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世界のHouzzから:イタリア産大理石についてあなたが知らない8つの事実
高級石材として人気の高いイタリア産大理石。どんな風に採石されているのか? あの絶妙な色や模様はどうやってできるのか? 知っておきたい基礎知識をHouzzイタリア編集部が取材しました。
Laura Molteni
2016年8月12日
石灰岩が結晶化してできる大理石は、形成される場所と状況によって、独特の特徴が表れる、美しい自然石だ。人間に切り出されて日の目を見るまで、何百万年もの間、地中にひっそりと埋もれている。その色合い、模様、独特の光沢、そして用途の幅広さのおかげで、いつの時代も芸術家や建築家、デザイナーたちに好まれる高級石材である。
大理石は多くの国で採石されるが、名産地といえば、やはり大理石層が国内各地に点在するイタリアだ。もっとも人気があるのは白いカララ大理石で、アルプスの一部であるイタリア中北部アプアノ山脈から切り出される。カラカッタ大理石、バルディリオ大理石もこの地域から採石され、種類・量ともにイタリア随一の大理石の産地である。しかし、このほかにも大理石の産地として有名な地域は数多い。ロッソヴェローナ石の採れるヴェネト州、ポルトロ石のリグリア州、トラニ石のプッリャ州、クストナーチ石のシチリア州など、まだまだたくさんある。
今回は、ローマ時代の輸送方法から現代の驚くべき新技術まで、素晴らしい大理石の世界をご紹介しよう。
大理石は多くの国で採石されるが、名産地といえば、やはり大理石層が国内各地に点在するイタリアだ。もっとも人気があるのは白いカララ大理石で、アルプスの一部であるイタリア中北部アプアノ山脈から切り出される。カラカッタ大理石、バルディリオ大理石もこの地域から採石され、種類・量ともにイタリア随一の大理石の産地である。しかし、このほかにも大理石の産地として有名な地域は数多い。ロッソヴェローナ石の採れるヴェネト州、ポルトロ石のリグリア州、トラニ石のプッリャ州、クストナーチ石のシチリア州など、まだまだたくさんある。
今回は、ローマ時代の輸送方法から現代の驚くべき新技術まで、素晴らしい大理石の世界をご紹介しよう。
重ねられた大理石の板
1. 建築家やデザイナーが大理石を好んで使うのはなぜだろうか?
イタリアの石会社〈ピバマルミ〉の研究員でアートディレクターのダヴィデ・トゥリーニ氏は「大理石の特徴として、耐久性があるだけでなく、新しい形・色・質感をクリエイティブに表現するのに長けていることが挙げられます」と語る。大理石のなかでもカララ石はもっとも評価の高い石だが、その理由は、洗練された印象に加え「歴史に深く根差していて、確固とした地位が築かれており、世界中どこでも知られていることです」と言う。
「大理石がこれほど魅力的なのは、自然が表現したものだからです。オーセンティックで、同じ物が2つとなく、流行に左右されず永遠に残るものなんです」と、大理石製品製造会社〈ナイス&スクウェア〉のマルゲリータ・リッカルディ氏は語る。
イタリアの石会社〈ピバマルミ〉の研究員でアートディレクターのダヴィデ・トゥリーニ氏は「大理石の特徴として、耐久性があるだけでなく、新しい形・色・質感をクリエイティブに表現するのに長けていることが挙げられます」と語る。大理石のなかでもカララ石はもっとも評価の高い石だが、その理由は、洗練された印象に加え「歴史に深く根差していて、確固とした地位が築かれており、世界中どこでも知られていることです」と言う。
「大理石がこれほど魅力的なのは、自然が表現したものだからです。オーセンティックで、同じ物が2つとなく、流行に左右されず永遠に残るものなんです」と、大理石製品製造会社〈ナイス&スクウェア〉のマルゲリータ・リッカルディ氏は語る。
インダストリアルデザイナーのラファエロ・ガリオット氏は「私たちが大理石に魅了されるのは、時の経過に耐えうる素材への関心が高まっているからでしょう」と言う。
2. 採石や輸送の技術はどのように変化してきたのだろうか?
