ベッドにクッションをたくさん置くのはなぜ? 寝室を素敵にするピローの飾り方ルール
枕以外に、たくさんのピローやクッションがベッドの上に並んだ風景を見たことがあるでしょう。寝室を簡単にグレードアップできる「デコラティブピロー」の基本ルールをご紹介します。
ブラッキン・ヘザー
2016年9月18日
Houzz contributor.
Home Life Style インテリア、収納空間デザイン。
「贅沢な時間を過ごせる、あなたらしい心地よい住まいづくり」をモットーに、一人ひとりの個性や「好き」を引き出しながらのインテリアのコーディネーション、
より快適な暮らしのためのライフスタイルに合わせた収納計画のご提案をいたします。
著書「ふつうの住まいでかなえる外国スタイルの部屋づくり(文藝春秋)
Interior decoration and storage space planning in Tokyo, Japan. English/Japanese bilingual, with interior design and decoration experience in Europe and Japan.
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「海外ではなぜベッドにクッションをたくさん置くの?」と聞かれることがよくあります。ホテルや、海外のインテリア雑誌などを見ると、ベッドの上に枕やクッションがいくつも置かれていますね。リビングのソファにクッションを装飾として置くのと同じように、何もないベッドを欧米人はキャンバスのようなものととらえ、その上を好きなように飾って、寝室のギャラリーのようなスペースにするのです。枕と毛布やデュベ、ベッドカバーだけでは物足りないと感じるのでしょう。ベッドに置くピローやクッションは部屋に色や立体感をプラスし、個性を表現します。これらの総称が「デコラティブピロー」で(この場合、クッション類もベッドの上ではピローと呼ばれるようです)、単なる飾りではなく、ベッドで本を読んだり、テレビやパソコンを見たりするときのための背もたれやひじ掛けとしても便利な存在です。
一見、無造作に並んでいるように見える枕やクッションでも、その置き方にはいくつか基本的なルールがあります。どんな大きさのピローをどのように並べたらよいのか、現在の置き方がいまひとつしっくりこない方や、寝室の秋の模様替えを検討中の方のために、デコラティブピローの飾り方を少し詳しくご紹介してみましょう。
一見、無造作に並んでいるように見える枕やクッションでも、その置き方にはいくつか基本的なルールがあります。どんな大きさのピローをどのように並べたらよいのか、現在の置き方がいまひとつしっくりこない方や、寝室の秋の模様替えを検討中の方のために、デコラティブピローの飾り方を少し詳しくご紹介してみましょう。
ピローの置き方には、大きく分けて2つの方法があります。寝かせたまま重ねていく「スタッキング」と、後ろから前に立てかけていく「スタンディング」の2種類です。
眠るときに使う枕を寝かせたまま2つほどきちんと重ね、その手前にクッション類を立てかけるのが基本のアレンジ。シンプルで整頓された印象のスタイルです。ベッドメイキングも簡単で、寝る前には手前のデコラティブピローをよけるだけ。
こちらの寝室ではシンプルな白いベッドリネンに赤のアクセントが映えています。スローと同じファブリックでクッションを揃えると、より完成度が高くスタイリッシュに。
- 「スタッキング」を使ったスタイル
眠るときに使う枕を寝かせたまま2つほどきちんと重ね、その手前にクッション類を立てかけるのが基本のアレンジ。シンプルで整頓された印象のスタイルです。ベッドメイキングも簡単で、寝る前には手前のデコラティブピローをよけるだけ。
こちらの寝室ではシンプルな白いベッドリネンに赤のアクセントが映えています。スローと同じファブリックでクッションを揃えると、より完成度が高くスタイリッシュに。
ベッドでよく本を読む人には
