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〈RCR アーキテクツ〉が語る「3人で建築をつくるということ」
2017年、3人組として初めてのプリツカー賞を受賞した〈RCR アーキテクツ〉に、創造性を共有しながら建築をつくるプロセスを聞いた。
Junko Kawakami
2017年5月24日
Freelance since 1999.
2017年3月、「建築界のノーベル賞」とも呼ばれるプリツカー賞が、今年はスペインで活動するラファエル・アランダ、カルメ・ピジェム、ラモン・ヴィラルタの3人に贈られると発表された。3人は大学で建築を学んだ後、故郷のスペイン・カタルーニャ地方の小さな町オロットに、それぞれのファーストネームの頭文字をとった〈RCR アーキテクツ〉という事務所を設立し、建築設計の活動を続けてきた。
右から、ラファエル・アランダ、カルメ・ピジェム、ラモン・ヴィラルタ。5月20日に東京・赤坂の迎賓館で行われた授賞式にて Photo from The Hyatt Foundation/Pritzker Architecture Prize
一般的な知名度はもちろん、建築界でもそれほど著名な存在だったわけではない3人の受賞はやや驚きをもって迎えられ、『ニューヨーク・タイムズ』紙など一部メディアは「スターアーキテクトの時代の終わりを示唆している」と論評した。だが、一方で、リサイクルした鉄や木を使い、周囲のランドスケープに溶け込みながら、見事にエイジングしていく彼らの作品には、建築と自然、サステナビリティに対する深い洞察に基づく実践がある。
一般的な知名度はもちろん、建築界でもそれほど著名な存在だったわけではない3人の受賞はやや驚きをもって迎えられ、『ニューヨーク・タイムズ』紙など一部メディアは「スターアーキテクトの時代の終わりを示唆している」と論評した。だが、一方で、リサイクルした鉄や木を使い、周囲のランドスケープに溶け込みながら、見事にエイジングしていく彼らの作品には、建築と自然、サステナビリティに対する深い洞察に基づく実践がある。
日本の歴代受賞者とともに。左から、西沢立衛、安藤忠雄、妹島和世、ラファエル・アランダ(RCR)、グレン・マーカット(選考委員長)、カルメ・ピジェム(RCR)、ラモン・ヴィラルタ(RCR)、伊東豊雄、坂茂 Photo from The Hyatt Foundation/Pritzker Architecture Prize
プリツカー賞の授賞式は毎年、世界の有名な建築を会場にして行われる。今年は、5月20日に東京・赤坂の迎賓館で、天皇皇后両陛下も列席のもとで開催された。
そこで、授賞式に合わせて来日した3人にインタビューを行い、彼らの創作の秘密を取材した。また、プリツカー賞選考委員会委員長を務めるオーストラリアの建築家、グレン・マーカットに、3人が選ばれた理由を聞いた。
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プリツカー賞を受賞した〈RCR アーキテクツ〉の建築とは?
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カルメ・ピジェム
Interview photos by Jimmy Cohrssen
共有された創造性(Shared Creativity)と「あうんの呼吸」
――受賞、誠におめでとうございます。プリツカー賞史上、3人での受賞は初めてです。3人で仕事をする、ということの面白さはどこにありますか? また、3人で仕事をする際、どのように進めるのでしょうか? 以前、あるインタビューでは「キャッチボールのようにやりとりする」と表現されていましたが、たとえば1つのプログラムを与えられたとき、誰かがイニシアティブやリーダーシップをとることはあるのでしょうか?
ピジェム:建築批評家のウィリアム・カーティスに、同じことを聞かれたことがあります。クリエイティブな仕事を3人でどうやって進めているのか、と。そのときには「ジャズのトリオ」のようなものです、と答えました。
アランダ:例えば、インタビューを受けるときでも、ご覧の通り、3人のうちの誰かがふと答え、またそれを受けて、誰かが話し、という感じです。誰がリーダーということはありません。自然にやりとりしています。
Interview photos by Jimmy Cohrssen
共有された創造性(Shared Creativity)と「あうんの呼吸」
――受賞、誠におめでとうございます。プリツカー賞史上、3人での受賞は初めてです。3人で仕事をする、ということの面白さはどこにありますか? また、3人で仕事をする際、どのように進めるのでしょうか? 以前、あるインタビューでは「キャッチボールのようにやりとりする」と表現されていましたが、たとえば1つのプログラムを与えられたとき、誰かがイニシアティブやリーダーシップをとることはあるのでしょうか?
