アンティーク&ヴィンテージ選びのポイント:仕掛けつきコンパクト収納家具5選
おすすめのアンティーク&ヴィンテージ家具、その特長とミニ知識、選ぶときのポイント。特徴のあるデザインや考えられた機能が楽しいコンパクト収納家具をご紹介します。
西谷典子|Noriko Nishiya
2017年4月28日
扉を兼ねた天板や小分けされた引き出し、折りたためるトレイなど、便利な機能がついた小さめの収納家具は、狭いスペースで大活躍します。新品からももちろん探せますが、実は100年を超えるアンティーク家具の中にも、賢い仕掛けつきのコンパクトな家具が数多く見つかります。たとえば19世紀の人々のライフスタイルに必要だった機能の中にも、ちょっとしたアイデアで今の暮らしに応用できるものがあります。今回は、日本のインテリアにおすすめの、スモールスペースに役立つ機能つき収納家具をご紹介します。
アンティークに関する基本知識はこちらを参考に
アンティークの基本的な知識、選び方や扱い方のポイント
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1. 天板を引き出して使う、ライティングビューロー
ドアを開くと小ぶりのデスクとなる、省スペースのライティングビューロー。小さなキャビネットを上にのせれば本も収納でき、さらにスペースを有効に使えます。特におすすめなのはフランス製のビューロー。貴族のサロンの婦人用デスクとして作られているため、小ぶりで美しい曲線デザインが多く、リビングやベッドルーム、玄関先などさまざまな場所で活躍するアイテムです。
ドアを開くと小ぶりのデスクとなる、省スペースのライティングビューロー。小さなキャビネットを上にのせれば本も収納でき、さらにスペースを有効に使えます。特におすすめなのはフランス製のビューロー。貴族のサロンの婦人用デスクとして作られているため、小ぶりで美しい曲線デザインが多く、リビングやベッドルーム、玄関先などさまざまな場所で活躍するアイテムです。
ライティングビューローの扉を兼ねた天板は、サイドのつまみを引っ張ると支え用のバーが出てくるもの、上から金具で支えられているもの、引き出しが台になるものなどさまざまなタイプがあります。どれも天板がしっかり固定される状態かどうかチェックしてください。扉を開いた瞬間、小物入れやレタースタンド(「インテリア」と呼ばれます)が前に出てくる、凝ったつくりのものもあります。この「インテリア」の部分のコンディションも要チェックです。
2. 紳士淑女の身だしなみに欠かせない、ホールスタンド
つば広の帽子をかぶり、日傘をさした貴婦人や、ステッキを手にした紳士が生きていた19世紀のヨーロッパ。この時代らしい玄関の収納家具といえば、ホールスタンドです。通常はオーク製で、なかにはマホガニーやウォールナットなどの高級木材製のものもあります。ホールスタンドのデザインは多彩で、傘立てや小物を掛けるフック、小物を入れる引き出し、姿見、収納付きベンチなど、さまざまな機能がついています。玄関先をすっきりと整頓できる便利な家具です。
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ホールスタンドはおしゃれな人たちの家具だったためか、時代の流行を細部に取り入れているものが多く、素材やデザインによって、製造された時代を判断しやすい家具です。たとえば、写真のホールスタンドはタイルの部分に中世を思わせるデザインが施されていますが、これはアーツアンドクラフツ時代に流行したもの。1880年代に作られたことがわかります。1900年代製ではアールヌーヴォー様式のタイルやガラスがはめ込まれ、1930年代になると鉄など金属素材が使われた、幾何学的なアールデコのデザインになります。スペースを有効に使えるうえ、歴史あるデザインで玄関を個性的に飾れる、優れたアイテムです。
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3. タイルの装飾と大理石の天板の名コンビ、ウォッシュスタンド
大理石の天板と、奥のスタンドに必ずカラフルなタイルが使われるデザインが定番。ヴィクトリア女王時代に流行したウォッシュスタンドは、まだ水道が一般に普及していない頃、寝室でジャグと洗面器を置くための家具でした。天板が水を弾く大理石なので、現代の暮らしでもその特性を活かして水回りに使われることが多いようです。蛇口とシンクを取り付けて洗面台に、キッチンで調理台として、プランタースタンドに……とさまざまに活躍します。
