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Houzzツアー: 伝統の漁師小屋をリノベーションした、くつろぎともてなしのための小屋
伝統漁法が廃れ、ボロボロになっていた南イタリアの漁師小屋を改築して、家族や友人、地元の人がくつろぐ場所がうまれました。
Giulia Zappa
2016年10月19日
細い支柱に支えられ、海に張り出すようにして立つ建物群。網とポールを使って魚を釣るための装置もついている。これらは南イタリアのアドリア海の沿岸地域によく見られる、「トラボッコ」と呼ばれる漁師小屋だ。正確な起源はわからないが、船を出すのが難しいほど海が荒いこの地方では、漁師たちがトラボッコを使って魚を獲っていた。この漁法自体は廃れてしまったが、時代の荒波を乗り越えてトラボッコは生き残り、最近では補修され、新たな用途で使われ始めている。
どんなHouzz?
住まい手:夫婦と子ども2人
所在地:イタリア、ペスカーラ
竣工:1950年代
規模:室内スペース24平方メートル、デッキ112平方メートル
設計:〈ストゥディオ・ゼロ85〉
このトラボッコの建て替えを手がけたのは、地元ペスカーラの建築事務所〈ストゥディオ・ゼロ85〉。施主の依頼と地元コミュニティのサポートを受けて実践されたプロジェクトだ。
住まい手:夫婦と子ども2人
所在地:イタリア、ペスカーラ
竣工:1950年代
規模:室内スペース24平方メートル、デッキ112平方メートル
設計:〈ストゥディオ・ゼロ85〉
このトラボッコの建て替えを手がけたのは、地元ペスカーラの建築事務所〈ストゥディオ・ゼロ85〉。施主の依頼と地元コミュニティのサポートを受けて実践されたプロジェクトだ。
ペスカーラ川の河口、ポルト・カナーレに立つが、これはめずらしいケースだ。というのも、観光用の港が建設されたため、潮の流れが変わり、小屋は四方を海に囲まれてはいないのだ。
トラボッコにはバス・トイレがなく、じかに風雨にさらされる構造になっている。建築規定や環境上の制約があるため、通常の住宅に造りかえることはできない。
トラボッコにはバス・トイレがなく、じかに風雨にさらされる構造になっている。建築規定や環境上の制約があるため、通常の住宅に造りかえることはできない。
トラボッコは現在、州の所有となっており、個人が90年間の定期借家として利用できる。個人間での譲渡も可能で、その場合、建物の使用権に加え、メンテナンスや必要に応じた修復などの管理義務も譲渡される。
こちらのトラボッコは一から建て直した。もとの小屋は取り壊し、今も名残を残すのは切妻屋根などの基本的なフォルムのみ。新しい建物はリビングルームとキッチンを備えている。
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Houzzツアー:セーヌ川に浮かぶ船をリノベーションして暮らす
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構造には金属、サイディングは木材を使い、断熱材にミネラルウールを用いている。内装は寄木張りのフローリングとアルミ製の建具。外の湿気にも劣化しない素材を選んだ。
このトラボッコはプライベートなビーチハウスや人が集まる場、メディテーションのためのスペースとしても使われており、この家の使用権をもつ家族やその友人たち、地元の人びとがさまざまな目的で使える場所になっている。
家族はこの家で思い思いに時間を過ごしている。父親は仕事場として活用し、仕事仲間をディナーに招いたり、イベントや展示の準備をすることも。夢は近くにある他のトラボッコもリノベーションして地域コミュニティに開放し、バンドを招いて24時間の音楽ライブフェスティバルを開くことだそう。一方、子どもたちにとっては遊んだりくつろいだりする場だ。
家族はこの家で思い思いに時間を過ごしている。父親は仕事場として活用し、仕事仲間をディナーに招いたり、イベントや展示の準備をすることも。夢は近くにある他のトラボッコもリノベーションして地域コミュニティに開放し、バンドを招いて24時間の音楽ライブフェスティバルを開くことだそう。一方、子どもたちにとっては遊んだりくつろいだりする場だ。
完全な住宅ではない小さなスペースのため、家具類はあくまでフレキシブルに使えるものを厳選。土台の上に置いたマットレスには大きなクッションを合わせ、普段はソファとして、ときにはベッドとして使えるようにした。アームチェアを並べたコーナーはおしゃべりを楽しむのにぴったりの場所。壁と天井はシンプルな合板で仕上げている。窓の外に広がるすばらしい海の景色があれば、これ以上の装飾はいらないだろう。
教えてHouzz
このトラボッコのように、もとは住まいでなかった建築物をリノベーションして家や楽しみの場所として使っている例をご存知でしたら、コメント欄で教えて下さい。記事のご感想も歓迎です。
教えてHouzz
このトラボッコのように、もとは住まいでなかった建築物をリノベーションして家や楽しみの場所として使っている例をご存知でしたら、コメント欄で教えて下さい。記事のご感想も歓迎です。
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