ピジェム:建築批評家のウィリアム・カーティスに、同じことを聞かれたことがあります。クリエイティブな仕事を3人でどうやって進めているのか、と。そのときには「ジャズのトリオ」のようなものです、と答えました。
アランダ:例えば、インタビューを受けるときでも、ご覧の通り、3人のうちの誰かがふと答え、またそれを受けて、誰かが話し、という感じです。誰がリーダーということはありません。自然にやりとりしています。
ラモン・ヴィラルタ
ヴィラルタ:自分たちのやり方について、よく「Shared Creativity(共有された創造性)」という言葉を使っていますが、私たちの創造活動は、私たち一人ひとりの考えを足し算しているのではなく、3人の創造性が融合(フュージョン)して生まれるものなのです。一人ひとりが感じたこと、思ったことを融合するのが創造のプロセスであり、単なる足し算ではありません。
――なるほど、みなさんのやりとりを拝見していると、日本語でいう「あうんの呼吸」という言葉を思い出します。これは、二人以上が一緒に物事を行うときに、言葉にしなくても、微妙な感覚やニュアンスが絶妙に一致したり、相互作用をしていくようすを表す表現です。みなさんの間にも、そんな、言葉ではないコミュニケーションがあったりするのでしょうか。
ピジェム:「あうんの呼吸」、面白いですね! 初めて知りましたが、それに似た、言葉ではないコミュニケーションが、私たちの間にもあると思います。 もちろん、スペイン語にはそういう言葉はありません。日本のように均質的で同質的な社会では「あうんの呼吸」が成立するのでしょうが、西洋の社会はあまりにも個人主義的なので、「あうんの呼吸」は通用しないのです。でも、私たちの社会にはなくても、たしかに、私たちの間には「あうんの呼吸」がありますね(笑)。
ヴィラルタ:自分たちのやり方について、よく「Shared Creativity(共有された創造性)」という言葉を使っていますが、私たちの創造活動は、私たち一人ひとりの考えを足し算しているのではなく、3人の創造性が融合(フュージョン)して生まれるものなのです。一人ひとりが感じたこと、思ったことを融合するのが創造のプロセスであり、単なる足し算ではありません。
――なるほど、みなさんのやりとりを拝見していると、日本語でいう「あうんの呼吸」という言葉を思い出します。これは、二人以上が一緒に物事を行うときに、言葉にしなくても、微妙な感覚やニュアンスが絶妙に一致したり、相互作用をしていくようすを表す表現です。みなさんの間にも、そんな、言葉ではないコミュニケーションがあったりするのでしょうか。
ピジェム:「あうんの呼吸」、面白いですね! 初めて知りましたが、それに似た、言葉ではないコミュニケーションが、私たちの間にもあると思います。 もちろん、スペイン語にはそういう言葉はありません。日本のように均質的で同質的な社会では「あうんの呼吸」が成立するのでしょうが、西洋の社会はあまりにも個人主義的なので、「あうんの呼吸」は通用しないのです。でも、私たちの社会にはなくても、たしかに、私たちの間には「あうんの呼吸」がありますね(笑)。
ラファエル・アランダ
建築とは、内部であり、外部であり、それをつなぐものである
――今回の受賞の理由として、選考委員会から「(RCRの作品は)建築と敷地の関係、素材の選択、幾何学を駆使して自然環境を生かしながら、建築にまとめげている」という評価がありました。自然と建築の関係について、どのように捉えていますか。建築をつくりだすにあたって、何をいちばん大切にしていますか?
アランダ:まず、私たちは建築をつくるとき、場所性が大切だと考えています。例えば、私たちが建築にとりくむときのプロセスを振り返ってみましょう。まず提示されたプログラムを見て、当然のことですが、その場所、敷地を見に行きます。そこで私たちが何を感じるか、何を見るか、といったことのすべてが大切です。その場所を五感を通じて感じ取ります。もちろん、最初にプログラムを提示されるときに、さまざまなデータを受けとりますが、データはあくまでもデータでしかありません。データの分析で終わるのではなく、現地に行って何を感じるか、その場所性を五感で感じ取ることが大切なのです。五感を働かせて、その場所が何を私たちに与えようとしているのか、何を発散しているのか、を感じ取り、そこから答えを出していきます。
また、建築と自然の関係についていえば、私たちは、建築と内部と外部に境があるとは思っていません。建築は中であり、外であり、それをつなぐものだと考えています。中と外を融合(フュージョン)するものが建築であると考えているのです。自然とは中であり外であり、それを融合するのが建築です。
建築とは、内部であり、外部であり、それをつなぐものである
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また、建築と自然の関係についていえば、私たちは、建築と内部と外部に境があるとは思っていません。建築は中であり、外であり、それをつなぐものだと考えています。中と外を融合(フュージョン)するものが建築であると考えているのです。自然とは中であり外であり、それを融合するのが建築です。
スペインのパラモスに2007年に完成した《ベルロック・ワイナリー》のテイスティングルームへ向かう通路。屋根や壁の隙間からは空気、光、雨が入り、1日のときとともに影が移り変わる。
Architecture photos by Hisao Suzuki
Architecture photos by Hisao Suzuki
美とはアノニマスなもの
――以前、あるインタビューのなかで、ヴィラルタさんが、「建築にとっては『美』がとても重要なものである」とおっしゃっていました。みなさんの作品には、たしかに特徴的な「美」があるように思いますが、「建築における美」とは、どのようなものでしょうか。
ヴィラルタ:さきほども申し上げたように、私たちの考えでは、建築とは、与えられた疑問、場所に答えを出す、ということ。そして、私たちにとって、「建築における美しさ」とは、その美しさをもって、建築と人と結びつけるものです。その美しさがなければ、建築は人と共存することはありません。
アランダ:例えば、その美しさとは、ハーモニー(調和)であるといえるかもしれません。場所性、内部と外部など、さまざまな要素における調和です。
ヴィラルタ:美しさは、いろいろな点に見いだされるものであり、一言では表現できないものです。でも、美しさがあればこそ、人は結びつくのだと思っています。美というのは「理解」するものではなく、「感じる」ものなのですから。
――「建築における美」を考えるときに、建築界の先人、あるいは哲学、文学の建築以外の分野の作品に影響を受けたことはありますか?