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スタンダードタイプは、奥にはめこまれたタイルが無地のグリーン。高価なものになると、タイルが鮮やかな多色使いの模様つきになります。木部の材質はウォールナット、マホガニー、オークなどが主流です。脚にキャスターが付いていることが多く、移動可能で掃除の際も便利。品のあるデザインで、キッチンやパウダールームを華やかに彩ります。
4. アフタヌーンティー文化の香り漂う、ケーキスタンド
17世紀、中国からオランダを経由して、イギリスにもたらされた紅茶。当時は大変貴重なものでしたが、19世紀後半になると一般にも広まり、一般庶民も貴族のアフタヌーンティー文化を真似するようになります。
一般家庭で、訪れたゲストにケーキやスコーン、サンドウィッチを振る舞うために使われたのが、写真のようなケーキスタンドでした。給仕の人が少ない中流家庭では、キッチンと応接間を何度も往復することなくスマートにお茶菓子をサーブできる、こんなケーキスタンドが重宝だったのでしょう。
17世紀、中国からオランダを経由して、イギリスにもたらされた紅茶。当時は大変貴重なものでしたが、19世紀後半になると一般にも広まり、一般庶民も貴族のアフタヌーンティー文化を真似するようになります。
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折りたたむと平らになり、場所を取らないのもケーキスタンドの特長。ただ、なかには何回も折りたたむうちに木が磨耗して、台がしっかり固定しないものもありますので、忘れずに金具の部分をチェックしてください。
ケーキスタンドは、現代でも焼き菓子をサーブする小道具として使われますが、小さな鉢植えを置いたり、かごを飾ったりと、別の楽しい使い方もいろいろあります。広げるとお皿が5つ以上置けるようなタイプもあり、大きく使えて小さく収納できる優れものです。
ケーキスタンドは、現代でも焼き菓子をサーブする小道具として使われますが、小さな鉢植えを置いたり、かごを飾ったりと、別の楽しい使い方もいろいろあります。広げるとお皿が5つ以上置けるようなタイプもあり、大きく使えて小さく収納できる優れものです。
5. 小さくても機能いろいろ、ベッドサイドキャビネット
アンティークのベッドサイドキャビネットには、引き出しタイプと開き戸タイプがあります。開き戸タイプのうち、向かって右側にハンドルがついた開きのものがありますが、これは左利き用というわけではなく、ベッドの両脇にペアで置かれていた片割れです。もし使いにくければ、金具の構造によってはドアを逆さにして簡単に逆開きに変えることもできます。
ベッドサイド以外にもリビングや書斎など、ほかの部屋でも大活躍。花台や電話台、ワインテーブルのような使い方もできます。大理石の天板のタイプを選ぶと、熱い飲み物も置けて便利ですね。
アンティークのベッドサイドキャビネットには、引き出しタイプと開き戸タイプがあります。開き戸タイプのうち、向かって右側にハンドルがついた開きのものがありますが、これは左利き用というわけではなく、ベッドの両脇にペアで置かれていた片割れです。もし使いにくければ、金具の構造によってはドアを逆さにして簡単に逆開きに変えることもできます。
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写真は、扉が閉まっていると普通のベッドサイドキャビネットに見えますが、下のハンドルを手前に引くと内側が箱になっている変わり種。これは昔、暖房用の石炭を入れていた「コールボックス」と呼ばれる小さなキャビネット。ベッドサイドキャビネットに似ていますが、違うものです。
このコールキャビネット、とても頑丈な作りで、現代でも多様な使い方ができます。ソファサイドやベッドサイドで照明を置くほか、石炭が入っていた内蔵の箱にポンと物を出し入れできるので、くずかご、スリッパ入れ、マガジンラックとしても。案外知られていない、大変おもしろい小家具です。
このコールキャビネット、とても頑丈な作りで、現代でも多様な使い方ができます。ソファサイドやベッドサイドで照明を置くほか、石炭が入っていた内蔵の箱にポンと物を出し入れできるので、くずかご、スリッパ入れ、マガジンラックとしても。案外知られていない、大変おもしろい小家具です。
もともとの用途は違っても、アンティーク家具には今の暮らしに合う新しい使い方がたくさん見つかり、いつも驚かされます。時代を生き抜いてきた質のよい作りは、現代のライフスタイルにも十分対応できます。質のよいアンティーク家具を今らしい使い方で暮らしに取り入れ、大切に手入れをしながら愛用して、次世代に継承していきたいものです。
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