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今の暮らしに合わせたアンティークの使い方「見立て使い」のアイデア集
在イギリス20年のアンティークのプロが、モダンな空間にアンティークをとり入れて楽しむ際の選び方、合わせ方などのコツをご紹介する連載、第6回です。
西谷典子|Noriko Nishiya
2015年5月28日
アンティークの魅力のひとつは「パティーナ(patina)」という言葉で表されることもある、長年使われてきたことによる変化を味わいとして楽しめる風合い。このような魅力が備わっていることによって、風格や存在感がもの自体に加わり、そのままでも絵になるものが多いのです。素直に置いて眺めて楽しむのもいいですが、本来の使い方とは異なる自分なりの使い方に変える「見立て使い」もまた、アンティークを使うときの大きな楽しみ。枠にとらわれない自由な想像力で、ちょっと見方を変えておもしろい使い方を試してみましょう。
前回までの記事はこちら!
第1回 アンティークを現代の暮らしにミックスさせるポイント10
第2回 アンティークの基本的な知識、選び方や扱い方のポイント
第3回 アンティーク家具のタイムレスな魅力は、シンプルデザインまたはシンプルな空間で
第4回 省スペース&マルチファンクショナル。賢い機能のアンティーク家具を選ぶ
第5回 コンパクトな空間に、アンティーク家具をバランスよく配置するコツ
前回までの記事はこちら!
第1回 アンティークを現代の暮らしにミックスさせるポイント10
第2回 アンティークの基本的な知識、選び方や扱い方のポイント
第3回 アンティーク家具のタイムレスな魅力は、シンプルデザインまたはシンプルな空間で
第4回 省スペース&マルチファンクショナル。賢い機能のアンティーク家具を選ぶ
第5回 コンパクトな空間に、アンティーク家具をバランスよく配置するコツ
今回はそんな、本来の用途とは別の使い方、現代の暮らしに合わせた工夫と意外性のある「見立て使い」のよい例をご紹介していきたいと思います。
ドアをインテリアの「背景」に
もしもこのコーナーに置かれているのが、このメタルのデスクとチェアだけだったら、あまりコンセプトのないインテリアに見えたでしょう。でもアンティークのドアを背景に置いてマッチさせることで、インダストリアルなテイストとシャビーシックな雰囲気が強調され、テーブルや椅子の表情もくっきりと見えてくるようになります。開閉の機能は使わなくても、ドア自体の風合いを背景にしてインテリアをレベルアップ。ドアを好きな色に塗り替えてもいいですね。
もしもこのコーナーに置かれているのが、このメタルのデスクとチェアだけだったら、あまりコンセプトのないインテリアに見えたでしょう。でもアンティークのドアを背景に置いてマッチさせることで、インダストリアルなテイストとシャビーシックな雰囲気が強調され、テーブルや椅子の表情もくっきりと見えてくるようになります。開閉の機能は使わなくても、ドア自体の風合いを背景にしてインテリアをレベルアップ。ドアを好きな色に塗り替えてもいいですね。
ドアをベッドのヘッドボードに
これも風合いのある古いドアをベッドのヘッドボードに使った、大胆でユニークな見立て使いです。納屋などで使われていた少し背の低いドアですが、このような小さなサイズのドアは、フックをつけてハンガーにしたり、また少し手を加えればパーテーションとしても使え、さまざまな用途が思い浮かびそうです。
これも風合いのある古いドアをベッドのヘッドボードに使った、大胆でユニークな見立て使いです。納屋などで使われていた少し背の低いドアですが、このような小さなサイズのドアは、フックをつけてハンガーにしたり、また少し手を加えればパーテーションとしても使え、さまざまな用途が思い浮かびそうです。
ヴィンテージのトランクを棚に
まるでヴィンテージのトランクが、壁からにょきにょきと生えているように見えます。とてもアーティスティックでユーモアのセンスのある使い方ですね。ヴィンテージのトランクは収納用の箱としても、重ねて置けば玄関に置くホールテーブルにもなり、楽しい使い方のできる便利なアイテムのひとつです。
まるでヴィンテージのトランクが、壁からにょきにょきと生えているように見えます。とてもアーティスティックでユーモアのセンスのある使い方ですね。ヴィンテージのトランクは収納用の箱としても、重ねて置けば玄関に置くホールテーブルにもなり、楽しい使い方のできる便利なアイテムのひとつです。
引き出しを外したチェスト+トランクをディスプレイ棚に
オープン棚に単にものを並べるのではなく、ヴィンテージのトランクをぎっしりと詰め込むことによって、棚が楽しい表情に、またすっきりと見えます。実はこのオープン棚はチェストの引き出しを取り外して色を塗ったリメイクもの。言われなければ気がつきませんが、こういった家具のリメイクもぜひおすすめしたいアンティークの賢い活用例です。
オープン棚に単にものを並べるのではなく、ヴィンテージのトランクをぎっしりと詰め込むことによって、棚が楽しい表情に、またすっきりと見えます。実はこのオープン棚はチェストの引き出しを取り外して色を塗ったリメイクもの。言われなければ気がつきませんが、こういった家具のリメイクもぜひおすすめしたいアンティークの賢い活用例です。
ミルク缶を傘入れに
従来の傘立てではつまらないという方は、メタル製のミルク缶などはどうでしょう。古いメタリックな質感はそれほど甘口のカントリー調には見えず、玄関のオブジェとして意外にハードな印象の存在感を放ちます。もっと小さいサイズのミルク缶ならゴミ箱としても使えますが、実はそもそも重たいものなため、あまりゴミをため込むと持ち上がらなくなるのでご注意を。
