ファブリックでアンティーク家具をリフレッシュ! アンティーク&ヴィンテージの布の使い方
在イギリス20年のアンティークのプロによる連載第9回。アンティーク家具をファブリックで生まれ変わらせる方法の紹介と、アンティークまたはヴィンテージのファブリックの使い方の提案です。
西谷典子|Noriko Nishiya
2015年7月12日
ファブリックはアンティーク家具を一瞬にして今風に変えてしまう効果的なアイテムです。布を張り替えても上からカバーしても、小物を付け加えても、家具の雰囲気をモダンにイメージチェンジすることができます。また、ファブリック自体にアンティークを選びたいという方もいらっしゃるかもしれません。アンティークファブリックは基本的にあまり張り替えには向いていないのですが、クオリティの高いものもあるので、カーテンやベッドリネンなどをよく吟味されたうえで再利用するのも方法のひとつと言えるでしょう。クオリティの高いリネンを大切に手入れしながら使ったり、もともとの使い方とは違うけれど、生地の特質を生かしたリメイク法を考えたりと、現役で使えるアンティークやヴィンテージのファブリックにちょっとした工夫をして、インテリアに取り入れてみると楽しいと思います。
前回までの記事はこちら!
第1回 アンティークを現代の暮らしにミックスさせるポイント10
第2回 アンティークの基本的な知識、選び方や扱い方のポイント
第3回 アンティーク家具のタイムレスな魅力は、シンプルデザインまたはシンプルな空間で
第4回 省スペース&マルチファンクショナル。賢い機能のアンティーク家具を選ぶ
第5回 コンパクトな空間に、アンティーク家具をバランスよく配置するコツ
第6回 今の暮らしに合わせたアンティークの使い方「見立て使い」のアイデア集
第7回 形はクラシック、色はコンテンポラリー。アンティーク家具の色を変えて生まれ変わらせる
第8回 インダストリアルとシャビーシック。人気のスタイルはヴィンテージ家具で味わいを加えて
第1回 アンティークを現代の暮らしにミックスさせるポイント10
第2回 アンティークの基本的な知識、選び方や扱い方のポイント
第3回 アンティーク家具のタイムレスな魅力は、シンプルデザインまたはシンプルな空間で
第4回 省スペース&マルチファンクショナル。賢い機能のアンティーク家具を選ぶ
第5回 コンパクトな空間に、アンティーク家具をバランスよく配置するコツ
第6回 今の暮らしに合わせたアンティークの使い方「見立て使い」のアイデア集
第7回 形はクラシック、色はコンテンポラリー。アンティーク家具の色を変えて生まれ変わらせる
第8回 インダストリアルとシャビーシック。人気のスタイルはヴィンテージ家具で味わいを加えて
椅子の張り替えは家事の一環?
椅子のカバー作りや椅子の座面の張り替え、カーテン作りなどは、昔の主婦の家事のひとつに数えられていました。椅子の張り替えはまずプレタポルテのように採寸して椅子全体のカバーをキャラコ生地で作り上げ、それから本番の生地で。このように簡単な作業ではありませんが、ファブリックを使って古い部分をカバーし、新しいインテリアにコーディネートするというのが、賢妻の仕事の一環だったようです。現代ではやはり専門店に依頼するのが安心ですが、シンプルなスツールの座面くらいであれば、ご家庭でも案外簡単にできます。ちょっとしたイメージチェンジにおすすめの方法です。
椅子のカバー作りや椅子の座面の張り替え、カーテン作りなどは、昔の主婦の家事のひとつに数えられていました。椅子の張り替えはまずプレタポルテのように採寸して椅子全体のカバーをキャラコ生地で作り上げ、それから本番の生地で。このように簡単な作業ではありませんが、ファブリックを使って古い部分をカバーし、新しいインテリアにコーディネートするというのが、賢妻の仕事の一環だったようです。現代ではやはり専門店に依頼するのが安心ですが、シンプルなスツールの座面くらいであれば、ご家庭でも案外簡単にできます。ちょっとしたイメージチェンジにおすすめの方法です。
ソファの張り替えのワンポイント
トラディショナルなソファの張り替え作業はやはり専門の職人さんの仕事になってしまいますが、せっかく張り替えるなら、ファブリックはじっくり吟味したいですね。モダンな柄や凝った生地、いろいろありすぎて迷ってしまうかもしれません。最後にはシンプルな生地に落ち着くことも多いと思います。写真のように、生地がシンプルでも色合わせにこだわったり、ボタンやパイピングなどディテールに凝ることで、十分に個性を発揮しながら古い家具をリメイクすることができます。パーフェクトにマッチさせたクッションを置くこともお忘れなく。
トラディショナルなソファの張り替え作業はやはり専門の職人さんの仕事になってしまいますが、せっかく張り替えるなら、ファブリックはじっくり吟味したいですね。モダンな柄や凝った生地、いろいろありすぎて迷ってしまうかもしれません。最後にはシンプルな生地に落ち着くことも多いと思います。写真のように、生地がシンプルでも色合わせにこだわったり、ボタンやパイピングなどディテールに凝ることで、十分に個性を発揮しながら古い家具をリメイクすることができます。パーフェクトにマッチさせたクッションを置くこともお忘れなく。
