きれいが持続する間取りと収納計画とは?
日々の家事が楽しくなり、家族も片付け上手になる家をつくるには、専門家にどう伝えたらいいのでしょうか?
Rie Horiguchi
2018年9月12日
家づくりを計画中のクライアントの多くの方から、「収納はたっぷり欲しい」というご要望をいただきます。でも実はたっぷりあるから片付くとは限りません。たっぷり収納があるがゆえ、ものを溜め込んでしまったり、探しにくくなったりすることもあるのです。今回は、きれいが持続する間取りと収納計画のポイントについてお伝えいたします。
収納計画のポイントは、量より質
心地よい住まいには、必ずと言っていいほど使いやすい収納があります。でも、家づくりを考えるとき、収納量だけを考えて、使い方をイメージしないことがよくあります。
そのため、いざ使ってみると
心地よい住まいには、必ずと言っていいほど使いやすい収納があります。でも、家づくりを考えるとき、収納量だけを考えて、使い方をイメージしないことがよくあります。
そのため、いざ使ってみると
- どこに何を収納したらいいかわからない
- 収納はたっぷりあるのに、毎日使うものは結局出しっぱなし
- 収納を使いこなせない(どう使ったらいいかわからない)
- 収納スペースが使う場所から離れていて、結局出しっぱなしにしている
収納について考えるとき重要なのは、どこに作るか?誰が使うか?何を置くか?どんなシーンで使うか?など、使い方をより具体的にイメージしておきましょう。
特に大きな収納スペースを作る場合は、「何を置くか?」「どう使うか?」をしっかり考えておくことが大切です。がらんどうの空間では、収納スペースを有効に使うのは至難の業。使い方のイメージがわかない場合は、棚板の位置を調整できる収納を設けたり、キャスター付の収納グッズを活用するなど、使い方が決まった場合にフレキシブルに使えるものを採用しましょう。
特に大きな収納スペースを作る場合は、「何を置くか?」「どう使うか?」をしっかり考えておくことが大切です。がらんどうの空間では、収納スペースを有効に使うのは至難の業。使い方のイメージがわかない場合は、棚板の位置を調整できる収納を設けたり、キャスター付の収納グッズを活用するなど、使い方が決まった場合にフレキシブルに使えるものを採用しましょう。
人の動くライン(=動線)に収納を作る
たとえば、夕方家族が家に帰ったとたん、コートやバッグが家中に散乱したり、毎朝「カギがない」といっては家中を探したりするなら、置き場までの距離が遠かったり、定位置が曖昧だったりするものです。でも玄関そばやリビング入口付近にそれらの置き場あれば、散らからず、探す手間も不要になります。
人の動きに合わせた収納は、動線が短くすむので、ストレスがかかりません。そのため、家族が自然に片付けることができ、家のなかがきれいに保たれるのです。
1/3の時間で、3倍片づく家事動線のルールとは?
たとえば、夕方家族が家に帰ったとたん、コートやバッグが家中に散乱したり、毎朝「カギがない」といっては家中を探したりするなら、置き場までの距離が遠かったり、定位置が曖昧だったりするものです。でも玄関そばやリビング入口付近にそれらの置き場あれば、散らからず、探す手間も不要になります。
人の動きに合わせた収納は、動線が短くすむので、ストレスがかかりません。そのため、家族が自然に片付けることができ、家のなかがきれいに保たれるのです。
1/3の時間で、3倍片づく家事動線のルールとは?
また、リビングは家族もものも集まる場所。暮らしや持ち物をイメージしながら、リビングに集まりやすい本やおもちゃ、必要な文房具をしまうスペースを設けておくのがおすすめです。
収納スペースを設けるだけでなく、
収納スペースを設けるだけでなく、
- 家族一人一人の専用スペースを決める
- いっぱいになったら中の物を見直す
- 部屋を離れるときには、必ず定位置にしまう
入れるものと収納のサイズが合っていますか?
「大は小を兼ねる」ということわざがありますが、収納の場合はそうとは限りません。奥行きが深すぎる収納は、空間を使いこなせない原因になります。また、ものが取り出しにくく、デッドスペースが生まれることもよくあります。たとえば、衣類を掛けるなら奥行きは60cm前後は必要ですが、たたんで収納するなら45cm程度あれば収納できます。
「大は小を兼ねる」ということわざがありますが、収納の場合はそうとは限りません。奥行きが深すぎる収納は、空間を使いこなせない原因になります。また、ものが取り出しにくく、デッドスペースが生まれることもよくあります。たとえば、衣類を掛けるなら奥行きは60cm前後は必要ですが、たたんで収納するなら45cm程度あれば収納できます。
食材や食器などは、30〜45cmが一番使いやすい奥行き。何を入れるか、どう入れるかで必要な寸法も変わってきますから、日頃の暮らしをイメージしながら計画するとよいでしょう。
必要な場所に、必要な収納がありますか?