「現存するローマ時代の記録よれば、大理石に自然に入っているひびを活用して採石していました」と説明するのは、シエナ大学地質工学センターのジョバンニ・マッサ氏だ。「ハンマーと金属のノミを使って『シージュラ』と呼ばれる切込みを入れ、そこに棒や、鉄や木でできたくさびを打ち込んで亀裂を大きくして、石を切り出したんです。」
18世紀には、火薬で爆破する方法が導入され、切り出し作業はスピードアップした。しかし生産量が急激に増えたのは、19世紀になって、一度に複数の石を切り出せるワイヤーソーのような専門機械が登場してからのことだ。
「現存するローマ時代の記録よれば、大理石に自然に入っているひびを活用して採石していました」と説明するのは、シエナ大学地質工学センターのジョバンニ・マッサ氏だ。「ハンマーと金属のノミを使って『シージュラ』と呼ばれる切込みを入れ、そこに棒や、鉄や木でできたくさびを打ち込んで亀裂を大きくして、石を切り出したんです。」
18世紀には、火薬で爆破する方法が導入され、切り出し作業はスピードアップした。しかし生産量が急激に増えたのは、19世紀になって、一度に複数の石を切り出せるワイヤーソーのような専門機械が登場してからのことだ。
「でも、採石作業において本当に革命的だったのは、パワフルなモーターで稼働するダイヤモンドワイヤーソーやダイヤモンドチェーンソーの導入でした。わずか30年ほど前のことです」とマッサ氏は言う。
ローマ時代、石切り場から谷へと大理石の塊を運び出す方法は2つだけ。1つは、山の斜面をそのまま滑らせて落とす方法。これは危険だし、石も傷む。もう1つは、リッザと呼ばれる木製のそりを使い、専用に設けられた傾斜構造の上を頑丈なロープでコントロールしながら移動させる方法だ。今もアプアノ山脈の丘には、このために作られた「リッザの通り道」が見える。
「リッザチューラ」と呼ばれる後者の方法は、第二次世界大戦後にタイヤの付いた大型車両が登場するまで続いた。鉄道が広まると、大理石の輸送や売買が容易になり、結果として需要も増えた。
「リッザチューラ」と呼ばれる後者の方法は、第二次世界大戦後にタイヤの付いた大型車両が登場するまで続いた。鉄道が広まると、大理石の輸送や売買が容易になり、結果として需要も増えた。
3.イタリア産大理石の輸入大国は?
イタリア産大理石は世界中で需要が高く、2015年の総輸出額は、未加工・半加工・加工済の石を合わせて35億ドルとなっている。石材業界の機関であるマルモマック観測所とコンフィンドゥストリア・マルモマキネ(伊産業総連盟の石材部門)が、国立統計研究所のデータに基づき発表した金額だ。
半加工・加工済の石材製品の需要がいちばん高いのは米国で、次にドイツ、スイス、イギリス、フランスと続いた。中東、とくにアラブ首長国連邦とサウジアラビアでは需要が増える一方、ロシアへの輸出量は横ばいとなっている。
イタリア産大理石は世界中で需要が高く、2015年の総輸出額は、未加工・半加工・加工済の石を合わせて35億ドルとなっている。石材業界の機関であるマルモマック観測所とコンフィンドゥストリア・マルモマキネ(伊産業総連盟の石材部門)が、国立統計研究所のデータに基づき発表した金額だ。
半加工・加工済の石材製品の需要がいちばん高いのは米国で、次にドイツ、スイス、イギリス、フランスと続いた。中東、とくにアラブ首長国連邦とサウジアラビアでは需要が増える一方、ロシアへの輸出量は横ばいとなっている。
イタリア産の未加工石材の市場として最大なのは、中国とインドだった。総計すると、輸出先は140ヵ国ほどになる。
「大理石業界の成功は、イタリアの持つ石材加工ノウハウと、新しく登場している製造技術のおかげですが、デザインなどの革新も一因です。それが付加価値となって、イタリアの大理石が世界中で評価されているのです」というのは、ヴェローナで開催されるマルモマック国際見本市をプロデュースする〈ヴェローナフィエーレ〉の代表、マウリツィオ・ダネーゼ氏だ。この見本市では大理石スラブや石塊が扱われ、業界の中心的イベントとなっている。
「大理石業界の成功は、イタリアの持つ石材加工ノウハウと、新しく登場している製造技術のおかげですが、デザインなどの革新も一因です。それが付加価値となって、イタリアの大理石が世界中で評価されているのです」というのは、ヴェローナで開催されるマルモマック国際見本市をプロデュースする〈ヴェローナフィエーレ〉の代表、マウリツィオ・ダネーゼ氏だ。この見本市では大理石スラブや石塊が扱われ、業界の中心的イベントとなっている。
白カララ大理石のランプシェード《アプレイオ》。ミケーレ・デ・ルッキとフィリップ・ニグロが〈ピバマルミ〉のためにデザインした。
4. 色の混ざり具合や縞模様を決める要因は?
