中庭をぐるりと囲む、家族のための「かたつむりの家」
さまざまな条件と要望を汲んで形にしたら、中庭を囲むカタツムリのような姿の家になりました。
杉田真理子
2019年6月16日
周辺環境や敷地条件、プライバシーなどを考慮した末に生まれた、かたつむりのような渦巻き構造が特徴的な住宅。印象的な中庭から自然光がふんだんに室内に入り込み、玄関から一歩足を踏み入れると、心地の良い開放感を覚える。オーナーのこだわりと、建築家のプロの技が詰め込まれた住まいを訪ねた。
どんなHouzz?
所在地:兵庫県明石市
住まい手:医療職の夫妻、4歳の娘
敷地面積:93.69坪
建築面積:49.33坪
延床面積:49.33坪
構造:木造/平屋
設計:株式会社seki.design
施工:有限会社ビームスコンストラクション
竣工時期:2017年12月
写真撮影:福澤昭嘉
共に医療職で活躍するご夫妻。子育てが始まり、駅前の便利なマンションではなく、広々とした一軒家で子供の成長を見守れるよう、マイホームを建てることにした。仕事の都合や交通の便の良さ、広々とした土地柄から、明石に居を構えることに決めた。
家づくりに当たって、何人かの建築家に会ったというご夫妻。最終的にseki designの石憲明さんに依頼した理由は「非常に気が合って、この人にならお願いできる」と感じたからだそうだ。石さんの実家がここ明石の近所である、ということも決め手のひとつになった。「土地勘があると、この土地の雰囲気などを汲み取った設計をして頂けると思ったのです」
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所在地:兵庫県明石市
住まい手:医療職の夫妻、4歳の娘
敷地面積:93.69坪
建築面積:49.33坪
延床面積:49.33坪
構造:木造/平屋
設計:株式会社seki.design
施工:有限会社ビームスコンストラクション
竣工時期:2017年12月
写真撮影:福澤昭嘉
共に医療職で活躍するご夫妻。子育てが始まり、駅前の便利なマンションではなく、広々とした一軒家で子供の成長を見守れるよう、マイホームを建てることにした。仕事の都合や交通の便の良さ、広々とした土地柄から、明石に居を構えることに決めた。
家づくりに当たって、何人かの建築家に会ったというご夫妻。最終的にseki designの石憲明さんに依頼した理由は「非常に気が合って、この人にならお願いできる」と感じたからだそうだ。石さんの実家がここ明石の近所である、ということも決め手のひとつになった。「土地勘があると、この土地の雰囲気などを汲み取った設計をして頂けると思ったのです」
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夫妻は、プライバシーがありつつも、心地よい開放感のある家を求めていた。
「プランニングの過程で、プライバシーが完全に守られた屋外スペースを作ることをまず意識しました」と石さん。住宅街である周囲の環境との兼ね合いを考慮し、建物の真ん中に中庭をレイアウトすることに決めた。玄関に足を踏み入れると、リビングダイニングに進む廊下の右手に、既に中庭が見える。自然光が緩やかに中庭から入り込み、室内はぱっと明るい雰囲気だ。
廊下の左手にまずあるのは、広々としたウォークインクローゼット。その右手には、洗面台が設けられている。帰宅したら直ぐに手を洗い、着替えを済ませてからリビングに行ける仕組み。医療職の夫妻らしい工夫だ。
「ウォークインクローゼットは絶対に欲しいと思っていました。やはり、マンションなどではなかなか実現できないですよね」と奥さま。クローゼットを一部屋にまとめて広めにとっておくことで、各個室の収納スペースを削減できるのだそうだ。
「プランニングの過程で、プライバシーが完全に守られた屋外スペースを作ることをまず意識しました」と石さん。住宅街である周囲の環境との兼ね合いを考慮し、建物の真ん中に中庭をレイアウトすることに決めた。玄関に足を踏み入れると、リビングダイニングに進む廊下の右手に、既に中庭が見える。自然光が緩やかに中庭から入り込み、室内はぱっと明るい雰囲気だ。
廊下の左手にまずあるのは、広々としたウォークインクローゼット。その右手には、洗面台が設けられている。帰宅したら直ぐに手を洗い、着替えを済ませてからリビングに行ける仕組み。医療職の夫妻らしい工夫だ。
「ウォークインクローゼットは絶対に欲しいと思っていました。やはり、マンションなどではなかなか実現できないですよね」と奥さま。クローゼットを一部屋にまとめて広めにとっておくことで、各個室の収納スペースを削減できるのだそうだ。
