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世界の暮らしとデザイン:船、コンテナ、格納庫などに住む生活
人の住処は「住宅」とは限りません! 温室や教会、貨物コンテナからミサイル格納庫まで、思いがけないものを家にして素敵に暮らしている例を厳選してご紹介します!
Houzz
2015年9月4日
〈世界の暮らしとデザイン〉は、世界各地のHouzzから、住宅に関するさまざまなデザインやライフスタイルを紹介するシリーズです。
理想の家は人それぞれ。プール付きの邸宅を夢見る人もいれば、ミサイル格納庫や貨物コンテナに住みたいと思う人もいる。デザインやスタイルにもいろいろ好みがあるが、住居にしたいと思う建物のタイプも実にさまざまなのだ。どんなに手間なリノベーションが必要でも、気に入ってしまったら関係ない。イタリアの望楼からオーストラリアの教会まで、意外な場所を日々の住まいにしてしまった人たちが世界にはたくさん存在する。今回は、その中でも特にユニークな家を見てみよう。
理想の家は人それぞれ。プール付きの邸宅を夢見る人もいれば、ミサイル格納庫や貨物コンテナに住みたいと思う人もいる。デザインやスタイルにもいろいろ好みがあるが、住居にしたいと思う建物のタイプも実にさまざまなのだ。どんなに手間なリノベーションが必要でも、気に入ってしまったら関係ない。イタリアの望楼からオーストラリアの教会まで、意外な場所を日々の住まいにしてしまった人たちが世界にはたくさん存在する。今回は、その中でも特にユニークな家を見てみよう。
1.フランス、セーヌ川に浮く家
どんな家?:ハウスボートに改造した平底船
所在地:フランス、イル・ド・フランス地域のセーヌ川
居住者:2人の小さい娘さんがいる家族
設計:ヤン・クルアルン
延床面積130平方メートルの平底船の家。木製の階段を下りて中に入ると、そこは大きなリビングルームだ。この明るい部屋からはとても想像できないが、1930年代には商用船として使われており、その後1970年代になり部分的に改造してハウスボートとして利用されていた。
2009年にこちらの船を購入した一家は、建築家のヤン・クルアルンさんにフル・リノベーションを依頼。オーナーの希望は、スペースを最大限に活用しつつ、親密な居心地良い雰囲気を保つこと。「できるだけシンプルにしました。何より丈夫で、可能な限り広く明るい空間であること、そして同時に外とのつながりも感じられるようなデザインを目指しました。」とクルアルンさん。
まず最初に行ったのは、外殻の塗装と、必須メンテナンスの実施。(ハウスボートは10年に一度、陸上で安全点検を行うよう定められている。)
どんな家?:ハウスボートに改造した平底船
所在地:フランス、イル・ド・フランス地域のセーヌ川
居住者:2人の小さい娘さんがいる家族
設計:ヤン・クルアルン
延床面積130平方メートルの平底船の家。木製の階段を下りて中に入ると、そこは大きなリビングルームだ。この明るい部屋からはとても想像できないが、1930年代には商用船として使われており、その後1970年代になり部分的に改造してハウスボートとして利用されていた。
2009年にこちらの船を購入した一家は、建築家のヤン・クルアルンさんにフル・リノベーションを依頼。オーナーの希望は、スペースを最大限に活用しつつ、親密な居心地良い雰囲気を保つこと。「できるだけシンプルにしました。何より丈夫で、可能な限り広く明るい空間であること、そして同時に外とのつながりも感じられるようなデザインを目指しました。」とクルアルンさん。
まず最初に行ったのは、外殻の塗装と、必須メンテナンスの実施。(ハウスボートは10年に一度、陸上で安全点検を行うよう定められている。)
内部は、床面を下げて2.1メートルの天井高を確保した。壁面を白く塗装して、オーナーがもともと所有していた白い家具と組み合わせることでリビングは明るく広々と仕上がった。床はオーク無垢材で、ボートの縦の向きに合わせて床板を一面に敷くことで、空間をより広く感じさせている。
川面や動物、周囲の風景を眺めるのが大好きなオーナー夫妻と娘さんたちのため、いくつか舷窓を追加した。リビングがより明るくなる効果もある。船の前側にはバスルームと娘さんたちのベッドルーム、そして夫妻のベッドルームがある。
この家のHouzzツアーを見る
