My Houzz:キッチンスタジオと、家族や友人と囲む食卓。豊かな食を楽しむ空間
「世界の暮らしとデザイン:11か国の食いしん坊のキッチンを拝見」に、日本のフーディーとして紹介された料理研究家のキッチンと住まい。
田村敦子|Atsuko Tamura
2015年10月5日
Freelance Editor
My Houzzは、自分らしい暮らしを送る人の住まいと生活をご紹介するシリーズです。
約20年前に建てた一戸建ての1階が、進藤さん宅のLDK。コンサーバトリーに隣接した日当たりのよいキッチンの中央に大きなアイランドカウンターを設置し、オーク材のダイニングテーブルをくっつけて置いている。すぐ隣に続くダイニングスペースにも大きなテーブルがあるが、家族はこのキッチンテーブルで食事をすることの方が多いのだとか。月に4回ほど開催している料理教室の際には、このテーブルに下ごしらえした食材や調味料を並べ、作業台としても使っている。
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「世界の暮らしとデザイン:11か国の食いしん坊のキッチンを拝見」
約20年前に建てた一戸建ての1階が、進藤さん宅のLDK。コンサーバトリーに隣接した日当たりのよいキッチンの中央に大きなアイランドカウンターを設置し、オーク材のダイニングテーブルをくっつけて置いている。すぐ隣に続くダイニングスペースにも大きなテーブルがあるが、家族はこのキッチンテーブルで食事をすることの方が多いのだとか。月に4回ほど開催している料理教室の際には、このテーブルに下ごしらえした食材や調味料を並べ、作業台としても使っている。
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コンロとシンクを一列に並べ、収納をL字につなげた使いやすいレイアウト、市松模様に配置したブルーグレーのモザイクタイルやテラコッタタイルの床などの基本的なデザインは新築時の20年前から変わらない。3年前に「キッチンハウス」に依頼してキッチンをリフォームした際、冷蔵庫と食洗機を新調するなど、いくつか料理教室仕様のバージョンアップを加えたが、このハイパワーのレンジフードと、ハイカロリーのガスコンロ&オープンは、当初からずっと健在だ。
どんなHouzz?
居住者:進藤由美子さんとその家族
所在地:東京都世田谷区
規模:219平方メートル
(うちキッチン27平方メートル、リビング・ダイニング45平方メートル)
築年数:築20年。3年前にキッチンをリフォーム
キッチンリフォーム:キッチンハウス
どんなHouzz?
居住者:進藤由美子さんとその家族
所在地:東京都世田谷区
規模:219平方メートル
(うちキッチン27平方メートル、リビング・ダイニング45平方メートル)
築年数:築20年。3年前にキッチンをリフォーム
キッチンリフォーム:キッチンハウス
コンロの並びと直角に接した一列は、コーヒーメーカーなど日常使いの家電とBGM用のミニステレオを並べたカウンター。息子さんがコーヒー好きで、よくキッチンに降りてきて豆を挽いてはコーヒーを淹れてくれる。
キッチンリフォームの際には、吊り戸棚以外の収納の扉は新しく交換し、中央のアイランドカウンターも、デモンストレーション用のクッキングヒーターを設置したひと回り大きいものに取り換えた。これによって収納量も増え、仕事柄たくさん持っている器やテーブル小物、調理道具もすっきりおさまるように。
キッチンリフォームの際には、吊り戸棚以外の収納の扉は新しく交換し、中央のアイランドカウンターも、デモンストレーション用のクッキングヒーターを設置したひと回り大きいものに取り換えた。これによって収納量も増え、仕事柄たくさん持っている器やテーブル小物、調理道具もすっきりおさまるように。
