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アートディレクター夫妻の暮らしに学ぶセンスのいいアートの飾り方
中古分譲マンションをリフォームしてアートを楽しむ二人。有名画家の作品やニューヨーク生まれのポップアートなど、さまざまなアートが飾られ、暮らしに豊かな表情を生み出しています。
栗原晶子|Akiko Kurihara
2018年5月21日
フリーの編集&ライターとしてインテリア誌やハウジング誌を中心に取材・執筆活動する傍ら、NPO法人ハウスキーピング協会認定の整理収納アドバイザーとして、コラムの連載やセミナーの企画に携わる。暮らしがラクに楽しくなる、整理収納アイデアを研究・発信中です。
また、エンタメ好きとして演劇や映画に関するライティングも手がけています。
フリーの編集&ライターとしてインテリア誌やハウジング誌を中心に取材・執筆活動する傍ら、NPO法人ハウスキーピング協会認定の整理収納アドバイザーとして、コラムの連載やセミナーの企画に携わる。暮らしがラクに楽しくなる、整理収納アイデアを研究・発信中です。... もっと見る
オーストラリア人のシェーン・マグラーさんと奥様の真由美さんは、店舗やマンションギャラリーへの絵画展示やリゾートホテル・飲食店での展示会を手掛けるアートディレクター。築18年の4LDKの分譲マンションを購入時にリフォームし、家族4人で暮らす。リビングや廊下には多種多彩なアート作品が飾られ、暮らしの中にアートが溶け込んでいる。
どんなHouzz?
居住者:シェーン・マグラーさんと真由美さんご夫妻、娘さんと息子さんの4人家族
所在地:千葉県中央区
延床面積:約152.32平方メートル
間取り:4LDK
種別:RC造(一部RC造)の分譲マンション
リフォーム設計・施工:東急ホームズ
玄関を入ると、正面にはヴェネツィア・ビエンナーレで東洋人として初の名誉賞を受賞した日本画家、千住博の《フォーリングカラー オレンジ》。その脇には、1メートルを超える大きなマルク・シャガールのポスターが飾られている。これは、ニューヨーク、リンカーン・センターの中央にあるメトロポリタン・オペラ・ハウスの1966年のオープニングの宣伝用ポスターをリトグラフにしたもの(1967年制作)。日本画と洋画を自由に組み合わせられるのも自宅で絵を飾る醍醐味だ。「この近距離に日本画家とシャガールを並べるのは、美術館ではなかなか見られない光景かもしれませんね。玄関ホールは赤系で統一してみました」と真由美さん。
居住者:シェーン・マグラーさんと真由美さんご夫妻、娘さんと息子さんの4人家族
所在地:千葉県中央区
延床面積:約152.32平方メートル
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玄関を入ると、正面にはヴェネツィア・ビエンナーレで東洋人として初の名誉賞を受賞した日本画家、千住博の《フォーリングカラー オレンジ》。その脇には、1メートルを超える大きなマルク・シャガールのポスターが飾られている。これは、ニューヨーク、リンカーン・センターの中央にあるメトロポリタン・オペラ・ハウスの1966年のオープニングの宣伝用ポスターをリトグラフにしたもの(1967年制作)。日本画と洋画を自由に組み合わせられるのも自宅で絵を飾る醍醐味だ。「この近距離に日本画家とシャガールを並べるのは、美術館ではなかなか見られない光景かもしれませんね。玄関ホールは赤系で統一してみました」と真由美さん。
廊下の壁に並ぶのは、アール・ヌーヴォーを代表する巨人、アルフォンス・ミュシャのエレガントな作品。障子風の引き戸と向かい合わせなのもインパクトがある。引き戸の向こうは和室で、シェーンさんの書斎。元は扉一枚分の入口だった空間の壁を取り払い、引き戸にした。書斎からの自然光が引き戸を透過し廊下が明るくなったため、絵を飾るのにふさわしい場所になった。
現在飾っているのは、ミュシャの《四季・春・夏・秋・冬》。大きな絵を飾るためには十分なスペースが必要と思いがちだが、飾るためのハードルはそれほど高くない、と真由美さん。「版画の場合、額の中にすでに余白が作られているので、壁自体に余白を多く取る必要はありません。絵と絵の間隔はこぶし一つ分あればいいといわれています」
廊下を抜けると約50平方メートル(27畳)の開放感あふれるLDK。特にこだわったのはキッチンだ。元々の間取りでは、キッチンとダイニングの間に仕切り壁があったため、リフォーム時にオープン仕様にした。キッチンは真由美さん憧れの〈トーヨーキッチンスタイル〉を採用。面材は落ち着きのあるダークブラウンの木目調を選んだ。スタイリッシュなステンレスのワークトップは十分な奥行きがあり、夫婦でキッチンに立ってもストレスなく作業できる。