枕を手前に寝かせて、その背面にデコラティブピローを置いた、基本形とは反対の配置です。クッションを本を読むための背もたれとして使うには、この配置が理想です。
というのも、基本形の配置でも読書時は枕を手前に持ってくる人が多いようです。枕カバーは頻繁に洗濯できますが、デコラティブピローは、素材によってはクリーニングや洗濯に手間がかかることも。できるだけ大切に扱うために、背もたれに使う際は体とデコラティブピローの間に枕を入れるのがおすすめなのです。
枕を手前に寝かせて、その背面にデコラティブピローを置いた、基本形とは反対の配置です。クッションを本を読むための背もたれとして使うには、この配置が理想です。
というのも、基本形の配置でも読書時は枕を手前に持ってくる人が多いようです。枕カバーは頻繁に洗濯できますが、デコラティブピローは、素材によってはクリーニングや洗濯に手間がかかることも。できるだけ大切に扱うために、背もたれに使う際は体とデコラティブピローの間に枕を入れるのがおすすめなのです。
羽毛のクッションは「チョップ」で成形
色みを抑え、紫のラインがさりげなく入ったクッションをアクセントにした、シンプルモダンなベッドルーム。基本通りスタッキングした枕の手前に2つのデコラティブピローが置かれています。余談ですが、この特徴的な形は「クッションチョップ」と呼ばれ、由来が「空手チョップ」からというのは、ちょっと笑えるお話です。空手の手刀打ちをイメージして、小指のある側の手の側面を、立てたクッションの中央部分に「ぽん」と叩いて沈ませます。両側のコーナーがピンと立った動物の耳のようになり、クッションをふっくらと見せる技です。ただしこれは、クッションの中身が、この方法で形を変えることができる柔らかい羽毛のタイプに限られます。
ソファのクッションをプロ流にアレンジしてみよう!
色みを抑え、紫のラインがさりげなく入ったクッションをアクセントにした、シンプルモダンなベッドルーム。基本通りスタッキングした枕の手前に2つのデコラティブピローが置かれています。余談ですが、この特徴的な形は「クッションチョップ」と呼ばれ、由来が「空手チョップ」からというのは、ちょっと笑えるお話です。空手の手刀打ちをイメージして、小指のある側の手の側面を、立てたクッションの中央部分に「ぽん」と叩いて沈ませます。両側のコーナーがピンと立った動物の耳のようになり、クッションをふっくらと見せる技です。ただしこれは、クッションの中身が、この方法で形を変えることができる柔らかい羽毛のタイプに限られます。
ソファのクッションをプロ流にアレンジしてみよう!
- 「スタンディング」を使ったスタイル
トラディショナルな4層スタンディング
写真のベッドをよく見ると、枕とクッション類が4層に並べられています。この4層が最もトラディショナルな並べ方と言えるでしょう。いちばん奥には、「シャム」あるいは「ユーロスクエアシャム」などと呼ばれる、60cm角ほどの大きなクッションを。そこから2層目、3層目と徐々に小さくなるように、クッションや寝るときに使う枕を立てかけていきます。
いちばん手前に置くのは「ブードワールピロー」と呼ばれる小さなクッション。色や柄に特徴のあるものを選んでアクセントにします。コーディネートが苦手な方でも、後ろの3層はシンプルに、このひとつだけをちょっと凝った色や柄にすれば簡単、かつおしゃれです。
こちらのベッドではなんと9個も! 4層の間に、大きなグレーのシャムを1個プラスしています。この一段濃いグレーで全体を引き締め、白とグレーの色、シンプルなデザインで統一していることで、落ち着いた都会的な雰囲気に。強いアクセントはありませんが、手前の小さなクッションだけ、同系色ながらもベッドカバーと同じラインが入っていて、さりげなく主張しています。
数や置き方でカジュアルにも