廊下の右手にある窓の向こうは中庭だ。「BBQなどできるように庭が欲しいと思いましたが、プライバシーがネックでした。周囲から完全にプライバシーの守られた中庭をご提案頂いた時は、さすが建築家、と思いましたね」とご主人。
中庭が敷地の真ん中にあることで家全体が明るく開放感があり、冬場も太陽光が入りやすい。屋根の位置や形は、周囲の建物の高さや日差し、プライバシーなどを考慮して工夫した。結果、屋根が中庭を囲むように渦巻き、かたつむりを連想させる形になった。夏はBBQや、子供のプール遊びを中庭で楽しむ。
中庭が敷地の真ん中にあることで家全体が明るく開放感があり、冬場も太陽光が入りやすい。屋根の位置や形は、周囲の建物の高さや日差し、プライバシーなどを考慮して工夫した。結果、屋根が中庭を囲むように渦巻き、かたつむりを連想させる形になった。夏はBBQや、子供のプール遊びを中庭で楽しむ。
廊下を抜けると、開放的なリビングダイニングが広がる。「こたつのある家、という条件はマストでした」と奥さま。こじんまりと家族が寄り添い、団欒できる場所を所望した。一方で、奥さまは閉所恐怖症。ある程度広々とした空間を作る必要があった。「コンパクトに家族が団欒する場所をつくりつつ、全体の広々とした開放感も担保する、というのは挑戦でした。熟考の末、この家のシンボルとなるメガファニチャーのアイデアが生まれたのです」と石さんは説明する。
天井の高いリビングダイニングに、小上がりのように設けられたメガファニチャー(写真の向かって左手)。背もたれのあるこたつスペースとなっているが、それだけではない。本棚や収納、階段でもあり、中二階をつくりだすための構造物でもある。「本棚のかたまりを掘り込むようなイメージでデザインしました」と石さん。この家具のおかげで、天井の低いちいさな洞穴のような空間が完成した。
パーティーの際は、ダイニングテーブルをこたつ机に並べて使用するという。小上がりも含めてぴったりの高さになるよう、ちょうど良いサイズのテーブルを選んだ。子供達は畳のスペースで、大人は椅子に座ると使いやすいのだという。
壁一面が収納スペースになっているのも、小上がりのこたつスペースの魅力だ。タッチ式の扉で開閉がしやすく、PC専用の収納スペースも完備。コンセントが充溢しているのも嬉しい工夫だ。
壁一面が収納スペースになっているのも、小上がりのこたつスペースの魅力だ。タッチ式の扉で開閉がしやすく、PC専用の収納スペースも完備。コンセントが充溢しているのも嬉しい工夫だ。
玄関から入って右手に広がる広々としたランドリールームは、ご主人のこだわりだ。洗濯物を室内で干せる快適なランドリールームは、お風呂場と洗面台に繋がる廊下の一部でもある。外部や中庭から中が見えない角度で計算して取られた窓から光が差し込み、開放的で気持ちが良い。天窓は、雨が降ると自動で扉が閉まる仕組みだ。「この大胆で広々とした洗濯室のおかげで、中庭を中心として円を描くような導線が実現しました」と石さん。
ランドリールームを進むと、お風呂場と洗面台に繋がる。洗面台の向かいは、中庭に繋がるガラス張りの窓となっているため、明るく開放的な洗面台だ。この洗面台から、そのままリビングダイニングに繋がる導線となっている。
ゲストルームとして使用できる和室では、床に座った位置から美しく見えるよう、窓の位置と眺めが工夫されている。敷地をめいいっぱい使えるよう、建物の周囲は塀でぐるりと囲んでいるが、この窓から見える部分にはタイルを貼り、鎖樋をつけるなど、デザインに気を配った。
メガファニチャーの側面は、ライブラリースペースとなっている。向かいの扉を開けると、子供のおもちゃ部屋がある。娘さんに、いつでも本を手に取ってもらえるよう、という嬉しい工夫だ。本棚のボックスの一部が階段へと変化し、中二階に続いている構造は圧巻。
階段を登ると、リビングダイニングと中庭を広々と見渡せる中二階。子供の遊び場所として人気なのだそう。身を乗り出す部分はクッション生地のベンチにもなっており、柔らかな曲線を描いているためごろりと寝転んでリラックスするのに良いという。屋根の形がそのまま反映され、屋根裏部屋にいるようなわくわく感がある。「本を読むなど、ちょっとこもりたい気分の時に嬉しいスペースです」とご主人。中二階にいながら、階下の家族の気配がいつでも感じられるのが魅力だ。「娘さんの成長に合わせて、この家が今後またどのように使われていくのか、とても楽しみです」と石さんは語る。
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ここで洗濯物を畳んだりと作業するので、その際にテレビを見ながらできるように、ということではないでしょうか。