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Houzzツアー:家具職人がリノベーションした、仕切りのない “ほぼ平屋” の家
平屋風の一軒家を全面リノベーション。好きな映画のシーンや家族の日常の風景をイメージソースに、質感や空間のバランスなど、ディテールへのこだわりもていねいに実現した住まい。
Rieko Ozawa
2016年5月18日
Houzzコントリビューター、編集&ライター。子どもの頃からの間取り好きが高じてインテリア&ハウジング雑誌の編集者に。その後フリーランスとなり、居心地がよくておしゃれな住まいづくりの情報を発信し続ける。築30年のメゾネットマンションを、仲間の協力を得ながら少しずつ改装し、快適で楽しい住まいに構築中。広告会社に勤める夫と二人暮らし。
Houzz contributors, Editor & Writer. I have been interested in the floor plan since I was a child. Then, I became an editor of the INTERIOR & HOUSING magazine. We bought a maisonette dwelling unit built in early 1980s and have been renovating little by little with my partner.
Houzzコントリビューター、編集&ライター。子どもの頃からの間取り好きが高じてインテリア&ハウジング雑誌の編集者に。その後フリーランスとなり、居心地がよくておしゃれな住まいづくりの情報を発信し続ける。築30年のメゾネットマンションを、仲間の協力を得ながら少しずつ改装し、快適で楽しい住まいに構築中。広告会社に勤める夫と二人暮らし。
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「なんとなく平屋がいいと思っていたんです。開放的で心地よい光と風が抜ける、アメリカ西海岸っぽい雰囲気の家にしたくて」
そう話すのは、岡山のイールドインテリアプロダクツでオリジナル家具の工場長をつとめるKさん。築30年の “ほぼ平屋” をリノベーションした家のテーマは、家族がのびのびと過ごせる家であること。そして、自分たちがつくる家具が似合うこと。
そう話すのは、岡山のイールドインテリアプロダクツでオリジナル家具の工場長をつとめるKさん。築30年の “ほぼ平屋” をリノベーションした家のテーマは、家族がのびのびと過ごせる家であること。そして、自分たちがつくる家具が似合うこと。
「最初は新築も考えていたのですが、ちょうど近所で平屋風の物件が売りに出て。その家の雰囲気が気に入ったのと、ゼロから建てるよりも、ベースの家があってそこからカスタムしていくほうがおもしろみがある気がして、リノベーションすることにしました」
細切れだった部屋の壁を潔く抜き、天井を剥がし、約40畳のLDKが中心の、リラックス感満載の住まいをつくりあげました。並ぶ家具は、もちろんほとんどが自社のもの。
どんなHouzz?
家族構成:夫婦、子ども2人
所在地:岡山県岡山市
建物:築約30年 木造
敷地面積: 279.04平方メートル
延床面積:121.35平方メートル
リノベーション設計施工:イールドインテリアプロダクツ
細切れだった部屋の壁を潔く抜き、天井を剥がし、約40畳のLDKが中心の、リラックス感満載の住まいをつくりあげました。並ぶ家具は、もちろんほとんどが自社のもの。
どんなHouzz?
家族構成:夫婦、子ども2人
所在地:岡山県岡山市
建物:築約30年 木造
敷地面積: 279.04平方メートル
延床面積:121.35平方メートル
リノベーション設計施工:イールドインテリアプロダクツ
間仕切り壁をチョークボードにして、空間を引き締めながら子供達の遊び場に。
高校生の頃から建築やインテリアに興味を持ち始めたKさん。「自分の部屋を模様替えするのが好きで、4畳半にベッドとコンポぐらいしか置いていない部屋だったけれど、しょっちゅう模様替えしていました。テストの前になると無性にやりたくなって、おかげでテストはいつも散々(笑)」。仕切りのない空間にしたのは、「思う存分模様替えがしたかったからかもしれない」とも。
高校生の頃から建築やインテリアに興味を持ち始めたKさん。「自分の部屋を模様替えするのが好きで、4畳半にベッドとコンポぐらいしか置いていない部屋だったけれど、しょっちゅう模様替えしていました。テストの前になると無性にやりたくなって、おかげでテストはいつも散々(笑)」。仕切りのない空間にしたのは、「思う存分模様替えがしたかったからかもしれない」とも。
キッチンの面材は、家具に多く使っているナラ材を用い、サイドボードは壁のタイルになじませて白に。レンジフードの黒を差し色にして引き締めたバランス感覚が絶妙。
見た目だけでなく、キャビネットはすべて、使い勝手のよい引き出し仕様。「料理はすべて奥さんまかせだから」と照れ笑いするKさんの、こまやかな配慮と家族への愛情が感じられます。
見た目だけでなく、キャビネットはすべて、使い勝手のよい引き出し仕様。「料理はすべて奥さんまかせだから」と照れ笑いするKさんの、こまやかな配慮と家族への愛情が感じられます。
カップボードの取っ手に使ったのは回転式のつまみ。本来は点検口など、突起させたくないところに使うパーツですが、丸っこい形と真鍮の質感が気に入って採用。回転しないように加工して使っています。框とのバランスにもこだわって、1960年代のアメリカを感じさせるテイストに。
キッチンの隣は洗面・浴室の水まわり。ガラスの仕切り壁とドアにしたのは、「奥さんが朝ごはんをつくっているときに、子どもたちが歯を磨いていて、ガラス越しにバタバタとやりとりしているイメージ」が思い浮かんだからだとか。