川面や動物、周囲の風景を眺めるのが大好きなオーナー夫妻と娘さんたちのため、いくつか舷窓を追加した。リビングがより明るくなる効果もある。船の前側にはバスルームと娘さんたちのベッドルーム、そして夫妻のベッドルームがある。
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2. オーストラリア、教会を改築した家
どんな建物?:19世紀に作られた教会。1943年に教会としての役目を終えたのち、羊の毛刈り小屋として50年以上利用されていた。
所在地:オーストラリア、ニューサウスウェールズ州ラガン
居住者:建築家のマイケル・サンドバーグさんが週末用の別荘として利用している。自身で設計を行い、改築作業をマネジメントした。
シドニーから南西に250キロほどの田舎にあるこちらの家は、もと教会は協会だった。荒れ果てた廃墟と化していたが、建築家のマイケル・サンドバーグさんはここを車で通りかかったとき、建物の秘めた可能性にピンときたという。
一時はラガンの村の中心的存在だった教会。シドニー在住のサンドバーグさんは、石造りの建物を1年以上かけて改築した。外壁はしっかりしていたものの、地元産の花崗岩でできた控え壁や、ゴシック様式の窓、オリジナルの両開きの入口扉を修繕する施工が必要だった。
どんな建物?:19世紀に作られた教会。1943年に教会としての役目を終えたのち、羊の毛刈り小屋として50年以上利用されていた。
所在地:オーストラリア、ニューサウスウェールズ州ラガン
居住者:建築家のマイケル・サンドバーグさんが週末用の別荘として利用している。自身で設計を行い、改築作業をマネジメントした。
シドニーから南西に250キロほどの田舎にあるこちらの家は、もと教会は協会だった。荒れ果てた廃墟と化していたが、建築家のマイケル・サンドバーグさんはここを車で通りかかったとき、建物の秘めた可能性にピンときたという。
一時はラガンの村の中心的存在だった教会。シドニー在住のサンドバーグさんは、石造りの建物を1年以上かけて改築した。外壁はしっかりしていたものの、地元産の花崗岩でできた控え壁や、ゴシック様式の窓、オリジナルの両開きの入口扉を修繕する施工が必要だった。
しかし大変だったのは建物の中。サンドバーグさんの思い描いていた、ベッドルーム2部屋付きの現代的な家に作り上げるまでにはかなりの労力が必要だった。「オリジナルの建物の中にコンテンポラリーなインテリアを組み合わせることで、建物に吹き込まれた新しい命を表現しようと思いました」とサンドバーグさんは言う。
その思いがいちばんよく表れているのがキッチンだ。教会という本来の用途にちなんで、キャビネット部分に白い十字架の形を取り入れた。戸棚とバックスプラッシュに使われた鮮やかなオレンジ色と映えて印象的だ。
その思いがいちばんよく表れているのがキッチンだ。教会という本来の用途にちなんで、キャビネット部分に白い十字架の形を取り入れた。戸棚とバックスプラッシュに使われた鮮やかなオレンジ色と映えて印象的だ。
1943年に付け加えられたトタン板張りの納屋部分は、広々としたバスルームに変身。完全にリノベーションし、断熱壁やタイル張りの床、木製フレームの窓を新たに加えてはいるが、当初のラスティックな雰囲気を引き継ぐデザインにした。自立型バスタブからは、周囲をとりまく野原やユーカリの森を眺めることができる。
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3. ドイツから、緑に囲まれて暮らす
どんな建物?:本物の温室
所在地:ドイツ、ハノーファー
居住者:花屋と園芸家のベアテ・シーラー=クレムカウさんとルッツ・ピーター・クレムカウさん夫妻、子ども2人
どんな建物?:本物の温室
所在地:ドイツ、ハノーファー
居住者:花屋と園芸家のベアテ・シーラー=クレムカウさんとルッツ・ピーター・クレムカウさん夫妻、子ども2人
クレムカウ家に一歩足を踏み入れると、そこはまるで熱帯。温かく湿気がありエギゾチックな香りが漂う。植物好きが高じてそれを仕事にしてしまった(花屋と園芸家)という夫妻なので、温室に住んでしまうのも納得だが、とはいえ行政的にはいろいろ決まりもある。特殊な換気システムや、雨水を利用したかんがい施設、そして雹や嵐にも耐えうるガラス天井を導入して、やっとふたりは夢の住まいを実現した。今では、延床面積360平方メートルの文字通りグリーンな生活空間となっている。