廊下とキッチンを仕切る壁は構造上、取り払うことができなかったため、一部分に格子をはめ込んだ。リゾートのコンドミニアムのような雰囲気をイメージして真由美さん自らデザインしたもの。視線が抜けて圧迫感がなくなった。
「朝のスムージー作りは主に彼の担当。夫婦でキッチンに立つことも多いので、ゆったりとしたサイズが気に入っています」と真由美さん。キッチンからはリビングダイニング越しに隣接する公園の緑鮮やかな植栽が見えて気持ちがいい。
ダイニングのガラスキャビネットの上には、パブロ・ピカソの人物画《想像の中の肖像》(リトグラフ、1969年制作)が飾られている。家の中の絵は入れ替えることもよくあるという。実際、価値のある絵画作品は、信頼のおける画商と出会えれば、ちゃんと買取もしてもらえるので、絵を買い替えるのは実は大変なことではないそうだ。
リビングはマグラー邸の顔といえるスペースで、友人や知人を呼んでパーティーを楽しむこともあるという。バルコニーに面した大きな窓と大きなソファが特徴だ。リフォーム時に構造を確認したところ、以前より天井高を20センチ程度高くすることができ、より開放感を感じられるLDKが実現した。また、現在ホワイトのフローリングの床は、少し落ち着きのあるアッシュグレーに張り替えを予定している。
リビングには真由美さんにとって思い入れのあるアート、ジェームズ・リジィの作品3点を飾っている。写真はそのうちのひとつ。ジェームズ・リジィとは、1950年生まれの今は亡きポップアーティスト。真由美さんが20代前半、ダンスの道を志しニューヨークに滞在していたときに、ブロードウェイ沿いの画廊で見つけたもの。当時は購入することができず、帰国後、インターネットで見つけて購入した。「ニューヨークの喧噪や楽しさが3Dアートで表現されていて、夢を持って暮らしていた街の雰囲気を思い出せるのでとても気に入っています」と真由美さん。
真由美さんがもう1ヵ所、リフォーム時にこだわり、自らデザイン画を描いてオーダーしたのが洗面スペースだ。床から数センチ上げて設置することで、空間に軽やかさを出すと同時に、お掃除ロボットが通るという利点がある。
またガラス製の一体型洗面化粧台は、スタイリッシュな見た目に加え、掃除が楽な点も魅力だという。
つづいて、子ども部屋をのぞいてみよう。淡いピンク色の壁紙と白の家具でコーディネートされた娘さんの部屋は、お気に入りのぬいぐるみや雑貨を愛らしくディスプレイ。ベッドサイドの壁は、インテリアシールやパネルボードでアクセントをつけている。
勉強机の横は、最近作ったというプチメイクコーナー。「使う場所を決めて、定位置を設けたら娘がきちんと自分で管理できるようになりました。可愛く収納できるように工夫しているようです」と真由美さん。
こちらは小学2年生になった息子さんの部屋。まだここでは寝ていないが、ランドセルや勉強道具、おもちゃを収納している。友だちを招いてにぎやかに遊ぶこともあれば、一人でブロック遊びに熱中することも。写真左手のミニドラムセットは、実は父親であるシェーンさんが主に使うのだとか。
マグラー夫妻の寝室にも大きな絵が飾られている。これは、家具なども扱うアジアン雑貨店でシェーンさんが一目ぼれして購入した作者不詳の作品。海と緑が茂る風景は、故郷のオーストラリアの豊かな自然を思い起こさせるという。落ち着いた壁の色との相性も抜群だ。
寝室も窓が大きく、バルコニー越しには青々とした緑が美しい。
シェーンさんはポップなデザインのスケートボードをコレクションしている。壁に飾っているもののほか、自ら額装したものもある。ボードの背景のマットには和紙を敷いた。
絵を飾るのはハードルが高いと思う人は多く、そもそも何を選んだらいいのかわからないとアドバイスを求められることもよくあるという夫妻。「確かに初めは悩むかもしれません。購入しなくてはいけないなどと気にせず、美術展や小さなギャラリーに足を運ぶだけでOK。いつかこんな絵を飾ってみたいなぁと思うだけでもアートに近づけます。お気に入りのレストランや旅先のホテルでも、アートに触れられる機会は結構ありますよ」と真由美さん。「有名無名に関わらず、持ち帰りたいと思った作品に出会ったら、ぜひ手に入れて欲しいですね。絵に込められたストーリーを知るのも、アートを手にするきっかけになりますよ」とは、夫のシェーンさんの言葉。
マグラー夫妻のように、作品を手に入れたきっかけや思いに寄り添っていくと、飾る部屋や飾り方は自ずと見えてくるという。夫妻は、アートのある暮らしをもっと多くの人に楽しんでもらえるようにと、音楽イベントと絵画のコラボレーションや、地域のコミュニティスペースでの絵画展示なども手掛けている。
「不思議なもので、1枚飾るとほかの壁にも飾りたくなりますよ。もっと多くの人にアートを身近に感じていただき、自宅でアート作品を楽しんでほしいです」と最後も笑顔で語ってくれた。
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