スペースの一角はパントリーも兼ね、雑多になりがちなストックや生活用品をすっきり収納。
スペースの一角はパントリーも兼ね、雑多になりがちなストックや生活用品をすっきり収納。
大空間リビングをつくるにあたり、構造上、抜けなかった柱はナラ材で化粧を施すことに。あえて節が目立つ材を使い、ラフに仕上げました。また、コンクリートブロックを積み上げた仕切り壁は、ギリギリまで目地を狭めてクールな雰囲気に。「普通は10ミリほど目地をとるのですが、それだといかにもブロックを積んだという感じなので、もっとシュッと締まった感じにさせたくて」
ホワイトオーク材のオーバーシェルフは、この場所に置くためにデザインしたカスタムメイド。
ホワイトオーク材のオーバーシェルフは、この場所に置くためにデザインしたカスタムメイド。
収納の扉は輸入のルーバー扉をグレーに塗装。白や生成りとは違う、落ち着きのある表情に。
映画が好きで、映画のインテリアからインスパイアされることも多いというKさん。「ニコラス・ケイジが詐欺師を演じた『マッチスティック・メン』という作品に出てくる西海岸の家がかっこよくて、ちょこちょこイメージソースにしています」。
映画が好きで、映画のインテリアからインスパイアされることも多いというKさん。「ニコラス・ケイジが詐欺師を演じた『マッチスティック・メン』という作品に出てくる西海岸の家がかっこよくて、ちょこちょこイメージソースにしています」。
日差しがいい感じに入る土間の一角は植物コーナー。「ここに椅子を置いて、植物を見ているとリラックスできる。癒しの場です」
お気に入りのアームチェアも、映画からインスパイアされて張り地を濃いオレンジ色にしたそう。「ストーリーとしてはディープというかダークというか、そんな映画です。犯罪者が一人掛けのソファに座っているシーンのオレンジ色のソファがカッコよくて」
お気に入りのアームチェアも、映画からインスパイアされて張り地を濃いオレンジ色にしたそう。「ストーリーとしてはディープというかダークというか、そんな映画です。犯罪者が一人掛けのソファに座っているシーンのオレンジ色のソファがカッコよくて」
窓際のスペースは、薪ストーブの耐火を兼ねてタイル敷きの土間に。庭とデッキにゆるやかにつながる、半屋外の心地よい場所。
「もともとのイメージはあったようで、なかった」とKさん。「家族がのびのび暮らせる仕切りのない家」という、ざっくりとしたプランを決め、あとは現場での空気感やスケール感を感じとりながら詳細を詰めていったといいます。暮らし始めてからも、心地よい空間づくりは続行中。「少し仕切りがあるほうが落ち着く」と感じ、土間とリビングの間に、一部、腰高の壁を立てたそう。
Kさんのさまざまな思いと、家族がくつろぐための工夫が詰まった空間が子供達も大好き。広々としたLDKを走り回り、間仕切り壁のチョークボードに落書きをして、のびのびと過ごしています。
「もともとのイメージはあったようで、なかった」とKさん。「家族がのびのび暮らせる仕切りのない家」という、ざっくりとしたプランを決め、あとは現場での空気感やスケール感を感じとりながら詳細を詰めていったといいます。暮らし始めてからも、心地よい空間づくりは続行中。「少し仕切りがあるほうが落ち着く」と感じ、土間とリビングの間に、一部、腰高の壁を立てたそう。
Kさんのさまざまな思いと、家族がくつろぐための工夫が詰まった空間が子供達も大好き。広々としたLDKを走り回り、間仕切り壁のチョークボードに落書きをして、のびのびと過ごしています。
薪ストーブは「シンプルで、薪ストーブらしいデザインが気に入った」というデンマーク〈モルソー〉製。
壁のタイルはキッチンと同じようで、実は違うもの。「丸の内のKITTEビルの外壁のタイルが好きで、似たものを探していたら、運よくKITTEのタイルをオーダーで製造したメーカーに行きあたって。しかも少しだけあった余剰材を分けてもらえたんです」。
キッチンはツヤのあるメトロタイル、庭に続くリビング側はマットな外壁タイル。異なる表情を巧みに使い分けています。
壁のタイルはキッチンと同じようで、実は違うもの。「丸の内のKITTEビルの外壁のタイルが好きで、似たものを探していたら、運よくKITTEのタイルをオーダーで製造したメーカーに行きあたって。しかも少しだけあった余剰材を分けてもらえたんです」。
キッチンはツヤのあるメトロタイル、庭に続くリビング側はマットな外壁タイル。異なる表情を巧みに使い分けています。
1960~70年代のアメリカっぽいイメージでデザインしたという玄関ドア。框は太くもなく細くもなく、納得のいくバランスになるまで何度も図面を引いて調整した、こだわりのドアです。
一部だけ2階建ての、ほぼ平屋。外壁には松の木を張りめぐらせ、「木の家っぽく見せました」とKさん。色が一定にならないようにランダムに張って、年月を重ねた家のような風合いに。
「岡山は木工業が盛んで。地場の杉を使って家を建てる家も多いんです。うちは松だけど(笑)」
そんな木工の街に根付いたイールドインテリアプロダクツの家具は、上質な木材を使い、無駄を省いたシンプルなデザイン。
それらの家具と床や建具の木材をバランスよく揃えたり、家具に合わせて寸法出しをしたり……細部にこだわりながらも、ほどよく力が抜けた、居心地のよい住まいができあがりました。
でもKさんいわく、まだ未完成とも。「日々、さまざまなデザインを見ていると好みも変わるし、子供達も成長していくから、少しずつ手を加えながら家族がくつろげる家にアップデートしていきたいですね」
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そんな木工の街に根付いたイールドインテリアプロダクツの家具は、上質な木材を使い、無駄を省いたシンプルなデザイン。
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