Houzzツアー : コンセプトハウスの体感を自分らしく進化させてできた、吹き抜けキッチンの家
コンセプトハウス(モデルハウス)に身を置いてその快適さを体感したからこそできた、大成功の家づくり。5人家族のストーリーが参考になります!
takako kawaguchi
2015年12月25日
家をつくるということは、人生においての一大事。比類なき大きな楽しみでもあるが、不安なこともたくさんある。不安要素のひとつは、図面やCG加工のパース、色見本などを何度見たところで、実際には完成するまで現物が見られない、という点ではないだろうか。空間の奥行きはどう感じられるか? 庭の見え方は? この間取りで動線は大丈夫? 壁や建具の色バランスは……? リアルに想像しようとしても、頭の中だけでのイメージ作りにはどうしても限界があるものだ。
そんな不安を持たずに家づくりができたら、どんなに心強くハッピーだろう。完成後に近い家をあらかじめ見て、空間に身を置くことで居心地を体感し、設計者が持つディテールへのこだわりやセンスに共感できていたら。オーナーのそうした願いにこたえるため、つくられているのが「コンセプトハウス」である(従来、モデルハウスともいわれてきた)。各社の家づくりへの思いやこだわり、言葉や図では表しにくい感性、空気感といったものを肌で直接感じることができるので、訪れる価値は非常に大きい。
オーナーの個性や暮らしを大切にしたオーダーメイドの家づくりで信頼を集めている友紀建築工房が、自由で楽しい家づくりを体感できるようにと一軒のコンセプトハウスを作って間もなく、見学に訪れたのが、今回ご紹介するお宅のオーナー・Hさんだった。
そんな不安を持たずに家づくりができたら、どんなに心強くハッピーだろう。完成後に近い家をあらかじめ見て、空間に身を置くことで居心地を体感し、設計者が持つディテールへのこだわりやセンスに共感できていたら。オーナーのそうした願いにこたえるため、つくられているのが「コンセプトハウス」である(従来、モデルハウスともいわれてきた)。各社の家づくりへの思いやこだわり、言葉や図では表しにくい感性、空気感といったものを肌で直接感じることができるので、訪れる価値は非常に大きい。
オーナーの個性や暮らしを大切にしたオーダーメイドの家づくりで信頼を集めている友紀建築工房が、自由で楽しい家づくりを体感できるようにと一軒のコンセプトハウスを作って間もなく、見学に訪れたのが、今回ご紹介するお宅のオーナー・Hさんだった。
一度見学に訪れたHさんはコンセプトハウスをとても気に入り、それから何回も足を運ぶようになった。室内をつぶさに見て回ることもあれば、外に出て玄関ドアをしばらく眺めていることも。空間設計はもちろん、素材や色づかいなどさまざまな要素が織りなす家全体の空気感は、いつ訪れても心地よく、共感でき、ついには「コンセプトハウスのような家を」とオーダーするに至ったのだという。
どんなHouzz?
家族構成:Hさん夫婦、子供3人
所在地:愛知県岡崎市
敷地面積:257.85平方メートル(78.00坪)
延床面積:117.05平方メートル(35.40坪)
構造:木造軸組み
設計・施工:友紀建築工房
竣工:2012年9月
中庭を囲んだコの字型の家の、中心となる一番いい場所につくってあるのがダイニングキッチン。「キッチンは長い時間を過ごす場所です。そこに立つ人がストレスがないように、調理をしながら庭を眺められるといいかなとか、そういうことを大切に考えています」と友紀建築工房。「キッチンに立つと正面には中庭が広がり、天井は高さ5.5メートルほどの吹き抜けになっているので開放感があります。さらに吹き抜けの大きな窓から空へと視界が抜けるようにも設計しました」。大窓から降り注ぐ自然光のおかげでリビングダイニングはいつも明るい。
どんなHouzz?