進藤さんが作る料理は、和食から世界の料理まで多岐にわたる。旅で出会ったり、お店でふとインスピレーションを受けた一皿や、使ってみたい食材を心のメモにしまって、新しいレシピのヒントにする。「いろいろな国のいろいろな食材を、量を調整したり、代用できる食材を考えたりして、日本人の口に合うようにアレンジするのが好きです。なんでも興味を持って食べてみて、自分なりに少しひねりを加えて新しいレシピを作るのですが、仕上がったときの喜びは格別ですね」。
そんな日々の料理研究活動や、料理教室で実践する幅広いレパートリーに対応するため、輸入物から伝統的な和の道具まで、さまざまなタイプの調理器具を取り揃えている。すべて使いこなしていることは言うまでもない。
そんな日々の料理研究活動や、料理教室で実践する幅広いレパートリーに対応するため、輸入物から伝統的な和の道具まで、さまざまなタイプの調理器具を取り揃えている。すべて使いこなしていることは言うまでもない。
しまうものと出しておくものをきっちり分けるのも進藤さん流。コンロ前にはオイルとヴィネガーのボトルが並ぶ。料理により、オイルだけで7~8種類を使い分けている。
普段使いのキッチンツールはコンロの横に。すぐ手に取れるよう、順番も吟味されている。
「物心ついたときから、料理上手だった母の台所で鰹節を削る手伝いをしたり、おはぎやお寿司づくりを教わったりして育ちました。高校生のときには外国料理に興味を持ち、タイムライフ社から出ていた『世界の料理』を全巻揃えて読んでいましたね。当時のお気に入りのテレビ番組は、往年の名番組、グラハム・カーの『世界の料理ショー』。軽妙におしゃべりしながら、ワイン片手に楽しそうに料理をする、あのスタイルには影響を受けました。今ですか? はい、プライベートのときはたまに、ワイン片手に料理することもあるかな~(笑)」
「物心ついたときから、料理上手だった母の台所で鰹節を削る手伝いをしたり、おはぎやお寿司づくりを教わったりして育ちました。高校生のときには外国料理に興味を持ち、タイムライフ社から出ていた『世界の料理』を全巻揃えて読んでいましたね。当時のお気に入りのテレビ番組は、往年の名番組、グラハム・カーの『世界の料理ショー』。軽妙におしゃべりしながら、ワイン片手に楽しそうに料理をする、あのスタイルには影響を受けました。今ですか? はい、プライベートのときはたまに、ワイン片手に料理することもあるかな~(笑)」
いつも気持ちのよい、すべてが使いやすい順序に並んだ、制御の効いたキッチン。ここを会場に行われる、進藤さんによる「世界の料理ショー」は、いつも大盛況だ。
進藤さんは美大を卒業後、出版社で料理本の編集の仕事を経験している。女性誌の別冊としてシリーズ刊行された料理書の編集を担当、料理研究家の草分け的な存在の人たちと知り合った。当時はまだ、フードコーディネーター、クッキングスタイリストなどの仕事が細分化されていない時代。「料理撮影の前に、お店を回って必要な食材や器を集めたり、先生から渡される作り方のメモを、検証しながらレシピ原稿にリライトしたりするのが私の仕事でした」。
その後、当時ほとんどなかった料理専門の撮影スタジオを設立し、経営していた時期も。こういったさまざまな経験を積んだことが、今の仕事にとても役立っていると進藤さんは言う。「その後いったん仕事をやめて、息子たちのお弁当を20年間作り続けたことも、とてもよい修業になったと思います」
その後、当時ほとんどなかった料理専門の撮影スタジオを設立し、経営していた時期も。こういったさまざまな経験を積んだことが、今の仕事にとても役立っていると進藤さんは言う。「その後いったん仕事をやめて、息子たちのお弁当を20年間作り続けたことも、とてもよい修業になったと思います」
キッチンスタジオとひと続きのダイニングルームは、友人が訪れたときの食事スペース、料理教室の際には生徒さんが試食をする席にもなる。このテーブルには毎月、誰でも家で気軽に試せるアイデアを盛り込んだ、季節のテーブルコーディネートを用意。工夫を凝らした料理とともに、参加する人たちの目を楽しませている。
