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Houzzツアー:歴史あるシカゴの建物に加わる新たな1ページ
アル・カポネゆかりの歴史ある建物。時代遅れのアパートメントをインテリアデザイナーの住人が変身させる。
Mary Jo Bowling
2015年4月2日
インテリアデザイナーで〈ステュディオ・ギルド(Studio Gild)〉の主催者のメリッサ・ベンハム(Melissa Benham)さんは、何年間も世界を飛び回る生活を送ってきた。出身地のミシガン州からロンドン、ワシントンD.C.、ニューヨークと移り住んだ彼女だが、ついに腰を落ち着けるべくシカゴに引っ越してきた。
彼女が永住の地として、イースト・レイクビューにある歴史ある建物を選んだのも納得できる。「1898年に建てられてたこの建物には、いろんな物語があるんです」とベンハムさん。摩天楼の父と呼ばれ、フランク・ロイド・ライトの師としても有名なルイス・サリヴァンが通りの向かいに住んでいたこともある。また、禁酒法時代の悪名高いシカゴのギャング、アル・カポネは、この建物を潜り酒場として利用していたという。「建てられた当初は、19世紀末から20世紀初めの当時、シカゴ中心部の劣悪な環境を逃れて休暇にやってくる家族連れのための場所でした。その後、第一次世界大戦中には病院として使われていました」
時代はくだり、1980年代の改修工事で、趣きある風情はほとんど失われてしまった。最上階にあるベンハムさんのアパートメントには20年間同じ男性が住み続けていたが、改修時に取り入れられた板張りのドアや、毛足の長いカーペットや、クローゼットの鏡張りの引き戸にはほとんど手が加えられなかった。ベンハムさんはそんなアパートメントを再び魅力的に作り変えた。その様子をご紹介しよう。
彼女が永住の地として、イースト・レイクビューにある歴史ある建物を選んだのも納得できる。「1898年に建てられてたこの建物には、いろんな物語があるんです」とベンハムさん。摩天楼の父と呼ばれ、フランク・ロイド・ライトの師としても有名なルイス・サリヴァンが通りの向かいに住んでいたこともある。また、禁酒法時代の悪名高いシカゴのギャング、アル・カポネは、この建物を潜り酒場として利用していたという。「建てられた当初は、19世紀末から20世紀初めの当時、シカゴ中心部の劣悪な環境を逃れて休暇にやってくる家族連れのための場所でした。その後、第一次世界大戦中には病院として使われていました」
時代はくだり、1980年代の改修工事で、趣きある風情はほとんど失われてしまった。最上階にあるベンハムさんのアパートメントには20年間同じ男性が住み続けていたが、改修時に取り入れられた板張りのドアや、毛足の長いカーペットや、クローゼットの鏡張りの引き戸にはほとんど手が加えられなかった。ベンハムさんはそんなアパートメントを再び魅力的に作り変えた。その様子をご紹介しよう。
写真:マイク・シュワーツ(Mike Schwartz)
どんなHouzz?
居住者:インテリアデザイナーのメリッサ・ベンハムさん
所在地:シカゴ
規模:93平方メートル、ベッドルーム×2、バスルーム(トイレ含む)×1
アメリカ中西部に戻って来たベンハムさんは、やっと持ち物の荷を解くことができた。両親から譲り受けたものに加え、アンティーク収集家のおばからもらったものもある。ベンハムさん自身が世界中で集めたものも増えていた。「持っている物のほとんどが、私にとって特別な意味があるんです」と言う。
リビングにある曲線の美しいソファは、もともと1990年代に彼女の両親のリビングにあったものだが、当時はアイボリー色のダマスク織りカバーがかかり、床まで届くプリーツ状スカートが付いていた。「ソファを張り替えて、ふちを鋲止めにし、足は黒檀のように黒く加工しました。でも、もとの美しいラインはそのままです」とベンハムさん。
インターネット検索で出会ったのは、シカゴ近隣の印象的な写真を撮っている写真家アリシア・ボック(Alicia Bock)の作品。ベンハムさんは、ミシガン湖の大きなセピア写真を注文し、黒いフレームに入れて飾った。「黒が私の定番色なんです」と言うベンハムさん。「この部屋にも、このフレームや、ソファにあるブランケット、皮革のラグに黒が使われています」
アート:アリシア・ボック(Alicia Bock)、ペイント:Moonshine/ベンジャミンムーア、ライト:Robert Abbey/シェードはカスタム
どんなHouzz?