クッションでモダンに見せる
椅子やソファの張り替えをしなくても手っ取り早くイメージチェンジできる方法は、クッションを置くことです。2、3個のクッションがあれば、色の組み合わせでトラディショナルな椅子を簡単にモダンな印象にスタイリングできます。この場合は模様替え効果を狙い、柄や色は大胆に派手なものを選んでも大丈夫。フリンジのついた凝ったものなどもおすすめです。
椅子やソファの張り替えをしなくても手っ取り早くイメージチェンジできる方法は、クッションを置くことです。2、3個のクッションがあれば、色の組み合わせでトラディショナルな椅子を簡単にモダンな印象にスタイリングできます。この場合は模様替え効果を狙い、柄や色は大胆に派手なものを選んでも大丈夫。フリンジのついた凝ったものなどもおすすめです。
ヴィンテージのブランケット
さて、ここからはファブリック自体がアンティークまたはヴィンテージのもののお話をしていきます。最近見直されているのがヴィンテージのブランケット。可愛いだけではなく質がよくて温かいのです。最近では職人さんも少なくなり、たくさんあった織物工場も今では数えるだけになりました。英国のもので言えば、ウェールズやスコットランドのものがハイクオリティですが、ウェールズ産のブランケットはクリミア戦争の際、寒いロシアでイギリス兵が使っていたというくらいですから、その温かさはお墨付き。もこもこの温かいブランケットがあれば、冬の暖房費もちょっと節約できそうですね。
さて、ここからはファブリック自体がアンティークまたはヴィンテージのもののお話をしていきます。最近見直されているのがヴィンテージのブランケット。可愛いだけではなく質がよくて温かいのです。最近では職人さんも少なくなり、たくさんあった織物工場も今では数えるだけになりました。英国のもので言えば、ウェールズやスコットランドのものがハイクオリティですが、ウェールズ産のブランケットはクリミア戦争の際、寒いロシアでイギリス兵が使っていたというくらいですから、その温かさはお墨付き。もこもこの温かいブランケットがあれば、冬の暖房費もちょっと節約できそうですね。
グレイン(穀物)袋の再利用
農業用に使われていた目の粗い穀物袋を、椅子やソファの張り替えに使うのがインダストリアルスタイルのちょっとしたトレンドです。その他シャビーシックスタイルなら、東欧で使われていた赤や青のストライプの入った目の粗いリネンもソファやクッションに多く使われています。こちらももともとは、パンや食品を包むために使われていたキッチンの定番アイテムだったようです。ミシンで縫うことができる厚さのテキスタイルなら、基本的には何でもインテリアに取り入れられるということ。注目したい、マルチファンクショナルなファブリックです。
農業用に使われていた目の粗い穀物袋を、椅子やソファの張り替えに使うのがインダストリアルスタイルのちょっとしたトレンドです。その他シャビーシックスタイルなら、東欧で使われていた赤や青のストライプの入った目の粗いリネンもソファやクッションに多く使われています。こちらももともとは、パンや食品を包むために使われていたキッチンの定番アイテムだったようです。ミシンで縫うことができる厚さのテキスタイルなら、基本的には何でもインテリアに取り入れられるということ。注目したい、マルチファンクショナルなファブリックです。
ミッドセンチュリー時代の服地
1960年代くらいまでは自分で洋服を作るのは珍しいことではなかったため、ヴィンテージの使い残った生地や服から出たはぎれなども、アンティークマーケットでときどき見かけます。最近では古着をリサイクルしてインテリアに取り入れるのもちょっとしたトレンドですが、こういったレトロやサイケデリックな柄の服の生地を、クッションやカバーなどのインテリアアクセサリーにリメイクするのはいかがでしょう。少しの生地でもインパクトがあるので、トラディショナルな椅子も驚くほど雰囲気が変わります。
1960年代くらいまでは自分で洋服を作るのは珍しいことではなかったため、ヴィンテージの使い残った生地や服から出たはぎれなども、アンティークマーケットでときどき見かけます。最近では古着をリサイクルしてインテリアに取り入れるのもちょっとしたトレンドですが、こういったレトロやサイケデリックな柄の服の生地を、クッションやカバーなどのインテリアアクセサリーにリメイクするのはいかがでしょう。少しの生地でもインパクトがあるので、トラディショナルな椅子も驚くほど雰囲気が変わります。
花柄アンティーク生地のもとの用途は…
