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アンティーク家具のタイムレスな魅力は、シンプルデザインまたはシンプルな空間で
在イギリス20年のアンティークのプロが、モダンな空間にアンティークをとり入れて楽しむ際の選び方、合わせ方などのコツをご紹介します。
西谷典子|Noriko Nishiya
2015年4月21日
今回は、アンティーク家具のタイムレスな魅力を生かすために、現代のインテリアとのミックスマッチの際のコツを見ていきましょう。
現代のインテリアにアンティークの家具を合わせるコツはズバリ、まわりのものとのバランスを注意深く考えること。当たり前ですが、このバランスのさじ加減によって「クールなエクレクティックスタイル」になるか、「野暮ったい時代遅れのインテリア」になるかが決まってしまいます。とはいえ、方法としてはとても簡単。アンティーク家具自体のデザインがシンプルなものを選ぶか、あるいはアンティーク家具を置く空間をシンプルにまとめるか、大きく分けるとこの2点に気をつければよいということになります。
現代のインテリアにアンティークの家具を合わせるコツはズバリ、まわりのものとのバランスを注意深く考えること。当たり前ですが、このバランスのさじ加減によって「クールなエクレクティックスタイル」になるか、「野暮ったい時代遅れのインテリア」になるかが決まってしまいます。とはいえ、方法としてはとても簡単。アンティーク家具自体のデザインがシンプルなものを選ぶか、あるいはアンティーク家具を置く空間をシンプルにまとめるか、大きく分けるとこの2点に気をつければよいということになります。
数は少なめに
まず、アンティーク家具をモダンなスペースに合わせるなら、その数は1つか2つで十分。これなら細かく注意を払う必要もなく、より簡単に現代の空間にミックスさせることができるはずです。では、アンティーク家具とモダンインテリアのよいミックス例をいくつか紹介しましょう。
まず、アンティーク家具をモダンなスペースに合わせるなら、その数は1つか2つで十分。これなら細かく注意を払う必要もなく、より簡単に現代の空間にミックスさせることができるはずです。では、アンティーク家具とモダンインテリアのよいミックス例をいくつか紹介しましょう。
シンプルなデザインを選ぶ
このライティングビューローの足を見なければ、これが1880年代に作られたもの、とはきっと思わないでしょう。それほど今のインテリアとほとんど変わらないシンプルデザインのこのビューローは、天板を折り返せば机を大きく使え、狭いスペースにも対応できる賢い機能も持っています。壁の色やフロア、椅子のやわらかい色にマホガニー材の質感が優しくなじんで、まったく違和感のない空間をつくっています。シンプルなデザインのアンティーク家具はコーディネートも簡単というよい例です。
このライティングビューローの足を見なければ、これが1880年代に作られたもの、とはきっと思わないでしょう。それほど今のインテリアとほとんど変わらないシンプルデザインのこのビューローは、天板を折り返せば机を大きく使え、狭いスペースにも対応できる賢い機能も持っています。壁の色やフロア、椅子のやわらかい色にマホガニー材の質感が優しくなじんで、まったく違和感のない空間をつくっています。シンプルなデザインのアンティーク家具はコーディネートも簡単というよい例です。
ジョージアンデザインに注目
ヴィクトリア時代(1837〜1901)は産業革命後のいわゆるバブル時期だったので、家具のデザインもゴージャスで派手なものが多いのですが、その前のジョージ時代(1714〜1837)に作られた家具は、とてもトラディショナルなデザインです。ギリシャやローマの神殿などからモチーフをとっているので、直線的でシンプルなデザインが多く、現代のスペースにも合わせやすいのです。とはいえ、小ぶりなサイドテーブルでも本物の風格と存在感があり、部屋のアクセサリーとしての効果も絶大です。
ヴィクトリア時代(1837〜1901)は産業革命後のいわゆるバブル時期だったので、家具のデザインもゴージャスで派手なものが多いのですが、その前のジョージ時代(1714〜1837)に作られた家具は、とてもトラディショナルなデザインです。ギリシャやローマの神殿などからモチーフをとっているので、直線的でシンプルなデザインが多く、現代のスペースにも合わせやすいのです。とはいえ、小ぶりなサイドテーブルでも本物の風格と存在感があり、部屋のアクセサリーとしての効果も絶大です。
引き算コーディネート1
