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Houzzツアー:屋外と室内をゆるやかに繋げた、2つの山を眺めて暮らす家
近隣の美しい自然と山々が最もきれいに見える角度に建つ「くの字型」の家は、南仏育ちのご主人がこだわって選んだ緑豊かな傾斜地を最大限に生かした住空間。
Nayo Suzuki
2015年7月3日
ライター&エディター。建築・インテリアを学んだ後、インテリアデコレーターとして働きながら、インテリアのライター業をスタート。現在はライター&エディター業に専念し、雑誌のインテリアページ、カタログ、書籍などを手がける。趣味はインテリアとアート鑑賞。
ライター&エディター。建築・インテリアを学んだ後、インテリアデコレーターとして働きながら、インテリアのライター業をスタート。現在はライター&エディター業に専念し、雑誌のインテリアページ、カタログ、書籍などを手がける... もっと見る
比叡山のふもとの緑豊かな地に、2つの山に向き合うようにくの字型に建てられた家。リビングダイニングのある棟からは近くの小さな山が、アトリエ、寝室、子ども部屋のある棟からは比叡山が望め、飽くことのない四季折々の景色が楽しめる。暮らすのは、フランス人のご主人と日本人の奥さま、そして3人の子どもたちのPさん家族だ。
南仏の豊かな自然に囲まれて育ったご主人は土地を探すにあたり、造成されたフラットな土地ではなく、自然のあるがままの姿が残る傾斜地にこだわった。子育てをしながら家族と暮らすために環境を重視し、近隣の畑の先に美しい山々が一望できる、緑の多いこの土地を選択。建物は地形、そして眺めを最大限活かせるようにと、ウェブサイトの事例を見て気に入ったUZU一級建築士事務所に依頼した。Pさんからのリクエストは「地形やまわりの自然環境と一体となった建物にしたい。手持ちの古い家具が置ける空間に。アトリエとロフトが欲しい。景色を見ながらリラックスして料理を楽しめるキッチンが欲しい…」など。
それに対するUZUの松井さんの提案は…。「屋外と室内がゆるやかに繋がる空間を目指しました。そのために下の階は床をモルタルにし、土間のような佇まいにしています。キッチンから小さな山がきれいに見える角度と、アトリエや寝室から比叡山がきれいに見える角度で建物の配置を決めた結果、このようなくの字型に。また傾斜した地形を生かしてスキップフロアにし、キッチンから子ども部屋の様子が見えたり、リビングにいても窓越しに子ども部屋の気配が感じられるような、家の中も外も見通せ、声が聞こえるようなプランにしました」。
景色を取り込み、屋内外が一体となった大らかなプランのおかげで、実面積よりもはるかに広々とのびやかに感じられる。子どもたちは室内、デッキ、庭と縦横に走り回っているのだとか。家のどこにいても美しい山を愛でることができる、贅沢な空間となっている。
南仏の豊かな自然に囲まれて育ったご主人は土地を探すにあたり、造成されたフラットな土地ではなく、自然のあるがままの姿が残る傾斜地にこだわった。子育てをしながら家族と暮らすために環境を重視し、近隣の畑の先に美しい山々が一望できる、緑の多いこの土地を選択。建物は地形、そして眺めを最大限活かせるようにと、ウェブサイトの事例を見て気に入ったUZU一級建築士事務所に依頼した。Pさんからのリクエストは「地形やまわりの自然環境と一体となった建物にしたい。手持ちの古い家具が置ける空間に。アトリエとロフトが欲しい。景色を見ながらリラックスして料理を楽しめるキッチンが欲しい…」など。
それに対するUZUの松井さんの提案は…。「屋外と室内がゆるやかに繋がる空間を目指しました。そのために下の階は床をモルタルにし、土間のような佇まいにしています。キッチンから小さな山がきれいに見える角度と、アトリエや寝室から比叡山がきれいに見える角度で建物の配置を決めた結果、このようなくの字型に。また傾斜した地形を生かしてスキップフロアにし、キッチンから子ども部屋の様子が見えたり、リビングにいても窓越しに子ども部屋の気配が感じられるような、家の中も外も見通せ、声が聞こえるようなプランにしました」。
景色を取り込み、屋内外が一体となった大らかなプランのおかげで、実面積よりもはるかに広々とのびやかに感じられる。子どもたちは室内、デッキ、庭と縦横に走り回っているのだとか。家のどこにいても美しい山を愛でることができる、贅沢な空間となっている。
向かって左側の棟にキッチンとリビングダイニング、右側の棟にアトリエ、寝室、子ども部屋を配置。外壁は杉板貼り。ゆるく傾斜した地形を生かし、床下に深夜電力を用いた蓄熱式の床暖房を設置している。
どんなHouzz?