従来の傘立てではつまらないという方は、メタル製のミルク缶などはどうでしょう。古いメタリックな質感はそれほど甘口のカントリー調には見えず、玄関のオブジェとして意外にハードな印象の存在感を放ちます。もっと小さいサイズのミルク缶ならゴミ箱としても使えますが、実はそもそも重たいものなため、あまりゴミをため込むと持ち上がらなくなるのでご注意を。
アンティークの木箱を収納棚に
果物や野菜が入っていた木箱などはインテリアによく見立て使いされるアイテムです。このように階段下などの狭いスペースにはめ込むように並べて、スペースを有効に使ってみるのも賢い例。底が網になっている箱は、簡単に壁に引っ掛けることができるので、軽いものを置く棚としてすぐに使えます。アンティークの木箱の棚に飾るものは、アンティークのアイテムではなく、新しいアイテムを置いた方がバランスがとれ、センスのよい空間になります。
果物や野菜が入っていた木箱などはインテリアによく見立て使いされるアイテムです。このように階段下などの狭いスペースにはめ込むように並べて、スペースを有効に使ってみるのも賢い例。底が網になっている箱は、簡単に壁に引っ掛けることができるので、軽いものを置く棚としてすぐに使えます。アンティークの木箱の棚に飾るものは、アンティークのアイテムではなく、新しいアイテムを置いた方がバランスがとれ、センスのよい空間になります。
ほうろう製のキッチングッズを小物入れに
ヴィクトリア女王時代からあるほうろう製品は、シンプルで機能的、しかも衛生的なので、今もイギリスではキッチンのマストアイテムです。新品のレプリカも多く出ていますが、やはりアンティークのほうろう缶の質感の味わいは別格ですね。ロゴのないシンプルなブレッド缶は、たとえば生ごみ入れにすれば衛生的で、蓋つきなので臭いも気にならずおすすめの使い方です。小さなフラワー缶(小麦粉用の缶)なら、さらにスペースもとりません。
ヴィクトリア女王時代からあるほうろう製品は、シンプルで機能的、しかも衛生的なので、今もイギリスではキッチンのマストアイテムです。新品のレプリカも多く出ていますが、やはりアンティークのほうろう缶の質感の味わいは別格ですね。ロゴのないシンプルなブレッド缶は、たとえば生ごみ入れにすれば衛生的で、蓋つきなので臭いも気にならずおすすめの使い方です。小さなフラワー缶(小麦粉用の缶)なら、さらにスペースもとりません。
果樹園用のはしごを棚やタオルハンガーに
はしごは登るためのものという発想をいったん忘れて、「狭いスペースを有効に使って小さなものを置くことのできる、デコレーション用の棚」という機能に注目してみましょう。別のタイプで先の方がだんだん小さくなっている果樹園用の長いはしごなどは、壁に立てかけてタオルハンガーとしても使えますし、長過ぎたら上の方だけカットして2個に分けて使うこともできますね。
はしごは登るためのものという発想をいったん忘れて、「狭いスペースを有効に使って小さなものを置くことのできる、デコレーション用の棚」という機能に注目してみましょう。別のタイプで先の方がだんだん小さくなっている果樹園用の長いはしごなどは、壁に立てかけてタオルハンガーとしても使えますし、長過ぎたら上の方だけカットして2個に分けて使うこともできますね。
ガーデンの柵をキッチンツールハンガーに
庭の柵も見方を変えれば、調理道具をかけるハンガーになります。マグカップも引っかけてあるのがとても微笑ましい感じです。写真では、スペースそのものが1950年代のスタイルなので、ガーデングッズの見立て使いもそれほど野暮ったく見えなくてGood。古いものの形や個性を既成概念にとらわれず見つつ、しっかりと形や個性を生かしている、ユーモアあふれる使い方ですね。
庭の柵も見方を変えれば、調理道具をかけるハンガーになります。マグカップも引っかけてあるのがとても微笑ましい感じです。写真では、スペースそのものが1950年代のスタイルなので、ガーデングッズの見立て使いもそれほど野暮ったく見えなくてGood。古いものの形や個性を既成概念にとらわれず見つつ、しっかりと形や個性を生かしている、ユーモアあふれる使い方ですね。
ホールテーブルを仕事用デスクに
一見大きめのデスクに見えますが、実は200年ほど前につくられたジョージ王朝時代のホールテーブルです。大きくはありませんがやや高さがあるので、同じ年代のスツールを選んで調整しています。ホールテーブルは奥行きが狭く幅が広いものが多いので、コンパクトな印象にかかわらず書類などをいっぱいに広げられるデスクとして活用できそうです。
一見大きめのデスクに見えますが、実は200年ほど前につくられたジョージ王朝時代のホールテーブルです。大きくはありませんがやや高さがあるので、同じ年代のスツールを選んで調整しています。ホールテーブルは奥行きが狭く幅が広いものが多いので、コンパクトな印象にかかわらず書類などをいっぱいに広げられるデスクとして活用できそうです。
アンティークやヴィンテージなど、古い時代のものだけが持つ「パティーナ」を楽しみながら、新しい使い方を考え、リメイクしたり役立てたりするのは、価値のあるひとつのものを大切に長く使うことにもつながります。お気に入りのインテリアで過ごす幸せのみならず、環境にもよいことだと思います。まだまだ新しい使い方が出てくると思いますので、ぜひ頭をひねって、自分なりの楽しいアンティークの使い方を発見してみてください。
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