Houzzツアー :コンセプトは「NYの倉庫風」。インダストリアルスタイルを先取りした、30代夫婦のリノベーション
モルタル床の倉庫のようなオープンな空間、チョークボード塗装のクローゼット。インダストリアルなディテール満載の、おしゃれな夫妻の部屋。
takako kawaguchi
2015年11月25日
国内外の家具やインテリアに詳しく、ファッションもおしゃれなK夫妻がリノベーションの相談に訪れたのは、デザインリフォームが今ほど一般的でなく、インダストリアルスタイルの人気もまだそれほど高くはない頃のこと。夫妻は第一の要望として「ニューヨークの倉庫のような空間に住みたい。躯体むき出しの雰囲気がいい」と伝えたという。進取の精神に富んだ若手プランナーが多く揃う株式会社 秀建は、そのリクエストを限られたマンション空間の中で見事にプランニング。現在も色褪せることなく魅力にあふれた、国内のインダストリアルテイストなマンションリノベの原型ともいえる家を完成させた。
「室内を区切る壁をできるだけ取り払いたい。倉庫のような大空間が理想」とのKさんのイメージを汲み、もとは3LDKだった室内を思い切って1LDKに。そのおかげでLDKは20畳を超える広さを確保。ときには15人以上の来客があるというK夫妻のライフスタイルにもぴったりマッチするスペースとなった。
躯体むき出しの雰囲気という要望はあったものの、工事中、スケルトンにしたときに現れたベースはかなり荒れた様子だったという。それを人が住める状態にするため多少削ったり、クリア塗装をかけたりと手間暇、お金をかけて整えた。一見「ありのままのむき出し」に見える天井や床にはそうした細かな作業が隠されており、それゆえ、ラフな見た目とは裏腹に実際の住み心地はとても快適な空間となっているのである。
躯体むき出しの雰囲気という要望はあったものの、工事中、スケルトンにしたときに現れたベースはかなり荒れた様子だったという。それを人が住める状態にするため多少削ったり、クリア塗装をかけたりと手間暇、お金をかけて整えた。一見「ありのままのむき出し」に見える天井や床にはそうした細かな作業が隠されており、それゆえ、ラフな見た目とは裏腹に実際の住み心地はとても快適な空間となっているのである。
どんなHouzz?
家族構成:30代のKさん夫婦
所在地:東京都
延床面積:72平方メートル
設計・施工:株式会社 秀建
リビングで目を惹くのが、ゆったりと吊り下げられたハンモック。「家にハンモックがあるのが子どもの頃からの夢だった」というご主人が、設計時からリクエストしたこだわりのアイテムだ。高い天井から揺れるハンモックがLDKの開放感をさらに強調し、インテリアのアクセントにもなっている。
リビングに貼り込んだのは、オールドスクラッチ加工が施されたオーク材。ダーク色を2度塗りし、しっとりと大人っぽい味わいに仕上げてある。ダイニングキッチンとは10センチほどの段差があることで、ここからはくつろぎのスペースだというメッセージが自然と伝わってくる。
テレビ台はご主人の手によるもの。コンクリートブロックと板を組み合わせた簡単なつくりだが、むき出しの躯体やフローリングのテイストと絶妙に調和した秀作だ。
家族構成:30代のKさん夫婦
所在地:東京都
延床面積:72平方メートル
設計・施工:株式会社 秀建
リビングで目を惹くのが、ゆったりと吊り下げられたハンモック。「家にハンモックがあるのが子どもの頃からの夢だった」というご主人が、設計時からリクエストしたこだわりのアイテムだ。高い天井から揺れるハンモックがLDKの開放感をさらに強調し、インテリアのアクセントにもなっている。
リビングに貼り込んだのは、オールドスクラッチ加工が施されたオーク材。ダーク色を2度塗りし、しっとりと大人っぽい味わいに仕上げてある。ダイニングキッチンとは10センチほどの段差があることで、ここからはくつろぎのスペースだというメッセージが自然と伝わってくる。
テレビ台はご主人の手によるもの。コンクリートブロックと板を組み合わせた簡単なつくりだが、むき出しの躯体やフローリングのテイストと絶妙に調和した秀作だ。
K邸の最大の特徴というべきは、玄関からダイニングキッチンまで続く、濃色モルタルの床である。この色味は家のテイストを大きく左右するものだったため、作業当日はKさん自らも現場に足を運び、モルタルに少しずつ墨を加えながら濃さを微調整する工程を見守ったという。その時点では天井の躯体もすでに現れていたので、上下の色調を合わせて空間全体の統一感を図った。ツヤのある金ゴテ仕上げで、ところどころにモルタル特有のクラックが入っているのも、いかにもラフ感のある倉庫風という演出に一役買っている。
写真左奥に見えるのは床から天井まで造り付けた大型クローゼット。ガランとした倉庫風デザインと、住まいに必要不可欠な収納などの機能性を両立させるのは、当初かなりの難題だったが、ここでプランナーはひとつの解決策を見出した。引っ越し前のK夫妻宅を訪ね、荷物量を見せてもらって必要な収納量を見極め、それが収まる大型クローゼットをつくって黒板塗装するという方法である。これなら家のスタイルを損なうことなく、ファッション好きな夫妻の服や雑貨をすっきりと収めることができる。この黒板塗装したクローゼットは年月を経た今もなお新鮮味にあふれ、インテリアをクールに引き締める存在であり続けている。
