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Houzzツアー:30代夫婦の賢い選択、自分たちらしく暮らすためのリノベーション
子育て世代が住まいを選ぶとき、中古マンションのリノベーションは有力な選択肢。今の暮らしの利便性、子供の成長を見越した間取り、ディテールのこだわりもかなえて大満足という、この一家の場合は?
Nayo Suzuki
2016年11月14日
ライター&エディター。建築・インテリアを学んだ後、インテリアデコレーターとして働きながら、インテリアのライター業をスタート。現在はライター&エディター業に専念し、雑誌のインテリアページ、カタログ、書籍などを手がける。趣味はインテリアとアート鑑賞。
ライター&エディター。建築・インテリアを学んだ後、インテリアデコレーターとして働きながら、インテリアのライター業をスタート。現在はライター&エディター業に専念し、雑誌のインテリアページ、カタログ、書籍などを手がける... もっと見る
住宅入手の選択肢のひとつとして、すっかり定着してきている中古マンションのリノベーション。今回ご紹介するオーナーも、「床材や壁材などのディテール、間取りなどを自分たちの住みやすいものにしたかった。かといって、注文住宅で駅近くの物件をとなると、数も予算も俄然ハードルが高くなります。そこで、中古マンションを購入してリノベーションをすることにしました」と、選んだいきさつを振り返る。このマンションを選んだ理由は、「駅から近く、通勤時間も想定内で予算内の物件だったこと。壁式構造ではあったが、リノベーションのしやすい壁の配置であったこと。南側の開口部が広く、眺望もよかったこと。築年数はかなり経っているが、古さを感じさせない外観で、マンション内に植栽も多く、手入れが行き届いていたこと」だったとか。
オーナーがリノベーションを依頼したのは〈.8architect & interior design〉の佐々木倫子さん。同じように中古マンションをリノベーションして暮らす佐々木さんの自邸を実際に見て「リノベーションしたご自宅の雰囲気や、こだわっている点に好感を持ちました。家事動線など生活者としての目線が設計に活かされている点もいいなと思い、お願いすることにしました」とオーナー。
オーナーがリノベーションを依頼したのは〈.8architect & interior design〉の佐々木倫子さん。同じように中古マンションをリノベーションして暮らす佐々木さんの自邸を実際に見て「リノベーションしたご自宅の雰囲気や、こだわっている点に好感を持ちました。家事動線など生活者としての目線が設計に活かされている点もいいなと思い、お願いすることにしました」とオーナー。
設計にあたり、オーナーが佐々木さんにリクエストしたのは、「キッチンから子供の様子がうかがえるようにしたい」「リビングは広くし、ワークスペースを設けたい」「トイレと脱衣所の動線は分けたい」「収納スペースを確保したい」「床には無垢の木にしたい」という5点だった。
佐々木さんはまず、リビングダイニング、キッチン、2つのベッドルーム、ライブラリー、バスルームと細かく区切られていた既存の間取りを、LDK、ベッドルーム、バスルームという3つの大きな空間にプランニングした。将来の子供部屋に備えて、ベッドルームはカーテンでゆるやかに仕切れるようにしてある。リビングダイニングと廊下を隔てて配置されていた独立型のキッチンは、リビングダイニングとひと続きのオープンなキッチンに変更し、料理をするのが楽しくなるような明るいスペースとなっている。
佐々木さんはまず、リビングダイニング、キッチン、2つのベッドルーム、ライブラリー、バスルームと細かく区切られていた既存の間取りを、LDK、ベッドルーム、バスルームという3つの大きな空間にプランニングした。将来の子供部屋に備えて、ベッドルームはカーテンでゆるやかに仕切れるようにしてある。リビングダイニングと廊下を隔てて配置されていた独立型のキッチンは、リビングダイニングとひと続きのオープンなキッチンに変更し、料理をするのが楽しくなるような明るいスペースとなっている。
実際に暮らしてみて「キッチンが対面なので、食事をしていても家族で話がしやすいですね。居心地がよく、家で過ごす時間が長くなりました」と大満足の様子だ。
どんなHouzz?
住まい手:夫婦(30代)、長女(1歳)
所在地:神奈川県川崎市
延床面積:78平方メートル
構造:壁式構造マンション
リノベーション竣工:2016年
建築設計:.8 architect & interior design
どんなHouzz?
