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中庭から周囲の自然をとりいれた「都会のオアシス」のような美しい家
アメリカ、ロサンゼルスのビバリーヒルズの丘に立つ豪邸。心静かな週末を過ごしたいと望むオーナーのために、建築家たちは、外の自然とミニマルな美をたたえた室内をシームレスに繋いだ「都会のオアシス」のような空間を創り出しました。
Alex Treaster
2017年10月30日
ロサンゼルスに住んでいたホームオーナーが何年ものあいだ夢見ていたのは、一日の終わりに日常を離れ、夫とふたりで美しい自然をゆっくり楽しめるような「都会のオアシス」の家をつくること。そんなある年、彼女の誕生日に夫がサプライズプレゼントとして購入したのが、コールドウォーターキャニオンの近くに位置する4000平方メートルの細長い区画だった。ふたりは〈アーリック・ヤナイ・リー・チェイニー・アーキテクツ〉の助けを借りて、外の自然と家のなかの暮らしのどちらも大切にする、モダンな住まいをつくりあげていった。
Photo by EYRC Architects
どんなHouzz?
住まい手:子どもが巣立ったあとの、ふたり暮らしの夫婦
所在地:カリフォルニア州ビバリーヒルズ
規模:延床面積604平方メートル
デザイナー:〈EYRCアーキテクツ〉のタカシ・ヤナイとミーガン・ローラー
これまでの経緯:購入した区画には既存の住宅とゲストハウスが立っており、当初はこれをリノベーションするつもりだった。しかし、建築家のタカシ・ヤナイさんに相談した結果、取り壊して、細長い敷地を最大限に生かした住まいづくりをすることを決意。「新しいゲストハウスをできるだけ敷地の奥に寄せて配置して、母屋との間のスペースをできるだけ広くとりました。この屋外空間が、この住まいの中心であり、この住まい全体をひとつにまとめているのです」とヤナイさんは話す。
どんなHouzz?
住まい手:子どもが巣立ったあとの、ふたり暮らしの夫婦
所在地:カリフォルニア州ビバリーヒルズ
規模:延床面積604平方メートル
デザイナー:〈EYRCアーキテクツ〉のタカシ・ヤナイとミーガン・ローラー
これまでの経緯:購入した区画には既存の住宅とゲストハウスが立っており、当初はこれをリノベーションするつもりだった。しかし、建築家のタカシ・ヤナイさんに相談した結果、取り壊して、細長い敷地を最大限に生かした住まいづくりをすることを決意。「新しいゲストハウスをできるだけ敷地の奥に寄せて配置して、母屋との間のスペースをできるだけ広くとりました。この屋外空間が、この住まいの中心であり、この住まい全体をひとつにまとめているのです」とヤナイさんは話す。
中庭
プールと庭がある中央のスペースには、険しい丘も含めた自然のランドスケープもそのまま取り入れている。このプロジェクトを手がけたヤナイさんとミーガン・ローラーさんが、設計の早い段階で気づいたのは、この区画は周囲の家とは異なり、渓谷と地平の眺めが見渡せないという点だった。
その代わり、ここには人里離れた隠遁所のような雰囲気をつくり出せるというメリットがあった。そこでヤナイさんとローラーさんは造園会社〈GSLAステュディオ〉と協力して、この敷地が持つ自然の魅力を引き出すことにした。「ランドスケープに関する大きな方針のひとつは、丘の斜面のワイルドな自然を生かすことでした」とローラーさんは言う。プロジェクトが進むにつれ、家自体のデザインにも丘の自然が大きな影響を与えることになった。
プールと庭がある中央のスペースには、険しい丘も含めた自然のランドスケープもそのまま取り入れている。このプロジェクトを手がけたヤナイさんとミーガン・ローラーさんが、設計の早い段階で気づいたのは、この区画は周囲の家とは異なり、渓谷と地平の眺めが見渡せないという点だった。
その代わり、ここには人里離れた隠遁所のような雰囲気をつくり出せるというメリットがあった。そこでヤナイさんとローラーさんは造園会社〈GSLAステュディオ〉と協力して、この敷地が持つ自然の魅力を引き出すことにした。「ランドスケープに関する大きな方針のひとつは、丘の斜面のワイルドな自然を生かすことでした」とローラーさんは言う。プロジェクトが進むにつれ、家自体のデザインにも丘の自然が大きな影響を与えることになった。
母屋の中に入ると、部屋や窓は、見る人の視線が外の自然や中庭に向けられるよう配置されているのがわかる。「中央のスペースこそ、この住まい全体のいちばん大切な場所です。ここが中心になっているのです」とローラーさんは言う。「リビングとダイニングも、大きなガラスのドアで中庭へ開かれています」。
このような設計により、ランドスケープが無意識のうちにホームオーナーの生活体験の一部になっている、とヤナイさんは話す。「室内にいながら、ガラス越しに入る太陽の光を感じ、風に揺れる木の枝や葉を眺めることができます」とヤナイさんは言う。こうして屋内と屋外の境界を曖昧にしていくことで、この敷地のもつサンクチュアリのような印象がさらに強く感じられる。
このような設計により、ランドスケープが無意識のうちにホームオーナーの生活体験の一部になっている、とヤナイさんは話す。「室内にいながら、ガラス越しに入る太陽の光を感じ、風に揺れる木の枝や葉を眺めることができます」とヤナイさんは言う。こうして屋内と屋外の境界を曖昧にしていくことで、この敷地のもつサンクチュアリのような印象がさらに強く感じられる。
