Houzzツアー:絶妙な窓の配置とダイナミックな白い空間の、明るくのびやかな住まい
採光と景観の問題を見事に解決した窓と、暮らしやすい各部屋の配置。空間を有効活用した工夫の数々と美しい色づかいが光る、北国の白い家。
Nayo Suzuki
2015年10月1日
ライター&エディター。建築・インテリアを学んだ後、インテリアデコレーターとして働きながら、インテリアのライター業をスタート。現在はライター&エディター業に専念し、雑誌のインテリアページ、カタログ、書籍などを手がける。趣味はインテリアとアート鑑賞。
ライター&エディター。建築・インテリアを学んだ後、インテリアデコレーターとして働きながら、インテリアのライター業をスタート。現在はライター&エディター業に専念し、雑誌のインテリアページ、カタログ、書籍などを手がける... もっと見る
周囲の景色があまりよくなかったり、隣家が迫っているような住宅密集地に家を建てる場合、課題となるのが窓の位置、そして光の取り入れ方。「Tさん宅は周囲の景色があまりよくなかったので、それらが視野に入らずに光だけが入るよう工夫しました。各部屋をユニットにして少しずつずらして配置し、それによって生まれた敷地内の空きスペースから光を取り入れられるようにしました」と設計を担当したエム・アンド・オーの大塚さん。南向きには小窓が2つあるだけ、なのに効果的な窓の配置と白い壁のおかげで、家のどこにいても光を感じられる明るい住まいが完成した。
どんなHouzz?
家族構成:夫婦(30代)、子供1人
所在地:北海道札幌市
設計:M+O エム・アンド・オー
延床面積:90.26平方メートル
竣工:2012年
札幌市の中心から少し離れた、静かな地に家を建てたTさん。「『白い家にしたい』というイメージがあって、インターネットで北海道の建築家さんを調べているときに、エム・アンドオーさんの作品が目にとまりました。オープンハウスがあると聞いてさっそく出向き、これまでにスクラップしてきたファイルをお見せしながらお話しさせていただいたのが最初です」。まだ正式に設計依頼をする前にプランをいくつか考えてくれたことと、担当者の人柄やセンスに惹かれたのが決め手だったよう。学生時代から建築やインテリアに興味があったというTさんは、初めての打ち合わせ時に、かわいくて明るくて使いやすい家、キッチンはコの字型か2列型で手元は隠したい、床は無垢材で壁は塗り壁、らせん階段がほしい…など、20項目ほどのリクエストをノートにまとめ、渡したのだとか。それらがすべて叶った希望通りの家に「長年抱いていた夢を現実にしていただきました。想像以上に素敵な家になり、とても感謝しています」と大満足だ。
どんなHouzz?
家族構成:夫婦(30代)、子供1人
所在地:北海道札幌市
設計:M+O エム・アンド・オー
延床面積:90.26平方メートル
竣工:2012年
札幌市の中心から少し離れた、静かな地に家を建てたTさん。「『白い家にしたい』というイメージがあって、インターネットで北海道の建築家さんを調べているときに、エム・アンドオーさんの作品が目にとまりました。オープンハウスがあると聞いてさっそく出向き、これまでにスクラップしてきたファイルをお見せしながらお話しさせていただいたのが最初です」。まだ正式に設計依頼をする前にプランをいくつか考えてくれたことと、担当者の人柄やセンスに惹かれたのが決め手だったよう。学生時代から建築やインテリアに興味があったというTさんは、初めての打ち合わせ時に、かわいくて明るくて使いやすい家、キッチンはコの字型か2列型で手元は隠したい、床は無垢材で壁は塗り壁、らせん階段がほしい…など、20項目ほどのリクエストをノートにまとめ、渡したのだとか。それらがすべて叶った希望通りの家に「長年抱いていた夢を現実にしていただきました。想像以上に素敵な家になり、とても感謝しています」と大満足だ。