ヴィラルタ:美とはあくまでもアノニマス(匿名)なものだと思っています。特定の誰かから影響を受けるものではありません。
ピジェム:例えば、「日本の美」には影響を受けたといえるかもしれません。私たちは1990年代に、あるプロジェクトにかかわるために初めて日本を訪れました、あのとき私たちが目にしたもの、日本での体験は、まさに「美」だったと思います。日本の居住空間、道具、食器など、目にしたものすべてに美を感じました。美とは説明できないものであり、「理解する」のではなく「感じる」しかないものだと私たちは考えています。日本の美は、誰かに帰属しているものではありません。そのように、私たちが考える美とは、アノニマスな存在なのです。
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ヴィラルタ:さきほども申し上げたように、私たちの考えでは、建築とは、与えられた疑問、場所に答えを出す、ということ。そして、私たちにとって、「建築における美しさ」とは、その美しさをもって、建築と人と結びつけるものです。その美しさがなければ、建築は人と共存することはありません。
アランダ:例えば、その美しさとは、ハーモニー(調和)であるといえるかもしれません。場所性、内部と外部など、さまざまな要素における調和です。
ヴィラルタ:美しさは、いろいろな点に見いだされるものであり、一言では表現できないものです。でも、美しさがあればこそ、人は結びつくのだと思っています。美というのは「理解」するものではなく、「感じる」ものなのですから。
――「建築における美」を考えるときに、建築界の先人、あるいは哲学、文学の建築以外の分野の作品に影響を受けたことはありますか?
ヴィラルタ:美とはあくまでもアノニマス(匿名)なものだと思っています。特定の誰かから影響を受けるものではありません。
ピジェム:例えば、「日本の美」には影響を受けたといえるかもしれません。私たちは1990年代に、あるプロジェクトにかかわるために初めて日本を訪れました、あのとき私たちが目にしたもの、日本での体験は、まさに「美」だったと思います。日本の居住空間、道具、食器など、目にしたものすべてに美を感じました。美とは説明できないものであり、「理解する」のではなく「感じる」しかないものだと私たちは考えています。日本の美は、誰かに帰属しているものではありません。そのように、私たちが考える美とは、アノニマスな存在なのです。
――日本の話が出たのでうかがいたいのですが、90年代に初来日したときと今回との約四半世紀の間に、日本は変わったと思いますか。
アランダ:日本に限らず、世界中の場所が時代とともに常に変化していますから、日本も確実に変わっているのを感じます。ただ、日本だけでなく、感じ取る私たちのほうも変わってきているので、どこがどう変わったと指摘することはできません。
たとえば、1990年代の初来日のときには、私たちは日本文化についてまったく知識がなかったため、あらゆることに驚きました。しかし、今回は、私たちの友人で、カタルーニャ地方に30年間暮らしながら、世界的な建築雑誌『エル・クロッキース』誌で現代建築のすばらしい写真を撮影し続けている写真家の鈴木久雄さんに、日本で見るべきものについてアドバイスをもらいました。たとえば、彼のすすめに従って訪ねたのが、吉野の森です。吉野の深い森を見て、吉野の製材業者の方々や大工さん、職人さんなどを訪ね、日本の伝統的木造建築のルーツをたどったことが、今回はとても印象に残りました。そこには「美」がありました。
アランダ:日本に限らず、世界中の場所が時代とともに常に変化していますから、日本も確実に変わっているのを感じます。ただ、日本だけでなく、感じ取る私たちのほうも変わってきているので、どこがどう変わったと指摘することはできません。
たとえば、1990年代の初来日のときには、私たちは日本文化についてまったく知識がなかったため、あらゆることに驚きました。しかし、今回は、私たちの友人で、カタルーニャ地方に30年間暮らしながら、世界的な建築雑誌『エル・クロッキース』誌で現代建築のすばらしい写真を撮影し続けている写真家の鈴木久雄さんに、日本で見るべきものについてアドバイスをもらいました。たとえば、彼のすすめに従って訪ねたのが、吉野の森です。吉野の深い森を見て、吉野の製材業者の方々や大工さん、職人さんなどを訪ね、日本の伝統的木造建築のルーツをたどったことが、今回はとても印象に残りました。そこには「美」がありました。
RCR の水彩画。Watercolor from The Hyatt Foundation/Pritzker Architecture Prize
――「美」といえば、コンセプトドローイングに水彩を使用していて、どれも大変美しいですね。なぜ水彩で描くのですか?