居住者:インテリアデザイナーのメリッサ・ベンハムさん
所在地:シカゴ
規模:93平方メートル、ベッドルーム×2、バスルーム(トイレ含む)×1
アメリカ中西部に戻って来たベンハムさんは、やっと持ち物の荷を解くことができた。両親から譲り受けたものに加え、アンティーク収集家のおばからもらったものもある。ベンハムさん自身が世界中で集めたものも増えていた。「持っている物のほとんどが、私にとって特別な意味があるんです」と言う。
リビングにある曲線の美しいソファは、もともと1990年代に彼女の両親のリビングにあったものだが、当時はアイボリー色のダマスク織りカバーがかかり、床まで届くプリーツ状スカートが付いていた。「ソファを張り替えて、ふちを鋲止めにし、足は黒檀のように黒く加工しました。でも、もとの美しいラインはそのままです」とベンハムさん。
インターネット検索で出会ったのは、シカゴ近隣の印象的な写真を撮っている写真家アリシア・ボック(Alicia Bock)の作品。ベンハムさんは、ミシガン湖の大きなセピア写真を注文し、黒いフレームに入れて飾った。「黒が私の定番色なんです」と言うベンハムさん。「この部屋にも、このフレームや、ソファにあるブランケット、皮革のラグに黒が使われています」
アート:アリシア・ボック(Alicia Bock)、ペイント:Moonshine/ベンジャミンムーア、ライト:Robert Abbey/シェードはカスタム
ミッドセンチュリーのコーヒーテーブルはウィスコンシン州の蚤の市で見つけた掘り出し物。いつも何か新しい本が置かれている。「本も集めていて、新しく買ったものはたいていコーヒーテーブルの上に置いています」とベンハムさん。
イームズの黒いレザーのラウンジチェアの脇にはもうひとつのテーブル。ここにも、いつも本が置かれている。「このテーブルを選んだのは、ウォールナット材で、コーヒーテーブルやチェアとよく合うからなんです」と言う。
椅子:イームズ ラウンジチェア(Eames Lounge Chair)、テーブル:Design Within Reach
椅子:イームズ ラウンジチェア(Eames Lounge Chair)、テーブル:Design Within Reach
部屋の反対側にはダイニングのための小さな空間がある。限られたスペースに選んだのはミッドセンチュリーの名品、エーロ・サーリネンの丸テーブル。その周りには同時代のコフォード=ラーセンのヴィンテージチェアを並べた。
スリムなメタルシェルフには、装飾品と一緒にさらに本が並ぶ。「本に囲まれて食事をする雰囲気が好きなんです。なぜだかすごく居心地がよくて」とベンハムさん。
シェルフ:Room & Board
スリムなメタルシェルフには、装飾品と一緒にさらに本が並ぶ。「本に囲まれて食事をする雰囲気が好きなんです。なぜだかすごく居心地がよくて」とベンハムさん。
シェルフ:Room & Board
ダイニングの脇からキッチンにつながっている。キッチンも他の部屋と同様、ベンハムさんが住み始めたときは1980年代のままの姿だった。「キッチンキャビネットはまだ状態が良かったから、表面だけ新しく直しました。カウンターの御影石の部分もそのままにして、シンクまわりや電気器具部分だけ交換しました」
版画のテイストとつながるアンティークの中国のティーテーブルが2つ。「ベッドの高さがあるので、手が届くように高いテーブルが必要だったんですが、これはぴったりです。色が部屋とマッチするように黒くペイントしました」とベンハムさん。
バスルームはもともと白と黒のタイル張りだった。ベンハムさんは洗面台を白く、壁を黒くペイントし、色調を統一した。「コントラストが強いのが好きなんです。黒と白は永遠の組み合わせですね」と言う。
壁のペイント:Iron Mountain/ベンジャミンムーア
壁のペイント:Iron Mountain/ベンジャミンムーア
セカンドベッドルームは、仕事部屋も兼ねている。シングルベッドの上にピローを斜めに置いて、寝椅子のようにアレンジした。「この部屋はホームオフィスでもあるので、来客があるとここに座るんです。ベッドというよりソファとして使っていますね」とベンハムさん。
今まで住んできた場所を描いたヴィンテージの地図と写真が飾られている。
今まで住んできた場所を描いたヴィンテージの地図と写真が飾られている。
ベンハムさんの母親からもらったデスク。「母が大学時代に使っていたものです。黒くステイン加工をして、クリスタルの取手を引き出しに付けました」
デスクの上にはマリル・ノルデンフリヒト(Marilu Nordenflycht)の線画と、〈ジェイソン・ミラー・ステュディオ(Jason Miller Studio)〉の鏡が置かれ、空間に広がりを生み出している。「この鏡はお気に入りなんです」とベンハムさん。「鏡に絵が描かれているので、覗き込むとまるで自分が別の場所にいるように見えるんです」
アート:マリル・ノルデンフリヒト(Marilu Nordenflycht)、鏡:ジェイソン・ミラー・ステュディオ(Jason Miller Studio)
デスクの上にはマリル・ノルデンフリヒト(Marilu Nordenflycht)の線画と、〈ジェイソン・ミラー・ステュディオ(Jason Miller Studio)〉の鏡が置かれ、空間に広がりを生み出している。「この鏡はお気に入りなんです」とベンハムさん。「鏡に絵が描かれているので、覗き込むとまるで自分が別の場所にいるように見えるんです」
アート:マリル・ノルデンフリヒト(Marilu Nordenflycht)、鏡:ジェイソン・ミラー・ステュディオ(Jason Miller Studio)
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