重ねる数や並べる順番は自由です。全体のバランスや好きな雰囲気を考えながら、何層にするか決めるとよいでしょう。こちらは3層で、手前の小さなピローは真ん中にひとつという、よりシンプルなアレンジ。層が多いスタイルと比べ、コンテンポラリーでカジュアルなムードに。壁に似たブルーグリーンが入っているブードワールピローがアクセントになり、部屋全体の統一感を高めています。
重ねる数や並べる順番は自由です。全体のバランスや好きな雰囲気を考えながら、何層にするか決めるとよいでしょう。こちらは3層で、手前の小さなピローは真ん中にひとつという、よりシンプルなアレンジ。層が多いスタイルと比べ、コンテンポラリーでカジュアルなムードに。壁に似たブルーグリーンが入っているブードワールピローがアクセントになり、部屋全体の統一感を高めています。
クッションやピローをベッドの上に、自然にぽいっと投げ落としたかのように見えるラフなスタイリング。でもよく見ると「4層の法則」を守っているのがわかります。違いは、きっちり置かず無造作に置いていること。エクレクティックスタイルのこの部屋には、ゆるいアレンジがお似合いです。色づかいや素材、そして置き方によって、雰囲気が大きく変わってくるのがわかります。
こちらも無造作に置いていますが、淡い色で統一しているのでまた雰囲気が違い、ナチュラルでロマンティックなテイストです。並べ方もあまり「層」にはこだわらず、後ろの大きなシャム以外は同じサイズですが、赤をさりげないアクセントにして、柄を変えることでこなれた印象になっています。ベッドスローもぴしっときれいにかけず、くしゃっとカジュアルに。
シンプルが好きな人に
ベッドカバーを使っているなら、枕はカバーで隠してしまい、その上に好きな色のクッションを並べると、すっきりとしたアレンジが簡単にできます。何層もレイヤーにする代わりに、クッションを数個、横に並べるだけでも素敵。ホテルでよく見られるスタイルですね。
ブルー&ホワイトの落ち着いたクッションの中にマスタードイエローがひとつ入っただけで、部屋が明るく、元気な印象になります。
ベッドカバーを使っているなら、枕はカバーで隠してしまい、その上に好きな色のクッションを並べると、すっきりとしたアレンジが簡単にできます。何層もレイヤーにする代わりに、クッションを数個、横に並べるだけでも素敵。ホテルでよく見られるスタイルですね。
ブルー&ホワイトの落ち着いたクッションの中にマスタードイエローがひとつ入っただけで、部屋が明るく、元気な印象になります。
- 「スタンディング+スタッキング」を併用する
デコラティブピローはこのように、使う色や素材、柄によって寝室の表情を大きく変えることができます。また、クッションの数にかかわらず、デザインを統一すればおとなしいアレンジに、あらゆる色や素材、柄をミックスすればにぎやかなアレンジになります。
次に、組み合わせ方のバリエーションや、上手に置くためのちょっとしたヒントをご紹介しましょう。
次に、組み合わせ方のバリエーションや、上手に置くためのちょっとしたヒントをご紹介しましょう。
- デコラティブピローの組み合わせアイデア
きちんと整頓されたイメージにするには、層ごとに同じ色や柄を揃えると有効です。写真のベッドはフォーマルな4層のスタンディングのスタイルですが、ブルーと白のドット柄のシャムが、きちんとしたイメージを崩さずに、全体を軽やかな印象にしています。これがドットではなく、無地のブルーやベージュだと、もっと落ち着いた雰囲気になります。
形でバリエーションをつける
引き締め役やフォーカルポイントの役割を担うブードワールピロー。全体がシンプルでも、ここに違う色や柄のものを置いて変化をつければ、メリハリの効いた個性的なアレンジに。ちょっと変わった形、たとえば細長いピローや円筒形のロールピローを選び、ピンクとグリーンなど、反対色の組み合わせにすればお互いが引き立て合い、小さくてもインパクトが出ます。
引き締め役やフォーカルポイントの役割を担うブードワールピロー。全体がシンプルでも、ここに違う色や柄のものを置いて変化をつければ、メリハリの効いた個性的なアレンジに。ちょっと変わった形、たとえば細長いピローや円筒形のロールピローを選び、ピンクとグリーンなど、反対色の組み合わせにすればお互いが引き立て合い、小さくてもインパクトが出ます。
