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あなたの知らないパントリーの歴史
現代のキッチンに欠かせないパントリー。食糧を整理整頓し、貯蔵するためのパントリーが、中世の時代からどんなふうに発展してきたか、ご存知ですか?
Anne Ellard
2017年5月25日
食糧を保存するパントリーは、現代のキッチンに欠かせないスペース。キッチン内にある片開き戸がついた棚状のパントリーから、第2のシンクに調理用設備、ワークトップまで備える独立した部屋になったパントリーまで、形状や広さはさまざまです。
パントリーは私たちの生活にいつ登場して、どんなふうに進化してきたのでしょうか? 今回はそんなパントリーの歴史をひも解いてみます。
パントリーは私たちの生活にいつ登場して、どんなふうに進化してきたのでしょうか? 今回はそんなパントリーの歴史をひも解いてみます。
中世
中世の城や貴族の館では、「食料貯蔵庫」とされる部屋が複数ありました。食料や台所の必需品を種類別に貯蔵し、各部屋にはそれぞれ「管理人」がいました。
例えば「ラーダー (larder)」は肉の貯蔵庫を指し、「バッタリー(buttery)」は「バット (butt) 」(酒樽)からきているとおり酒類の貯蔵庫を指しました。
「パントリー」はパンを保管する部屋がパントリーでした。pantryという単語は古フランス語の paneterie、つまり「パンの貯蔵庫」が語源です。
パンに関連する食料の準備もパントリーで行われ、パントリー担当のリーダーは「パントラー (pantler)」と呼ばれていました。
中世の城や貴族の館では、「食料貯蔵庫」とされる部屋が複数ありました。食料や台所の必需品を種類別に貯蔵し、各部屋にはそれぞれ「管理人」がいました。
例えば「ラーダー (larder)」は肉の貯蔵庫を指し、「バッタリー(buttery)」は「バット (butt) 」(酒樽)からきているとおり酒類の貯蔵庫を指しました。
「パントリー」はパンを保管する部屋がパントリーでした。pantryという単語は古フランス語の paneterie、つまり「パンの貯蔵庫」が語源です。
パンに関連する食料の準備もパントリーで行われ、パントリー担当のリーダーは「パントラー (pantler)」と呼ばれていました。
19世紀
19世紀、とりわけ1850年から1900年にかけて、英国や米国では、パントリーは執事が管理するものになっていきます。執事のパントリーは元来、キッチンとダイニングの間に位置する小部屋で、陶磁器や銀器などをしまっておく部屋として使われていました。
一般的に食事の盛り付けもここで行い、その後、執事や給仕係がダイニングルームへ運んでいました。
19世紀、とりわけ1850年から1900年にかけて、英国や米国では、パントリーは執事が管理するものになっていきます。執事のパントリーは元来、キッチンとダイニングの間に位置する小部屋で、陶磁器や銀器などをしまっておく部屋として使われていました。
一般的に食事の盛り付けもここで行い、その後、執事や給仕係がダイニングルームへ運んでいました。
食料の保管や調理の準備、食事の提供など、パントリーを管理するのは執事の仕事でした。執事はパントリー内にデスクを置いて、城や屋敷を切り盛りする仕事に使っていることもありました。
銀器類が盗まれないよう、執事はパントリーで寝起きするのも一般的でした。
当初は、執事が管理するパントリーがあるのは立派な大邸宅に限られていました。やがて、規模の小さな中流の家にもパントリーが広がりますが、そこには、給仕係や住み込みの執事はもういなくなっていました。
銀器類が盗まれないよう、執事はパントリーで寝起きするのも一般的でした。
当初は、執事が管理するパントリーがあるのは立派な大邸宅に限られていました。やがて、規模の小さな中流の家にもパントリーが広がりますが、そこには、給仕係や住み込みの執事はもういなくなっていました。
20世紀
20世紀半ば、第二次大戦後になると、調理済み食品の選択肢が広がり、「主婦」が利用できるようになります。
冷蔵技術の進化と冷凍技術の登場により、食料の保存や維持が楽になると、執事が管理する食料貯蔵室としてのパントリーは、一部の農家を除いて大半のアメリカの家庭から消えていきました。
20世紀半ば、第二次大戦後になると、調理済み食品の選択肢が広がり、「主婦」が利用できるようになります。
冷蔵技術の進化と冷凍技術の登場により、食料の保存や維持が楽になると、執事が管理する食料貯蔵室としてのパントリーは、一部の農家を除いて大半のアメリカの家庭から消えていきました。
1960年代になるころには、パントリーの規模はコンパクトになり、床から天井までのキャビネットになって、メインキッチンの一部に組み込まれるようになります。
その後、こうしたパントリーが広く普及し、現代でもほとんどのキッチンの設計に取り入れられています。
その後、こうしたパントリーが広く普及し、現代でもほとんどのキッチンの設計に取り入れられています。
現代
そして現代の家では時代が一巡したのか、執事が管理していたころのパントリーを思わせるスタイルが見直され、人気が再燃しているかのようです。
現代の住宅のキッチンは過去に比べて広くなるいっぽう、近年、住宅やキッチン設計を行うとき、もっとも多い要望の1つがウォークイン・パントリーになっています。少なくとも私のクライアントでは確かにそうした傾向があります。
1つの部屋として現代のパントリーは、執事がいた当時のパントリーから形は少し変わっているものの、その役割の多くを踏襲しています。
そして現代の家では時代が一巡したのか、執事が管理していたころのパントリーを思わせるスタイルが見直され、人気が再燃しているかのようです。
現代の住宅のキッチンは過去に比べて広くなるいっぽう、近年、住宅やキッチン設計を行うとき、もっとも多い要望の1つがウォークイン・パントリーになっています。少なくとも私のクライアントでは確かにそうした傾向があります。
1つの部屋として現代のパントリーは、執事がいた当時のパントリーから形は少し変わっているものの、その役割の多くを踏襲しています。
ウォークインタイプのパントリーはキッチンのすぐ隣に位置することが多く、一般的にはダイニングエリアへ通じています。
広さのあるパントリーなら基本的に備えているのが、缶詰や乾燥食材をストックする収納棚スペースと、簡単な作業ができるカウンター。現代は調理作業の大半をメインのキッチンで行うことが多いですが、これは会話を楽しめるオープンスタイルのキッチンの人気が高まっている点と関係しています。
広さのあるパントリーなら基本的に備えているのが、缶詰や乾燥食材をストックする収納棚スペースと、簡単な作業ができるカウンター。現代は調理作業の大半をメインのキッチンで行うことが多いですが、これは会話を楽しめるオープンスタイルのキッチンの人気が高まっている点と関係しています。
こうしたパントリーのカウンターは、ジューサーやブレンダ―、コーヒーメーカーなど、プラグを入れればすぐに使える小型のキッチン家電を置く場所としても使うのが一般的です。
小さなシンクを備えていることも多く、ごみや洗い物が出るような作業はここでやり、使ったお皿もここへ下げておけば、ディナーパーティや人を招いた集まりでもゲストの目につきません。
パントリーに2台目の食器洗浄機を入れたり、冷凍庫やワイン専用の冷蔵庫などの設備を置く家もあります。
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