温室の片隅にある低いバンガローの中に、キッチン、バスルーム、ベッドルームがある。でも、家族がいちばん長い時間を過ごすのはバンガローの屋上。ヤシ・クワ・イチジクの木など、さまざまな植物に囲まれたリビング・ダイニングエリアだ。
一家は1年中「アウトドア生活」を楽んでいる。どうやら健康にもいいらしく、「子どもたちはほとんど病気知らずなんですよ」とベアテさん。
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温室の片隅にある低いバンガローの中に、キッチン、バスルーム、ベッドルームがある。でも、家族がいちばん長い時間を過ごすのはバンガローの屋上。ヤシ・クワ・イチジクの木など、さまざまな植物に囲まれたリビング・ダイニングエリアだ。
一家は1年中「アウトドア生活」を楽んでいる。どうやら健康にもいいらしく、「子どもたちはほとんど病気知らずなんですよ」とベアテさん。
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4. 日本から、建築基準を満たした快適なコンテナハウス
どんな建物?:貨物コンテナ7つを組み合わせた家
所在地:千葉県白井市
居住者:30代の独身男性
設計施工:archimetal.jp +コンテナハウス2040JP
DIYをはじめたくさんの趣味を持ち、モーターバイクだけでも数台を所有するオーナーは、ある日、コンテナを使えば、自分のコレクションに合うインダストリアルな家になるし、自分も家を建てる作業に参加できるのでは、とひらめいた。そこで、建築用コンテナハウスづくりを専門に手がけているarchimetal.jp+コンテナハウス2040JPに家づくりを依頼した。
1階部分は3つ、2階部分は4つ、合計7つのコンテナを組み合わせてつくられた家は、建築基準法の必要条件をクリアしており、オーナーは公的融資を受けることもできた。
どんな建物?:貨物コンテナ7つを組み合わせた家
所在地:千葉県白井市
居住者:30代の独身男性
設計施工:archimetal.jp +コンテナハウス2040JP
DIYをはじめたくさんの趣味を持ち、モーターバイクだけでも数台を所有するオーナーは、ある日、コンテナを使えば、自分のコレクションに合うインダストリアルな家になるし、自分も家を建てる作業に参加できるのでは、とひらめいた。そこで、建築用コンテナハウスづくりを専門に手がけているarchimetal.jp+コンテナハウス2040JPに家づくりを依頼した。
1階部分は3つ、2階部分は4つ、合計7つのコンテナを組み合わせてつくられた家は、建築基準法の必要条件をクリアしており、オーナーは公的融資を受けることもできた。
1階はベッドルーム、キッチン、バス・トイレと大きなガレージがあり、2階はビリヤード台やオーディオメディアシステムを設置した、さまざまな趣味を楽しむためのゆったりとしたワンルーム空間になっている。防音もしっかりとしているため、好きなだけ大きな音で音楽を楽しんでいる。
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5.イタリアから、見晴らしのいい家
どんな建物?:望楼として使われていた塔
所在地:イタリア、ティレニア海沿岸のリヴォルノ近郊
居住者:ファッションデザイナーの男性と奥さん、娘ひとり
設計:〈Archipiu〉のフランチェスコ・ガルゼラ
トスカーナ地方、1000年以上前に建てられたこちらの塔は、2キロ先のティレニア海を望む望楼として使われていた。現在は3人家族の休暇用別荘となっている。3階建てで延床面積48平方メートル、屋上はテラスになっている。
細部にわたるリノベーションが行われ、手細工の鉄鋲を用いた木と鉄の玄関ドアなど、特注作業も多かった。フローリングは地元の職人が手作業で加工して、浜辺に打ち上げられた木のようなこなれた雰囲気を出した。
現代文明の快適さも取り入れて、外には、なんと住居部分よりも広い140平方メートルのエコプール(水質管理に環境に害を与えるものを使わないプール)を作った。屋上テラスにはアウトドアキッチンがあり、晴れた日にはピサの斜塔も見えるそうだ。