シャビーシックスタイルで人気の、ちょっと色あせた花柄の布は、もともと羽毛が入った1900~40年代の布団だったのはご存じでしょうか。中から羽毛を全部取り除く作業や、キルティングしてある布団のミシン目の糸を、ピッカーを使って根気よくほどいていくのは大変なひと仕事です。こういった布団を見つけることはアンティーク市場では今でも比較的難しくはないのですが、このように人件費がかかっているためか、アンティークファブリックとしてのお値段はかなり張るようです。16~17世紀ごろインドからヨーロッパに伝わったインド更紗(チンツ=Chintz)がもとになったこのフローラルパターンは、いつの時代も世界の女性たちの心を虜にするようです。
シャビーシックスタイルで人気の、ちょっと色あせた花柄の布は、もともと羽毛が入った1900~40年代の布団だったのはご存じでしょうか。中から羽毛を全部取り除く作業や、キルティングしてある布団のミシン目の糸を、ピッカーを使って根気よくほどいていくのは大変なひと仕事です。こういった布団を見つけることはアンティーク市場では今でも比較的難しくはないのですが、このように人件費がかかっているためか、アンティークファブリックとしてのお値段はかなり張るようです。16~17世紀ごろインドからヨーロッパに伝わったインド更紗(チンツ=Chintz)がもとになったこのフローラルパターンは、いつの時代も世界の女性たちの心を虜にするようです。
時とともに肌になじむ上質なリネン
100年前のアンティークリネンはきめの細かい織りの上質なものが多く、ベッドリネンにすると夏などはひんやり涼しく、また汗をよく吸い取ってくれるという利点があります。過去に何度も何度も洗われたはずなのですが、リネンのクオリティそのものはほとんど変わらず、むしろ肌触りがよくなるくらいです。そのままのリネンの色でもいいですが、紺色やグレーなどに染め直すと、モダンなベッドルームによくマッチするはずです。
100年前のアンティークリネンはきめの細かい織りの上質なものが多く、ベッドリネンにすると夏などはひんやり涼しく、また汗をよく吸い取ってくれるという利点があります。過去に何度も何度も洗われたはずなのですが、リネンのクオリティそのものはほとんど変わらず、むしろ肌触りがよくなるくらいです。そのままのリネンの色でもいいですが、紺色やグレーなどに染め直すと、モダンなベッドルームによくマッチするはずです。
頑丈なフレンチリネン
イギリスになくてフランスにあるアンティークファブリックが、モノグラム(イニシャル)の入ったティータオルです。赤のストライプが入っているものが一般的ですが、ブルーや緑もときどき見かけます。アンティークの手織りのリネンは分厚く、くるんで鍋を持っても熱くないほど。しかも他の繊維に比べて乾きやすいという利点もあります。こういったヘビー使いに適しているリネンを、ランプシェードやクッションに使うのは賢いリメイク法です。アンティークファブリックはこのようにさまざまに形を変えてインテリアのアクセサリーに利用できるのです。
イギリスになくてフランスにあるアンティークファブリックが、モノグラム(イニシャル)の入ったティータオルです。赤のストライプが入っているものが一般的ですが、ブルーや緑もときどき見かけます。アンティークの手織りのリネンは分厚く、くるんで鍋を持っても熱くないほど。しかも他の繊維に比べて乾きやすいという利点もあります。こういったヘビー使いに適しているリネンを、ランプシェードやクッションに使うのは賢いリメイク法です。アンティークファブリックはこのようにさまざまに形を変えてインテリアのアクセサリーに利用できるのです。
味わいのあるレースや刺繍の活用法
昔の人が作ったレースや刺繍には、現代の機械で作られたものには真似のできない手作りならではの味わいがあります。刺繍はもともと貴族の女性の趣味でしたが、20世紀に入ってからは一般の女性の趣味としても流行り、カラフルな糸を使った刺繍のテーブルクロスは今でもアンティークマーケットでよく見かけるアイテムのひとつです。そういったテーブルクロスをクッションやピローケースにリメイクすれば、手作りのディテールを楽しめるエレガントなインテリアアクセサリーになります。
昔の人が作ったレースや刺繍には、現代の機械で作られたものには真似のできない手作りならではの味わいがあります。刺繍はもともと貴族の女性の趣味でしたが、20世紀に入ってからは一般の女性の趣味としても流行り、カラフルな糸を使った刺繍のテーブルクロスは今でもアンティークマーケットでよく見かけるアイテムのひとつです。そういったテーブルクロスをクッションやピローケースにリメイクすれば、手作りのディテールを楽しめるエレガントなインテリアアクセサリーになります。
ヴィクトリア時代に作られたコットンパジャマやベッドリネンをときどきアンティークマーケットで見かけますが、そのクオリティの高さにはいつも驚かされます。現代の大量生産のプロセスの中で生まれたそれとは、明らかにきめや肌触りが違い、ここまでハイクオリティだったからこそ現代まで残っていたのだと気づかされます。アンティーク家具同様、アンティークファブリックも価値のあるものとして、ぜひ現代のインテリアにもっと取り入れて長く使ってみていただきたいと思います。
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