たとえばキッチンは、想像以上にものが集まります。たとえば、普段使いの食器に来客用の食器、お弁当箱、ピクニックやアウトドア用、食材も多種多様にあるはずです。
でも、何があるか? を把握できていないと、必要なものが収納できません。出しっぱなしになったり、近くの収納に入らないため、“あるのはわかっていても、使わないもの” を持ち続けてしまうのです。
たとえばキッチンは、想像以上にものが集まります。たとえば、普段使いの食器に来客用の食器、お弁当箱、ピクニックやアウトドア用、食材も多種多様にあるはずです。
でも、何があるか? を把握できていないと、必要なものが収納できません。出しっぱなしになったり、近くの収納に入らないため、“あるのはわかっていても、使わないもの” を持ち続けてしまうのです。
トイレや洗面所などの水廻りは、トイレットペーパーやサニタリーグッズ、洗剤などストック品が多いものの、実は収納スペースがなかったというケースが多い場所。
ストックしておきたい量もイメージしながら、どのくらいのサイズが必要かイメージしておきましょう。
ストックしておきたい量もイメージしながら、どのくらいのサイズが必要かイメージしておきましょう。
子供のおもちゃはかごやキャスター付きの箱がおすすめ。子供の成長とともに、収納するものや使い方を変えて使えるので重宝します。
収納スペースが設けられない場合は、壁面を活用するという方法もあります。アイデア次第で、取り出しやすく使いやすい収納が作れます。
収納を考える前にしておきたいこと
「暮らしているとものが増える」というのはよくあります。でも、ものが自分の意思で勝手にやってくるわけでも、出ていったりするわけではありません。意識するしないにかかわらず、すべてはそこに暮らす人が決めているのです。ものが多くてどうにかしたいとお悩みなら、収納を増やすことを考える前に、
「なぜ、ものが増えるのか?」
「どうしたら、ものが増えなくなるのか?」
を考えてみて下さい。また、設計者の方に収納について相談するときは、「どんな収納が欲しいか」だけでなく、「どんな暮らし方がしたいか」を率直に伝え、実現したいことに優先順位をつけたリストを見せます。メリットデメリットを教えてもらえますし、自分の要望を具体的に理解してもらえるでしょう。同時にコストアップしても自分にとって譲れないもの、コストカットしてはいけないものが何か、さらに具体的にイメージできるはずです。
「暮らしているとものが増える」というのはよくあります。でも、ものが自分の意思で勝手にやってくるわけでも、出ていったりするわけではありません。意識するしないにかかわらず、すべてはそこに暮らす人が決めているのです。ものが多くてどうにかしたいとお悩みなら、収納を増やすことを考える前に、
「なぜ、ものが増えるのか?」
「どうしたら、ものが増えなくなるのか?」
を考えてみて下さい。また、設計者の方に収納について相談するときは、「どんな収納が欲しいか」だけでなく、「どんな暮らし方がしたいか」を率直に伝え、実現したいことに優先順位をつけたリストを見せます。メリットデメリットを教えてもらえますし、自分の要望を具体的に理解してもらえるでしょう。同時にコストアップしても自分にとって譲れないもの、コストカットしてはいけないものが何か、さらに具体的にイメージできるはずです。
たとえば実際に暮らしてみると、
● オープンキッチン:使ってみたら毎日使うものや洗いカゴを毎回しまうのが面倒。自分の性格をよく考えて、I型のキッチンを採用すればよかった。
● クローゼット:収納スペースを有効に使うため、ハンガーパイプを2段にしたが、下の段はジャケットの裾が床をすってしまう。必要な高さを確認すればよかった。
●洗濯物の動線:室内干しスペースを1階に設けものの、収納するのは2階のクローゼット。毎日持っていくのが面倒で、乾いた洗濯物を取り外して着てしまうことがよくある
● コートスペース:衣類はクローゼットに収納すると考え、玄関そばにコートスペースを設けなかった。冬場はリビングに置きっぱなしになるため、玄関にコートスペースを設けていたらと後悔している。
というように、リアルな暮らしをイメージせず、見た目のイメージを優先させてしまうと想像とは違ったということは実際によくあります。ぼんやりした部分をクリアにして伝えること。ぼんやりしたままなら、何をどう考えているのか? を伝えて、コンサルティングしてもらう。この過程がとても大事です。
● オープンキッチン:使ってみたら毎日使うものや洗いカゴを毎回しまうのが面倒。自分の性格をよく考えて、I型のキッチンを採用すればよかった。
● クローゼット:収納スペースを有効に使うため、ハンガーパイプを2段にしたが、下の段はジャケットの裾が床をすってしまう。必要な高さを確認すればよかった。
●洗濯物の動線:室内干しスペースを1階に設けものの、収納するのは2階のクローゼット。毎日持っていくのが面倒で、乾いた洗濯物を取り外して着てしまうことがよくある
● コートスペース:衣類はクローゼットに収納すると考え、玄関そばにコートスペースを設けなかった。冬場はリビングに置きっぱなしになるため、玄関にコートスペースを設けていたらと後悔している。
というように、リアルな暮らしをイメージせず、見た目のイメージを優先させてしまうと想像とは違ったということは実際によくあります。ぼんやりした部分をクリアにして伝えること。ぼんやりしたままなら、何をどう考えているのか? を伝えて、コンサルティングしてもらう。この過程がとても大事です。
正しい収納計画は、家事を楽しく、家族の片付け力を上げ、一人一人の自立に貢献します。
ただ、忘れてはいけないのは、
「自分のルール ≠ 家族のルール」という点。
家族といえど、価値観は人それぞれ違いますし、大切なものも異なります。きれいにするために努力するより、お互いに尊重しあい、家族が毎日笑顔で過ごせるための工夫をし続けましょう。
インテリアコーディネーター・デザイナーをさがす
無理なく片付き、心地よく暮らせる家づくりのポイントは? プロが実現した「20年先も美しい自然素材と光を愉しむ家」
ただ、忘れてはいけないのは、
「自分のルール ≠ 家族のルール」という点。
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