引き立て役の色を間に加える
モノトーンにゴールドの大人っぽいコンビネーション。チャコールグレーのヘッドボードを背景に、黒やグレーのクッションを置くだけだと、どちらもパッとしないフラットな感じになってしまいますが、間にゴールドの存在感のあるクッションをはさんだことで、モノトーンのヘッドボードとピロー、クッションのデザインが映え、立体感も加わっています。
モノトーンにゴールドの大人っぽいコンビネーション。チャコールグレーのヘッドボードを背景に、黒やグレーのクッションを置くだけだと、どちらもパッとしないフラットな感じになってしまいますが、間にゴールドの存在感のあるクッションをはさんだことで、モノトーンのヘッドボードとピロー、クッションのデザインが映え、立体感も加わっています。
さまざまな質感をミックス
ニュートラルトーンでまとめたコーディネートによって、デコラティブピローの素材感の違いが強調されています。特に季節感を感じる素材のひとつ、フェイクファーの大きなクッションに視線が集まる、おしゃれなスタイリングです。
ニュートラルトーンでまとめたコーディネートによって、デコラティブピローの素材感の違いが強調されています。特に季節感を感じる素材のひとつ、フェイクファーの大きなクッションに視線が集まる、おしゃれなスタイリングです。
色や素材、柄を自由にミックスした、個性あふれるボヘミアンスタイルのベッドルーム。このスタイルで大切なのは、自由な組み合わせを大胆に楽しむこと。細かいことにこだわらず、好きな色やテクスチャー、パターンをおおらかにミックスしてみましょう。デコラティブピローのスタイリングは、反対色を取り入れたり、ユニークで大胆な柄や質感を試すにはうってつけともいえるのです。
就寝中、デコラティブピローの置き場所は?
さて最後に、多くの方がきっと疑問に思われていることにお答えしましょう。「こんなたくさんのクッションを、寝ている間はどこに置いているの?」という質問を、冒頭に書いた質問と同じくらいよく受けます。海外のホテルに泊まったときに、あのクッションたちをどうしたらよいのか……と思った経験、みなさんもないでしょうか?
さて最後に、多くの方がきっと疑問に思われていることにお答えしましょう。「こんなたくさんのクッションを、寝ている間はどこに置いているの?」という質問を、冒頭に書いた質問と同じくらいよく受けます。海外のホテルに泊まったときに、あのクッションたちをどうしたらよいのか……と思った経験、みなさんもないでしょうか?
最も一般的なのは、寝室に置いてある椅子の上に置くことです。ホテルにもほとんどの場合、部屋に椅子がありますよね。その椅子の上に積んでください。欧米ではよく、寝室に椅子が1つか2つ置いてあります。普通の椅子やゆったりしたアームチェアだったり、形はさまざまですが、ベッドに置いたデコラティブピローは寝る前に、椅子に並べたり積んだりするのが通常のようです。または、ベッドの足元にあるベンチやチェスト、ブランケットボックスの上や、大きめのかごの中に入れる、という人も。
比較的小さなアイテムだけに、気軽に好きな色や柄、素材が試せて、そのうえ寝室がさらにグレードアップできるデコラティブピロー。みなさんも、もっと活用してみませんか?
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比較的小さなアイテムだけに、気軽に好きな色や柄、素材が試せて、そのうえ寝室がさらにグレードアップできるデコラティブピロー。みなさんも、もっと活用してみませんか?
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linseed67さま、嬉しいコメントありがとうございます。クッションでしたら季節や気分によってもアクセントカラーを少しだけ変えても楽しめます。ぜひお試しください!
夢がありますね。素敵な記事でした。