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Houzzツアー: 近所の人や友だちが集い楽しく語らう「カフェのような家」
ミッドセンチュリーの平屋建てをリノベーションした家には、カフェのように近所の人や友だちがいつも集いくつろいでいます。オーストラリアで数多くの賞を受賞した、快適で暮らしやすい住宅です。
Rebecca Gross
2016年3月14日
現代の暮らしにおいて、地域のコミュニティとつながることがますます重要性を増してきている。メルボルンのセント・キルダ地区にあるこの家は、メルボルンのカフェ・カルチャーからインスピレーションを得て設計された、その名も〈ローカル・ハウス〉。地元のカフェの活気を家の中にも実現したいと考えたオーナーは、「カリフォルニア・バンガロー」と呼ばれるミッドセンチュリースタイルの住宅の増改築の設計を〈MAKE アーキテクチャー〉に依頼。友人、家族、そして地元のコミュニティとつながる風通しのいい家をつくりあげた。
オーナー一家(夫婦と10代の息子1人)からは、「家族が楽しく暮らせて、しかもそれぞれがお互いに独立性を維持できる広さ」という希望もあった。そこで、カリフォルニア・バンガローに増築を行い、寝室が3つ、リビングが2つある家を作った。裏庭をはさんだ向かい側には多目的アトリエも設置している。
〈ローカル・ハウス〉は、「自発性と柔軟性のあるクライアントに対して、創意工夫のあるデザインの価値を見事に示した作品」として、2015年度オーストラリア建築賞の住宅増改築部門賞を受賞した。
オーナー一家(夫婦と10代の息子1人)からは、「家族が楽しく暮らせて、しかもそれぞれがお互いに独立性を維持できる広さ」という希望もあった。そこで、カリフォルニア・バンガローに増築を行い、寝室が3つ、リビングが2つある家を作った。裏庭をはさんだ向かい側には多目的アトリエも設置している。
〈ローカル・ハウス〉は、「自発性と柔軟性のあるクライアントに対して、創意工夫のあるデザインの価値を見事に示した作品」として、2015年度オーストラリア建築賞の住宅増改築部門賞を受賞した。
どんなHouzz?
居住者: 夫婦と10代の息子、犬のオリー
所在地: メルボルン、セント・キルダ
竣工: 2014年
規模: 216平方メートル、寝室3、バスルームx2、リビングx2、68平方メートルのバス・トイレ付きアトリエとガレージ
設計:〈メイク・アーキテクチャー〉
受賞歴
居住者: 夫婦と10代の息子、犬のオリー
所在地: メルボルン、セント・キルダ
竣工: 2014年
規模: 216平方メートル、寝室3、バスルームx2、リビングx2、68平方メートルのバス・トイレ付きアトリエとガレージ
設計:〈メイク・アーキテクチャー〉
受賞歴
- 2015年度オーストラリア建築賞(住宅増改築部門賞)
- 2015年度オーストラリア建築家協会(AIA)(ヴィクトリア州支部住宅部門表彰作品)
- 2015年度住宅賞(200平方メートル以上の増改築部門賞、住宅遺産部門賞、屋外部門賞)
- 2015年度インターグレイン木造ヴィジョン賞(住宅エクステリア部門表彰作品)
「カリフォルニア・バンガロー」とは、第一次世界大戦と第二次世界大戦のあいだの時期にオーストラリアで大流行した住宅だ。都会にで暮らす人々に、屋外に対して開かれたモダンでくつろいだライフスタイルを提供して、人気を得た。この特徴は、もちろん〈ローカル・ハウス〉でも失われることなく、むしろ強調されている。
既存の平屋建てのカリフォルニア・バンガローはそのまま残しつつ、家の裏にあった小屋を撤去し、コンテンポラリーなスタイルの増築を行った。家の中は内装をはがしてスケルトンにし、新しい内装は「この家本来の特徴と素材を見せる程度にとどめた」と〈MAKE〉のディレクターを務める建築家のメリッサ・ブライトさんは話す。
「既存部分の端にある下見板張りの切妻の端に見えている赤いレンガ部分がまさにそうです。耐久性を感じさせる外観ですよね」とブライトさん。この部分は、視覚的にも物理的にも新しい部分と古い部分の境界を示している。
既存部分の間取りは、本来の合理的な間取りに戻す一方、増築部分には1階に新しいキッチンと多目的に使えるリビング/ダイニングスペースを、2階にはバス・トイレ付きの主寝室を配置。増築部分の位置をずらすことで、家の北側と西側の日当たりを改善した。
「既存部分の端にある下見板張りの切妻の端に見えている赤いレンガ部分がまさにそうです。耐久性を感じさせる外観ですよね」とブライトさん。この部分は、視覚的にも物理的にも新しい部分と古い部分の境界を示している。
既存部分の間取りは、本来の合理的な間取りに戻す一方、増築部分には1階に新しいキッチンと多目的に使えるリビング/ダイニングスペースを、2階にはバス・トイレ付きの主寝室を配置。増築部分の位置をずらすことで、家の北側と西側の日当たりを改善した。
使われている建材はどれも頑丈で美しい。「コストをセーブするためにも、質実剛健な設計を目指しました。高級感や繊細さはありませんが、だからといって、デザインにおける美しさや楽しさを重視していないわけではありません」とブライトさん。
質実剛健なエレガンスが表れているのが打放しコンクリートの部分。テーブルやベンチ、暖炉など、家族が集う場所に使われている。「打放しコンクリート部分は家の躯体や建具ともからんでいるので、まず現場でコンクリートを打ち、それからスチールや木材でできた建具のフレームを設置していきました。つまり、建具類はすべて、プロジェクトの最初に正確に制作し、完成しておく必要があったのです」とブライトさん。