キッチン
キッチンでも、いくつかの方法で室内と屋外のつながりをつくりだしている。部屋の片端は壁一面がガラス窓で、竹の庭を眺められる。「窓の外を見るたび、このすばらしい光と生き生きとした緑が目に入るんです」とローラーさん。
竹は、カウンタートップ選びのヒントにもなった。選んでいたカウンタートップ用の石材が手に入らなくなったのだが、かえってもっと素敵な素材にめぐりあったのだ。「結局、こちらの野性味のあるグリーンの石が見つかって、ホームオーナーもすごく気に入ってくれました。まるで外の竹のようです。本当に、この上なくよくマッチしていますね」とローラーさん。
家全体のなかで、ホームオーナーにとっていちばん重要な空間となったのがキッチンだった。肉を熟成させたり、中庭の菜園で採れる野菜を下ごしらえしたりする場所だ。
キッチンでも、いくつかの方法で室内と屋外のつながりをつくりだしている。部屋の片端は壁一面がガラス窓で、竹の庭を眺められる。「窓の外を見るたび、このすばらしい光と生き生きとした緑が目に入るんです」とローラーさん。
竹は、カウンタートップ選びのヒントにもなった。選んでいたカウンタートップ用の石材が手に入らなくなったのだが、かえってもっと素敵な素材にめぐりあったのだ。「結局、こちらの野性味のあるグリーンの石が見つかって、ホームオーナーもすごく気に入ってくれました。まるで外の竹のようです。本当に、この上なくよくマッチしていますね」とローラーさん。
家全体のなかで、ホームオーナーにとっていちばん重要な空間となったのがキッチンだった。肉を熟成させたり、中庭の菜園で採れる野菜を下ごしらえしたりする場所だ。
リビングルーム
屋外の雰囲気を室内に取り込むほかに、ヤナイさんとローラーさんが留意したのは、ホームオーナー夫婦の個性を映し出す住まいづくりをすることだった。「オーナーたちの個性を表現し、ふたりがこれまで集めてきたアートや家具も積極的に取り入れています」とヤナイさんは言う。
家具:オーナーが所有するイームズの作品 ラグ:オーナーが以前から所有していたもの 床:ポリッシュコンクリート
屋外の雰囲気を室内に取り込むほかに、ヤナイさんとローラーさんが留意したのは、ホームオーナー夫婦の個性を映し出す住まいづくりをすることだった。「オーナーたちの個性を表現し、ふたりがこれまで集めてきたアートや家具も積極的に取り入れています」とヤナイさんは言う。
家具:オーナーが所有するイームズの作品 ラグ:オーナーが以前から所有していたもの 床:ポリッシュコンクリート
イームズの家具、温かみのあるアクセントカラー、幾何学的なフォルムでまとめたリビングルームは、ミニマルだが、居心地のよい率直さが感じられる。「ここは、オーナー夫婦とこの土地との出会いを祝福する場所なんです」とヤナイさん。
ダイニングエリア
リビングと同じ大きな空間の中にあるダイニングエリアでも、内と外のつながりがさりげなく演出されている。片側の窓から入る自然光と白い壁が、反対側のダークなレンガ壁へとシームレスに移行する。レンガは耐久性とメンテナンスのしやすさから選んだ。これは、この家全体の素材選びに共通する点だ。
リビングと同じ大きな空間の中にあるダイニングエリアでも、内と外のつながりがさりげなく演出されている。片側の窓から入る自然光と白い壁が、反対側のダークなレンガ壁へとシームレスに移行する。レンガは耐久性とメンテナンスのしやすさから選んだ。これは、この家全体の素材選びに共通する点だ。
マスターベッドルーム
2階にあるマスターベッドルームも、1階と同じテイストでまとめている。大きなガラス窓には、ベッドルームに戸外のムードを最大限に取り入れて、中庭へと視線を誘う効果があると、ヤナイさんは言う。
床:メープル材
2階にあるマスターベッドルームも、1階と同じテイストでまとめている。大きなガラス窓には、ベッドルームに戸外のムードを最大限に取り入れて、中庭へと視線を誘う効果があると、ヤナイさんは言う。
床:メープル材
バスルーム
バスルームには、質実剛健でありながら、趣があって美しい素材を選んだとローラーさんは言う。
バスルームには、質実剛健でありながら、趣があって美しい素材を選んだとローラーさんは言う。
エントランスとエクステリア
室内と屋外とのつながりを感じさせる重要な素材となったのが、亜鉛メッキ鋼板だ。「エントランスや家の裏側に使われている亜鉛メッキ鋼板は、建物の外側を包み込んで、そのまま内側にも入り込んでいます」とローラーさんは言う。ほかの部分でも、レンガやしっくいを使って同じ手法が繰り返されており、内と外のダイナミックなつながりを演出している。
室内と屋外とのつながりを感じさせる重要な素材となったのが、亜鉛メッキ鋼板だ。「エントランスや家の裏側に使われている亜鉛メッキ鋼板は、建物の外側を包み込んで、そのまま内側にも入り込んでいます」とローラーさんは言う。ほかの部分でも、レンガやしっくいを使って同じ手法が繰り返されており、内と外のダイナミックなつながりを演出している。
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