イームズの《シェルチェア》のあるダイニング14選
おなじみシェルチェアのバリエーションと楽しいコーディネート例を、ダイニング空間に絞ってご紹介します。
ブラッキン・ヘザー
2018年7月5日
Houzz contributor.
Home Life Style インテリア、収納空間デザイン。
「贅沢な時間を過ごせる、あなたらしい心地よい住まいづくり」をモットーに、一人ひとりの個性や「好き」を引き出しながらのインテリアのコーディネーション、
より快適な暮らしのためのライフスタイルに合わせた収納計画のご提案をいたします。
著書「ふつうの住まいでかなえる外国スタイルの部屋づくり(文藝春秋)
Interior decoration and storage space planning in Tokyo, Japan. English/Japanese bilingual, with interior design and decoration experience in Europe and Japan.
Houzz contributor.
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デザイン史に残る多くの名作家具をデザインしたアメリカのチャールズ&レイ・イームズ夫妻。なかでも《シェルチェア》は最もよく知られ、今でも多くの人に親しまれています。1948年、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で開催された「国際ローコスト・ファニチャーコンペティション」に出展し、椅子部門2位を受賞したデザインが、当時画期的だったFRP素材を得て、1950年に〈ハーマンミラー〉により製品化されたのが始まり。「多様性」をモットーにデザインされたこのチェアは、現在は家庭のみならずオフィスや店舗など幅広いシーンで使われています。一体成型の背と座面による体を包み込むようなフィット感と優しいシルエットは、世界中のファンを魅了しています。
素材のバリエーション
背と座面が一体となったチェアのデザインを目指したイームズ夫妻。発売当初はFRP(ファイバーグラスで補強したプラスチック)製でしたが、リサイクルできない素材のため環境への配慮から製造中止に。代わって2001年にリサイクル可能なポリプロピレン製の《プラスチックシェルチェア》が登場。さらに2014年、〈ハーマンミラー〉社が独自開発した、環境に優しいFRP素材の製造が可能となり、ヴィンテージカラーを再現したシリーズも生まれました。
背と座面が一体となったチェアのデザインを目指したイームズ夫妻。発売当初はFRP(ファイバーグラスで補強したプラスチック)製でしたが、リサイクルできない素材のため環境への配慮から製造中止に。代わって2001年にリサイクル可能なポリプロピレン製の《プラスチックシェルチェア》が登場。さらに2014年、〈ハーマンミラー〉社が独自開発した、環境に優しいFRP素材の製造が可能となり、ヴィンテージカラーを再現したシリーズも生まれました。
また2013年には、もともとイームズ夫妻がイメージしながら当時技術的に不可能だった木製の《ウッドシェルチェア》の開発にも成功。現在ではプラスチック、ファイバーグラス、そしてウッドの3つの素材が揃うようになっています。
独特なデザインの脚
《シェルチェア》のもうひとつの特徴は、独特なデザインの脚(ベース)。最もポピュラーな「ワイヤーベース」と木製の「ダゥエルベース」以外にも、シンプルな4本脚やスタッキング可能なタイプ、さらにアームチェアにはロッキングチェアタイプの脚もあります。
「シェル」と呼ばれる背と座面の形は、アームなしの「サイドチェア」と、アーム付きの「アームチェア」の2種類。豊富な色、3種類の素材、脚やシェルの形で選ぶのも楽しくなる《シェルチェア》。今回はダイニングでのコーディネート例をご紹介します。
《シェルチェア》のもうひとつの特徴は、独特なデザインの脚(ベース)。最もポピュラーな「ワイヤーベース」と木製の「ダゥエルベース」以外にも、シンプルな4本脚やスタッキング可能なタイプ、さらにアームチェアにはロッキングチェアタイプの脚もあります。
「シェル」と呼ばれる背と座面の形は、アームなしの「サイドチェア」と、アーム付きの「アームチェア」の2種類。豊富な色、3種類の素材、脚やシェルの形で選ぶのも楽しくなる《シェルチェア》。今回はダイニングでのコーディネート例をご紹介します。
白の《DSR》と《DSW》は永遠の定番
定番中の定番は、白の《DSR》タイプ(DSRはDining Side chair Rodwire base の略)。ワイヤーの脚がパリのエッフェル搭に似ていることから、「エッフェルベース」とも呼ばれます。軽い印象なので、重厚感のあるテーブルとも合わせやすいデザイン。ペンダントライトやスチールのテーブルトップなど、ややインダストリアルな要素のあるミックススタイルのダイニングにも調和する椅子です。
定番中の定番は、白の《DSR》タイプ(DSRはDining Side chair Rodwire base の略)。ワイヤーの脚がパリのエッフェル搭に似ていることから、「エッフェルベース」とも呼ばれます。軽い印象なので、重厚感のあるテーブルとも合わせやすいデザイン。ペンダントライトやスチールのテーブルトップなど、ややインダストリアルな要素のあるミックススタイルのダイニングにも調和する椅子です。
インテリアスタイルに合わせて選べるのも魅力です。北欧スタイルのインテリアでも、《シェルチェア》は定番アイテムのひとつ。脚が木製のダゥエルベース、《DSW》タイプは、ライトな色調の木の床やテーブルとも優しく溶け込み、温もりとナチュラルな風合いが楽しめます。同じ白のシェルでも、上のスチールの脚のタイプとかなり個性が異なることがわかるでしょう。
インテリアを引き締める黒とブラウン