質実剛健なエレガンスが表れているのが打放しコンクリートの部分。テーブルやベンチ、暖炉など、家族が集う場所に使われている。「打放しコンクリート部分は家の躯体や建具ともからんでいるので、まず現場でコンクリートを打ち、それからスチールや木材でできた建具のフレームを設置していきました。つまり、建具類はすべて、プロジェクトの最初に正確に制作し、完成しておく必要があったのです」とブライトさん。
カリフォルニア・バンガローらしく、ダイニングキッチンは裏庭に面している。木枠に入ったガラスの折れ戸は見映えもよく開放的だが、これは「家の中ではなく、庭のあずまやの中にいるような雰囲気をつくるため」に設計されたもの。木漏れ日がコンクリートの表面に揺れ動く光の模様を映し出す。木立に囲まれた環境をうまく利用して、自然の中にいるのだという雰囲気を醸し出している。。ダイニングでは、ペンダントライトとダイニングテーブルの側面の黄色が、クールでスタイリッシュな黒とグレーの空間に、ポップな楽しさをプラスしている。
壁や天井、扉を黒くしているため、キッチンの存在が視覚的に目立たなくなっている。ステンレススチールのワークトップや黒板ペイントの壁など、流行のカフェでよく見られるデザインをとりいれて、カフェらしい雰囲気を醸し出している。メタリックな黒のバックスプラッシュは、よくみるとれんがの壁のようなタイル張りとなっており、家の既存部分のれんが壁とのつながりを感じさせる。
ふと足を踏み入れたくなるくつろいだ雰囲気のダイニングキッチン。室内のフォルムと面はすべてつながって一体化している。ところどころに使われた木材が、コンクリートのハードな印象を和らげている。
ビルトインのコンクリートのベンチがあるので、椅子の数はそれほど必要ない。堅牢なコンクリートのフォルムに対して、軽快で明るい白いワイヤーダイニングチェアがデリケートなコントラストを見せている。
ビルトインのコンクリートのベンチがあるので、椅子の数はそれほど必要ない。堅牢なコンクリートのフォルムに対して、軽快で明るい白いワイヤーダイニングチェアがデリケートなコントラストを見せている。
壁と一体成型されたベンチは、まるで人を誘うかのようだ。日当たりのよい小さなコーナーやベンチは、地元の人が集いくつろぐために作ったものなのだ。両面から当たれる暖炉のおかげで、室内だけでなく外でも暖を取ることができる。
既存部分にあるリビングはさっぱりとした快適な空間で、庭を一望できる。ふと座りたくなるグレーのソファ、革のシートのバラフライチェア、黒いワイヤーテーブルなどを、木製フローリングが軽やかに引き立てている。年季の入ったれんがの壁が風合いを醸し出し、光を美しく反射する一方で、暖炉によってコンクリートのハードな要素をこの空間にも導入している。
リビングから2階へ上がるフローティング階段は、目の錯覚を招くデザイン。向かって左半分は木の床に支えられているが、右半分はダークグレーの壁の中に溶け込んでしまったかのよう。階段の脇の本棚は、部屋の仕切りにもなっている。
真正面から見ると、階段の向こうが透けて見え、空間的な開放感が生まれている。ここからダイニングを通り、裏庭までが見通せる。「既存部分の木の床は、カリフォルニア・バンガローらしい仕様です」とブライトさん。
「裏側をもう1つの『正面』ととらえてデザインしました」とブライトさん。主役は、装飾的な木製スクリーン。個性的で美しいデザインだ。スクリーンは、切妻の家の裏側にある、「妻」の部分の上部を覆っている。スクリーンの内側には主寝室がある。
「木製スクリーンは、西日を適度に遮りますし、木材に角度がついているので近隣からの目隠しもなります。プライバシーに関する規制も順守しつつ、近所の家並みを見通せる、という仕掛けなのです」とブライトさんは説明する。
木製スクリーンの内側にある主寝室では、光と影が織りなす模様が刻々と変化する。白い天井が空間を優しく包み込む。室内のガラス壁からは、1階の新しいリビングを見下すことができる。ルーバー付きの窓が自然通風を促すので、夏はクーラーなしでも室内が涼しい。
2階の廊下には、機能的な収納を設置。靴の収納にぴったりだ。
バスルームにはフレッシュな黄色を使用。「明るい黄色の壁のおかげで、軽快で楽しい雰囲気になりました」とブライトさん。自然光があふれる空間だからこそ、なおさらそうだ。「天窓もつくったので、小さいけれど、遊び心のあるバスルームになっています。」
裏庭の突き当たりには多目的スタジオとガレージがある。息子さんの遊び場、ホームオフィス、祖母やゲストが泊まる部屋として利用している。
スタジオは、母屋と裏の通りをつなぐ存在として設計。独立した入口があり、突出し窓、デスク、小さなポーチがついているので、裏の通り側から見るとガレージというよりも店舗のようだ。
「小道を重要な公的空間としてとらえることで、裏通りの活性化を促す効果を生み出せるかもしれない、と考えたのです。実際、ご近所に、この通りに面した部分をリノベーションしようとしている家があるんですよ」とブライトさんは話してくれた。
教えてHouzz
自分の家にカフェのような雰囲気を取り入れたいと思いますか?
「小道を重要な公的空間としてとらえることで、裏通りの活性化を促す効果を生み出せるかもしれない、と考えたのです。実際、ご近所に、この通りに面した部分をリノベーションしようとしている家があるんですよ」とブライトさんは話してくれた。
教えてHouzz
自分の家にカフェのような雰囲気を取り入れたいと思いますか?
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