずらしたり、形の違うアイテムをプラスして、あえて少しだけオフバランスに崩すと、より自然に見せることができます。
鍋はコンロの下に、食器はウォールキャビネットに、家電はカウンターの上に……といった一般的な考え方と違ったとしても、自分にとって使いやすければそれがいちばん。鍋をカウンター下にしまい込む代わりに壁のポールから吊るし、食器をウォールキャビネットに入れる代わりにカウンター下へ。ウォールキャビネットをなくすことは、物の収納の仕方を考え直す機会になり、一般のルールや固定概念から外れた使い方をすることが必要なこともあるでしょう。でもライフスタイルに合っていれば、それが正解の使い方なのです。
まるでカフェやバルのようなおしゃれな壁。マグネットボードは写真やレシピの切り抜き、レシピカードを貼る場所に使いたいスペースですね。その上にワイングラス用のラックを取り付けているのもナイスアイデアです。
あえて何もつけない、プレーンな壁
キッチンの壁をそのままにして、何もつけない、置かないというのは、もしかしたらいちばん難しいことかもしれません。物が多いキッチンではついつい棚やポールを取り付けたくなってしまいますよね。
絵になるような真っ白に塗られたレンガの壁と、淡い色の家具のスカンジナビアンスタイルのキッチンは、私の理想。光の反射がナチュラルな質感を活かしているこんなキッチンで毎日過ごせたら……とついつい惚れ惚れと眺めてしまいます。
家電も隠すのではなく、デザインや色にこだわれば、出しっぱなしでもOKであるのもよくわかりますね。
キッチンの壁をそのままにして、何もつけない、置かないというのは、もしかしたらいちばん難しいことかもしれません。物が多いキッチンではついつい棚やポールを取り付けたくなってしまいますよね。
絵になるような真っ白に塗られたレンガの壁と、淡い色の家具のスカンジナビアンスタイルのキッチンは、私の理想。光の反射がナチュラルな質感を活かしているこんなキッチンで毎日過ごせたら……とついつい惚れ惚れと眺めてしまいます。
家電も隠すのではなく、デザインや色にこだわれば、出しっぱなしでもOKであるのもよくわかりますね。
黄色に塗ったバックウォールはまるでキッチンというステージの背景のように、住んでいる人たちや手前の家具を引き立ててくれています。壁には何もつけず、ただきれいな色でアクセントにしているとは、羨ましいような贅沢な空間です。
壁を楽しむ場合の、収納問題の解決法
とはいえ、やっぱりキッチンは家の中でいちばん物が多い場所。見せる収納やすっきりしたプレーンな壁を楽しみたいなら、別の収納場所を確保する必要は出てきます。見た目はシンプルでも、収納が足りなければ使いやすさも台無しに。そんなときに役立つのがパントリースペース。こちらのように、家電も入るぐらいのスペースがあるといいですね。正面からは白い壁とパントリーの一部ちらっと見えるぐらいのすっきりしたキッチンになっています。
とはいえ、やっぱりキッチンは家の中でいちばん物が多い場所。見せる収納やすっきりしたプレーンな壁を楽しみたいなら、別の収納場所を確保する必要は出てきます。見た目はシンプルでも、収納が足りなければ使いやすさも台無しに。そんなときに役立つのがパントリースペース。こちらのように、家電も入るぐらいのスペースがあるといいですね。正面からは白い壁とパントリーの一部ちらっと見えるぐらいのすっきりしたキッチンになっています。
シンプルに、一枚のシェルフのみを設置したこちらのキッチン。収納というよりも、大好きなかごをちょこっと置くスペースのようですね。キッチンとダイニングが一体となった、広々とした開放的な空間です。キッチンの左側の部屋にちらりと家電が見えるのは、パントリーや家電スペースでしょうか。「見えるエリア」と「隠すエリア」に分けるのもひとつのやり方かもしれません。
食器類は横の置き家具の中に。部屋にいい味を与えている素敵な食器棚ですね。
食器類は横の置き家具の中に。部屋にいい味を与えている素敵な食器棚ですね。
一見黒い壁に見えるのは、よく見ると引き戸。これなら収納をたっぷり確保しながら、普段はすっきり見せることができます。ポイントはシンプルな「壁に見える」ような扉にすること。別の場所でも黒をアクセントカラーに使っていることで、部屋に自然となじんでいます。
黒い扉の引き手も黒でカモフラージュ。唯一何かが後ろに入っているとヒントになるのが白い文字。おしゃれですね。
今回ご紹介したキッチンを見ながら感じたのは、皆さんやっぱり個性を大切にしていること。好きなものを見せたり、あるいは何も置かないでただ色や素材で個性を表すといった、さまざまな例をご紹介しました。皆さんのライフスタイルもそれぞれ違い、ニーズも多様。そんなニーズに合わせながら自分らしさを表すことが、以前より自由に使えるようになったキッチンの壁の素敵さの秘訣なのでしょう。
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今回ご紹介したキッチンを見ながら感じたのは、皆さんやっぱり個性を大切にしていること。好きなものを見せたり、あるいは何も置かないでただ色や素材で個性を表すといった、さまざまな例をご紹介しました。皆さんのライフスタイルもそれぞれ違い、ニーズも多様。そんなニーズに合わせながら自分らしさを表すことが、以前より自由に使えるようになったキッチンの壁の素敵さの秘訣なのでしょう。
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