《シェルチェア》のオーガニックな美しいデザインは、さまざまなテイストの部屋に対応します。黒の《DSR》は、意外とエレガントテイストにぴったり。写真は重厚なトラッドと軽さのあるモダンをミックスし、今風のエレガントさを表現しています。モールディングを施したクラシックなダークグレーの壁を背景に、個性的なガラスのペンダントライト、温かみのある木のテーブルと透明の脚に《シェルチェア》のモダンなタッチが絶妙のバランスです。
《シェルチェア》のオーガニックな美しいデザインは、さまざまなテイストの部屋に対応します。黒の《DSR》は、意外とエレガントテイストにぴったり。写真は重厚なトラッドと軽さのあるモダンをミックスし、今風のエレガントさを表現しています。モールディングを施したクラシックなダークグレーの壁を背景に、個性的なガラスのペンダントライト、温かみのある木のテーブルと透明の脚に《シェルチェア》のモダンなタッチが絶妙のバランスです。
同じ黒でも、こちらはよりくだけた印象のダイニング。白っぽい空間の中で黒の《DSW》タイプが全体を引き締め、力強いアイキャッチになっています。ウッドの脚がテーブルや椅子とマッチしてカジュアルな雰囲気に。黒を使いながら、メリハリのある明るい表情にするなら、白木のテーブルを選ぶとよいでしょう。
手前にあるのは同じシリーズのアームチェア《DAR》。アーム付きとアームなしの両方を組み合わせて変化をつけ、リズム感を出しています。
手前にあるのは同じシリーズのアームチェア《DAR》。アーム付きとアームなしの両方を組み合わせて変化をつけ、リズム感を出しています。
ダークブラウンなら引き締め効果はそのままに、木のテーブルとのコントラストが黒よりやわらかくなります。壁や鏡のフレームのグレーとの相性も抜群。ミッドセンチュリーやモダン、アンティークや個性的なアートが上手にミックスされた部屋です。ずっしりとした重みのあるテーブルにも《シェルチェア》はぴったりなチョイス。どちらも存在感を失わずに互いを引き立てています。
好きな色を空間のアクセントに
《シェルチェア》は、色のバリエーションが豊富なのも魅力。写真はガラスとメタルを組み合わせたテーブルやペンダントライトに、ライトブルーの《DSR》と《DAR》、涼しげでクールな印象の色と素材で統一。夏らしいさわやかなダイニングです。色や脚のタイプの組み合わせで、どんな素材のテーブルにも合わせやすいのも魅力です。
《シェルチェア》は、色のバリエーションが豊富なのも魅力。写真はガラスとメタルを組み合わせたテーブルやペンダントライトに、ライトブルーの《DSR》と《DAR》、涼しげでクールな印象の色と素材で統一。夏らしいさわやかなダイニングです。色や脚のタイプの組み合わせで、どんな素材のテーブルにも合わせやすいのも魅力です。
片側にベンチを組み合わせたダイニングルームでは、《シェルチェア》の鮮やかなブルーがアクセントに。印象深い色なので、4脚揃えなくても、1脚や2脚だけで十分です。こちらもやはりテーブルや床、チェアの脚の木の部分を統一させることで、ダイニング全体に一体感を演出しています。
違う色を組み合わせる
オランダ・アムステルダムの、ミッドセンチュリースタイルのダイニング。深みのあるオレンジやグリーンのチェアは、古い木やアンティーク家具の質感と相性抜群。何色かミックスすると個性が出ます。2色を組み合わせたり、すべて違う色にしたりするのも面白いでしょう。《シェルチェア》は丸型のテーブルでも合わせやすく、カジュアルなカフェテイストのシーンにもよく似合います。
オランダ・アムステルダムの、ミッドセンチュリースタイルのダイニング。深みのあるオレンジやグリーンのチェアは、古い木やアンティーク家具の質感と相性抜群。何色かミックスすると個性が出ます。2色を組み合わせたり、すべて違う色にしたりするのも面白いでしょう。《シェルチェア》は丸型のテーブルでも合わせやすく、カジュアルなカフェテイストのシーンにもよく似合います。
大きなテーブルなら、ゆったりしたアームチェアを。ライトグリーン、ブラウン、白と落ち着きのあるトーンを並べ、部屋全体となじませています。この3色だけでも十分素敵ですが、両サイドの赤を加えることで部屋全体がパッと明るく、いきいきした印象に。
トーンを揃えた上級者コーディネート
ここまで見てきたように、複数の色を組み合わせるなら、同じトーン(明るさと鮮やかさの度合い)にすると断然センスよく見えます。こちらはライトグリーン、黄色、グレーとややくすんだトーンのチェアが、味わい深い古いテーブルを引き立てたダイニング。アンティークやヴィンテージのテーブルとの相性も抜群です。
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上の写真の椅子と同じようにソフトなトーンで揃えたシーン。ブルー、グレー、ホワイトなどのクールな色で揃え、奥のリビングエリアのカラースキームともよく似合っています。
全体的にコンテンポラリーなニュアンスのLDですが、テーブルにややミッドセンチュリーの雰囲気もある赤みの強い木製を選び、全体にほどよい温かみを演出しています。
全体的にコンテンポラリーなニュアンスのLDですが、テーブルにややミッドセンチュリーの雰囲気もある赤みの強い木製を選び、全体にほどよい温かみを演出しています。
1脚ミックスするだけでも
今持っているダイニングチェアに、アクセントとして《シェルチェア》を1つだけ混ぜてみるのはいかがでしょう。写真は、アンティークやヴィンテージ、ユーズドを含めたばらばらのデザインのチェアに、1脚だけシェルチェアを加えたパリのダイニング。さまざまな歴史やストーリーを感じさせる味わい深いシーンです。テーブルと他の椅子が木なので、この場合は脚が木製の《DSW》タイプが自然になじみます。
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イームズのシェルチェア、良いですよね。私も大好きで、白のDSWをホームステージングに使いました。
レプリカだったのでそのまま使って戴けるように置いておきましたが、今勉強部屋の椅子として使って戴いているようです。