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Houzzツアー:廃墟になっていた家をリノベーションして宝石のように美しい住まいに
歴史的価値のある建物ながら、損傷が激しいために放置され、廃墟になっていた家。若い夫婦はその家に価値と可能性を見出してリノベーションし、美しい住まいにつくりかえました。
Emily Hutchinson
2016年8月17日
老朽化して荒れるままになっていた建物を見ただけで、リノベーションで生まれ変わる可能性を見抜くのは簡単ではない。オーストラリアの若いデベロッパーの夫婦は、メルボルン郊外に立つ歴史ある家と出会い、手を入れれば往年の輝きを取り戻すはずだと考えて購入。家族で暮らすのにふさわしい家へとみごとに生まれ変わらせた。
建物をモダンに一新するクリエイティブチームとして、二人が選んだのは〈メルボルン・デザインスタジオ〉。建築当時の趣きを感じさせる正面部分を修復し、コンテンポラリーな2階建ての居住エリアを建物の後ろに増築した。古びた家は、明るい魅力とぬくもりあふれる21世紀らしい家に生まれ変わり、「ウォルサム通りの宝石」という往年の呼び名にふさわしい姿に変化をとげた。
Houzzでは、記事でご紹介する家を募集しています。詳しくはこちらをご覧ください。
建物をモダンに一新するクリエイティブチームとして、二人が選んだのは〈メルボルン・デザインスタジオ〉。建築当時の趣きを感じさせる正面部分を修復し、コンテンポラリーな2階建ての居住エリアを建物の後ろに増築した。古びた家は、明るい魅力とぬくもりあふれる21世紀らしい家に生まれ変わり、「ウォルサム通りの宝石」という往年の呼び名にふさわしい姿に変化をとげた。
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どんなHouzz?
住まい手:若い世代の家族
所在地:オーストラリア、ヴィクトリア州リッチモンド
規模:約300平方メートル。ベッドルームx4(1階と2階に2部屋ずつ)、バスルームx3、パウダールームx1
廃墟になっていた家をオーナー夫妻が購入したのは2011年。「歴史と伝統を感じさせながらコンテンポラリーな住まいに」と依頼を受けた、とリノベーションにあたった〈メルボルン・デザインスタジオ〉のマーク・バーンスタイン=ハスマンさんは振り返る。オーナーは住宅を投資物件としても考えていたため、将来的に価値がつくリノベーションを、との意向もあったそう。
設計に入る前に、オーナーからは「奥にタウンハウスを建てられるように土地を分割しておきたい」と要望があった。さらに、歴史的な建物に手を加えるには地元当局からの許可も必要で、そのために1年近くかかった。バーンスタイン=ハスマンさんにとって特に大事だったのが、建築当時の正面部分を維持しながら、「ウォルサム通りの宝石」のもとの姿をある程度再現することだった。
住まい手:若い世代の家族
所在地:オーストラリア、ヴィクトリア州リッチモンド
規模:約300平方メートル。ベッドルームx4(1階と2階に2部屋ずつ)、バスルームx3、パウダールームx1
廃墟になっていた家をオーナー夫妻が購入したのは2011年。「歴史と伝統を感じさせながらコンテンポラリーな住まいに」と依頼を受けた、とリノベーションにあたった〈メルボルン・デザインスタジオ〉のマーク・バーンスタイン=ハスマンさんは振り返る。オーナーは住宅を投資物件としても考えていたため、将来的に価値がつくリノベーションを、との意向もあったそう。
設計に入る前に、オーナーからは「奥にタウンハウスを建てられるように土地を分割しておきたい」と要望があった。さらに、歴史的な建物に手を加えるには地元当局からの許可も必要で、そのために1年近くかかった。バーンスタイン=ハスマンさんにとって特に大事だったのが、建築当時の正面部分を維持しながら、「ウォルサム通りの宝石」のもとの姿をある程度再現することだった。
修復作業に取りかかった時点で、建物の状態はよいとはいえなかった。「初めは元からあった床板を残そうと思っていましたが、現地調査を始めたところで文字どおり床が抜けて私たちが下へ落ちてしまい、あきらめました」とバーンスタイン=ハスマンさん。
床板は、スポッテッドガムと呼ばれるユーカリ材の板に入れ替え、階段と外のデッキも同じ木材を使用した。レンガ壁の一部は補強して安定させ、屋根と新たに設けた開口部を支える強度を確保した。
床板は、スポッテッドガムと呼ばれるユーカリ材の板に入れ替え、階段と外のデッキも同じ木材を使用した。レンガ壁の一部は補強して安定させ、屋根と新たに設けた開口部を支える強度を確保した。
「屋根部分そのものは驚くほど良好な状態でした。ほんの少し手直しと修復をしただけです」とバーンスタイン=ハスマンさんは言う。「こうした古い住宅で気をつけるべき点は、現状を見て、この先に起こりそうな問題点をできるだけしっかりと見抜いておくことと、早い段階で調査をすることで、あとで思いもしない事態になるのを避けることです(あとで問題が明らかになると予算オーバーにつながる場合が多いため)。」