アランダ:私たちが伝えたいのは、フォルムではなくコンセプトです。水彩画は絵筆と水彩絵の具で描き、フォルムを限定しません。だから、コンセプトを伝える方法としてとても有効なんです。
――「美」といえば、コンセプトドローイングに水彩を使用していて、どれも大変美しいですね。なぜ水彩で描くのですか?
アランダ:私たちが伝えたいのは、フォルムではなくコンセプトです。水彩画は絵筆と水彩絵の具で描き、フォルムを限定しません。だから、コンセプトを伝える方法としてとても有効なんです。
RCRのオフィス
グローバルとローカルの相互作用
――みなさんは、故郷のオロットに戻って事務所を設立し、今に至るまで30年間ずっと活動を続けてきました。オロットは、人口3万人の、カタルーニャの小さな町ですね。資本や情報の集まる世界的な都市に移らず、オロットに拠点をおいて活動を続けている理由を教えてください。
ピジェム:まず、カタルーニャは私たちが生まれた場所です。学校を卒業して、生まれ故郷に戻って仕事を始めることは、私たちにとってはとても自然な選択でした。それに、今ではインターネットも普及していますので、特に自分たちの仕事がローカルな場所に特定されてしまっているという感じはしません。ですから、世界的大都市ではなく生まれ故郷の小さな町をベースとしていることに、まったく何の問題も感じていません。
グローバルとローカルの相互作用
――みなさんは、故郷のオロットに戻って事務所を設立し、今に至るまで30年間ずっと活動を続けてきました。オロットは、人口3万人の、カタルーニャの小さな町ですね。資本や情報の集まる世界的な都市に移らず、オロットに拠点をおいて活動を続けている理由を教えてください。
ピジェム:まず、カタルーニャは私たちが生まれた場所です。学校を卒業して、生まれ故郷に戻って仕事を始めることは、私たちにとってはとても自然な選択でした。それに、今ではインターネットも普及していますので、特に自分たちの仕事がローカルな場所に特定されてしまっているという感じはしません。ですから、世界的大都市ではなく生まれ故郷の小さな町をベースとしていることに、まったく何の問題も感じていません。
――ローカルであることとグローバルであることについての考えをもう少し教えてください。この2,30年にわたりグローバル化が進んだ一方で、近年、日本でも、若い世代の間で地域性の重要性に目を向ける社会活動が見られます。建築と地域性について、どのように考えられていますか。近代建築史を振り返れば、近代建築は本来、国際性=非地域性を目指してきたと言われますが、みなさんがカタルーニャに拠点を置かれていることや、日本で若い建築家たちが地方で活動を展開していることは、過去への回帰なのでしょうか。あるいは、新しい方向性なのでしょうか。
ヴィラルタ:回帰だとは思っていません。振り返ってみると3つの段階にわけられると思います。まず、第1段階はまだ「グローバル」というコンセプトがなく「ローカル」しかなかった時代。次に、第2段階として、世界とつながるためにグローバリゼーションが進行した時代で、現代建築が登場し、「均質性」が現代建築の共通言語として登場しました。
現在は第3段階であり、外に行かなくても、グローバルな観点からローカルなものの特徴――非常にすばらしいものがたくさんあります――を見ることができる時代になりました。グローバルなものとローカルなものがお互いに作用しながら、グローバルにもローカルにも豊かを実現できるという段階に至っていると思います。
続いて、プリツカー賞選考委員長を務めるオーストラリアの建築家グレン・マーカット氏に、今回の3人の受賞の理由を取材した、こちらの記事をごらんください。
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