家族構成:Hさん夫婦、子供3人
所在地:愛知県岡崎市
敷地面積:257.85平方メートル(78.00坪)
延床面積:117.05平方メートル(35.40坪)
構造:木造軸組み
設計・施工:友紀建築工房
竣工:2012年9月
中庭を囲んだコの字型の家の、中心となる一番いい場所につくってあるのがダイニングキッチン。「キッチンは長い時間を過ごす場所です。そこに立つ人がストレスがないように、調理をしながら庭を眺められるといいかなとか、そういうことを大切に考えています」と友紀建築工房。「キッチンに立つと正面には中庭が広がり、天井は高さ5.5メートルほどの吹き抜けになっているので開放感があります。さらに吹き抜けの大きな窓から空へと視界が抜けるようにも設計しました」。大窓から降り注ぐ自然光のおかげでリビングダイニングはいつも明るい。
キッチンは造作で、ステンレスのトップとシャープなフォルムのシンクがぴたりとマッチしている。壁面に貼ってあるのはシェルの光沢感があるベージュベースのモザイクタイルで、ところどころに黒をミックスした大人っぽい表情が空間のスパイス役になっている。こうしたディテールもHさんの要望に沿って、コンセプトハウスと同じものを採用。上下に取り付けた白い扉の収納は、食器を入れたり食材のストックスペースとして活用している。
友紀建築工房はこのキッチンを「調理する場としてだけでなく、音楽を聴いたり読書をしたり、パソコン作業もできるようなスペース」として提案。気づくといつもここにいて長い時間を過ごしている、生活のベースエリアというわけだ。家の中の一等地につくったキッチンに多機能性を持たせ、暮らしに合わせて使い方を自由に楽しむというスタイルは、これから家づくりをする人にとって、大いに参考になるのではないだろうか。
ダイニングの黒いペンダントライトは、デンマークの照明ブランド・ライトイヤーズの「カラヴァジオ」。白と木をメインにしたインテリアをキリッと引き締めるアクセントとなっている。
友紀建築工房はこのキッチンを「調理する場としてだけでなく、音楽を聴いたり読書をしたり、パソコン作業もできるようなスペース」として提案。気づくといつもここにいて長い時間を過ごしている、生活のベースエリアというわけだ。家の中の一等地につくったキッチンに多機能性を持たせ、暮らしに合わせて使い方を自由に楽しむというスタイルは、これから家づくりをする人にとって、大いに参考になるのではないだろうか。
ダイニングの黒いペンダントライトは、デンマークの照明ブランド・ライトイヤーズの「カラヴァジオ」。白と木をメインにしたインテリアをキリッと引き締めるアクセントとなっている。
2方向が通学路に面しているため、外からの視線は遮りつつ、室内からは中庭に向かって視界が明るく開けるコの字型レイアウトにしたH邸。この形もコンセプトハウスで実際に見て、Hさん自身がそのメリットを体感していたものである。
写真は中庭を外から見たところ。細長いコンクリートの平板を敷きつめることで、ウッドデッキとはひと味違うクールな雰囲気を出している。とはいえ無機質になりすぎないよう、周りに砂利や芝をあしらい、表情を添えているのもポイントだ。
外壁はガルバリウム鋼板。幅・長さともに大きなスパンのものを使うことで、コンクリート平板とのバランスをとり、こちらも全体的に大人っぽい印象に。
写真は中庭を外から見たところ。細長いコンクリートの平板を敷きつめることで、ウッドデッキとはひと味違うクールな雰囲気を出している。とはいえ無機質になりすぎないよう、周りに砂利や芝をあしらい、表情を添えているのもポイントだ。
外壁はガルバリウム鋼板。幅・長さともに大きなスパンのものを使うことで、コンクリート平板とのバランスをとり、こちらも全体的に大人っぽい印象に。