「大理石は、さまざまな国や地域に存在していますが、美的観点から見た色合いや装飾的な特性によって、それぞれの採石地域に特有の種類の大理石となります。場合によっては、非常に独特な特徴のある大理石で、同じ地理的地域の中にある採石場のなかでも、たった1か所からしか採石されないと見なされているものもあります」とカルミニャーニ氏は説明する。
4. 色の混ざり具合や縞模様を決める要因は?
「大理石は、さまざまな国や地域に存在していますが、美的観点から見た色合いや装飾的な特性によって、それぞれの採石地域に特有の種類の大理石となります。場合によっては、非常に独特な特徴のある大理石で、同じ地理的地域の中にある採石場のなかでも、たった1か所からしか採石されないと見なされているものもあります」とカルミニャーニ氏は説明する。
「大理石の色・純度・模様を決定することになる岩石学的・鉱物学的な特性は、たくさんの要因によって左右されます」とシエナ大学応用地質学教授のルイジ・カルミニャーニ氏は言う。「とくに、色は大理石を区別するうえで決定的な要素とされていますが、大理石の色というのは、岩に含まれる特定の鉱物が均一に分散しているのか、集中しているのか、その量が多いか少ないかによって決まります。その鉱物がヘマタイトの微結晶なら薄いピンクからレンガのような赤、クロライトなら緑系の色、パイライトならグレー系の色、といった具合です」
「一方、そういった鉱物がまったく含まれないか、ごく微量しか含まれない場合、大理石の色は、一般的にパールがかった白から純白のような色合いになります。基本的に、岩の主成分であるカルサイトだけで構成されるからです」。
「一方、そういった鉱物がまったく含まれないか、ごく微量しか含まれない場合、大理石の色は、一般的にパールがかった白から純白のような色合いになります。基本的に、岩の主成分であるカルサイトだけで構成されるからです」。
「磨き上げられた大理石の表面に現れる絶妙な柄は、含まれているさまざまな素材の大きさと形、方向、配置によって決まります」とカルミニャーニ氏は言う。「それから、鉱物学的な構成によって変化する、縞模様の入る場所や色合いにもよります」。
5.「軽い大理石」もある?
大理石の種類によって重量も決まっている。かなり重さがあることは、大理石にとっては欠点ではなくメリットとされることが多い。もちろん、物体の形状や性質によっては、大理石塊から作り出すことが不可能なものもある。
〈ナイス&スクウェア〉のマルゲリータ・リッカルディ氏は、特許を取得している《ストーンウェーブ》システムを使い、この問題も解決できると言う。上の写真の製品は、ごく軽量なアルミニウム構造を特注で成形し、それを手作業で仕上げた大理石の薄板で覆っている。すべて大理石で作った場合に比べると3分の1の重さで、支える構造があるため頑丈で湾曲しにくい。最大4メートルまで継ぎ目なしの構造を作ることが可能だ。また、マルメット(厚さ1センチのタイル)を製造する際に出る余分な素材を活用しているため、環境にも優しい。
《ストーンウェーブ》は、洗面台、シャワートレイ、バスタブ、キッチンカウンター、テーブル、リビング家具などに使うことができる。
大理石の種類によって重量も決まっている。かなり重さがあることは、大理石にとっては欠点ではなくメリットとされることが多い。もちろん、物体の形状や性質によっては、大理石塊から作り出すことが不可能なものもある。
〈ナイス&スクウェア〉のマルゲリータ・リッカルディ氏は、特許を取得している《ストーンウェーブ》システムを使い、この問題も解決できると言う。上の写真の製品は、ごく軽量なアルミニウム構造を特注で成形し、それを手作業で仕上げた大理石の薄板で覆っている。すべて大理石で作った場合に比べると3分の1の重さで、支える構造があるため頑丈で湾曲しにくい。最大4メートルまで継ぎ目なしの構造を作ることが可能だ。また、マルメット(厚さ1センチのタイル)を製造する際に出る余分な素材を活用しているため、環境にも優しい。
《ストーンウェーブ》は、洗面台、シャワートレイ、バスタブ、キッチンカウンター、テーブル、リビング家具などに使うことができる。
6. 現代の仕上げ技術は?
