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Houzzツアー:独創的な円形の土間で人と自然をつなぐ、小さな平屋の住まい
約100坪の敷地の約1/4に建築面積を抑えた、平屋のスモールハウス。セミリタイアした夫妻が建てた「小さく住まい、つながって暮らす」、趣味を楽しむ家。
Miki Anzai
2017年2月15日
広島市が一望できる高台に立つ平屋住宅は、「夫婦二人だけの終の棲家」をコンセプトにつくられた。すでに子供が独立し、自分たちの仕事も減らしていこうと決めた施主夫妻の希望は、趣味のガーデニングを楽しめる家。そして将来的には、版画や染物の作家である娘さんの作品を展示するギャラリーや、ワークショップを催すことのできる家だ。
特に目を惹くのは、建物の一部から、外に円を描くように突き出ているコンクリートの土間。この円形土間の内部や周囲に草花や木を植えたことで、外部とつながって暮らす感覚が味わえているという施主夫妻。設計を任された〈藤原・室建築設計事務所〉が、二人のためにあえて提案したのは、「敷地に比して小さな家」。高齢化社会、核家族化が進むなか、「小さく住まい」、「つながって暮らす」ことで、豊かなライフスタイルが実現できるとすすめたという。
特に目を惹くのは、建物の一部から、外に円を描くように突き出ているコンクリートの土間。この円形土間の内部や周囲に草花や木を植えたことで、外部とつながって暮らす感覚が味わえているという施主夫妻。設計を任された〈藤原・室建築設計事務所〉が、二人のためにあえて提案したのは、「敷地に比して小さな家」。高齢化社会、核家族化が進むなか、「小さく住まい」、「つながって暮らす」ことで、豊かなライフスタイルが実現できるとすすめたという。
建物に貫入するようにデザインされた円形状の土間をたどっていくと、外と内の境界をほとんど意識することなく、自然と一周できる。
どんなHouzz?
所在地:広島県広島市(施主の両親や親戚が家庭菜園をしていた土地)
住まい手:60代のグラフィックデザイナーと50代の妻
構造:木造平屋建て
設計:藤原・室建築設計事務所
建築面積:82.81平方メートル(25.05坪)
延床面積:76.04平方メートル(23.00坪)
敷地面積:329.14平方メートル(99.56坪)
竣工:2015年08月
「ひろしま住まいづくりコンクール2016」の新築部門、優秀賞受賞作品
どんなHouzz?
所在地:広島県広島市(施主の両親や親戚が家庭菜園をしていた土地)
住まい手:60代のグラフィックデザイナーと50代の妻
構造:木造平屋建て
設計:藤原・室建築設計事務所
建築面積:82.81平方メートル(25.05坪)
延床面積:76.04平方メートル(23.00坪)
敷地面積:329.14平方メートル(99.56坪)
竣工:2015年08月
「ひろしま住まいづくりコンクール2016」の新築部門、優秀賞受賞作品
土間は円形だが、建物はほぼ正方形で、方形屋根(ほうぎょうやね。四角錐のような形の屋根のこと)をかぶせた格好になっている。
地上から約60cmの高さに上げた土間には、植物を植えるため、サイズの違う丸い穴をランダムに設置した。その下は、地中とつながっている。
地上から約60cmの高さに上げた土間には、植物を植えるため、サイズの違う丸い穴をランダムに設置した。その下は、地中とつながっている。
以前からあるハナミズキの木は、「シンボルツリーとして残したかった」という施主夫妻。その願いは叶えられ、リビングから四季折々のハナミズキの姿が楽しめる。
飛び石を進むと、このハナミズキの奥に、円形土間が現れるという心憎い演出。それだけでなく、この木の存在が、外部からの視線をさりげなくさえぎる役割も果たしている。
飛び石を進むと、このハナミズキの奥に、円形土間が現れるという心憎い演出。それだけでなく、この木の存在が、外部からの視線をさりげなくさえぎる役割も果たしている。
耐朽性のあるウエスタンレッドシダーを使った外壁は、経年美も楽しめる。玄関横には、リビングからハナミズキの木がよく見えるように、大きなフィックスガラスを配置した。
外の土間とつながるリングのような形のリビング・ダイニングエリアの床は、無塗装のバーンオーク材の板を乱尺張り(らんじゃくばり。長さの不揃いなフローリング板を張ること)にし、それ以外の床は、無塗装の南洋材を使用した。壁は、外壁と同じウエスタンレッドシダーを使用している。
また、リング状の部分だけ天井面までの吹き抜けにし、それ以外の天井高は230cmにすることで、よりリング部分の空間を強調する効果を狙ったという。
また、リング状の部分だけ天井面までの吹き抜けにし、それ以外の天井高は230cmにすることで、よりリング部分の空間を強調する効果を狙ったという。
仕事場兼ゲスト用の宿泊室は、可変のスペースでもあり、引き戸を閉めれば完全な個室となる。この部屋だけ床を30cm下げて、腰掛けやすい縁側のような空間をつくった。そのため、「気がつくと、親戚や友人たちが、ここに座っています」と施主夫妻。現在は「人が集まる交流の場」となっているが、ギャラリー兼ショップを始めたら、ここをプライベート空間にして、リビングダイニングを店舗スペースにも活用できると考えているそうだ。
日中、外との一体感を感じられるガラス戸が、夜には鏡のように内部のリング部分を映し出す。玄関外からも、ガラスを通じてリビングが見えるので、ギャラリー兼ショップをオープンした暁には、店内の光によって中の様子が浮かび上がる、夕暮れ時の雰囲気も素敵だろう。
壁面には絵画が引き立つように、明るいベージュのアクリル樹脂系仕上げ塗材(ベルアート)を吹きつけている。
竣工まで「どの絵を何枚掛けるかなど、正確には決めていなかった」施主夫妻。壁と天井が接する部分のコーナーにピクチャーレール埋め込んだことは大成功だったと喜んでいる。
竣工まで「どの絵を何枚掛けるかなど、正確には決めていなかった」施主夫妻。壁と天井が接する部分のコーナーにピクチャーレール埋め込んだことは大成功だったと喜んでいる。
工芸ワークショップができる大きめのサイズのテーブルは、補強の金物を極力減らしたシンプルなデザインに。ベンチも、それに合わせて特注した。ペンダント照明は、施主夫妻が以前から使用しているもの。
長年グラフィックデザイナーをしていて、色や形にこだわりのある施主だけに、家具だけでなく、床材から塗装カラーにいたるまで、選びに選び抜いたものばかりだ。
長年グラフィックデザイナーをしていて、色や形にこだわりのある施主だけに、家具だけでなく、床材から塗装カラーにいたるまで、選びに選び抜いたものばかりだ。
建物の配置にも注目したい。家の後方には、4階建てのマンションがあり、隣家や全面道路に向かって、正対するように家を建ててしまうと、こちらの室内が見えてしまう。そのため、建物を周辺に対して少し角度をつけて配置し、周囲に植栽を設けることで、プライバシーを確保している。
「平屋の小さい家はとても動きやすく、住みやすい」と、口を揃える施主夫妻。日々の移動の労力を軽減するだけでなく、清掃やメンテナンスのしやすさ、冷暖房を必要とするスペースが少なくてすむなど、平屋のメリットは多い。今後ますます、このような小ぶりの平屋住宅が、老後の暮らしを視野に入れた住まいづくりのポイントになっていくかもしれない。
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