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Houzzツアー:築100年の納屋を現代の素材と技術でサステナブルにリノベーション
風通しのよい設計や太陽熱の利用、再生材の利用により、築100年以上の納屋をサステナブルで快適な住宅にリノベーションした物件です。
Vanessa Brunner
2016年8月14日
再利用したオーク材にトタン波板のパネル、100年前のオークの躯体を使用することで新しく建てられたゲストハウスは周囲に広がるアメリカの郊外の町並みにも溶けこんでいる。立地は、かつてマイケル・ジャクソンやロナルド・レーガンが暮らした家にも近い、米カリフォルニア州サンタ・イネスの丘陵地。施主はここに、子や孫たちを迎えるため、遊び心にあふれたサステナブルなゲストハウスを建設したいと考えた。そこで、設計を手がけたロバート・カーヴァーさんのチームは、広さを十分に生かしたつくりにしながら、環境に配慮した二酸化炭素排出量を抑えた家を実現させた。
どんなHouzz?
住まい手: 単身者と飼い犬2匹。4人の娘と孫数人がゲストとして訪れる
所在地:アメリカ、カリフォルニア州サンタ・イネス
規模:2階約93平方メートル、1階約150平方メートル。ベッドルームx3、バスルームx2、簡易キッチン
写真:Claudio Santini
どんなHouzz?
住まい手: 単身者と飼い犬2匹。4人の娘と孫数人がゲストとして訪れる
所在地:アメリカ、カリフォルニア州サンタ・イネス
規模:2階約93平方メートル、1階約150平方メートル。ベッドルームx3、バスルームx2、簡易キッチン
写真:Claudio Santini
屋根に設けた太陽熱温水器は生活用水を供給するほか、床暖房システムの熱源でもある。屋根の勾配は南向きに設計し、太陽熱温水器が太陽光を最大限に吸収できるよう配慮した。
ロフトになっている2階部分はキッチン、ダイニング、リビング、マスターベッドルームがある。1階には子ども部屋と広いプレイエリアがある。
カーヴァーさんはパッシブクーリング設計を採用し、エネルギーを使わずに空間を涼しくする工夫も取り入れた。建物全体の空気を循環させるファンをつけたほか、キューポラ(半球型や小塔形をした屋根の上の装飾部分。光や風を採り入れる)と大きな納屋扉があるため、風通しがよく、空調は不要だ。
全体を通じて、原料や未加工の資材はほとんど使わず、100年前の木材の躯体や床には古材を使用。コンクリートの基礎や擁壁、床スラブはフライアッシュ(強度を高める石炭灰)を添加して仕上げた。
住居として使うために、納屋の構造にも手を加えた。1階の天井高を上げて高さを出している。木の柱を、高さ約1.2メートルの鉄骨柱で補強している。
オーダーメイドの木の家具に使用した木は、森林のサステナビリティを考慮しながら伐採されたもの。木材はホルムアルデヒドフリーで、すべてVOC(揮発性有機化合物)の濃度をゼロにするか低く抑えて仕上げている。家電はすべて世界的な省エネルギー制度「国際エネルギースター」の基準に適合している。
オーダーメイドの木の家具に使用した木は、森林のサステナビリティを考慮しながら伐採されたもの。木材はホルムアルデヒドフリーで、すべてVOC(揮発性有機化合物)の濃度をゼロにするか低く抑えて仕上げている。家電はすべて世界的な省エネルギー制度「国際エネルギースター」の基準に適合している。
キッチンの引き出しにも再利用した素材を使っている。収穫した野菜などを入れた昔の木箱を活用して、オリジナルの収納ユニットに仕上げた。
透過性のある強化ファイバーグラス《カルウォール》のパネルを外装に使用しているため、日中も室内に柔らかな光が入る。「昼間の光はじつに美しい」とカーヴァーさんは言う。夜、明かりをつけると、木材を使用した納屋の躯体が浮かび上がり、予想外に洗練された表情を見せる。
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特大サイズの納屋扉は大型レールに沿って開き、歴史ある躯体がのぞく。トタン波板の外壁と屋根も再利用した素材だ。
当初、カーヴァーさんは母屋の近くにゲストハウスを建てるつもりだったが、地域の建築基準を確かめたところ、丘陵の上に建てると消防車が近くまで入れなくなることが判明。そこで、丘のふもとで道路に近い場所に変更した。
天然石の床と金属素材の波板が、バスルームにインダストリアルな雰囲気をプラス。バスルームのシンクはいずれもバケツをリサイクルしたものだ。トイレは節水を考え、流す水の量を選べるようになっている。
納屋らしい上下2段に分かれた馬小屋式の扉(ステーブルドア)。奥は、1階の子ども部屋。
カーヴァーさんはふだんは家を投稿線に平行に配置して設計するが、今回は直角に配置して太陽熱温水器を最大限利用することを目指した。
周りの丘には土地に自生する植物だけでランドスケープをつくり、集めた雨水を利用した点滴(ドリップ)灌漑システムで水やりをしている。
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