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どんな建物?:望楼として使われていた塔
所在地:イタリア、ティレニア海沿岸のリヴォルノ近郊
居住者:ファッションデザイナーの男性と奥さん、娘ひとり
設計:〈Archipiu〉のフランチェスコ・ガルゼラ
トスカーナ地方、1000年以上前に建てられたこちらの塔は、2キロ先のティレニア海を望む望楼として使われていた。現在は3人家族の休暇用別荘となっている。3階建てで延床面積48平方メートル、屋上はテラスになっている。
細部にわたるリノベーションが行われ、手細工の鉄鋲を用いた木と鉄の玄関ドアなど、特注作業も多かった。フローリングは地元の職人が手作業で加工して、浜辺に打ち上げられた木のようなこなれた雰囲気を出した。
現代文明の快適さも取り入れて、外には、なんと住居部分よりも広い140平方メートルのエコプール(水質管理に環境に害を与えるものを使わないプール)を作った。屋上テラスにはアウトドアキッチンがあり、晴れた日にはピサの斜塔も見えるそうだ。
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6. デンマークから、陸に上がった船
どんな建物?:金属製の船舶用コンテナ
所在地:デンマーク、コペンハーゲン近郊のファルム
居住者:家族、子どもひとり
設計:〈Stock35〉
こちらのお宅があるのは、波型金属板を用いて改装した船舶用コンテナの中。場所はコペンハーゲンから北西に30分ほど、ジーランド島のフレデリクスボルク地域だ。
オーナーはピア・モーセ・スヴェンセンさんとラース・スヴェンセンさん夫妻。設計でいちばん大切だったのが、障害を持つお子さんへの配慮だ。それまで暮らしていた母屋は1930年代に建てられた物件で、アクセシビリティが十分でなかったのだ。こちらの家は戸口の幅も余裕があり、バスルームも広く、キッチンの調度も低く設置されている。
どんな建物?:金属製の船舶用コンテナ
所在地:デンマーク、コペンハーゲン近郊のファルム
居住者:家族、子どもひとり
設計:〈Stock35〉
こちらのお宅があるのは、波型金属板を用いて改装した船舶用コンテナの中。場所はコペンハーゲンから北西に30分ほど、ジーランド島のフレデリクスボルク地域だ。
オーナーはピア・モーセ・スヴェンセンさんとラース・スヴェンセンさん夫妻。設計でいちばん大切だったのが、障害を持つお子さんへの配慮だ。それまで暮らしていた母屋は1930年代に建てられた物件で、アクセシビリティが十分でなかったのだ。こちらの家は戸口の幅も余裕があり、バスルームも広く、キッチンの調度も低く設置されている。
シンプルな石膏ボードを使ったモダンで明るいインテリア。船舶用コンテナを利用した基本構造は比較的安価で、最近のトレンドにもマッチしている。「コンテナは工場風スタイルや、1950年代アメリカのキャンピングワゴンやグレイハウンドバスのような優れたモダンデザインも連想させて、建築家としては扱いやすい素材でした」と、担当した設計事務所〈Stock35〉のオーナー、トム・モーセ・ピーターセンさんは言う。
7. イギリスから、鉄道車両の最終停車地
どんな建物?:使われなくなった鉄道車両
所在地:イングランド、ケント州ダンジェネス居住者:インテリアデザイン会社〈ミニ・モダンズ〉のキース・スティーヴンソンさんとマーク・ハンプシャーさん
古い鉄道車両に住まいとしての可能性を見出すには、特殊な見る目が必要に違いない。しかし、技術とエネルギーを持ち合わせていたインテリアデザイナーのキース・スティーヴンソンさんとマーク・ハンプシャーさんは、見放された車両を明るく楽しい海辺の家に変身させてしまった。
「初めて見たときにはふたつの部屋に分けられていて、今みたいにまっすぐビーチを見渡せなかったんです」とスティーヴンソンさん。大工さんを雇って6か月にわたり改修作業に取り組み、サンドブラスティングで床のタールや壁の含鉛塗料を除去し、新しく配管と暖房を設置した。
どんな建物?:使われなくなった鉄道車両
所在地:イングランド、ケント州ダンジェネス居住者:インテリアデザイン会社〈ミニ・モダンズ〉のキース・スティーヴンソンさんとマーク・ハンプシャーさん
古い鉄道車両に住まいとしての可能性を見出すには、特殊な見る目が必要に違いない。しかし、技術とエネルギーを持ち合わせていたインテリアデザイナーのキース・スティーヴンソンさんとマーク・ハンプシャーさんは、見放された車両を明るく楽しい海辺の家に変身させてしまった。