住まい手:夫婦(30代)、長女(1歳)
所在地:神奈川県川崎市
延床面積:78平方メートル
構造:壁式構造マンション
リノベーション竣工:2016年
建築設計:.8 architect & interior design
「キッチンの天板はステンレス製に」というオーナーからのリクエストに応え、〈サンワカンパニー〉のステンレス製システムキッチンを選んだ。アイランド型に配置し、それを囲むようにL字型に収納を設けている。換気扇横につくられたアイランド上部の吊り棚は、足場板を用いたもの。佐々木さんの自邸で同じような吊り棚を見て、リクエストしたのだそう。キッチンのすぐ横には、もともと持っていた食器棚や冷蔵庫も設置した、パントリーを設けている。
キッチンの背面の白い収納部分、下部収納と上部収納は〈イケア〉の既製品を選択。下部収納が使い勝手のよい引き出し式で、サイズバリエーションが豊富なうえ、値段も手ごろという理由から、設計者の佐々木さんは〈イケア〉のキッチンを施主にすすめることも多いという。
壁付けのオープン棚は、造作で設置した。ダイニングテーブルは、アイランド部分と同じ幅240cmに。キッチンの床が15cm下がっているため、高さ70cm強のダイニングテーブルをアイランドとぴったりの高さでつなげることができる。普段はカウンターとして、来客時など人が多いときは離して大テーブルとして使うことが可能だ。
壁付けのオープン棚は、造作で設置した。ダイニングテーブルは、アイランド部分と同じ幅240cmに。キッチンの床が15cm下がっているため、高さ70cm強のダイニングテーブルをアイランドとぴったりの高さでつなげることができる。普段はカウンターとして、来客時など人が多いときは離して大テーブルとして使うことが可能だ。
ダイニングテーブルは〈R不動産tool box〉で鉄製の脚を購入し、足場板を用いて大工さんにつくってもらった。
豊かな緑を望むキッチン横の窓辺は、とても気持ちのよい場所だ。ここはワークスペースで、借景を眺めながらPC作業をしたり、アイロンをかけたりできる場となっている。それにつながるように、〈無印良品〉の収納かごや本類がぴったり収まるような棚を設けた。水まわりに近いこともあり、天板には濡れてもOKなグレーのフレキシブルボードを選んでいる。将来的にはリビングダイニング側にまで伸ばし、子供の勉強スペースにしようかと考えているそう。
キッチン正面の壁は〈ポーターズペイント〉の淡いグリーンを自分たちで塗布し、ポイントにしている。壁のペイントはすべて、オーナーがDIYで作業した。
施工時に、オーディオスピーカーを天吊りにしてもらった。「おかげで音の回りがよくなり、音楽を聴きながらコーヒーを飲むのが至福の時間になりました」。
パントリーのまわりはラーチ合板で囲んでいる。壁の一部、白い部分にマグネットペイントを塗り、家族の連絡事項を書くコミュニケーションボードとして活用している。梁下にダクトを通さなければならず、一部天井高が150cmほどしかない箇所があり、パントリーはそれを隠す役目も担っている。
リビングのTV後ろの壁は構造壁だが、あえて塗装などはせずに仕上げている。天井もむき出しのまま、ラフに仕上げた。TV台は〈R不動産tool box〉で購入した棚受けに、足場板をのせたもの。
リビングダイニングのフローリングは厚さ4mmのオーク材の突き板。視界が広がるように、斜めに張ったのもこだわりどころだ。
既存の床の上にフローリングを張った分、天井はむき出しにして天井高を確保している。〈イデー〉のブルーの《AO SOFA》がシンプルな内装によく映える。
寝室の床は無垢の杉材。足触りがやわらかく、温かみがあって正解だったとか。今はこの広いスペースが家族3人のベッドルームになっているが、将来的には、天井に設置したカーテンレールにカーテンを吊るすことで、3部屋にまで仕切れるようにした。
ベッドルームに設けたウォークインクローゼットの壁や扉も、ラーチ合板で仕上げた。履き出し窓と腰高窓の2つ窓があり、両方から光が入る、明るくすがすがしいスペースとなっている。
空間をより広く使うため、洗面台の奥行きを小さくし、洗面ボウルのみを張り出させて設置できるタイプを選択。シンプルかつ清潔感あふれる洗面スペースになった。
木製のカーテンレールも〈R不動産tool box〉で購入。シングル、ダブルと選んでオーダーできるそう。
扉の鍵やドアノブ、スイッチプレートなどは〈パシフィック ファニチャー サービス〉のものを選んだ。このような小さな場所にもこだわって好みを反映させることができるのも、リノベーションの楽しみといえる。
暮らしやすさに配慮した機能、好きなテイストや素材、柔軟性のある間取りを実現した大満足の住まい。「設計段階では、私たちの言語化できないモヤモヤした思いを汲んで、佐々木さんがさまざまな提案をしてくれた」とオーナーは語る。「限られた予算内でどうやって大切な部分を残すのか、私たちの相談に真摯に向き合い、より理想に近づける選択への水先案内人となってくれたことに感謝しています。また、施工期間中もこまめに現場をチェックしてくださったのもよかったです」。
予算に合わせて設計プランを取捨選択する作業が何度もあったり、予定よりスケジュールが遅れたりと、リノベーションには大変なことも多い。しかしそれ以上に、お仕着せの住まいでは味わうことのできない、自分たちらしさを反映させた家に住むことの喜びは大きい。ごく自然にこの選択をする若い世代が増え、家づくりの楽しさを知る人が多くなっていくのは、素晴らしいことではないだろうか。
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予算に合わせて設計プランを取捨選択する作業が何度もあったり、予定よりスケジュールが遅れたりと、リノベーションには大変なことも多い。しかしそれ以上に、お仕着せの住まいでは味わうことのできない、自分たちらしさを反映させた家に住むことの喜びは大きい。ごく自然にこの選択をする若い世代が増え、家づくりの楽しさを知る人が多くなっていくのは、素晴らしいことではないだろうか。
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