「磨き上げられた仕上げは、大理石の表面仕上げの1種類に過ぎません。今や、研磨仕上げが普通というよりも、選択肢のうちの1つと見なされるようになっています」と、〈リソス・デザイン〉のCEO、アルベルト・ベヴィラックア氏は言う。〈リソス・デザイン〉は、2007年から、いち早く凹凸のある大理石の壁面装飾に取り組んでいる会社だ。
CNCマシン(コンピューター数値制御による精密な工作機械)のおかげで、今では、数年前には想像もできなかったような表面加工を石に施すことが可能になっている。
「CNC技術により、現在ではさまざまな石のデザインや、工業的な加工もできるようになっているんです」とベヴィラックア氏は言う。「手作業では不可能だったようなものも作れるし、そういった製品を手作りの芸術的な製品と組み合わせることも考えられます」。
「磨き上げられた仕上げは、大理石の表面仕上げの1種類に過ぎません。今や、研磨仕上げが普通というよりも、選択肢のうちの1つと見なされるようになっています」と、〈リソス・デザイン〉のCEO、アルベルト・ベヴィラックア氏は言う。〈リソス・デザイン〉は、2007年から、いち早く凹凸のある大理石の壁面装飾に取り組んでいる会社だ。
CNCマシン(コンピューター数値制御による精密な工作機械)のおかげで、今では、数年前には想像もできなかったような表面加工を石に施すことが可能になっている。
「CNC技術により、現在ではさまざまな石のデザインや、工業的な加工もできるようになっているんです」とベヴィラックア氏は言う。「手作業では不可能だったようなものも作れるし、そういった製品を手作りの芸術的な製品と組み合わせることも考えられます」。
「まず、不完全さというのは伝統的な手作業には付きものですが、テクノロジーのおかげで、非常に精度が高く均一な製品ができるようになります。それから、伝統的な技法では作ることが不可能だった新しい製品も開発できます」とベヴィラックア氏は言う。
「建築や装飾に用いる大理石加工で工業化が進んでいるのは、今に始まったことではありません。でも、最新のCNC技術を応用することで、まったく新しく、おもしろい可能性が開けてくるんです。新しいデザインを開発したり、低コストで大量生産し、同時に廃棄物を減らすこともできます」。
「建築や装飾に用いる大理石加工で工業化が進んでいるのは、今に始まったことではありません。でも、最新のCNC技術を応用することで、まったく新しく、おもしろい可能性が開けてくるんです。新しいデザインを開発したり、低コストで大量生産し、同時に廃棄物を減らすこともできます」。
ミラノデザインウィークの2016年4月12~17日、デザイナーのラファエロ・ガリオット氏がキュレーターとなり『マルモ2.0デジタルデザインエボリューション』展が行われた。
7. 大理石で実験的な試みは可能?
「ここ数年間は、大理石を使って新しい形状を作り出す研究にとくに力を入れています」と言うのは、大理石の革新的な活用法を探り続けているインダストリアルデザイナーのラファエロ・ガリオット氏だ。「自然石でできた古代の工芸品を分析すると、どの地質時代に属するかだけでなく、製造に使われた技術まで分かるんです。これまでになかった手法でものを作るのは、必要性があるだけではなく、現代の私たちにとっての義務だと思います。こうして、現代の生活を記録していくんです。」
「新しいテクノロジーを使うことで、労力を軽減するだけでなく、新しいものを創造する素晴らしいチャンスになると思います。例えば、私の研究のひとつは、石を型に合わせて切って成形するときに、切り取ったほうの石も、切り取られた残りの部分の石も、両方使えるような型を工夫することなんです。無駄をなくすための新しいデザイン方法ですね」。
2014年以降、ガリオット氏はマルモマック国際見本市でデザイン・建築パビリオンのキュレーターを務めており、テクノロジーのおかげで大理石の可能性がいかに広がっているかを示してくれる。こういった研究が市場にも影響を与え、何百年も前から存在する素材を使った革新的な試みにつながっているのだ。
「まだまだこれから、発明の余地があります。大理石には、深く掘れば掘るほど多くの発見がある可能性が秘められているんです」とガリオット氏は言う。
7. 大理石で実験的な試みは可能?