「初めて見たときにはふたつの部屋に分けられていて、今みたいにまっすぐビーチを見渡せなかったんです」とスティーヴンソンさん。大工さんを雇って6か月にわたり改修作業に取り組み、サンドブラスティングで床のタールや壁の含鉛塗料を除去し、新しく配管と暖房を設置した。
車両の中にあるリビングルーム。オーナーのふたりは、わかりやすい「海っぽさ」を避けたインテリアを選んだ。「ここに住んで、本当の海や天候が理解できるようになりました。ここは『海辺の小さなリゾート』というのではなく、まさに海岸に建っている家。海を直接感じることができるから、流木のようなビーチを連想させるアイテムは必要ないんです」とスティーヴンソンさん。
夜になると、近くの灯台の光線が部屋の中を横切っていく。部屋を暖めるのは薪ストーブだ。ダンジェネスという土地について、スティーヴンソンさんは「空が広くて、何もない広大な場所なのが気に入っています」と言う。「好きな人は大好きだし、そうでなければ大嫌いで、中間はありません。そんな場所ですね」
夜になると、近くの灯台の光線が部屋の中を横切っていく。部屋を暖めるのは薪ストーブだ。ダンジェネスという土地について、スティーヴンソンさんは「空が広くて、何もない広大な場所なのが気に入っています」と言う。「好きな人は大好きだし、そうでなければ大嫌いで、中間はありません。そんな場所ですね」
8. スペイン、製油所をグレードアップ
どんな建物?:もと製油所
所在地:スペイン、アビラ県クエバス・デル・バジェ
居住者:カップル
建築家:〈ウイドブロ・マルティン・アルキテクチュラ〉
数世代にわたり家族で運営し、2000年まで現役で食用油を生産していた製油所。10年前、息子のひとりが週末や休暇を過ごす場所として個人で購入することを決めた。
彼の目指したのは、製油所としての歴史やたたずまい、機械も残しつつ、現代的な住宅設備を加えること。設計事務所〈ウイドブロ・マルティン・アルキテクチュラ〉に依頼した。
このプロジェクトを担当したホセ・マルティンさんは「改修には15か月ほどかかりました。建物は荒れ果てていて、壁も湾曲していました。いちばん難しかったのはさまざまな構成要素をまとめることと、機械を修復することでしたね」と言う。
どんな建物?:もと製油所
所在地:スペイン、アビラ県クエバス・デル・バジェ
居住者:カップル
建築家:〈ウイドブロ・マルティン・アルキテクチュラ〉
数世代にわたり家族で運営し、2000年まで現役で食用油を生産していた製油所。10年前、息子のひとりが週末や休暇を過ごす場所として個人で購入することを決めた。
彼の目指したのは、製油所としての歴史やたたずまい、機械も残しつつ、現代的な住宅設備を加えること。設計事務所〈ウイドブロ・マルティン・アルキテクチュラ〉に依頼した。
このプロジェクトを担当したホセ・マルティンさんは「改修には15か月ほどかかりました。建物は荒れ果てていて、壁も湾曲していました。いちばん難しかったのはさまざまな構成要素をまとめることと、機械を修復することでしたね」と言う。
「かつて使われていた機械は、この建物の歴史や、油の生産方法の変遷を物語ってくれます。こうして歴史を保存しながらも、木やスチールやガラスでできた新しい要素を加えました。以前の製油所を知っている人たちもみんな、とても気に入ってくれています。新旧を組み合わせた外観も好評です」とマルティンさん。
9. ロシアから、貯水塔の家
どんな建物?:ロシア帝国時代の1895年、政府がシベリア横断鉄道沿いに建てた貯水塔のうちのひとつ
所在地:ロシア、西シベリア、トムスク
居住者:小企業の管理職として働くアレクサンドル・ルネフさん
この物件に一目惚れしてしまったオーナーのアレクサンドル・ルネフさん。「3年前、トムスク市が塔をリースに出すというインターネット記事のリンクを友人が送ってくれたんです」と当時を振り返る。「その夜に現地に行って、鍵を壊して中に入りました。何時間か歩き回りながら、ここをどう改装して住もうか考えていましたね」
どんな建物?:ロシア帝国時代の1895年、政府がシベリア横断鉄道沿いに建てた貯水塔のうちのひとつ
所在地:ロシア、西シベリア、トムスク
居住者:小企業の管理職として働くアレクサンドル・ルネフさん