写真左奥に見えるのは床から天井まで造り付けた大型クローゼット。ガランとした倉庫風デザインと、住まいに必要不可欠な収納などの機能性を両立させるのは、当初かなりの難題だったが、ここでプランナーはひとつの解決策を見出した。引っ越し前のK夫妻宅を訪ね、荷物量を見せてもらって必要な収納量を見極め、それが収まる大型クローゼットをつくって黒板塗装するという方法である。これなら家のスタイルを損なうことなく、ファッション好きな夫妻の服や雑貨をすっきりと収めることができる。この黒板塗装したクローゼットは年月を経た今もなお新鮮味にあふれ、インテリアをクールに引き締める存在であり続けている。
黒板塗装のクローゼットは夫婦のコミュニケーションの場にも。ゲストを迎える際は前面をウェルカムボード代わりとして、イラストがお上手な奥さまがユーモラスな絵を描くなど、日々さまざまに活用している。
クローゼットの奥は寝室スペース。壁を作らず、必要なときだけウッドブラインドで仕切るというゆるやかなゾーニングがK夫妻流。光を通すウッドブラインドを使うことで、窓際の寝室に満ちる自然光をリビングへも呼び込むことができる。
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こちらは玄関を入ったところ。ダイニングキッチンから続いているモルタル面にご主人自らペイントを施し、靴を脱ぐスペースをおしゃれにわかりやすく案内している。
右手の収納は靴だけでなく、キャンプなどのアウトドア用品や自転車も置けるようなオープン設計。収納部のメッシュ状棚板は工場や倉庫などで使われる鉄扉を転用したもので、ハードな雰囲気が家のテイストに合っている。
こうした土間的な使い方のできるフレキシブルスペースが少しあるだけで、玄関まわりだけでなく家の中も整えやすくなるものだという。
右手の収納は靴だけでなく、キャンプなどのアウトドア用品や自転車も置けるようなオープン設計。収納部のメッシュ状棚板は工場や倉庫などで使われる鉄扉を転用したもので、ハードな雰囲気が家のテイストに合っている。
こうした土間的な使い方のできるフレキシブルスペースが少しあるだけで、玄関まわりだけでなく家の中も整えやすくなるものだという。
家の中で唯一の色づかいといえるのが、LDKの入口のドア。ややグレーがかった落ち着いたブルーが、濃色のモルタルや白いペイント壁によく映えている。
ドアノブなどのディテールにもこだわり、特に電気スイッチはプランナーが海外から探し出してきたものだとか。LDKのワンルームの電気がすべてここに集約され、外出や帰宅時にも一度に電気のオン・オフが行えるので便利な形である。
ドアノブなどのディテールにもこだわり、特に電気スイッチはプランナーが海外から探し出してきたものだとか。LDKのワンルームの電気がすべてここに集約され、外出や帰宅時にも一度に電気のオン・オフが行えるので便利な形である。
ステンレスのキッチンは株式会社 秀建が造作したオリジナル。カフェの厨房を思わせる、クリーンでオープンなスタイルだ。注目したいのはシンクが3方向から使えるように工夫してある点。夫婦でキッチンに立つことも多いため、動線がぶつからないようにとの配慮から、側面でも洗いものができる形を考案した。ゲストがたくさん訪れたような場合も、ダイニング側からシンクを使えるシステムは、主客双方にとって気楽であり都合がいい。
キッチンの幅は200センチ、ガス台やシンク部分の奥行きは110センチ。奥行きがあるのでカウンター下にはたっぷりとキッチンツールなどを収納できる。側面は無表情になりすぎないよう、パンチング板をつけることでデザイン的なアクセントとした。
キッチンの幅は200センチ、ガス台やシンク部分の奥行きは110センチ。奥行きがあるのでカウンター下にはたっぷりとキッチンツールなどを収納できる。側面は無表情になりすぎないよう、パンチング板をつけることでデザイン的なアクセントとした。
壁側の引き出しとスライド扉の収納も造作したもの。冷蔵庫の奥行き65センチとぴったり合わせて設計することで、全体がすっきりと、一体化した空間に仕上がっている。壁上部に設置したラックは、普段使いのグラスやお茶碗などを置くスペースに。
カメラが趣味というご主人。ニッチのブックスタンドには愛用のカメラやお気に入りの本を並べてギャラリー風に。
洗面スペースとトイレも、間を仕切る壁や扉をなくすことで広い空間を実現。「洗面台は大きいシンクにしたい」との希望から、病院や実験室などで使われているものをセレクト。鏡は気分に合わせて変えられるように、あえて置き型にした。
将来の子ども部屋用として、1部屋だけは個室をつくってある。ウッド調のフロアタイルにあたたかみのあるラグを合わせた、ナチュラルな約6畳の空間。
モルタルとむき出しの躯体に、シルバー色のステンレスを組み合わせた倉庫風テイストを楽しんでいるK夫妻。今も「こちらのお宅みたいなリノベーションがしたいです」と株式会社 秀建を多くの人が訪れていることからも、この家の魅力が現在進行形であることは間違いないといえるだろう。
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