家族構成:夫(40代)、妻(30代)、子ども3人
所在地:京都府京都市
設計:UZU 一級建築士事務所ウーズ
延床面積:130.98平方メートル
構造:木造
竣工:2010年
撮影:福澤昭嘉
どんなHouzz?
家族構成:夫(40代)、妻(30代)、子ども3人
所在地:京都府京都市
設計:UZU 一級建築士事務所ウーズ
延床面積:130.98平方メートル
構造:木造
竣工:2010年
撮影:福澤昭嘉
1階部分は内と外との境界がゆるやかな土間のような空間で、床はモルタル。Pさんの希望で気に入った古材をスライスし、ところどころに埋め込んでいる。眺望を優先した結果、建物は北向きに。夏が涼しい反面、冬の防寒対策として床暖房に加え、輻射熱で空間を温める薪ストーブも設置。料理も楽しめるクッキングストーブを選んだ。ピンク色の壁の奥がバスルームになっている。
玄関を入ると、すぐにキッチンとリビングダイニングがあり、正面にはこの景色。近隣の畑の緑の向こうに青々と美しい山が広がる。窓は外壁の内側に引き込め、デッキと一体となった大空間が実現。
ロフトからリビングダイニングを見下ろしたところ。夫婦で選んだというトム・ディクソンがデザインしたランプは、大きさと形状が少しずつ異なるものを、吹き抜けの天井からリズミカルに吊るした。和箪笥は以前からPさんが持っていたもの。勾配のきつい切妻屋根なので、光が入って明るくなるよう、またロフトに立った時に、山の緑が見えるよう、両端に窓を設けた。
リビングダイニングから半階上がると子ども部屋、さらに上がるとロフトとなるスキップフロアプラン。こちらは床をパイン材のフローリングにし、表情を変えている。子ども部屋は将来的に3部屋に仕切れるようになっていて、窓側の壁も3色に塗り分け、ポイントにしている。
リビングダイニングから半階下がったところにあるアトリエと寝室。ここもリビングダイニングと同じく、床をモルタルで仕上げた。ご夫婦揃ってモノづくりが好きで、アトリエでは陶芸などを楽しんでいるとか。廊下の腰高窓の正面には比叡山の景色が美しく広がり、寝室のベッドからも見えるように設計されている。
テレビとソファベッドを置いたロフトは、コンパクトながらセカンドリビング的な用途を担う、心地のよいスペースとなっている。南からの採光を確保するためにトップライトを設けた。リビングダイニングの天井高は一番高いところで5メートル近く。
キッチンはアイランド型。屋外の景色や家族の様子を眺めながら、料理ができる。キッチンはイケアのものを取り入れるなど、コストを抑える工夫も。写真のように、デッキ、ダイニング、キッチンと、屋内外が一体となり、家族が思い思いの場所でくつろいでいても、ゆるやかに繋がっていられる空間である。
デッキからは景色だけでなく、家の中の気配が伺えるのもまた楽しい。デッキは、UZUの松井さんや職人さんのアドバイスを得て、Pさん夫婦が自ら貼った。他にもPさんは梁にニスを塗ったり、ペンキの色を選んだりしたそう。「お施主さん自身が家づくりに自然に参加してもらえるよう、以前から心がけています。そうすることでコストが抑えられるだけでなく、家に対しての思い入れも深まり、家づくりの思い出もできますし」とUZUの松井さん。
山の稜線がくっきりと浮かび上がる美しい夕方、家族の団欒のひとときが今日も始まる。
山の稜線がくっきりと浮かび上がる美しい夕方、家族の団欒のひとときが今日も始まる。
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