この物件に一目惚れしてしまったオーナーのアレクサンドル・ルネフさん。「3年前、トムスク市が塔をリースに出すというインターネット記事のリンクを友人が送ってくれたんです」と当時を振り返る。「その夜に現地に行って、鍵を壊して中に入りました。何時間か歩き回りながら、ここをどう改装して住もうか考えていましたね」
以前の住人は、全体を金属で覆ってしまっていた。1980年代からまったく改装されておらず、塔はひどい状態だったと言う。
「借りるという考えはありませんでした。買うしかないと思ったんです」とルネフさん。「行政的な手続きに8か月かかって、150万ルーブルで購入し、さらに300万ルーブルをリノベーションに費やしました。だからもうすっからかんですが、まったく後悔していません」
ルネフさんは現在も週末にひとりで作業を続けており、建物の外側を冬までに仕上げて、それからインテリアに取り掛かる計画だ。
「母は最初はすごく心配していましたが、メディアに私の記事が載るようになったので今ではちょっと自慢に思っているようです」とルネフさんは言う。「もちろん、否定的な反応もありますが、地域の人たちもおおむね好意的です。しょっちゅう塔に近所の人が来て、登ってもいいかと聞かれるのですが、みんな歓迎しています。屋上からの街の眺めは最高ですからね」
「借りるという考えはありませんでした。買うしかないと思ったんです」とルネフさん。「行政的な手続きに8か月かかって、150万ルーブルで購入し、さらに300万ルーブルをリノベーションに費やしました。だからもうすっからかんですが、まったく後悔していません」
ルネフさんは現在も週末にひとりで作業を続けており、建物の外側を冬までに仕上げて、それからインテリアに取り掛かる計画だ。
「母は最初はすごく心配していましたが、メディアに私の記事が載るようになったので今ではちょっと自慢に思っているようです」とルネフさんは言う。「もちろん、否定的な反応もありますが、地域の人たちもおおむね好意的です。しょっちゅう塔に近所の人が来て、登ってもいいかと聞かれるのですが、みんな歓迎しています。屋上からの街の眺めは最高ですからね」
10. アメリカ、新生活の発射基地
どんな建物?:大陸間弾道ミサイル(ICBM)の格納庫(サイロ)として使われていた場所
所在地:ニューヨーク州北部
居住者:建築家のアレクサンダー・マイケルさん
オーナーのアレクサンダー・マイケルさんは、この退役したミサイルサイロを1996年に16万ドルで購入。その後、長い年月と30万ドル以上を費やして修復し、住まいに変身させた。設備の整ったキッチン、寝室、さらにはオリジナルの発射コントロールパネルまである。サイロへ水を引いている9万ガロンの貯水池も含め、すべてオリジナルのものを残している。
中の広さは、場所によっては直径16メートル近くあり、狭苦しさは感じないが、窓がないため時間の感覚をなくしてしまいがちだ。そこでマイケルさんは地上の様子をリアルタイムで映し出すモニターを用意した。さらに時計も20個設置している。
どんな建物?:大陸間弾道ミサイル(ICBM)の格納庫(サイロ)として使われていた場所
所在地:ニューヨーク州北部
居住者:建築家のアレクサンダー・マイケルさん
オーナーのアレクサンダー・マイケルさんは、この退役したミサイルサイロを1996年に16万ドルで購入。その後、長い年月と30万ドル以上を費やして修復し、住まいに変身させた。設備の整ったキッチン、寝室、さらにはオリジナルの発射コントロールパネルまである。サイロへ水を引いている9万ガロンの貯水池も含め、すべてオリジナルのものを残している。
中の広さは、場所によっては直径16メートル近くあり、狭苦しさは感じないが、窓がないため時間の感覚をなくしてしまいがちだ。そこでマイケルさんは地上の様子をリアルタイムで映し出すモニターを用意した。さらに時計も20個設置している。
マイケルさんは、洞窟のようなこの空間に独特な音響効果があることに気付き、ヴァイオリン奏者に一度ここで演奏してもらった。それ以来、このサイロをパフォーマンススペースとして活用することも考えている。もしかしたらエルトン・ジョンがここで「ロケットマン」を演奏する日が来るかも?
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