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スライディング造作ユニットで実現。29平米の機能的な空間
さまざまな機能を備えたユニットを動かすことで、最大限空間を活用できるリノベーション事例をご紹介します。
Giulia Zappa
2018年8月15日
寝室、オフィス、キッチンがひとつになった機能的な空間をつくるのは、難易度の高い仕事だ。これを広さ29.5平方メートルしかないアパートメントで、しかもゆとりあるリビングエリアと光あふれるバスルームも確保するとなると、とうてい無理な話に思える。
ミラノの小さなアパートメントで、そんな難題を解決してみせたのが〈プランエア〉の建築家たちだ。実現の鍵となったアイデアは、机、収納、キッチンのワークトップの機能をあわせもち、自由に動かして空間構成を変えられる、スライド式のユニットだった。
ミラノの小さなアパートメントで、そんな難題を解決してみせたのが〈プランエア〉の建築家たちだ。実現の鍵となったアイデアは、机、収納、キッチンのワークトップの機能をあわせもち、自由に動かして空間構成を変えられる、スライド式のユニットだった。
どんなHouzz?
種別:休暇向けの短期滞在型賃貸アパートメント
所在地:イタリア、ミラノ
規模:29.5平方メートル
竣工:1950年ごろ
リノベーション:2017年
設計:〈プランエア〉
ミラノのワンルームタイプの小さなアパートメントに、個性とスタイリッシュさを加えたいと考えたオーナー。こじんまりとした空間を最大限に活用すべく、建築事務所〈プランエア〉にリノベーションを託した。
種別:休暇向けの短期滞在型賃貸アパートメント
所在地:イタリア、ミラノ
規模:29.5平方メートル
竣工:1950年ごろ
リノベーション:2017年
設計:〈プランエア〉
ミラノのワンルームタイプの小さなアパートメントに、個性とスタイリッシュさを加えたいと考えたオーナー。こじんまりとした空間を最大限に活用すべく、建築事務所〈プランエア〉にリノベーションを託した。
「機能性にすぐれた部屋を作り、空間を効果的に活用して、もっと広い家がもつ快適さをすべて備えた家にしてほしい、という依頼を受けました」と、〈プランエア〉の代表チェーザレ・ガリニャーニさんは語る。「同時に、オーナーからは私たちの技術的な知識を活かすだけでなく、私たちの個性を表現するチャンスをもらいました。そういうわけで、空間と時間の制約の中で工夫しながら、私たちにとっても面白いプロジェクトになるだろうと思いました」
そうして出てきた解決策は、少し動かすだけで部屋の体裁と機能を変えられるスライド式ユニットだった。オフィス機能を備え、キッチンが組み込まれ、夜は端に寄せれば心地よいベッドで眠れる空間が現れる。
製作は地元の大工、ジュゼッペ・マーラさんが手がけた。素材はMDFに突き板を化粧貼りし、表面をマットに仕上げた。天井まであるユニットは、頑丈なつくりと軽さの絶妙なバランスで成立している。キャスターがついていて、リビングの吊り天井に取り付けたレールに沿って左右に移動できる。
上部より床に近い下部に重量をもたせたため重心が下がり、安定感を増している。ごくわずかな力で動かせる一方、繰り返し使用したり多少手荒に扱ったりしても簡単には壊れないよう頑丈にできている。
製作は地元の大工、ジュゼッペ・マーラさんが手がけた。素材はMDFに突き板を化粧貼りし、表面をマットに仕上げた。天井まであるユニットは、頑丈なつくりと軽さの絶妙なバランスで成立している。キャスターがついていて、リビングの吊り天井に取り付けたレールに沿って左右に移動できる。
上部より床に近い下部に重量をもたせたため重心が下がり、安定感を増している。ごくわずかな力で動かせる一方、繰り返し使用したり多少手荒に扱ったりしても簡単には壊れないよう頑丈にできている。
左側の壁にはめこまれたアッシュ材の巨大パネルの奥には、ダブルベッドが収納されている。スライド式ユニットを右端に寄せれば、手軽にベッドを引き出せる。頭上の位置にある棚はスーツケースや荷物をしまえる収納スペースだ。スライド式ユニットの右側は天板を開くと机になり、こじんまりと使いやすいオフィス空間ができあがる。
ユニットを左端まで寄せれば、キッチンとリビングの空間が広くとれる。前述の机と同じく、こちらも天板を開くと、キッチンの調理スペースや朝食用カウンターとして使える。
フローリングには2種類の素材を使用。リビングエリアは木材、ユニットが移動する部分は60×60センチの磁器ストーンウェアタイルを敷いた。タイルは木材と近いトーンのベージュにし、リビングと連続性をもたせている。このタイルは衝撃にもきわめて強く、メンテナンスしやすいのも利点だ。右側の壁の丸い鏡は、視覚的に空間を広く見せる効果がある。出かける前にチェックする姿見としても便利だ。
フローリングには2種類の素材を使用。リビングエリアは木材、ユニットが移動する部分は60×60センチの磁器ストーンウェアタイルを敷いた。タイルは木材と近いトーンのベージュにし、リビングと連続性をもたせている。このタイルは衝撃にもきわめて強く、メンテナンスしやすいのも利点だ。右側の壁の丸い鏡は、視覚的に空間を広く見せる効果がある。出かける前にチェックする姿見としても便利だ。
キッチンも同じく木を基調にしている。バックスプラッシュにはオイルを塗布し、表面を保護し汚れをつきにくくした。キャビネット扉の手をかける部分のつくりをイエローの三角形にするなど、細かな点にスタイリッシュなセンスが光る。
こちらがコンパクトなバスルーム。シャワーブースはオーナーの要望で設置した。
「こうしたリノベーションは大掛かりで予算がかかりすぎると一般的に思われていますが、実際はそんなことはありません」とガリニャーニさん。「前もって決められた予算を守りながら造作家具を取り入れることは可能ですし、予算を使って得られるものは非常に大きいです。ふさわしいプランを見つけられるかはリノベーションを手がけるプロの腕次第です。設計段階でもそうですし、例えば家具類をすべて同じ店で調達してディスカウントしてもらったり配送コストを抑えたりする工夫もできます。結果、大きな違いが生まれますし、それが完成後の別のプロジェクトにも続くのです」
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