建築当時からある部屋の一つが、こちらのリビングルーム。〈ウォール・キャンディ〉で見つけたダマスク柄の壁紙を取り入れ、歴史が息づく家の雰囲気を生かした。ステンドグラスが入った窓は修復し、色ガラスを通した美しい光を室内に投げかける。家の中でも古い部分にあたるため、暖房設備は時代に合わせてバイオ燃料を使った〈エコスマート・ファイヤー〉の新型設備を入れた。
既存部分にある2つのベッドルームは、伝統的なスタイルの壁、裾板、ユーカリ材の床板でシンプルにまとめた。
同じく既存の部分に設けたホームオフィス。ウォールナット材のベンチをデスク代わりにし、家族が4人まで一緒に使える。ここから窓の外に目をやれば、庭が見える。
同じく既存の部分に設けたホームオフィス。ウォールナット材のベンチをデスク代わりにし、家族が4人まで一緒に使える。ここから窓の外に目をやれば、庭が見える。
バーンスタイン=ハスマンさんがとりわけ満足のいく仕上がりと自負しているのが、ファミリー用のバスルーム。一つひとつの特色が合わさって、歴史ある家の美しさを引き立てている。モザイクタイルにシャンデリア、彫刻を思わせるフォルムの洗面台、建築当時からある暖炉(こちらもバイオ燃料を使用するタイプに変更)まで、スタイリッシュにリモデルされている。天窓を入れ、自然光をたっぷり採り込める入れるつくりに。
新旧の建物をつなぐ切り替え部分として設けたのが、写真の「つなぎ」の部分。ヴィクトリア様式の古い建物の前面部分から階段を数段下りた先が、新たに建てた部分だ。LEDライトを配したユーカリ材の階段を下りると、片側がランドリーとパウダールーム、反対側には北向きの庭が見える。
新旧の建物の間は大型の引き戸で仕切ることができる。引き戸は開ければ壁の中に収まって空間はひと続きになり、閉めれば仕切られた別々の空間に。
新旧の建物の間は大型の引き戸で仕切ることができる。引き戸は開ければ壁の中に収まって空間はひと続きになり、閉めれば仕切られた別々の空間に。
家族が集うエリアは階段を中心に二分され、片側がキッチンとダイニング、もう片側がリビングルームになっている。基本的に全体がひと続きになったワンルーム構造だが、このレイアウトのおかげで各エリアが居心地よくゾーニングされている。「階段はユーカリ材です。踏み板と蹴込み板(踏み板間をつなぐ縦板)が接する角度は直角にしてシャープさを出し、裾板は壁と同じ平面上に、階段の踏面も突き出ていないデザインにしています」とバーンスタイン=ハスマンさんは説明する。バイオ燃料を使った暖炉を壁に埋め込み、ぬくもりを感じさせるコーナーに。西向きの窓からは光が入る。
階段の下はウォークインタイプのパントリー。階段と同じユーカリ材を使用している。
キッチンの上に細長い天窓を設けたおかげで、構造上暗くなってしまう空間にも自然光が入るように。
「全体的にミニマルなアプローチをとりながらも冷たい感じがしないのは、素材の選び方と考え抜いたディテールの成果だと思います。例えばファブリックを張った板張りのベンチもそうです。窓際から北側の庭と緑の壁が見えます。」
北側に大きなガラス窓がいくつもあり、気温の下がる時期にはここから取り込む太陽光のエネルギーを利用する。ポリッシュ仕上げの黒いコンクリートフロアも、冬は日光の熱を貯めて温かく、夏は足元をひんやりと心地よくしてくれる。他にも、太陽熱を使った温水器を取り入れたり、壁と天井に断熱性の高い素材を使用したり、環境を考えた工夫がちりばめられている。
北側に大きなガラス窓がいくつもあり、気温の下がる時期にはここから取り込む太陽光のエネルギーを利用する。ポリッシュ仕上げの黒いコンクリートフロアも、冬は日光の熱を貯めて温かく、夏は足元をひんやりと心地よくしてくれる。他にも、太陽熱を使った温水器を取り入れたり、壁と天井に断熱性の高い素材を使用したり、環境を考えた工夫がちりばめられている。
キッチンエリアにある二つ折りの大型ドアを開け放つと、中庭へ出られる。屋外で人が集まって過ごせるコーナーには青みがかったブルーストーンを敷き、室内のコンクリートスラブにはない色味と質感を加えた。
2階のベッドルーム2室はぐっとモダンな印象。ひと部屋はバルコニーに直結、もうひと部屋には大きな角窓がある。それぞれにウォークインクロゼットとバスルームを備える。温かな雰囲気を出すため、この2部屋はウールのカーペットを敷いている。
1階のパウダールームに使用したイタリア〈ビザッツァ〉のモザイクタイルをここでも取り入れ、連続性を意識した。こちらのバスルームの中心になるのは、独立型のバスタブ。人工大理石コーリアンを使ったバニティユニットを〈メルボルン・デザインスタジオ〉でデザインし、バスタブに合わせた。
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