「ここ数年間は、大理石を使って新しい形状を作り出す研究にとくに力を入れています」と言うのは、大理石の革新的な活用法を探り続けているインダストリアルデザイナーのラファエロ・ガリオット氏だ。「自然石でできた古代の工芸品を分析すると、どの地質時代に属するかだけでなく、製造に使われた技術まで分かるんです。これまでになかった手法でものを作るのは、必要性があるだけではなく、現代の私たちにとっての義務だと思います。こうして、現代の生活を記録していくんです。」
「新しいテクノロジーを使うことで、労力を軽減するだけでなく、新しいものを創造する素晴らしいチャンスになると思います。例えば、私の研究のひとつは、石を型に合わせて切って成形するときに、切り取ったほうの石も、切り取られた残りの部分の石も、両方使えるような型を工夫することなんです。無駄をなくすための新しいデザイン方法ですね」。
2014年以降、ガリオット氏はマルモマック国際見本市でデザイン・建築パビリオンのキュレーターを務めており、テクノロジーのおかげで大理石の可能性がいかに広がっているかを示してくれる。こういった研究が市場にも影響を与え、何百年も前から存在する素材を使った革新的な試みにつながっているのだ。
「まだまだこれから、発明の余地があります。大理石には、深く掘れば掘るほど多くの発見がある可能性が秘められているんです」とガリオット氏は言う。
4月のミラノサローネ国際家具見本市では、〈シトコ〉〈エリオス・オートマツィオーニ〉〈インターマック〉〈リソス・デザイン〉〈マルニ・ストラーダ〉の5社の協賛のもと、ガリオット氏がキュレーターとなり『マルモ2.0デジタルデザインエボリューション』展が行われた。こちらでは、リサイクルと廃棄物削減を目指し、パラメトリックソフトウェアで設計してコンピューター数値制御で製造した5つの実験的な大理石製品を展示した。
写真の作品《アガヴェ》は、内側が空洞になった高さ3メートルの円錐状の立体作品で、80 x 30 x 2 cmの大理石ブロックから作られている。まず、大理石は10枚の板状に切り分けられ、5軸制御ウォータージェット技術を使って、板の内側からリング状の石をいくつも切り出す。そして3Dモデリングソフトウェアを使いながらこの輪を積み重ねていき、最終的な形が完成するのだ。
写真の作品《アガヴェ》は、内側が空洞になった高さ3メートルの円錐状の立体作品で、80 x 30 x 2 cmの大理石ブロックから作られている。まず、大理石は10枚の板状に切り分けられ、5軸制御ウォータージェット技術を使って、板の内側からリング状の石をいくつも切り出す。そして3Dモデリングソフトウェアを使いながらこの輪を積み重ねていき、最終的な形が完成するのだ。
8. ミラノ大聖堂に使われている大理石の産地は?
ミラノの街の象徴であるゴシック様式の大聖堂(ドゥオーモ)は、カンドリア大理石製。6世紀以上もの間、同じ採石場から切り出されており、現在でも修復に使われている。
ミラノの街の象徴であるゴシック様式の大聖堂(ドゥオーモ)は、カンドリア大理石製。6世紀以上もの間、同じ採石場から切り出されており、現在でも修復に使われている。
1387年、ミラノ公ジャン・ガレアッツォ・ヴィスコンティが、ミラノ大聖堂を設計・建設・管理するための機関〈ヴェネランダ・ファブリカ〉を設立した。
ヴィスコンティ公は大聖堂の建設にあたり、ロンバルディア同盟時代に一般的だった土レンガに代わって大理石を選んだ。マッジョーレ湖の西、オッソラ渓谷のカンドリアで採石される、白とベージュ系にピンクの模様が入った石だ。
〈ヴェネランダ・ファブリカ〉が使うカンドリア大理石採石場を指定し、トーチェ川、マッジョーレ湖、ティチーノ川、ナヴィリオ・グランデ運河を通る水路システムを活用して、大理石を大聖堂まで無料で輸送することができた。1920年以降は、陸路で輸送されている。
ヴィスコンティ公は大聖堂の建設にあたり、ロンバルディア同盟時代に一般的だった土レンガに代わって大理石を選んだ。マッジョーレ湖の西、オッソラ渓谷のカンドリアで採石される、白とベージュ系にピンクの模様が入った石だ。
〈ヴェネランダ・ファブリカ〉が使うカンドリア大理石採石場を指定し、トーチェ川、マッジョーレ湖、ティチーノ川、ナヴィリオ・グランデ運河を通る水路システムを活用して、大理石を大聖堂まで無料で輸送することができた。1920年以降は、陸路で輸送されている。
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