キッチンに置かれたテーブルが、家族の食事と作業台を兼任する裏方を支える存在だとすれば、このテーブルは、進藤さんの作る「世界の料理」に合わせて、器やテーブルリネンで頻繁に「衣裳替え」をする、華やかな表舞台のテーブルとも言えそうだ。
さりげないクリエイティビティが光る食卓のアイデアの数々。お正月のテーブルには、伝統柄の千代紙で鶴と亀を折り、センターに並べた。その下に敷いたオフホワイトのラッカー塗装の長方形マットは、実はインテリアショップで見つけた花台。食事用の折敷はオフホワイトと黒のリバーシブルの漆塗りだが、軽やかでカジュアルなテーブルにしたいという意図があり、こだわらずにミックスして使っている。ランチョンマットは赤と白の和紙を重ねたもの、ナプキンリング代わりに使ったのは白い水引だ。「あまり固定観念にとらわれず、自由にいろいろなことを試すのが好き」だそう。
気候のよい初夏や秋晴れの日には、ダイニングルームに面したテラスを開け放して、ガーデンとひと続きの半屋外空間のような雰囲気で食事を楽しむこともある。
ダイニングルームの隣はリビング。ふと訪れた旅先のギャラリーで出会って持ち帰ってきたコラージュやリトグラフが白い壁にゆったりと並ぶ。使い込まれた革のイージーチェアやファブリックソファ、カンバセーションピース(語らいのきっかけ)になりそうなテーブルのオブジェなどが目に心地よい。料理やテーブルコーディネートの色を引き立たせるため、このスペースの配色はニュートラルトーンがメイン。人をゆったりとくつろいだ気分にさせる落ち着いた雰囲気に満ちている。
リビングスペースの一角はオープン棚になっていて、そこにはお気に入りの本のディスプレイも。進藤さん自身も昨年、自著の料理本出版という長年の夢をかなえた。『eat well and laugh often』(よく食べ、よく笑おう)というそのタイトルには、毎日食べるものを大切に、好きな人たちと笑顔で楽しく食卓を囲む機会を慈しんで過ごしていこう、という進藤さんの考えが表現されている。
自宅にいる時間はほぼキッチンで過ごすという進藤さん。「少なくとも1日5~6時間はキッチンにいることが多いですね。料理をするだけではなくて、アイデアを練ったり、考えごとをしたりするのも、いつもこの場所です」。
使いやすさと機能と美しさを両立したキッチン、家族やゲストたちと食を楽しむダイニング。ごく若い頃から飽くことのない情熱をもって追求してきた、食への探求心が結実した創作料理、そしてそれを囲む、豊かな時間の舞台がここにある。
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Akino Okumuraさん、コメントありがとうございました。Nigelさんの料理は作り過ぎてなくて自然な感じが好きなんです。彼のレシピを再現したことはないのですが、食べたいものを食べたい時に無理なく作れるキッチンやライフスタイルが素敵ですよね。私も出来るだけ無理やり作り出す料理ではなく、日常を楽しむ普段着の料理を心がけていきたいと思っています。「eat well & laugh often」です!
進藤さま お返事ありがとうございます。
Nigelの写真に写ってるレシピ本の中にパンチェッタとパクチのハンバーグのレシピがあるんですが、それすごいおすすめです。知り合いのお姉さんのパートナーのイギリス人男性がそのレシピで作ってくれて、いただいたらとってもジューシーで香りも良くておいしくて、そこからNigel Slaterのファンになりましたw今は椎茸もプラスしてこねこねしてます。ダイアリーになってるのもいいですよね。「普段着の料理」、素敵な表現ですね^^ 弊社Houzz Japanのオフィスもライフスタイルの延長としての空間のようでもあるので、今度ぜひ遊びにいらしてくださいね〜
Akino Okumuraさん、パンチエッタとパクチのハンバーグ、早速トライします!
美味しいに決まっていますねww