重厚感のあるアンティークのテーブルに、思い切って透明な素材の椅子を合わせた、アンティークとモダンミックスのの素晴らしい例です。このように組み合わせる椅子などのデザインを引き算バランスでととのえれば、装飾や彫刻が入ったダークトーンのアンティーク家具でも、問題なくミックスマッチできるわけです。ポイントは、シンプルとデコラティブのバランスをトータルで見てコントロールすることです。
重厚感のあるアンティークのテーブルに、思い切って透明な素材の椅子を合わせた、アンティークとモダンミックスのの素晴らしい例です。このように組み合わせる椅子などのデザインを引き算バランスでととのえれば、装飾や彫刻が入ったダークトーンのアンティーク家具でも、問題なくミックスマッチできるわけです。ポイントは、シンプルとデコラティブのバランスをトータルで見てコントロールすることです。
引き算コーディネート2
真っ白な壁にアクセントとしてアンティークの椅子を置くと、そこだけスポットライトを浴びたように見え、部屋のフォーカルポイントとなり、存在感が引き立ちます。ヴィクトリア時代らしい流麗な彫刻が入った繊細なマホガニー材の椅子でも、黒っぽいオーク材の椅子でもよいでしょう。白が基調のシンプルな空間であることがこの場合のポイント。空間自体に華美な装飾は必要なく、ここにも引き算の発想があります。
真っ白な壁にアクセントとしてアンティークの椅子を置くと、そこだけスポットライトを浴びたように見え、部屋のフォーカルポイントとなり、存在感が引き立ちます。ヴィクトリア時代らしい流麗な彫刻が入った繊細なマホガニー材の椅子でも、黒っぽいオーク材の椅子でもよいでしょう。白が基調のシンプルな空間であることがこの場合のポイント。空間自体に華美な装飾は必要なく、ここにも引き算の発想があります。
本物の風格を贅沢に
アンティークのマホガニーチェストの引き出しを一度開けてみてください。この時代のチェストの作りは素晴らしく、すーっとなめらかに開き、またすーっとスムーズに閉まります。中には引き出しだけオーク材という場合もありますが、マホガニー製の引き出しは現代の家具では味わえない、たとえるならシルクのようなクオリティの高さがあるのです。日本でいう桐箪笥のような高級感にも近いかもしれません。そんなチェストの上にはオブジェを置いてもいいですし、鏡を置いてドレッサーとしても使えます。特にジョージアンのチェストは小ぶりなのでおすすめです。迫力のある本物を中心に据えた贅沢な空間づくりも、アンティークだからできることです。
アンティークのマホガニーチェストの引き出しを一度開けてみてください。この時代のチェストの作りは素晴らしく、すーっとなめらかに開き、またすーっとスムーズに閉まります。中には引き出しだけオーク材という場合もありますが、マホガニー製の引き出しは現代の家具では味わえない、たとえるならシルクのようなクオリティの高さがあるのです。日本でいう桐箪笥のような高級感にも近いかもしれません。そんなチェストの上にはオブジェを置いてもいいですし、鏡を置いてドレッサーとしても使えます。特にジョージアンのチェストは小ぶりなのでおすすめです。迫力のある本物を中心に据えた贅沢な空間づくりも、アンティークだからできることです。
ミッドセンチュリーの家具とも
ヴィクトリア時代のブレックファストテーブルのようなクラシックなデザインも、シンプルな椅子とさらりと合わせることで今風のコーディネートができます。最近はミッドセンチュリーデザインの家具の人気も定着しましたが、写真の〈G-PLAN〉の椅子はこの時代、デンマークのデザインの影響を受けて作られたイギリスの〈E.GOMME社〉が製造したもので、基本はシンプル。テーブルはウォールナット材で、椅子はチーク材ですが、ダークな色で統一感を持たせるだけで不思議なほど美しくマッチします。
ヴィクトリア時代のブレックファストテーブルのようなクラシックなデザインも、シンプルな椅子とさらりと合わせることで今風のコーディネートができます。最近はミッドセンチュリーデザインの家具の人気も定着しましたが、写真の〈G-PLAN〉の椅子はこの時代、デンマークのデザインの影響を受けて作られたイギリスの〈E.GOMME社〉が製造したもので、基本はシンプル。テーブルはウォールナット材で、椅子はチーク材ですが、ダークな色で統一感を持たせるだけで不思議なほど美しくマッチします。
キャビネットの飾り方
大ぶりでダークな色のキャビネットも、デザイン自体がシンプルで中にしまうものが白などシンプルで軽い感じにまとまっていれば、重苦しい感じは与えません。しまう中身が見えるキャビネットには「ディスプレイキャビネット」と「ブックケース」の2種類がありますが、ディスプレイキャビネットの側面は通常ガラスがはめられており、ブックケースは側面が一枚の板になっています。湿気の多い場所に置くなら、どちらかというと板が反りづらいディスプレイキャビネットを選んだ方がいいでしょう。