1階には、LDK、玄関、洗面&バスルーム、主寝室が配置されている。家族が集うダイニングは天井高5.5mの吹き抜け。のびやかな空間には、高い位置に設けた南向きの窓から明るい光が差し込む。無機質になりがちな真っ白な空間に、無垢材の床やテーブルが温かみを添えている。床は北海道産の白樺材のフローリング。ダイニングテーブルとチェアは北の住まい設計社で。レトロな雰囲気漂うペンダントランプは後藤照明のもの。
2階へのらせん階段もTさんから提出されたリクエストのひとつだった。奥の水色の扉の向こうはトイレで、その上の空いたスペースにはタラップで登れるようになっており、ちょっとした収納として活用できる。ハイサイドライトからの光が、白い壁に美しい陰影をもたらしている。
リビング、ダイニング、キッチンがワンルームとなったつくり。ソファはイデーで購入したもの。ソファの奥の引き戸を開けると玄関になっている。リビング部分の天井高は3.4mあり、のびのびとした印象だ。
使い勝手のよさそうな、手元の隠れるコの字型のキッチン。Tさんからのリクエストで、ダイニング側にはオープン棚を製作した。キッチンの天板は人造大理石、扉などはシナ材、シンクはコーラー社のホウロウ製。
キッチンの壁のモザイクタイルもTさんからのリクエスト。棚には作家もののグラスや北欧製の鍋などがセンスよく並ぶ。
TV台はシナ材を用いて作った造作家具。ダイニングとリビングの間のパイプスペースを活用して、掃除機などを入れる収納スペースを確保した。リビングの照明も、後藤照明で購入したもの。1階には深夜電力を利用した地中蓄熱暖房・サーマスラブを設置。夏は冷房なしで過ごせるような風通しのよさを実現している。
「家の端から端までまっすぐに走ることができるので、まだ幼い娘とかけっこをしています」とTさん。天井も高く、縦にも横にものびのびとした、開放的な空間が実現。
北東に位置する、5畳ほどの主寝室。隣にはクローゼットが配置されていて、コンパクトながら機能的だ。壁は1面だけを明るいグリーンにペイントして、空間のポイントにしている。
バスルームは、壁からバスタブ、棚などの枠をすべて木材でつくり、FRP(繊維強化プラスティック)防水で仕上げている。FRP防水の利点は、低コストで、棚の一部に照明を埋め込んだり、バスタブにつなげて腰かけにしたりと、自由に形をつくれる点だとか。継ぎ目がなく、掃除もしやすい。
曲線ラインが美しいオブジェのようならせん階段を上がると、ご主人の書斎スペースがある。床に座った高さに机となるカウンターを設置し、足元を掘り下げてあるそう。奥にはご主人用のクローゼットと子供部屋がある。階段の横の縦長の窓には、昼は光を通し、夜は外からの視線を遮るカーテンを選択。
壁をピンクにペイントした、可愛らしい子供部屋。L字型になった10畳ほどのスペースで、将来は2部屋に分けることもできる。床は白樺材のフローリング。2階は各部屋にパネルヒーターを設置した。
玄関、リビング、ダイニング…と、各空間がそれぞれ四角いユニットとなり、天井高を変え、少しずつずらして配置することで、採光を確保しているのがよくわかる外観。ずらすことで生まれた小さな庭では、野菜などを育てている。
「外から見ると凸凹していて細かく区切られているように見えますが、室内はスムーズにつながっていて、無理がなく生活しやすい家です。特に気に入っているのはリビング。天井が高く、白と白木という色づかいの効果もあって、実際よりも広く感じます。家にいる時は、家族揃ってリビングで過ごすことが多いですね」とTさん。明るく、おおらかな空間を家族3人でのびのびと満喫している様子だ。
「外から見ると凸凹していて細かく区切られているように見えますが、室内はスムーズにつながっていて、無理がなく生活しやすい家です。特に気に入っているのはリビング。天井が高く、白と白木という色づかいの効果もあって、実際よりも広く感じます。家にいる時は、家族揃ってリビングで過ごすことが多いですね」とTさん。明るく、おおらかな空間を家族3人でのびのびと満喫している様子だ。
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