キッチン側壁の裏には黒板ボードが。訪れたゲストが「こんなところにおもしろいものが!」とちょっぴりテンションが上がるような、遊び心のある演出だ。子どもが3人いるため、いろいろな連絡や手紙類などを貼り付ける実用的なスペースとしても日々大活躍している。設計段階で家族の生活をつぶさにヒアリングし、あらかじめこうしたフリーに使えるスペースを設けることで、LDKに雑然とした生活感があふれることを防ぐ狙いも。床から天井までラインレスの一枚の黒板壁としたさりげなくも美しい仕上がりに、友紀建築工房らしいデザインへのこだわりの一端があらわれている。
LDKの床は無垢のホワイトアッシュ。壁は漆喰にし、天井には卵殻をリユースしてつくられたエッグウォールライトという、調湿・消臭機能のある壁紙を貼った。素材そのものがもつ魅力を大切にし、うまく調和させていくことが、なんともいえずリラックスでき、心地のいい空気感を生み出す源となっている。
LDKの床は無垢のホワイトアッシュ。壁は漆喰にし、天井には卵殻をリユースしてつくられたエッグウォールライトという、調湿・消臭機能のある壁紙を貼った。素材そのものがもつ魅力を大切にし、うまく調和させていくことが、なんともいえずリラックスでき、心地のいい空気感を生み出す源となっている。
主寝室のコーナーに造作した、奥様用のワークスペース。ミシンやプリンターなどもすっきりと収納できるよう工夫されている。好きな雑誌や細々としたソーイングの材料、道具類のために上部にも棚を設置した。
かたわらのグレーの壁面は、コテ跡などのムラが自然なニュアンスを生み出すと人気の「ポーターズペイント」で塗ったもの。手作業の風合いが部屋の空気を和らげている。
かたわらのグレーの壁面は、コテ跡などのムラが自然なニュアンスを生み出すと人気の「ポーターズペイント」で塗ったもの。手作業の風合いが部屋の空気を和らげている。
こちらのリビング右側の壁も、ニュアンスのあるグリーンのポーターズペイント。モルタル仕上げのテレビボードと色・質感ともにしっくりなじんでいる。
中庭へ開いた窓は床から天井までのフルオープン仕様。無駄なラインは極力なくす、というデザイン的なこだわりがここでも見受けられ、床や壁などの面がすっきりと映える仕上がりとなっている。
実はこちらの中庭、コの字型の建物に添う形で、レッドシダーの天井がついている。内と外とのつながりを感じさせ、もちろん雨よけの役割も果たす重要な存在だ。
中庭へ開いた窓は床から天井までのフルオープン仕様。無駄なラインは極力なくす、というデザイン的なこだわりがここでも見受けられ、床や壁などの面がすっきりと映える仕上がりとなっている。
実はこちらの中庭、コの字型の建物に添う形で、レッドシダーの天井がついている。内と外とのつながりを感じさせ、もちろん雨よけの役割も果たす重要な存在だ。
前面ガラス張りで開放的な玄関。右のシューズボックス奥は土間収納へと通じ、家族5人分の靴やアウトドア用品などを余裕をもって収納できる。
海外の雑誌などで見かけて、いいな、と憧れた特別感のあるインテリアや空間も、日常でもっと自由に取り入れ、気に入ったものの中で暮らしてほしい、と考える友紀建築工房。そんなさまざまな思いを形にしたコンセプトハウスをHさんは訪れ、満足のいく家づくりに成功した。デザインや素材へのこだわりと、その積み重ねが生み出す五感に心地のよい空気感、それを作り手とオーナーが共有することの大切さを、H邸は教えてくれている。
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うらやましいです。特に奥様用のワークスペース、いいな。
n.s様
コメントをありがとうございます。
奥様ご趣味の裁縫スペースとしてはもちろんのこと、お買い物から帰られた時のバッグやアクセサリーもここにポンッと気軽に置けます。キッチンに隣接していますし使いやすいと思います。