大ぶりでダークな色のキャビネットも、デザイン自体がシンプルで中にしまうものが白などシンプルで軽い感じにまとまっていれば、重苦しい感じは与えません。しまう中身が見えるキャビネットには「ディスプレイキャビネット」と「ブックケース」の2種類がありますが、ディスプレイキャビネットの側面は通常ガラスがはめられており、ブックケースは側面が一枚の板になっています。湿気の多い場所に置くなら、どちらかというと板が反りづらいディスプレイキャビネットを選んだ方がいいでしょう。
タイムレスデザイン
曲木で作られた有名なベントウッドチェアは1850年代にドイツの〈トーネット社〉によって作られ、デザインクラシックとして現在も広く愛されています。ご存じの通り、カフェでよく見かけるチェアですが、軽くてスタッキングができたので、ウィーンやパリの狭いスペースのカフェなどで大変重宝したという理由から。アンティークのようでいて、現代の暮らしの中でも見慣れたこの椅子は、まさにタイムレスなデザイン。現代のシンプルなダイニングに無理なく合わせることができます。
曲木で作られた有名なベントウッドチェアは1850年代にドイツの〈トーネット社〉によって作られ、デザインクラシックとして現在も広く愛されています。ご存じの通り、カフェでよく見かけるチェアですが、軽くてスタッキングができたので、ウィーンやパリの狭いスペースのカフェなどで大変重宝したという理由から。アンティークのようでいて、現代の暮らしの中でも見慣れたこの椅子は、まさにタイムレスなデザイン。現代のシンプルなダイニングに無理なく合わせることができます。
小ぶりで機能的なアイテム1
この小さいトライポッド(三つ足)テーブルは、もともとワインを置くために作られたもので、代表的なジョージアンデザインのひとつです。これより大きいサイズのテーブルは、貴族のティータイム用に使われ、天板が立ち上がりフラットにたためるため、場所をとらず狭いスペースに置くにはぴったりです。美しいシンプルデザインと機能を持ちあわせた、クールなエクレクティックスタイルをつくる定番アイテムと言えるでしょう。
この小さいトライポッド(三つ足)テーブルは、もともとワインを置くために作られたもので、代表的なジョージアンデザインのひとつです。これより大きいサイズのテーブルは、貴族のティータイム用に使われ、天板が立ち上がりフラットにたためるため、場所をとらず狭いスペースに置くにはぴったりです。美しいシンプルデザインと機能を持ちあわせた、クールなエクレクティックスタイルをつくる定番アイテムと言えるでしょう。
小ぶりで機能的なアイテム2
家のドアを開けるとまず目に入るホールテーブル。ここに自分の好きなものや気に入っているものなどを置くと、帰宅した時に「やっぱり我が家がいちばん!」という気になりますね。オブジェや花を置く台として使えば、ちょっと素敵なギャラリーのような空間をつくることができます。このテーブルは天板を上げればカードテーブル(カードゲームをするための小さなテーブル)になるしくみで、大勢のゲストが来た時にサブのテーブルとしても使え、大変便利です。
家のドアを開けるとまず目に入るホールテーブル。ここに自分の好きなものや気に入っているものなどを置くと、帰宅した時に「やっぱり我が家がいちばん!」という気になりますね。オブジェや花を置く台として使えば、ちょっと素敵なギャラリーのような空間をつくることができます。このテーブルは天板を上げればカードテーブル(カードゲームをするための小さなテーブル)になるしくみで、大勢のゲストが来た時にサブのテーブルとしても使え、大変便利です。
さて、アンティークをインテリアにとり入れるのは案外簡単だなと思えてきたのではないでしょうか? 美しくシンプルなデザインは飽きがこず、いつの時代のインテリアにも自然になじむものです。また、個性の強いデコラディブなデザインでも、シンプルな空間に置けばトゥーマッチになることなく空間のポイントになります。肩肘を張らずに試せるものから、ぜひトライしてみてください。
このシリーズの記事を読む
アンティークを現代の住まいにミックスさせるポイント10
アンティークの基本的な知識、選び方や扱い方のポイント
省スペース&マルチファンクショナル。賢い機能のアンティーク家具を選ぶ
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